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2019年8月4日

Stroke誌:脳動脈瘤形成に血圧は関係ない


Risk Factors for Unruptured Intracranial Aneurysms and Subarachnoid Hemorrhage in a Prospective Population-Based Study
2019  8月  ノルウェー
未破裂の脳動脈瘤は人口の2-3%にみられ、MRIの普及にともない発見される数は増加傾向にあるという。

これまでの未破裂脳動脈瘤の研究のおおくは くも膜下出血などの病気の診断後に偶然みつかったケースをフォローしたものが主で、一般人をフォローした研究は1つしかない。

そこで一般人について大規模に未破裂脳動脈瘤のリスク要因をしらべてみたそうな。

2019年8月3日

動作観察リハビリにリアルな手は必要か?


Is it necessary to show virtual limbs in action observation neurorehabilitation systems?
2019  7月  スペイン

ミラーニューロンシステムは前頭葉と頭頂葉にまたがって存在し、運動を実行する際のみならず動作を観察したばあいにも活性化する。

動作の観察がミラーニューロンシステムを介して運動の実行にリンクすることから神経リハビリテーションの場、とくに実際の運動ができない脳卒中患者への応用が期待されている。

動作観察リハビリテーションでは通常、バーチャルな手の動作を観察することが求められている。

しかしほんとうにバーチャルな手を見せることが必要であるかについては確認できていないので、実験してみたそうな。



14人の健常者について、
バーチャルリアリティシステムをもちいてキャンセレーションタスク(5つの物体から任意の1つを指し示す)を実行させた。

その際に、バーチャルな手を表示するもしくはドットのみを表示する場合にわけて脳の働きをfMRIで観察して比較したところ、



次のことがわかった。

・バーチャルな手の表示の有無にかかわらず、ミラーニューロンシステムの活性化パターンにあきらかな違いがみいだせなかった。

動作観察リハビリテーションにかならずしもバーチャルな手の表示は必要なかった、


というおはなし。

図:ミラーニューロンシステム



感想:

ようするにイメージのなかで動作とむすびつきさえすればイイってこと。

40年以上まえのテレビゲームは棒と点しか表示できなかったけど、テニスやサーキット走行、エイリアンから地球を守る戦いまで すさまじい臨場感で体験できていた。

そういうことだとおもう。

2019年8月2日

脳動脈瘤がふくらむ2つの目安


A systematic review and meta-analysis of risk factors for unruptured intracranial aneurysm growth
2019  7月  中国

脳動脈瘤は成人の3%にみつかるという。

未破裂の脳動脈瘤へのクリップやコイル手術はおおきなリスクをともなう。

通常は動脈瘤を画像検査でフォローして、成長しているようなら破裂の可能性が高いとして治療の対象とする。

動脈瘤の成長の要因として、高血圧、性別、年齢、くも膜下出血歴、動脈上の位置、サイズ、形状、喫煙、多発動脈瘤、などが考えられるがじつはよくわかっていない。

そこで、これまでの研究のメタアナリシスから未破裂脳動脈瘤が成長するリスク要因をあきらかにしてみたそうな。

2019年8月1日

脳卒中後うつに特徴的なコレステロールとは


Serum lipid profiles and post-stroke depression in acute ischemic stroke patients
2019  6月  中国

脳卒中後のうつは患者の33%におき日常生活動作の低下につながるという。

そのリスク要因として、女性、身体障害、うつ歴、がわかっているが病態生理学的要因についてはあきらかになっていない。

さいきんの10年ほどのあいだにうつと血清脂質プロファイル(脂肪やコレステロールの種類など)との関連がいくつも報告されるようになった。

脳卒中後のうつと血清脂質プロファイルとの関連についての報告はないのでくわしくしらべてみたそうな。

2019年7月31日

タバコが体から抜けるまでの年数


Cigarette Smoking, Smoking Cessation, and Long-Term Risk of 3 Major Atherosclerotic Diseases
2019  7月  アメリカ

喫煙は冠動脈疾患や脳卒中のリスク要因の1つであり報告もおおい。

同様に 末梢動脈疾患(おもに手や足の虚血)リスクでもあるが調査の数はすくない。

これら3つの動脈硬化性疾患(冠動脈疾患、脳卒中、末梢動脈疾患)と喫煙との関連をまとめてしらべてみたそうな。



1987時点で45-64歳で健康な13355人を26年間フォローして病気の発生と喫煙(量、頻度、年数、禁煙歴)との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・この間に末梢動脈疾患492、冠動脈疾患1798、脳卒中1106件がおきた。

・年間喫煙量とこれら3つの疾患には用量関係が確認できた。とくに末梢動脈疾患で関連がつよかった。

・喫煙期間、1日の喫煙量も同様の用量関係がみられた。

・禁煙期間がながいほど3疾患のリスクは低下したが、

・非喫煙者レベルまでリスクが低下するのに要する禁煙期間は、末梢動脈疾患では30年、ついで冠動脈疾患が20年、脳卒中も20年以上を要した。

喫煙の量、期間、頻度すべてが3つの動脈硬化性疾患と用量関係にあり、とくに末梢動脈疾患で関連がつよかった。これらリスクは禁煙したとしても20-30年間は高いままだった、


というおはなし。

図:禁煙年数と脳卒中リスク



感想:

禁煙関連のさいきんの記事。
禁煙は余命を○年のばし 再発を○○年遅らせる

禁煙効果があらわれるまでの年数

禁煙が脳卒中の再発を予防するはほんとう?

2019年7月30日

脳内出血ですぐに血圧を下げる効果


Therapeutic effect of early intensive antihypertensive treatment on rebleeding and perihematomal edema in acute intracerebral hemorrhage
2019  7月  中国

脳内出血の症状悪化の原因は血腫と周辺浮腫の増大にあり、血圧の上昇が関係すると考えられている。

患者の83%が血腫増大を経験するとされ、収縮期血圧が160mmHg以上だとそのリスクがあきらかに高くなるという。

これまで積極的に収縮期血圧をさげることで血腫増大を抑えることができるとする報告はあったが、浮腫についてはよくわかっていなかった。

そこで、発症6時間以内の患者に降圧薬を集中的にあたえて24時間後の浮腫と30日、90日後の回復をくわしくしらべてみたそうな。



脳内出血患者121人を、集中降圧グループと比較グループにわけた。

両グループには降圧薬ウラピジル25mgをゆっくり与え、集中降圧グループにはさらに100mg与えた。
ただし収縮期血圧が135mmHgを下回らないようにした。

CTを、24時間、72時間、7日、14日後に撮り、血腫と浮腫を評価した。



次のことがわかった。

・24時間後の血腫体積はあきらかに集中降圧グループで小さかった。

・72時間後の周辺浮腫体積は比較グループが有意におおきかった。

・30日、90日後の神経症状スコアは集中降圧グループがちいさく、生活自立度は高かった。

・死亡率にあきらかなグループ間の違いはなかった。

脳内出血への早期の集中降圧治療は再出血や浮腫を抑え生活の質を改善した、


というおはなし。

図:血圧測定



感想:

こんなにシンプルで効果があるのなら、
いつも降圧薬を持ち歩いて「漏れたな」とおもったらいつもの4倍くらい飲む。
そんな使い方もありか。

2019年7月29日

せん妄状態だった患者の生存率


The long-term prognosis of patients with delirium in the acute phase of stroke- PRospective Observational POLIsh Study (PROPOLIS)
2019  7月  ポーランド

せん妄(delirium)は脳卒中患者の10-48%に見られるという。

せん妄がその後の回復不良に関連するというデータは数おおくあるものの、長期の予後調査はほとんどなく結論も一致していない。

そこで脳卒中後のせん妄と12ヶ月後の回復状態との関連をくわしくしらべてみたそうな。



ポーランド人の脳卒中患者682人について急性期でのせん妄の有無と、その後の退院先、再発、合併症、運動機能、死亡率について12ヶ月間フォローした。

せん妄の診断はDSM-5にしたがい「昏睡ではないタイプの注意と意識、認知の障害が急に発生して原因にこころあたりがあること」とした。




次のことがわかった。

・せん妄のあった患者はなかった患者よりも他の病院や介護施設へうつることがおおかった。

・3ヶ月、12ヶ月後の死亡率もせん妄患者であきらかに高かった。

・3ヶ月後の死亡リスク要因として、発熱、せん妄、肺炎、が挙げられ、

・12ヶ月後の死亡リスク要因として、せん妄、呼吸器疾患歴が挙げられた。

・身体障害が残る者もせん妄患者におおかった。
脳卒中の急性期でのせん妄は長期の予後にネガティブに影響していた、


というおはなし。

図:脳卒中急性期にせん妄の生存率



感想:

「せん妄」は「意識を失う」よりはマシなイメージがあったけど、逆かもしれんね。
意識がなかったのに元気になるくも膜下患者

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