~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2019年10月4日

BMJ誌:血圧130-140を降圧治療する意義


Benefits and harms of lower blood pressure treatment targets- systematic review and meta-analysis of randomised placebo-controlled trials
2019  9月  スウェーデン

過去数十年間、高血圧の定義は「140/90mmHg以上」だった。

しかし2017にアメリカがガイドラインを改訂して「130/80mmHg以上」とした。
ヨーロッパもこれにならおうとしている。

さらにSPRINT研究では収縮期血圧を120mmHg以下を目標にしたほうがよいとする結論をだした。

これら研究のおおくはランダム化比較試験(RCT)ではあるがダブルブラインドになっていないものがおおくバイアスの懸念がある。

そこで もとの収縮期血圧が130-140mmHgの者への降圧薬治療の効果と安全性について、ダブルブラインドのRCTに限定して選びメタアナリシスをこころみたそうな。



2018までの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者92567人をふくむ18のダブルブラインドのRCTがみつかった。

・総死亡リスク、主要心血管イベントリスクへの効果は確認できず、

・有害事象による服薬中断のリスクが1.23倍になった。

・心筋梗塞や脳卒中への効果も確認できず、

・低血圧関連の有害事象が増えた。

ダブルブラインドRCTのメタアナリシスの結果、もとの収縮期血圧が130-140mmHgの者への降圧薬治療の効果は確認できず、有害事象が増えるのみだった、



というおはなし。

図:血圧測定


感想:

再発予防には低めがいいみたいなんだよ↓。
日本人の再発予防に適した血圧 JAMA Neurol.

NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

2019年10月3日

正中神経電気刺激と脳ネットワーク


Median Nerve Electrical Stimulation-Induced Changes in Effective Connectivity in Patients With Stroke as Assessed With Functional Near-Infrared Spectroscopy
2019  9月  中国

正中神経電気刺激(Median Nerve Electrical Stimulation:MNES)は手首をとおる正中神経を経皮的に電気刺激して感覚システムへの求心性のイップットをもたらす神経調節テクニックである。

MNESが脳卒中の皮質可塑性へもたらすメカニズムについてはわかっていないので、機能的近赤外分光(fNIRS)をつかって脳皮質の各部位が働きかける方向を考慮した 実効的結合(effective connectivity:EC)解析からしらべてみたそうな。



脳卒中で右片麻痺の患者20人について、

安静時と
右手首へのMNES時のfNIRS測定をおこなった。

MNESは右手首内側に電極を貼り50Hzのパルスを 筋肉が収縮しかつ我慢できる最大強度で数十秒おきに10分間しげきした。

fNIRSは左右の、前頭前野(PFC),運動野(MC)、後頭葉(OL)、にセンサーをおいた。



次のようになった。

・安静時にくらべMNES時では左右PFCから左OLへの実効的結合があきらかに増え、

・さらに左MCと左OLから右PFCへのカップリング強度も有意に高くなった。

・左PFCから左右の運動野 後頭野へのカップリングも観察され、MNESが病側の前頭前野からの調節を促していると考えられた。

・非損傷脳からの損傷脳MCへのカップリングが低下していた。

麻痺手へのMNESによる感覚運動刺激が脳皮質の機能再編のきっかけになりうると考えられた、


というおはなし。

図:MNES



感想:

いまいちよくわからないけど、単にビリビリするだけではないなにか特別なことが脳におこっていた、ということなんだな。

低周波治療器の電極をそれらしい位置(上図)に貼ればすぐに実験できる↓。
nature.com:上肢麻痺を改善する電気刺激のやりかた

2時間で指の動きがよくなる電気刺激方法とは

脳の可塑性を促す腕の電気刺激方法

2019年10月2日

オメガ3サプリメントの効果 最新メタアナリシス


Marine Omega-3 Supplementation and Cardiovascular Disease- An Updated Meta-Analysis of 13 Randomized Controlled Trials Involving 127 477 Participants
2019  10月  アメリカ

魚を多く摂ると心臓病リスクが低くなることがわかっているが、魚におおく含まれるオメガ3長鎖脂肪酸であるEPAやDHAのサプリメントと心血管疾患との関連は必ずしもあきらかではない。

これまでの10のランダム化比較試験のメタアナリシスでも効果は確認できなかった。

そこで、さいきん行われた3つの大規模臨床試験を加えて、あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。

2019年10月1日

安静時脳ネットワークにみるイメージ訓練の効果


The reorganization of resting-state brain networks associated with motor imagery training in chronic stroke patients
2019  9月  中国

運動イメージ訓練(motor imagery training:MIT)は脳卒中患者の上肢リハビリで高い成果をあげている。

その効果は脳皮質上の活動変化として いくつものタスクベースのfMRI研究で確認されている。

いっぽう安静時fMRIをつかった研究はまだ1件しかない。

そこでMITの脳卒中リハビリへの効果が安静時fMRIのネットワーク解析結果にどう反映されるものか、実験してみたそうな。



慢性期の脳卒中で片麻痺の34人を、
通常リハビリ
通常リハビリ+MIT
の2グループにわけた。

MITはリラックスした状態の1人称視点で手の動作を思い描く。これを1日30分間x4週間おこなった。

この前後での安静時fMRIを測定し、上肢の機能回復度(FM-UL)との関連を解析したところ、



次のようになった。
・MITグループでFM-ULスコアがよりおおきく改善した。

・両グループともに半球間結合が高まり、損傷脳半球内での一次運動野(M1)間の結合が低下した。

・しかしMITグループでは、損傷脳半球内のM1と中心前回および中心後回 中部帯状回 縁上回の結合がたかまった。いっぽう通常リハビリグループではこれらの結合は低下していた。

・脳ネットワークのクラスター係数はMITグループでのみあきらかに上昇していて、これはFM-ULスコアと正の相関があった。

運動イメージ訓練は脳内ネットワークの再編をとおして運動機能の回復にむすびついていると考えられる、


というおはなし。

図:MITの上肢機能とクラスタリング係数



感想:

安静時fMRIだから手をうごかせない患者でもMITリハビリの進展をモニターできるな。
運動イメージ中の脳ネットワーク結合を調べた結果、、

2019年9月30日

軽いしびれやめまいがガチ脳梗塞の率 JAMA Neurol.


Rate and Prognosis of Brain Ischemia in Patients With Lower-Risk Transient or Persistent Minor Neurologic Events
2019  9月  カナダ

一過性脳虚血発作(TIA)の10-17%は90日以内に脳卒中をおこすという。

彼らのおよそ半数は運動や言語症状のない 軽いしびれやめまい ふらつきなどの症状が5分以下しか続かないケースであり、くわしい検査もなしに脳虚血ではない単なる類似症状とみなされることもすくなくない。

こういったばあいに本当に脳虚血が起きているケースがどのくらいの頻度であるものか、MRIの拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging:DWI)でくわしくしらべてみたそうな。



複数国の病院施設での、5分以下しか続かない軽いしびれやめまい症状から8日以内の患者1028人について、追加でMRIのDWIを撮り急性梗塞の有無を判定したところ、



次のことがわかった。

・135人(13.5%)がDWIポジティブで急性脳卒中と診断された。

・最終的に、脳卒中の取り消しも含め 308人(30.0%)の診断が覆った。

・これらローリスク患者の1年後再発率は0.7%で非常に低かった。

軽いしびれやめまいの一過性の患者をMRIで精査したところ、13.5%がほんとうの脳梗塞だった。MRI検査は欠かせない、


というおはなし。

図:MRI検査



感想:

お医者さんもめんどくさいからCTをサッと撮って「異常ありませんね」と家に帰す。

だから「MRIでディフュージョン撮ってください!」と言ってみよう。

2019年9月29日

脳動脈瘤があるなら腹部大動脈瘤にも注意!


Prevalence of Previously Undiagnosed Abdominal Aortic Aneurysms in Patients with Intracranial Aneurysms- From the Brain and Aortic Aneurysms Study (BAAS)
2019  9月  アメリカ

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の死亡率は26-36%で、腹部大動脈瘤のそれは36-58%という。

ゲノムワイド関連解析によると脳動脈瘤と腹部大動脈瘤には共通の遺伝子が関係していることがわかった。

未破裂の腹部大動脈瘤は破裂予防手術ができることから、くも膜下出血患者には腹部大動脈瘤のスクリーニング検査を受けさせるべきとする考え方がある。

じっさい脳動脈瘤と腹部大動脈瘤が一緒のケースがどのくらいの頻度でありうるのか、くわしくしらべてみたそうな。

2019年9月28日

Stroke誌:復職できる歩行スピード


Return to Employment After Stroke in Young Adults
How Important Is the Speed and Energy Cost of Walking?
2019  9月  イギリス

65歳以下の脳卒中経験者の25-44%は復職できていないという。

その原因はおもに歩行能力の問題と考えられるが 「若年」脳卒中経験者の歩行能力と復職との関係についての調査はおおくないのでくわしくしらべてみたそうな。



18-65歳 発症から3年以内で 3分間以上連続自立歩行のできる脳卒中経験者46人と、年齢の近い健常者15人について、

歩行パラメータの3D解析と歩行中の酸素消費量測定を行い
復職状況との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・脳卒中経験者の歩行は健常者にくらべ著しく遅く、代謝が非効率だった。

・23%のみが復職できていた。

・数ある歩行パラメータのうち、「歩行スピード」が復職のもっとも強い予測因子で、

・ROCカーブ解析では歩行スピードが0.93m/s以上あるとあきらかに復職しやすかった。

若年脳卒中経験者の歩行はとても遅く非効率だった。歩行スピードは復職の予測因子で 0.93m/s以上が望ましいと考えられた、


というおはなし。

図:歩行



感想:

ようするに普通の人なみに歩ければOKってことで、感心するよな情報ではなかった。

2019年9月27日

自己犠牲マインドは脳卒中のもと?


Self-silencing may lead to increased risk of stroke - EurekAlert! Science News
2019  9月  アメリカ

じぶんの本当の気持ちを表現することはメンタル的にも身体的にもよいと考えられる。

他者との衝突や関係を失うことを恐れて 自分の気持ちを抑え他人の欲求を優先させる 自己犠牲傾向(Self-silencing)が頸動脈プラークを増大させて脳卒中の原因になりうる、という仮説を検証してみたそうな。

今週開催中の北米閉経学会(NAMS)での発表。

2019年9月26日

地球磁場の乱れと脳卒中死の関係


Geomagnetic disturbances driven by solar activity enhance total and cardiovascular mortality risk in 263 U.S. cities
2019  9月  アメリカ

地球の磁場は太陽黒点(sunspot)活動の11年周期に影響されて地磁気擾(じょう)乱(geomagnetic disturbances:GMD)を引き起こす。

GMDは生物の自律神経系に影響するとされ心拍変動や概日リズム 血圧 との関連も報告されている。

いっぽうGMDが強いほど心房細動が起きにくく脳卒中が少なくなるという報告もある。

そこでGMDと脳卒中など心血管疾患での死亡者数との関連を大規模にしらべてみたそうな。

2019年9月25日

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワーク


Altered Functional Connectivity within Default Mode Network in Patients with Transient Ischemic Attack- A Resting-State Functional Magnetic Resonance Imaging Study
2019  9月  中国

一過性脳虚血発作(TIA)では神経症状は24時間以内に解消し梗塞も残らない。

しかし認知障害や脳卒中を起こしやすくなることから脳の異常性をあきらかにすることは重要である。

さいきん安静時脳機能MRI(Rs-fMRI)によりデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の存在を確認できるようになった。

これまでの報告からDMNは認知機能に関連するとされ、脳卒中患者ではDMN内の一部の機能結合性の低下が指摘されている。

TIA患者でのDMNについてはわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



TIA患者48人と年齢の一致する健常者41人について、
Rs-fMRIを実行し、DMNにについてシードベースの機能結合性評価をおこなった。



次のことがわかった。
・左の中側頭回(MTG) 角回(AG)と 内側前頭前皮質(mPFC)および後帯状皮質(PCC) 楔前部(Pcu)との機能結合性が健常者にくらべあきらかに低下していて、

・さらにmPFCと右Pcu,左PCC,左AG, および右Pcuと左PCCの結合性の低下も見られた。

・1年後までに次の虚血イベントを経験した患者では、mPFCと左PCCとの結合性が有意に低下していた。

・臨床症状、生理学的、生化学的マーカーと機能結合性との関連は確認できなかった。

TIA患者のデフォルト・モード・ネットワークには結合性の異常な箇所がいくつか見られた。そのうち内側前頭前皮質と左の後帯状皮質との結合性低下は虚血イベントの再発と関係がありそうだった、




というおはなし。

図:デフォルト・モード・ネットワーク


感想:

上の図がデフォルト・モード・ネットワークの要所。脳が安静状態のとき、これらの活動が数十秒周期で同期するんだって。
安静時fMRIでみたTIA脳の異常

nature.com:急性期の脳機能結合と予後

感覚障害の機能的ネットワーク結合

脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク

心房細動患者のデフォルトモードネットワークに異常

脳卒中後うつ患者の脳内ネットワーク

脳卒中後うつのfALFF解析

脳卒中後のうつ不安とデフォルトモードネットワーク

メンタルプラクティス+理学療法の効果を脳のネットワーク的に見ると、、

脳卒中患者のデフォルト・モード・ネットワークは…

2019年9月24日

Stroke誌:身体的健康感をきめる要因


Neighborhood Socioeconomic Status and Trajectories of Physical Health-Related Quality of Life Among Stroke Survivors
2019  9月  アメリカ

身体的健康感(Physical Health-Related Quality of Life:PH-QOL)の20%は医療サービスからきていて、あとの80%は社会、経済、環境、行動的要因に影響されると考えられている。

とくに脳卒中のばあい 身体的健康感がどういった要因に影響されるものか、その経時的な変化をふくめてくわしくしらべてみたそうな。



45歳以上のアメリカの脳卒中患者284人について、
身体的健康感を測定するアンケートSF-12を3年間フォローした。

被験者の住居を含む国勢統計区ごとの社会経済レベルをふくめて関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・身体的健康感は全体を平均すると時間変化はなかった。

・しかし女性や若年者に限定すると、男性や高齢者よりも身体的健康感は向上してゆく傾向にあった。

・社会経済状況の高い地域の住人は すべての時点において身体的健康感がすぐれていた。

脳卒中患者の身体的健康感は社会経済環境や性別、年齢と関連していた、


というおはなし。

図:脳卒中の身体的健康感と性別



感想:

上のグラフみると男性は最初だけイキってQOLが高いけど どんどん降下して逆転される。女性のQOLが低いといわれる理由がわかった気がする。
Stroke誌:女性のQoLが低い理由

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *