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2018年11月14日

脳動脈瘤が成長する条件


Risk factors for growth of conservatively managed unruptured intracranial aneurysms
2018  11月  アメリカ

未破裂の脳動脈瘤は成人の2-3%にみられる。かならずしも積極的に治療する必要はなくて、定期的にMRAなどで動脈瘤の成長を観察することになる。

未破裂脳動脈瘤の成長可能性と関連要因についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


未破裂脳動脈瘤のある1532人のうち、
過去にくも膜下出血がなく、保存的に経過観察中で、
最後の画像診断から2年以内の349人の385個の脳動脈瘤について、

瘤の成長を6年半ほどフォローした記録を解析したところ、、


次のことがわかった。

・この間に64個の動脈瘤がおおきくなった。これは1年間あたり脳動脈瘤ぜんたいの2.9%に相当した。

・とくに発見された直後の3年間の成長が著しく年率7.5%におよび、その後は2.7%だった。

・瘤がおおきくなる要因として、サイズ(5mm以上)、位置(椎骨動脈の尖部)、体重減少(BMI低下)、があきらかに関連していた。

保存的に観察中の未破裂脳動脈瘤は年間2.9%がおおきくなった。これにはサイズ、位置、体重減少が関連し、発見直後の数年間に成長する瘤がおおかった、


というおはなし。

図:未破裂脳動脈瘤の成長率

感想:

「発見直後に成長」と「体重減少」がユニークでおもしろい。

たぶんこういうこと↓。

動脈瘤がみつかるとビビって急に摂生に努め食事を減らす。
栄養不足で血管壁がよわり動脈瘤がふくらむ。

数年経つと身体がなれて瘤が安定する。

2018年11月13日

脳卒中後のうつと季節 日光浴のすすめ


Impact of seasons on stroke-related depression, mediated by vitamin D status
2018  11月  中国

脳卒中後のうつは、さいきんのメタアナリシスによると5年以内に29%が経験するという。

いっぽうビタミンDは神経ステロイドともよばれ脳の発達や可塑性 保護 免疫と関係していて、
血中ビタミンDの低下とうつとの関連をしめす報告がふえている。

また 季節変化とうつとの関連をしめす報告もおおく、夏季にくらべ冬季にうつがふえる。

そこで、脳卒中後のうつの季節変化とビタミンDとの関連をくわしくしらべてみたそうな。

2018年11月12日

脳のここをやられると時間がわからなくなる


Does the insula contribute to emotion-related distortion of time- A neuropsychological approach
2018  11月  スイス

時間の認識には脳のひろいはんいがかかわっていると考えられている。その箇所の1つとして島皮質があげられるが どう働くのかはよくわかっていない。

これを脳卒中患者でしらべてみたそうな。


左または右の島皮質を損傷した脳卒中患者21人について、

主観的な時間間隔の識別能をしらべるために音響刺激をつかった時間二等分課題(temporal bisection task)をおこなった。

さらに音源として子供の泣き声などの感情をともなう刺激や中立的なものを使用してそれらの違いも観測した。


次のようになった。

・右島皮質の損傷患者は左損傷もしくは健常者にくらべ時間感度があきらかに低かった。

・感情音源による違いは健常者と差がなかった。

右の島皮質には時間を認識するとくべつなはたらきがあると考えられた。しかし感情の影響をうけるものではなかった、


というおはなし。

図:島皮質の損傷

感想:

いちばんひどいときに右の島皮質への直撃をくらってたから理解できる。音楽がわからなくなってたよ。
右の島皮質の梗塞は死亡率が高い その理由とは

失音楽症と関係する脳の場所がわかった

2018年11月11日

脳卒中をふせぐ昼寝時間がわかった


Joint effect of less than 1 h of daytime napping and seven to 8 h of night sleep on the risk of stroke
2018  5月  中国

いっぱんに昼寝は とくに高齢者にとって健全なライフスタイルの1つと考えられている。

これまでの研究から昼寝時間がながいと心血管疾患リスクが上がるとするメタアナリシスがある。

しかし脳卒中に限定して昼寝との関連をしらべた研究はほとんどないので大規模にやってみたそうな。


20-74歳の7887人を約5年間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・昼寝なしで夜間の睡眠が7-8時間にくらべて、昼寝1時間以上では脳卒中リスク1.94倍、夜間睡眠9時間以上だと脳卒中リスクは2.24倍だった。

・さらに昼寝なし夜間睡眠7時間未満では 脳卒中リスクは2.61倍、

・昼寝1時間以上でかつ、夜間睡眠が7時間未満、7-8時間、8-9時間、9時間以上での脳卒中リスクはそれぞれ 2.16、2.36、2.41、3.37倍になった。

昼寝なしか1時間未満で夜間睡眠7-8時間のとき脳卒中リスクは低くかった。昼寝1時間以上かつ夜間睡眠9時間以上または昼寝なしか1時間以上でかつ夜間睡眠7時間未満のとき脳卒中リスクがもっとも高かった、


というおはなし。

図:脳卒中予防に適した昼寝時間


感想:

上の図がわかりやすい。

ゼロでも1時間以上でも良くないので、ちょっと昼寝するのがいいみたい。

2018年11月10日

コクランレビュー:動作観察の上肢リハビリ効果


Action observation for upper limb rehabilitation after stroke
2018  10月  ブラジル

脳卒中で上肢麻痺があると日常生活動作や社会参加のさまたげになる。

このリハビリ方法として「動作観察」がある。

健常者の動きを直接もしくはビデオで観察することでミラーニューロンシステムが刺激され、実際の運動動作とおなじ脳の活動をしめすようになるという。

動作観察療法は安全でかつ特別な装置やセラピストの監督も必要でないことからとても期待されている。

その効果をこれまでの研究からまとめてみたそうな。


脳卒中患者の手や腕の機能と動作観察療法に関係する2017年10月までの研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者478人を含む12の研究がみつかった。

・ほとんどがビデオを観たあとに実際の動作をおこない、徐々に難度を高めてゆくものだった。

・おおむねポジティブな結果で、腕よりも手の機能改善効果が顕著だった。

・日常生活動作の改善効果もみられた。

・サンプルサイズが小さいなどエビデンスレベルは低かった。

動作観察で上肢運動機能や日常生活動作の改善がみられた。エビデンスの質が良くないのでしばらく見守りたい、


というおはなし。

図:動作観察

感想:

インド映画みてると一緒に踊りたくてそわそわしてくる感じがそれなのかな、、、とおもう。

2018年11月9日

魚でふせげる脳梗塞と増える脳梗塞


Substitution of Fish for Red Meat or Poultry and Risk of Ischemic Stroke
2018  11月  デンマーク


魚をおおくたべることは脳梗塞予防によいと考えられている。しかしこれまでの研究はトータルのエネルギー収支を考慮にいれていないことがおおかった。つまり魚を増やせば他の食材を減らさなくてはならない。

そこで、牛や豚、鶏といった家畜肉の代わりに魚を摂ったばあいの脳梗塞リスクを大規模にしらべてみたそうな。


50-65歳の57053人に食事アンケートをとり、脳梗塞の有無を13.5年間フォローした。

家畜肉を魚の等重量でおきかえた場合のモデルで脳梗塞リスクを原因別に解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1879の脳梗塞があり、そのうち319はアテローム血栓性、102は心原性、844は小血管病変 だった。

・家畜肉を魚で置き換えることは脳梗塞のトータルの発生率には影響しなかったが、アテローム血栓性の脳梗塞リスクはあきらかに低下し、

・とくに脂肪のおおい魚で家畜肉を置き換えると、ラクナ梗塞リスクが低下した。

・しかし心原性の脳梗塞リスクだけは上昇した。とくに鶏肉を魚に替えた場合のリスクは1.42倍に跳ね上がった。

牛や豚 鶏の代わりに魚を摂ると、脳梗塞全体には影響なかったが、アテローム血栓性脳梗塞が減り、脂肪のおおい魚でラクナ梗塞も減った。しかし鶏肉を魚に替えると心原性脳塞栓症は増えた、


というおはなし。

図:肉を魚にしたときの脳梗塞リスク

感想:

魚に含まれるn-3不飽和脂肪酸をおおく摂りすぎると心房細動が増えるんだって。

2018年11月8日

性的少数者の脳卒中リスク


Cardiovascular Disease Disparities in Sexual Minority Adults- An Examination of the Behavioral Risk Factor Surveillance System (2014-2016)
2018  11月  アメリカ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルといった性的少数者について関心が高まっている。

彼ら性的少数者と脳卒中など心血管疾患との関連についての研究はすくないのでくわしくしらべてみたそうな。


アメリカでの 電話による大規模な健康行動調査(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の40万人近くのデータをつかって解析したところ、


次のことがわかった。

・男性はゲイが2.2% バイセクシュアルは1.5%で、女性はレズビアンが1.3%、バイセクシュアルが2.4% いた。

・性的少数者の男性は強い精神的ストレスやうつの率が高かった。

・異性愛者にくらべ ゲイの男性は現在喫煙者がおおく、肥満はすくなかった。

・性的少数者の女性の場合、強い精神的ストレス、うつ、現在喫煙、大酒飲み、肥満 がおおく、身体活動レベルは高かった。

・レズビアン女性は心臓発作はすくなく、バイセクシュアル女性には脳卒中がおおかった。

性的少数者の心血管疾患リスクは女性におおく、とくにバイセクシュアルの女性は脳卒中になりやすかった、


というおはなし。

図:ゲイ

感想:

LGBTをみとめることが進歩的とするさいきんの風潮にはどうしてもなじめない。

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