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2025年9月22日

脳卒中歩行リハにロボット導入、実は有効でない“張りぼて戦略”

2025  9月  インド


ロボット支援歩行訓練(Robot-Assisted Gait Training, RAGT)は、脳卒中後のリハビリで「最新のテクノロジー」として期待されてきた。

しかし、これまでの臨床試験や総合的な研究レビューの結果は一貫しておらず、本当に役立っているのかどうかには疑問が残っている。

特に、従来から行われてきた「課題指向型歩行訓練(Task-Oriented Gait Training, TOGT)」に比べてどれだけ追加の効果があるのかがはっきりしていない。そこで、RAGTのエビデンスをあらためて批判的に検討し、その臨床的な価値を見直してみたそうな。

2025年6月29日

繰り返すだけでは治らない? リハビリ王道の“信頼性”に疑義

2025  6月  ナイジェリア


脳卒中後のリハビリテーションにおいて、課題指向訓練(Task-Specific Training: TST)は、日常生活に直結する運動機能の回復に有効とされてきた。従来から訓練の"強度"(回数・頻度・セッション数・反復数)を増やすことが推奨されてきた。

しかし、実際には「どのくらいの強度が適切か?」「本当に量が効果に比例するのか?」という点について、質の高いエビデンスは乏しかった。

そこで、課題指向訓練の強度と、上肢・下肢の機能、バランス、生活の質(QOL)などの回復効果との関係をくわしくしらべてみたそうな。

2025年1月27日

効果なし!?強化学習型リハビリが亜急性期で苦戦する理由

2025  1月  スイス


脳卒中からの回復には、リハビリテーションが非常に重要である。しかし、リハビリの効果を最大限に引き出すためには、どのような学習メカニズムが働いているのかを理解することが鍵となる。

そこで、脳卒中後の亜急性期における学習能力を「強化学習」と「エラー修正学習」の2つに分けてくわしく比較してみたそうな。

2024年10月15日

30時間のリハビリが奇跡を生む!脳卒中後の上肢回復に必要な条件とは?

2024  8月  イタリア


脳卒中後のリハビリテーションにおいて、上肢(腕や手)の回復は多くの患者にとって大きな課題である。

これまで、リハビリに反応しやすい要因はある程度知られていたが、具体的にどのような臨床的特徴がリハビリの効果を予測するかについては十分に解明されていなかった。

そこで、どの要因がリハビリに対する患者(Responders)を見極める手がかりになるか、さらに、リハビリの方法や時間が回復にどのように影響するかをメタアナリシスでしらべてみたそうな。

2024年3月2日

脳卒中リハビリの新希望: 30時間以上の反復訓練がもたらす驚きの改善効果

2024  3月  アメリカ


運動リハビリテーションの「用量反応」は数十年間にわたり研究の優先課題であり、いくつかの大規模無作為化試験やメタアナリシスがこころみられてきた。

これらの研究から、運動訓練の継続時間とリハビリテーション効果との間には明確な線引きができないことが示された。

通常、訓練効果の確認にはおおくの反復回数と時間のかかる臨床評価に依存していたため、個人の用量反応を把握することは不可能であった。

そこで、ビデオゲームリハビリテーションの多施設共同試験VIGoROUS(Video Game Rehabilitation for Outpatient Stroke)から得られた3次元の上肢動作データの解析により、
各参加者の4種類の上肢動作について、運動学的用量反応をくわしくしらべてみたそうな。

2023年11月4日

脳卒中回復への一筋の光:理学療法の効果に迫る

2023  10月  フランス


脳卒中生存者は運動不足であることが多い。

しかし、脳卒中生存者の身体活動レベルに対する積極的理学療法の有効性に関するエビデンスは乏しいので、これまでの研究のシステマチックレビューおよびメタアナリシスをこころみたそうな。

2023年1月22日

ボバースセラピーは麻痺上肢に効果あるの?

2022  12月  オーストラリア


1950年代に開発されたボバースセラピーは長年、脳卒中リハビリテーションの主流であった。

特殊な手技によって自発的な動きが促進されるとし、セラピストによる姿勢と体幹にフォーカスした感覚入力が重視されている。

ボバースセラピーによる麻痺上肢の改善効果は、いくつかのメタアナリシスで評価が低いので、

他のリハビリ法と介入用量(時間)をマッチさせた比較をするべく、あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。

2022年4月28日

ボツリヌス注射+集中リハビリの長期結果

2022  4月  オーストラリア


ボツリヌス毒素の注射は痙縮を軽減する効果が示されているが、注射だけでは日常生活動作の改善にはつながらないことがメタアナリシスであきらかになっている。

そして、注射後にリハビリ介入した場合の改善可能性を検証するランダム化比較試験 InTENSEフェイズ3の長期結果がでたそうな。

2021年10月28日

コクラン:脳卒中リハビリに時間をかける効果

2021  10月  イギリス


脳卒中は身体障害の主な原因であり、多額の経済コストを生じ生活の質の低下をもたらす。

リハビリテーションが機能回復を促して、生活や社会参加を改善することで障害の影響を小さくできると考えられている。

リハビリが転帰に影響する因子には、費やした時間、頻度、期間、などがある。

これらについておおくの研究があるものの、一致した見解は得られていない。

そこで、リハビリの時間、頻度、期間について、いままでの研究のレビューをこころみたそうな。

2021年9月27日

脳卒中リハビリに最適な時期があきらかに

2021  9月  アメリカ


動物実験では、脳卒中後に運動トレーニングの効果がでやすい特定の時期があることがわかっている。

このようなリハビリテーションに対して敏感な時期が、人間についても存在しうるものか よくわかっていないので ランダム化比較試験(CPASS)をやってみたそうな。

2021年4月20日

Neurology誌:上肢リハビリには認知機能が影響する

2021  4月  アメリカ


脳卒中からの運動能力の回復には認知機能がおおきく影響する可能性がある。

これを確かめるために、認知的要求度のことなる2つの運動課題をおこない、
それらパフォーマンスと認知障害や脳の損傷部位との関連をくわしくしらべてみたそうな。

2020年4月18日

コロナ時代のリハビリ戦略 "Take Charge"とは


Taking Charge after Stroke- A randomized controlled trial of a person-centered, self-directed rehabilitation intervention
2020  4月  ニュージーランド

脳卒中リハビリテーションでは 現在おもに特定課題について訓練を繰り返す方式がとられている。しかし大規模なランダム化比較試験では患者の自立やQoLを高めるとするエビデンスは得られておらず、別の効果的な方法が求められている。

"Take Charge"(自分で責任をもつ)リハビリは、自己決定理論(Self Determination Theory)にもとづき 退院後の脳卒中患者が自らの管理のもとにリハビリをすすめる方法である。

すでに Maori and Pacific Stroke Study (MaPSS)では統計学的に高い有意性をもった結果が得られている。

そこで、非Maori、非Pacific を対象とした、 Take Charge のより規模のおおきい介入実験(Taking Charge after Stroke :TaCAS)をこころみたそうな。

2020年3月23日

理学療法を長く続けるべきか?


Continual Long-Term Physiotherapy After Stroke- A Health Technology Assessment
2020  3月  カナダ

脳卒中患者を対象とした長期の理学療法の有効性、安全性、費用対効果、公的予算への影響、患者の評価などについてしらべてみたそうな。

2019年10月16日

BMJ誌:療法士に聞く 上肢リハビリの現場状況


Current therapy for the upper limb after stroke- a cross-sectional survey of UK therapists
2019  9月  イギリス

脳卒中患者の2/3は自立歩行ができるようになるいっぽう、上肢機能を取り戻すことができるのは半数に満たないという。

上肢機能のリハビリ方法はいまだ確立しておらず、2006→2016年に「脳卒中」AND「上肢」に関する論文の数は PubMed検索で354→943に急増している。

そこで、現場の療法士により行われている上肢リハビリの種類と頻度、時間について広くしらべてみたそうな。

2019年5月27日

【結論】片手訓練と両手訓練


Comparison of bilateral and unilateral upper limb training in people with stroke- A systematic review and meta-analysis
2019  5月  中国

脳卒中の上肢麻痺のリハビリテーション方法として片手訓練(unilateral upper limb training)と両手訓練(bilateral upper limb training)がある。

片手訓練は麻痺側の手の課題指向型訓練が相当し、それをさらに集中的におこなうCI療法を含む。

いっぽう両手訓練は健常手とのカップリング効果を期待して麻痺手の改善をはかる方法である。

これまで片手訓練と両手訓練の効果をくらべたメタアナリシスがいくつかなされたが そのいずれもが片手訓練にCI療法を含んでいた。

CI療法は訓練量のおおさとスケジュールの緻密さにより患者の68%が訓練を完遂できず、恩恵をうけるのはわずか20-25%のみという。

さらにその適応基準は非常にきびしく、患者は手首を10度以上伸ばせて親指と他の指が開くことを事前要求される。

結果的にCI療法は軽度の麻痺患者のみが対象になってしまうことから、これをメタアナリシスに含むことはまったく適切ではないと考えられる。

そこでCI療法を除いて、片手訓練と両手訓練についてメタアナリシスをやりなおしてみたそうな。



CI療法をふくまない片手訓練および両手訓練のこれまでの研究を厳選し、データを統合 再解析して、

評価基準
Fugl-Meyer Assessment of Upper Extremity (FMA-UE),
Wolf Motor Function Test (WMFT),
Action Research Arm Test (ARAT)
Box and Block Test (BBT)

について効果を比較したところ、



次のようになった。

・被験者842人を含む21のランダム化比較試験がみつかった。

・片手訓練にくらべて両手訓練はFMA-UEスコアがあきらかに優れていた。

・しかしWMFTの完遂率および WMFT,ARAT,BBTの機能パフォーマンスの点では有意な差は確認できなかった。

両手訓練は運動機能FMA-UEの改善にあきらかに優れていた。しかし巧緻性をしめすWMFT,ARAT,BBTの点で片手訓練と有意な差はなかった、



というおはなし。
図:片手訓練と両手訓練のメタアナリシス



感想:

「CI療法は はじめからなかったことにしましょう」←著者が言いたいこと。

2019年5月24日

ランセット誌:ロボット上肢リハビリ まったく効果ない


Robot assisted training for the upper limb after stroke (RATULS): a multicentre randomised controlled trial
2019  5月  イギリス

ロボット支援の上肢トレーニングは麻痺が比較的重い患者であっても多くの繰り返し動作をおこなうことができるため期待されている。

しかしこれまでの研究のおおくは手法や訓練量、評価方法に偏りがつよくいっちした見解がえられていない。

そこでマルチセンターの大規模ランダム化比較試験(RATULSトライアル)をやってみたそうな。



脳卒中から5年以内で中レベル以上の上肢麻痺の患者770人について、
つぎの3グループにわけた。

ロボット支援(RT:robot-assisted training MIT-Manus robotic gym)
上肢集中訓練(EULT:enhanced upper limb therapy)
通常ケア(UC:usual care)

各訓練は、45分間x週3回x12週間 おこない、

ARATスコアで改善度を評価した。



次のようになった。

・ARATスコアであきらかな改善をしめした患者の割合は、RT44%、EULT50%、UC42%だった。

・通常ケアUCにくらべロボット支援RTと上肢集中訓練EULTはすぐれているとは言えず、

・RTとEULTにあきらかな効果の違いはみられなかった。

・深刻な有害事象は、RT15%、EULT13%、であり、UC8%よりもおおかった。

中レベル以上に重い上肢麻痺の脳卒中患者へのロボット支援リハビリテーションは通常ケアをうわまわる効果はなかった。日常のリハビリテーションに取り入れるべき根拠はまったくないと考えられる、


というおはなし。

図:脳卒中のロボット上肢リハ



感想:

繰り返し訓練自体に効果がないのだからロボットつかったところで改善しないのは自明。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

コクランレビュー:反復課題訓練 エビデンスない

訓練繰り返すほど良くなると思ってたら そうでもなかった

JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

2019年4月30日

ボバースコンセプトのリハビリ効果


Effectiveness of the Bobath concept in the treatment of stroke- a systematic review
2019  4月  スペイン

ボバースコンセプトは1940年代に登場し、中枢神経系や感覚運動制御と筋肉構造の3つの可塑的変化をうながす神経発達学的治療法とされている。

ボバースコンセプトは脳卒中リハビリテーションでもっともおおく採用されてきたアプローチのひとつではあるものの、これまでのシステマティックレビューでは目立った成果は確認されていない。

最新のシステマティックレビューは10年前のものなので、こんかいあらためてレビューしてみたそうな。



2018年1月までの関連論文を複数のレビュワーが厳選し、そのエビデンスレベルをPDroスケールで評価したところ、



次のことがわかった。

・15の臨床試験がみつかった。

・ボバースコンセプトは他のアプローチにくらべ、下肢の運動機能、バランス、日常生活動作 の点でなんら優れた点はなかった。

・上肢について CI療法よりはやや効果的だった。

ボバースコンセプトの脳卒中リハビリテーションは下肢で優れた点はなく、上肢でやや効果がある程度だった、


というおはなし。

図:ボバースコンセプト研究


感想:

CI療法はいまやこの状況↓なのでボバースも推して知るべし。
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

治療法に人のなまえがついたままであることそれ自体が、手法の一般化ができずに限られた信者だけのものになっているあかしと考える。

2019年2月1日

がんばって手脚を動かしても効果がない理由


Frequency-specific functional connectivity related to the rehabilitation task of stroke patients
2019  1月  中国

脳卒中の片麻痺からの回復のためには手脚をうごかす訓練をおこなうことがもっとも効果的であると信じられている。

訓練と脳の可塑性により脳機能ネットワークが再編される。このとき脳皮質の各領域間で機能的に同期した低周期の活動パターンが観測できる。この同期の程度をもって「機能結合性」とし回復度が反映されると考えることができる。

そこで、リハビリ訓練がダイレクトに機能結合性に反映されるものか、MRIよりも周波数分解能の高い近赤外線センサーでくわしくしらべてみたそうな。

2018年12月12日

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは


A systematic review of physical rehabilitation interventions for stroke in low and lower-middle income countries
2018  12月  アイルランド

脳卒中による障害や早死による世界全体の人的損失年数の78%は中低所得国で発生しているという。

これらの国々では脳卒中リハビリにあてられるあらゆるリソースが限定的であり高所得国の真似をすることができない。

そこで中低所得国で効果的とされる脳卒中の身体リハビリテーションの種類についてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


中低所得国の成人脳卒中患者を対象とした身体リハビリテーションに関係する質の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2115人を含む62の研究がみつかった。大半はインドのものだった。

・内訳は、上肢関連が26件、下肢22件、その他14件だった。

・研究の質的には、強7件、中16件、弱39件と分類でき、

・全体として身体リハビリテーションにより患者の回復が促された。

・特にエビデンスレベルが高かったものは、CI療法とミラーセラピーによる上肢リハビリおよび、

・運動イメージ訓練による歩行リハビリだった。

・次いで、立ち上がり訓練(sit-to-stand training)でのバランス改善効果だった。

中低所得国の脳卒中リハビリ研究の結果、ミラーや運動イメージによる脳内トレーニングおよび上下肢の繰り返し運動が効果的でかつ低コスト シンプルな方法として評価されていた、


というおはなし。

図:中低所得国の脳卒中リハビリ


感想:

むしろこういう環境でこそ真の実力が試される。

CI療法(=課題指向型訓練)はナンセンスであることが最近あきらかになったので除外するとして、

ミラーセラピーの発案者はインド人だから一番人気は納得。

そして安定のメンタルプラクティス(運動イメージ訓練)か。

2018年12月11日

メンタルプラクティスの上肢リハビリ効果


Mental practice for upper limb motor restoration after stroke- an updated meta-analysis of randomized controlled trials
2018  12月  中国

脳卒中上肢麻痺のリハビリにはいくつもの方法がある。
しかしこれまでもっとも頼りにされてきた特定動作の繰り返し(課題指向型訓練)には効果がないことが最近わかってきた。

メンタルプラクティスは実際の動作を行う必要がないことから重症患者にも適用でき、安全かつ簡単で退院後も続けることのできるリハビリ方法として期待されている。

過去のメタアナリシスでは評価方法のばらつきがおおきくその効果をあきらかにできていなかった。

そこで最新の研究をふくめてメンタルプラクティスのメタアナリシスを再度こころみたそうな。


メンタルプラクティスによる脳卒中上肢リハビリの論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者268人を含む12の研究がみつかった。

・Egger's testでは出版バイアスは見られなかった。

・メンタルプラクティスにより上肢運動機能FMAスコアがあきらかに向上していた。

・同様に上肢機能ARATスコアもおおきな改善をしめした。

・これらの関連は任意の研究データを除外しても影響を受けず保たれていた。

メンタルプラクティスは脳卒中上肢麻痺のリハビリに有効である。ぜひ推奨したい、


というおはなし。

図:

感想:

メンタルプラクティスと運動イメージ訓練(motor imagery)は同じ。これに場の雰囲気やじぶんの気持ちを加えた脳内リハーサルを総称して「イメージトレーニング」とよぶ。


これまでも上肢リハビリがいろいろあるなかで唯一まともそうなのがメンタルプラクティスだった。↓
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

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