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2017年10月28日

二重課題と前頭前皮質 脳卒中患者のばあい


Prefrontal cortex activation during a dual task in patients with stroke.
2017  10月  日本

身体運動と認知活動を同時におこなう二重課題では いずれかもしくは両方の課題パフォーマンスが低下する。
脳卒中患者ではこれが転倒の原因になりうる。

二重課題には前頭前皮質がつよく関係していることが報告されているので、脳卒中患者について二重課題中の前頭前皮質の活動と各課題パフォーマンスとの関連についてしらべてみたそうな。


脳卒中患者14人と健常者14人について、二重課題時の前頭前皮質の活動をマルチチャンネルの近赤外線センサーを装着しながら測定した。

歩行課題と連続引き算課題を単一もしくは二重で与えたときの 歩行加速度と引き算精度から各パフォーマンス変化を評価した。


次のようになった。

・二重課題時のパフォーマンス低下度はいずれの課題も脳卒中患者であきらかにおおきかった。

・二重課題時の前頭前皮質の活動も脳卒中患者が弱かった。

・右の前頭前皮質の活動が脳卒中患者の身体活動パフォーマンスに関連するいっぽう、

・左の前頭前皮質は健常者の認知機能パフォーマンスに関連していた。

重課題時に前頭前皮質が優先する課題の種類は脳卒中患者と健常者で異なっていた、


というおはなし。
図:近赤外線スペクトロメータ

感想:

運転しながら音楽聴いたり会話する余裕がでてきたよ さいきん。
二重課題で歩行能力アップ

歩きながら考え事すると脳はどうなるの?

2017年10月27日

血清カリウム値が上がると脳卒中になる


Serum Potassium Is Positively Associated With Stroke and Mortality in the Large, Population-Based Malmö Preventive Project Cohort
2017  10月  スウェーデン

高血圧で血清カリウム値が低いと脳卒中や死亡リスクが上がることがわかっている。

カリウムはくだものや野菜に多く含まれ その摂取量が増えると脳卒中や高血圧のリスクが下がるといわれている。
いっぽうでナトリウムを多く摂るとアルドステロンを介して 摂ったカリウムが排泄されにくくなる。

そこで 血圧の高くない健常者の血清カリウム値と脳卒中リスクとの長期の関連をしらべてみたそうな。


平均年齢44.8、ほとんどが正常血圧の健常者21353人を約27年間フォローした研究(Malmö Preventive Project)のデータを解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に2061件の脳卒中と8709件に死亡があった。

・血清カリウム値が高くなるほど脳卒中と死亡件数が増えた。

・この関連は高齢者と47歳未満の若年者にもみられ、

・さらに血清ナトリウム値の影響をうけ、

・脳梗塞と脳出血、正常血圧と高血圧の両方に確認できた。

中年期に測定した血清カリウム値は脳梗塞や脳出血の発症 死亡と正の相関があった。血清ナトリウムとの電解質バランスと高血圧が関係しているのだろう、


というおはなし。
図:血清カリウム値と脳卒中リスク

感想:

くだものや野菜は推奨するけど 摂りすぎんなよ!ってことなのか?
脳卒中が回復する食塩の条件がわかった!

2017年10月26日

くも膜下出血で消化管出血の頻度


Gastrointestinal Hemorrhage after Spontaneous Subarachnoid Hemorrhage: A Single-Center Cohort Study.
2017  10月   台湾

脳卒中急性期の消化管出血は 頻度はたかくないもののよく知られた合併症の1つである。

とくに脳梗塞後の消化管出血はよくしべられているが くも膜下出血との関連はあきらかでないので、その頻度と影響をしらべてみたそうな。


平均年齢57、特発性のくも膜下出血の男性418人と女性629人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・計30人(2.9%)に消化管出血がみられた。

・消化管出血のリスク要因は肝臓疾患と水頭症だった。

・院内死亡率は消化管出血ありの場合43.3% なしでは29.3%だったが有意な差ではなかった。

くも膜下出血急性期の消化管出血は患者の2.9%におきた。とくに肝臓疾患や水頭症があるとおきやすかった、


というおはなし。
図:くも膜下出血後の消化管出血と生存率

感想:

脳梗塞で消化管出血はもっとすくないんだって。

そういえば胃薬のまされたのをおもいだした

2017年10月25日

感覚刺激で手が動くようになるは本当か?


Somatosensory stimulation to improve hand and upper limb function after stroke-a systematic review with meta-analyses.
2017  10月  オーストラリア

脳卒中になると運動機能の麻痺とともに感覚の麻痺がおきることがおおい。
感覚麻痺を放置すると頭頂葉の対応する脳皮質の範囲がちいさくなってしまう。

感覚刺激によって体性感覚野の機能が維持され運動機能の回復もすすむとする考え方がある。
これまでの研究から体性感覚刺激の上肢運動機能の改善効果をまとめてみたそうな。


関係する論文を検索 厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。
・被験者627人を含む14件の臨床試験がみつかった。

・内訳は、セラピストのタッチによる触覚刺激の研究が3件、

・筋収縮を伴わない微弱電気刺激が7件、

・温熱刺激2件、圧迫刺激2件 だった。

・いずれの研究もエビデンスレベルは低く、

・手や腕の運動機能の改善効果も確認できなかった。

上肢感覚刺激の運動機能改善効果はエビデンスレベルが低く確認できなかった、


というおはなし。
図:触覚刺激で手のリハビリ

感想:

触覚刺激にはいろいろと期待してるんだけど、手が動くようになるわけではないってことなんだな。
[触覚]の関連記事

2017年10月24日

超早期リハビリをやってはいけない理由


Exacerbation of Brain Injury by Post-Stroke Exercise Is Contingent Upon Exercise Initiation Timing.
2017  10月  中国

脳卒中後の身体リハビリは神経の可塑性を刺激して回復をうながす。しかしどのタイミングでリハビリを開始するべきかについてはいまだ答えがでていない。

発症から24時間以内に身体を動かす「超早期リハビリ」の大規模臨床試験AVERTでは、期待に反して患者の状態が悪化してしまうことが明らかになった。

この理由をさぐるべく動物実験をおこなったそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミ230匹について
再灌流後6時間、24時間、3日のタイミングでロータロッド運動を開始させるグループをつくった。

運動のあとの梗塞の大きさ、細胞死、活性酸素、ATPなどを定量したところ、


次のことがわかった。
・6時間後の運動によって梗塞と細胞死がより悪化した。しかし24時間後 3日後の運動ではこの悪化はなかった。

・6時間後の運動による悪化は活性酸素の増加やATPの減少と関連していた。

超早期の運動が脳のダメージをより悪化させていた。背景には活性酸素の生成によるエネルギー代謝不全がありそうである、


というおはなし。
図:超早期リハビリと細胞死

感想:

リハビリを救急医療と勘違いした結果がこれ。
超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

2017年10月23日

メンタルプラクティスとミラーセラピーのちがい


Immediate effect of mental practice with and without mirror therapy on muscle activation in hemiparetic stroke patients.
2017  10月  ブラジル

メンタルプラクティスとミラーセラピーは実際の運動をともなわないという点で共通している。

これらの違いをさぐるべく、筋肉反応を測定してみたそうな。


脳卒中で上肢麻痺の男女4人ずつについて、

a)手首を曲げるイメージを繰り返す。(メンタルプラクティス)
b)麻痺手を隠すようにおいた鏡の前に健常手を置き、鏡に映る手首曲げ動作を麻痺手の動きであると考える。(ミラーセラピー)
c)実際に手首を曲げる。

これら3つの動作時の筋電図をとり比較した結果、


次のようになった。
・実際の動作よりもメンタルプラクティスとミラーセラピー時に筋電活動が大きかった。

・メンタルプラクティスとミラーセラピーで筋電活動の大きさに明らかな差はなかった。

・これらの反応は麻痺手および健常手にも同様に観察できた。

メンタルプラクティスとミラーセラピーで筋電活動にすぐに反応がでた。その反応の大きさに両者の違いはなかった、


というおはなし。
図:メンタルプラクティスとミラーセラピー

感想:

ようするにミラーセラピーはメンタルプラクティスとおなじ。
鏡に映すのはイメージしやすくするための方便であって、ミラーニューロンがどうのこうのはあとづけの理屈にすぎない。

2017年10月22日

親が長命だと生活習慣によらず脳卒中にならない?


Effect of Exceptional Parental Longevity and Lifestyle Factors on Prevalence of Cardiovascular Disease in Offspring.
2017  10月  アメリカ

両親が長命だった者が脳卒中や心血管疾患にかかる率はあきらかに低いことがわかっている。

この関係がまったくの遺伝によるものなのか、それともライフスタイルも影響したものなのか はあきらかになっていないのでしらべてみたそうな。


65-94歳のアシュケナージ系ユダヤ人を対象にして、
すくなくとも両親のいずれかが95歳以上生きた395人と、
両親共に94歳以下までだった450人のグループにわけた。

脳卒中など心血管疾患の有無および社会経済的地位、身体活動、食習慣についてのアンケートをおこない関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・肥満、喫煙、飲酒、身体活動、社会階層、食事内容のいずれもグループ間で差はなかった。

・親が長命だったグループでは高血圧が29%、脳卒中が65%、心血管疾患が35%少なかった。

95歳以上まで長生きした者の子どもはライフスタイルや社会階層、栄養状態によらず脳卒中や心血管疾患が少なかった。彼らの長寿遺伝子が病気予防におおきく影響しているのかも、


というおはなし。
図:長寿

感想:

家系に脳卒中おおいから小学生のころから覚悟はしていたよ。

2017年10月21日

脳卒中後うつ患者の脳内ネットワーク


A Study of the Brain Abnormalities of Post-Stroke Depression in Frontal Lobe Lesion.
2017  10月  中国

脳卒中後のうつ症状は患者の30-60%に見られリハビリの大きなさまたげになる。

そのメカニズムはいまだよくわかっていない。いくつかのネットワーク仮説が提唱されてきたがいずれの研究も病変位置がさまざまな患者をひとまとめにして評価していた。

今回、もっともよくあるタイプの前頭葉脳卒中のうつ患者に限定して、
脳の各部分の体積変化を評価するvoxel-based morphometry (VBM)と
安静時脳機能MRI(rs-fMRI)から脳の部位間の同期的機能結合(FC)を評価する方法を
組み合わせてしらべてみたそうな。


前頭葉に梗塞のある脳卒中患者30人について
うつ程度を評価するテストと
MRIの解剖画像および安静時のBOLD画像を撮影して関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・うつ患者の前頭前皮質と辺縁系、運動皮質の灰白質体積が減少していた。

・前帯状皮質を起点にしたとき、前頭前皮質、帯状皮質、運動皮質との機能結合は低下し、海馬回、海馬傍回、島皮質、扁桃体との機能結合は増加していた。

・病変のある側の脳半球は活動が低下していた。

脳卒中後うつ患者では前頭前野から辺縁系にかけてのネットワークのはたらきが気分に影響していた。さらに運動皮質やデフォルトモードネットワークもまきこんだネットワークも脳卒中後うつに影響していると考えられた、


というおはなし。
図:

感想:

そんなことだろうと思っていたよ。

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2017年10月20日

3年後の手の回復程度


Patient reported outcomes of hand function three years after stroke.
2017  10月  オランダ

脳卒中を発症するとおよそ80%の患者の手の機能に問題が生じる。そして3ヶ月後 20%の患者は程度の差はあっても手の機能になんらかの問題がのこると考えられている。

手の機能評価には多くの側面からのアプローチが必要になる。
こんかい Michigan Hand Outcomes Questionnaire (MHQ)アンケートをもちいて発症後3年ほどの脳卒中患者の「手の回復度」についてしらべてみたそうな。


発症から2-5年(平均36ヶ月)の脳卒中患者576人にMHQアンケート用紙を送った。

MHQは手に関する6つのドメイン(機能、日常生活動作、仕事、疼痛、外見、満足度)からなり各100満点で57の質問がある。


次のようになった。

・36%から回答があり、非回答者との年齢(平均63.8)や性別の差はなかった。

・MHQの総合スコアの中央値は79.9、

・各ドメインのスコアは、機能75.0、日常生活動作90.5、仕事85.0、疼痛100(痛みなし)、外見93.8、満足度83.3 だった。

・もともと重症だった者や小脳 脳幹以外の脳卒中、低教育歴の者でMHQスコアが低かった。

発症からおよそ3年後の脳卒中患者についてMHQアンケートで手の回復度を複数の側面から評価できた。手の見た目の「美しさ」や機能上の「満足度」はおもいのほか重要と考えられた、


というおはなし。
図:脳卒中から3年後の手の回復

感想:

低教育歴でスコアが低いのは、関連情報に乏しくて現状を良しとするべきか判断がつかないからなんだろな。

2017年10月19日

脳の白質病変が小さくなる簡単な方法 RICとは


Remote Ischemic Conditioning May Improve Outcomes of Patients With Cerebral Small-Vessel Disease
2017  10月  中国

ラクナ梗塞、微小脳出血や白質病変は脳小血管障害(cSVD)とも言われ、血管性認知症の主な原因でありアルツハイマー病とも関係すると考えられている。

しかしcSVDの有効な治療法はない。

いっぽうで 遠隔虚血コンディショニング(RIC)はターゲットとなる臓器から離れた組織に虚血再灌流を短時間繰り返すことで保護効果が得られるとする現象である。

最近では脳卒中の再発予防や抗炎症 抗血栓効果、さらには白質病変や脳の灌流状態を改善する効果の報告もある。

そこで遠隔虚血コンディショニングの脳小血管障害と軽度認知障害への効果を実験でたしかめてみたそうな。


cSVDで軽度認知障害の患者30人について、RICグループ14人と偽RICグループ16人にわけた。

RICは両腕に巻いた腕帯を200mmHgの圧力で締めつけ、そして開放する。このサイクルを5分間に5回行い、1日2セット、1年間継続した。

偽RICでは締めつけ圧力を50mmHgにして血流が止まらないようにした。


次のようになった。

・1年後、白質病変体積がRICグループではおおきく減少し(9.1→6.5cc)、偽RICでは有意な差は生じなかった。

・ラクナ梗塞の数は両グループで差はなかった。

・視空間認知と実行能力はRICグループで明らかにすぐれていた。

・RICグループでは中性脂肪、総コレステロール、低密度リポ蛋白、ホモシステインがおおきく減少していた。

・中大脳動脈の脈動性にも差が生じていた。

遠隔虚血コンディショニングには脳小血管障害の白質病変を小さくし、認知能力の衰えを遅らせる効果がありそうだ、


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニング装置

感想:

これは流行る予感。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事

2017年10月18日

脳卒中経験者に運転させていいのか


Investigating cognitive ability and self-reported driving performance of post-stroke adults in a driving simulator.
2017  10月  オーストラリア

脳卒中を経験した元ドライバーが運転を再開する際には医師の許可が必要である。

車の運転は自らの認識能力を自覚して常に行動に修正をかける複雑なメタ認知活動を要する。その能力評価には机上と路上のテストが必要になる。

しかし路上テストは現実的ではないので、運転シミュレータをつかって脳卒中経験者の運転能力を健常者と比較してみたそうな。


元ドライバーの脳卒中経験者で、すでに医師から運転再開許可を得ている40人と同年齢の健常者43人について認知機能テストとドライブシミュレーションをおこなった。


次のことがわかった。
・運転に必要な 心理的、身体的、スピード的かつ 自己を評価する能力は両グループで差がなかった。

・認知能力的に劣る部分はあっても 脳卒中経験者は自己の能力を過大評価しそうにはなかった。

・平均して脳卒中経験者は認知能力の点で自己評価が低い傾向にあった。

脳卒中経験者は自らの欠点を自覚して運転を正そうとしているようにみえた。ドライブシミュレータと認知機能テストの組み合わせは運転能力評価に役立つかも、


というおはなし。
図:脳卒中のドライブシミュレータ

感想:

健康なひとでさえ事故を起こすのに、脳をやられてなお「自分は運転できる」と考えること自体がドライバーとしての適性に欠ける証拠。

ただし じぶんは例外。
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明

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