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2017年4月22日

緑茶が脳卒中の記憶障害を防ぐ


Short-term green tea supplementation prevents recognition memory deficits and ameliorates hippocampal oxidative stress induced by different stroke models in rats.
2017  4月  ブラジル

緑茶はおおくの健康効果が報告されており、神経保護作用もあることがわかっている。

そこで、緑茶が脳卒中後の記憶障害の改善に役立つものか実験してみたそうな。


人為的に脳虚血または脳内出血にしたネズミを使った。

脳卒中の10日まえから緑茶を400mg/day(人では400ml相当)を与えた。

脳卒中のあと6日間 さらに緑茶をあたえた。

短長期記憶と海馬での酸化ストレスを調べたところ、


次のようになった。

・脳卒中にしたネズミでいずれも記憶障害がみられたが、

・緑茶を与えたグループでは記憶障害が小さかった。

・脳内出血で海馬に生じた過酸化脂質が緑茶グループでは少なかった。

・脳虚血で低下した海馬の抗酸化力が緑茶グループでは回復していた。

脳卒中になる少しまえから与えた緑茶が 記憶障害から護る効果を示し海馬での酸化ストレスをバランスしているようにみえた、


というおはなし。
図:緑茶の脳卒中の記憶障害 改善効果

感想:

脳卒中への[緑茶]の効果はもっと注目されるべきだね。

2023年10月3日

6ヵ月後の脳卒中:言語と記憶がカギ

2023  9月  イギリス


脳卒中後の認知機能スクリーニングは広く推奨されているが、急性期の領域特異的機能が長期的な認知予後に及ぼす影響については研究がほとんどない。

脳卒中後にどのような認知機能障害がより一般的に生じ、回復し、持続するのか、

また、どのような機能障害が予後的価値を持つのかを明らかにするべく、くわしくしらべてみたそうな。

2025年4月10日

従来法では見逃し続けていた!半側空間無視の実態が明らかに

2025  4月  スイス


半側空間無視は、脳卒中後の重大な認知障害の一つであるが、その発症率は報告によってばらつきが大きく、実態が把握されていない。

従来の診断法は紙と鉛筆を用いた簡易的なものであり、言語障害や運動障害を伴う患者は評価から除外されやすかった。そこで、視線追跡技術(ビデオオクログラフィー)を用いた高感度評価法により、実際の発症率をより正確かつくわしくしらべてみたそうな。。

2025年12月29日

脳卒中後の物忘れは回路の病気だった 運動でよみがえるシータ同期のコツ

2025  12月  アメリカ


心停止後や脳卒中後には、運動麻痺だけでなく記憶障害や注意障害といった高次脳機能障害が長く残ることが多い。しかし、これらの障害が「どの神経回路の破綻によって起き、どの介入で回復するのか」は十分に分かっていない。

これまでの研究では、運動が脳損傷後の認知機能を改善する可能性が示されてきたが、その効果が「海馬ニューロンが助かるから」なのか、「回路の働きが立て直されるから」なのかは不明であった。

そこで、記憶に必須な中隔‐海馬回路とθ(シータ)振動に注目し、運動がどのように認知機能回復をもたらすのかをくわしくしらべてみたそうな。

2018年6月24日

クリッピング手術後の認知障害


Study of Cognitive Impairments Following Clipping of Ruptured Anterior Circulation Aneurysms
2018  6月  インド

これまで破裂脳動脈瘤のクリッピング手術後の認知障害は過小評価されてきた。

そこで どれくらいの患者がこの問題を抱えているのかしらべてみたそうな。


前方循環系の脳動脈瘤破裂でクリッピング手術をうけた患者87人について、
退院後3ヶ月時点での認知機能(記憶、言語流暢性)を評価した。


次のことがわかった。

・特定の文字で始まる単語をできるだけおおく書き出す「音素流暢性」が66%の患者で低下していて、

・56%は記憶関連の障害がおきていた。

・近接記憶の重度障害が7%で、遠隔記憶の重度障害が14%でおきていた。

・前大脳動脈の動脈瘤手術の場合に近接記憶、遠隔記憶へ影響を受ける患者がもっともおおかった。

・どうように前大脳動脈の動脈瘤手術では音素流暢性にあきらかな障害がおきていた。

前方循環系の破裂脳動脈瘤のクリッピング手術のあとの認知障害はめずらしくなかった。とくに前大脳動脈の手術で記憶 言語流暢性の障害がおおきかった、


というおはなし。

図:Anterior Circulation Aneurysms

感想:

さすがは21世紀をリードする超大国 インドの人は目のつけどころがちがう。

2021年4月6日

ラクナ梗塞後の記憶障害は再発のきざし

2021  3月  アメリカ


脳卒中後に認知障害をしめす患者は、再発や死亡のリスクが高いと考えられる。

しかしラクナ梗塞後の認知障害と再発 死亡リスクとの関連についてはよくわかっていないので、くわしくしらべてみたそうな。

2024年3月25日

高齢者の認知の謎を解明:ラクナ梗塞の位置が明かす重大な影響

2024  3月  中国


ラクナ梗塞は認知障害と関連している。

そこで、高齢者における軽度認知障害(MCI)とその種類別の重要な梗塞位置を特定し、さらに白質高信号域と血管周囲腔の役割もくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月6日

手は動くのに、使えない――脳卒中リハビリの盲点とは?

2025  8月  スイス


脳卒中後の上肢機能障害は極めて高頻度に見られるため、リハビリテーション領域では上肢の運動機能を評価する指標としてFugl-Meyer Assessment(FMA-UE)が広く用いられてきた。

しかし近年、FMAにおいて高得点を示すにもかかわらず、実生活上では上肢をほとんど使用していない患者が一定数存在することが報告されている。

このような「運動機能は温存されているのに、パフォーマンスが伴わない」という乖離現象が、急性期から存在するのか、そしてその背景に何があるのかは十分に解明されていない。

そこで、この現象の原因として認知機能障害(特に空間無視、遂行機能障、失行)が関与している可能性に着目し、急性期脳卒中患者を対象にくわしくしらべてみたそうな。

2014年11月14日

高気圧酸素治療は慢性期脳卒中の記憶障害に効くのか?


Improvement of Memory Impairments in Poststroke Patients by Hyperbaric Oxygen Therapy.
2014  11月  イスラエル

高気圧酸素治療が脳損傷患者の認知、運動機能の回復に効くという報告がある。

脳卒中患者の記憶障害にはどうなのか、調べてみたそうな。


平均年齢60、91人の慢性期脳卒中患者について2気圧100%酸素の高気圧酸素治療を1回90分間x週5回、計40-60回行った。

その前後で記憶力テストを行った。脳の代謝状態をSPECTで確認した。


次のようになった。

・治療後の記憶機能がすべての側面で統計学的有意に著しい改善を示した。

・主に側頭葉での代謝改善度と記憶機能改善度に関連がみられた。


脳卒中患者が慢性期になってなお記憶障害を改善できる可能性を 高気圧酸素治療が示した、


というおはなし。



感想:

スーパー銭湯の減圧室やオゾン療法の類かと思ってたけど、保険適用になるんだな。
高気圧酸素治療に健康保険が適用される主な疾患

2025年8月21日

脳卒中リハビリにおける音楽療法とバイノウラルビート

はじめに

脳卒中は運動機能や認知機能の障害に加え、情動面(うつや不安)や睡眠障害など様々な問題を引き起こします。近年、音楽療法がこうした脳卒中後のリハビリに有益であることが報告されており、飲み込み障害や失語症の改善、認知・運動機能の向上、気分の改善、神経学的回復の促進につながるとされています。音楽は脳の情動・認知・記憶・運動に関わる領域を広範囲に活性化しうるため、リハビリ治療への応用が期待されています。

本稿では、バイノウラルビート(binaural beats)を用いた音楽療法に注目し、その脳卒中後リハビリへの活用可能性を医学論文に基づき検討します。バイノウラルビートは左右の耳にわずかに異なる周波数の音を聞かせることで脳内に特定周波数の拍動音を知覚させ、脳波を誘導・同期させる方法です。この手法は聴覚的ニューロモジュレーション(音刺激による神経調整)の一種で、非侵襲かつ簡便に脳活動へ影響を及ぼせる点が注目されています。以下、バイノウラルビートが脳卒中患者の認知機能、運動機能、神経可塑性(脳の柔軟な適応能力)、睡眠、情動調整に与える可能性について、関連研究や音楽療法全般の知見も踏まえて整理します。

バイノウラルビート


音楽療法が脳卒中リハビリに与える効果

まず一般的な音楽療法の効果を概観します。音楽療法は単なる鑑賞から楽器演奏、歌唱、リズム運動まで多岐にわたり、脳のマルチモーダルなネットワークを刺激します。例えば音楽に合わせたリズム刺激は歩行訓練に応用され、リズミック・オーディトリ・スティムレーション(Rhythmic Auditory Stimulation; RAS)として広く知られています。RASのランダム化試験のメタ解析では、歩行速度や歩幅の改善、下肢運動機能(Fugl-Meyer Assessmentスコア)の上昇、バランス能力(Berg Balance Scaleスコアなど)の向上といった有意な効果が確認されています。これはリズム刺激が運動とタイミングの脳回路を同期させ、運動機能の再学習(モーターラーニング)を促すためと考えられます。

また、楽器演奏を取り入れた音楽療法(例:電子ピアノやドラムの練習)は上肢の巧緻運動の回復に役立つことが示されています。Music-Supported Therapy (MST)と呼ばれる介入では、慢性期脳卒中患者の麻痺した手の機能が有意に向上し、機能的MRIで損傷半球の聴覚-運動野ネットワークの活動・結合の回復(可塑的変化)が観察されています。さらに同患者群では、治療後に抑うつ症状の軽減やポジティブ感情の増加といった気分面の改善も報告されました。このように音楽療法全般は運動・認知・情動の幅広い領域に効果を及ぼし、脳の可塑性を引き出す包括的リハビリ手段となり得ます。

以上の音楽療法の効果の中で、バイノウラルビートが特に役立つと考えられるのは「脳波の誘導・同期」というユニークな特性による認知機能や情動状態の調整であり、さらにリズムによる覚醒水準の最適化を通じた運動学習の補助です。以下、バイノウラルビートの作用メカニズムと各機能領域への影響を詳しく見ていきます。

バイノウラルビートのメカニズムと一般的な作用

バイノウラルビートでは、例えば左耳に200 Hz、右耳に210 Hzの純音をヘッドホンで聞くと、その差分の10 Hzに相当する拍動音が脳内で知覚されます。この10 Hzはα波(8~13 Hz)の周波数帯に相当し、リラックスした覚醒状態に見られる脳波です。同様に、4 Hzの差を与えればθ波(4~7 Hz)~δ波(<4 Hz)に相当し、これはまどろみや睡眠状態の脳波、16~20 Hz差ならβ波(14~30 Hz)で集中・警戒状態の脳波に対応します。バイノウラルビート刺激(Binaural Beat Stimulation; BBS)は、こうした仕組みで脳波を特定帯域に誘導(エントレインメント)し、結果的に心理状態や認知パフォーマンスに変化をもたらすと考えられています。

既存研究から、周波数帯ごとの心理・生理効果の特徴が報告されています。低周波(δ・θ帯)のバイノウラルビートは不安の抑制や睡眠促進に有効であり、睡眠障害の軽減やリラクゼーション目的で利用する試みがあります(例:δ/θ帯の音楽を毎日聴かせ軽度不安を軽減したパイロット研究)。一方、高周波(β帯)の刺激は記憶・注意・覚醒度を高め、認知課題の成績や警戒心を向上させることが報告されています。例えばLaneらの研究(1998)では、16 Hzと24 Hzのトーンによるβ帯バイノウラルビートを聴取した群は、1.5 Hzと4 Hzのθ/δ帯ビートを聴取した群に比べて30分間の視覚注意課題で有意に成績が良く、かつ主観気分もよりポジティブでした。この結果は、高周波ビートが脳の覚醒レベルを上げ注意・集中力を高める一方、低周波ビートは鎮静効果が強く注意課題のパフォーマンスは低下しうることを示唆します。

総じて、バイノウラルビートは周波数帯域の選択によってリラクゼーションから集中亢進まで幅広く心理状態を調節し得るツールです。その応用可能性は大きく、実際に「気分や認知機能の改善」を目的に健康な人や患者に用いた複数の研究が存在します。系統的レビューによれば、バイノウラルビート刺激は記憶・注意などの認知機能や、ストレス・不安の軽減、モチベーションや自己信頼感の向上といった心理的効果が報告されており、脳波(EEG)の変化も含めた作用メカニズムが検討されています。さらに聴覚刺激によるニューロモジュレーションは、安全かつコスト面でも優れており、専門技術を要する経頭蓋刺激(tDCSやrTMS)などに代わる在宅でも可能な補完療法としても期待されています。

以上の知見を踏まえ、次節よりバイノウラルビートが脳卒中患者の認知機能、情動、睡眠、運動機能などに具体的にどう影響し得るか、関連する研究結果を詳述します。

認知機能への影響と神経可塑性の可能性

脳卒中後には記憶障害や注意障害、遂行機能低下など認知機能の低下が頻発します。また脳の再組織化(可塑的変化)を促すことが機能回復に不可欠です。バイノウラルビートの脳波誘導効果は、これら認知面の改善や可塑性の支援につながる可能性があります。

認知機能への直接的エビデンスとして、アルツハイマー病患者を対象に行われた試験では興味深い結果が出ています。Alzheimer型認知症患者に対しα帯域(10 Hz)のバイノウラルビート音を2週間聴取させた研究では、治療群で認知検査(MMSE)のスコアが有意に改善し、対照群では変化が見られませんでした。さらに治療群では抑うつ・不安ストレス指標(DASS-21)の得点も有意に低下し、EEG解析でもα波・β波・γ波パワーの増加など脳波スペクトルの変化が確認されています。認知症という別領域の研究ですが、音による適切な脳波帯域の賦活が認知機能を底上げし、気分症状も緩和し得ることを示す興味深い結果です。脳卒中後の認知機能障害にも、周波数選択的な聴覚刺激が神経回路の賦活や高次機能の回復をサポートする可能性があります。

実際、健常者を対象とした研究でも記憶・注意課題中のバイノウラルビートの効果が示唆されています。Beaucheneら(2017)はα帯域のビート刺激が作業記憶課題の応答正確度を上げ、脳の機能的結合を変化させることを報告しています。また別の報告ではγ帯域(約40 Hz)のビートが注意力トレーニングの習得を加速する可能性が示されました。40 Hz前後のγ振動は認知処理や神経同期に重要で、マウス研究では40 Hz光刺激や音刺激で脳内の可塑的変化(ミクログリア活性化による老廃物除去など)が生じたとの報告もあります。このように高周波数帯の刺激は注意・学習能力のブーストやシナプス可塑性の誘導に関与し得ると考えられます。

さらに神経可塑性という観点では、音楽療法それ自体が脳卒中後の脳ネットワーク再編を助けるエビデンスがあります。前述のMSTでは聴覚と運動のネットワーク結合が回復しました。バイノウラルビートも、左右両耳からの入力を中脳で統合する際に発生する現象であり、左右大脳半球の協調や皮質-視床ネットワークの同期を生む可能性があります。実際、バイノウラルビート刺激で脳の左右半球のα波コヒーレンスが上昇したとの報告もあり(Orozco Perezら, 2020)、脳全体の機能的結合に影響を及ぼすことが示唆されています。定常的なバイノウラル音響刺激の曝露は脳の可塑性を促進し、記憶保持力を改善し、学習・情報処理能力を高める可能性があるとも指摘されています。

もっとも、脳卒中患者における直接的な認知機能改善のエビデンスは現状限定的です。先行研究では意識障害(最小意識状態など)の患者に対し、お気に入りの音楽にα帯バイノウラルビートを重ねて聴かせることで、30回の治療後に意識レベル(昏睡尺度)が有意に向上したとの報告があります。この研究では脳波や脳幹誘発電位にも改善が見られ、音楽+αビートの組み合わせが通常の音楽だけより患者の覚醒度を高める効果が示されました。脳卒中後の高次脳機能障害に対しても、例えば注意力トレーニング時にβ/γ帯ビートを付加したり、リハビリ後のリラックスタイムにθ帯ビートで定着を促すといった応用が考えられます。これらは今後実証が期待される分野ですが、バイノウラルビートが脳の覚醒水準や情報処理効率を調節することで、リハビリ中の学習効果や再訓練効果を高める可能性が示唆されます。

情動調整・睡眠への効果

脳卒中サバイバーの多くは、抑うつや不安といった心理的ストレスを抱え、睡眠障害や日内変動の乱れが見られます。情動面のケアと睡眠の質向上は、リハビリ意欲や全身的な回復力に直結する重要な課題です。バイノウラルビートは上述の通り不安緩和やリラクゼーションに用いることができ、薬に頼らない音楽的アプローチとして注目されます。

具体的なエビデンスとして、バイノウラルビートの聴取が不安を低減した例があります。Le Scouarnecら(2001)のパイロット研究では、軽度の不安を抱える被験者15名に4週間、週5回程度、δ~θ帯域(睡眠領域)のバイノウラルビート音入り音楽を聴取させました。その結果、日々の自己評価で不安感が有意に減少し、終了時には状態不安(STAI)スコアも減少傾向を示しました。また別の試験では、手術前の患者にバイノウラルビート入り音楽を聴かせたところ、偽音楽や無介入に比べて術前不安が有意に26%ほど低下したとの報告があります。これらは聴覚刺激によるリラクゼーションが不安軽減に有効であることを示しています。

脳卒中患者に焦点を当てると、バイノウラルビート併用による心理リハの報告があります。Kotelnikovaら(2021)は、運動障害(脳卒中や整形外科疾患による)の患者93名を対象にリラクゼーション目的の音響振動療法を実施し、一部にバイノウラルビート成分を組み込んで効果を検証しました。その結果、情動面(不安・抑うつ)の改善や「動作への恐怖心(運動恐怖症)」の軽減においてバイノウラルビート併用群で有意な効果が認められました。一方で、痛みの軽減や認知(記憶・注意)の回復には有意な効果が見られなかったとも報告されています。つまり、バイノウラルビートは精神的安定やモチベーション向上には寄与するものの、認知機能自体の回復には直接的には寄与しにくい可能性が示唆されます。ただし認知訓練への応用に関しては前節のような周波数選択の工夫や長期的介入など検討の余地があり、さらなる研究が必要です。

睡眠への影響については、バイノウラルビートを睡眠改善に用いた研究は少ないものの、周波数帯と効果の対応から推察できます。δ波やθ波は深い眠りや浅い眠りの脳波であり、これらを誘導する音刺激は入眠を促進し睡眠の質を高める可能性があります。前述のLe Scouarnec研究ではδ/θ刺激による不安軽減とともに睡眠潜時短縮も示唆されており、不眠傾向の人に有益だった可能性があります。脳卒中患者では睡眠時無呼吸や不眠が予後に悪影響を及ぼすことが知られており、睡眠改善は重要な課題です。寝る前に心地よい音楽に微細なδ帯バイノウラルビートを混ぜて聴かせることで、入眠儀式として睡眠リズムを整える効果が期待できるかもしれません。もっとも、不眠症患者を対象にしたランダム化試験ではバイノウラルビートの効果は最小限であったとの報告もあり、個人差やプラセボ要因も大きい領域です。現時点では確立した手法ではありませんが、副作用がなく容易に試せるリラクゼーション法として、睡眠衛生の指導と併せてバイノウラル音楽を利用することは一つの選択肢となるでしょう。

運動機能リハビリへの応用

バイノウラルビートは情動や認知面での効果が注目されがちですが、運動機能のリハビリテーションにも補助的役割を果たし得ます。音楽療法の中核にはリズムによる運動同期があり、これはRASの成功によく表れています。ではバイノウラルビート特有の効果として、単なるメトロノーム的リズム以上の何が期待できるのでしょうか。

一つにはリズム+脳波誘導による全身的なバランス機能の向上が挙げられます。Chenら(2025)は脳卒中患者27名を対象に、リハビリ訓練中にバイノウラルビート刺激(BBS)付き音楽を聴かせた群(15名)と、従来型の音楽療法のみの群(12名)を比較しました。その結果、両群ともバランス能力の指標(Berg平衡尺度BBScやMini-BESTest)が改善しましたが、日常生活動作(Barthel Index)と抑うつ(BDIスコア)の改善幅はBBS群で有意に大きいことが分かりました。さらにBBS群内での相関解析では、バランス能力の向上量が下肢機能・気分・ADL能力の向上と有意に関連しており、バイノウラルビート刺激がリハビリ効果を全般的に底上げした可能性があります。著者らは、音楽とリズムの相乗効果でバランスが改善したのではないかと結論づけ、脳機能への影響メカニズム解明を提言しています。この研究は直接的な運動成績への効果としてはバランス改善を捉えていますが、バイノウラル刺激がもたらす覚醒度や集中力の変化がリハビリ訓練の効率を上げたとも考えられ、興味深い所見です。

他の角度からは、運動学習課題におけるバイノウラルビート効果も報告されています。Azizzadehら(2024)は若年成人と高齢者それぞれに対し、α帯域(8.67 Hz)のバイノウルアルビートを30分聴取しながら鏡映描写課題(手先の巧緻運動課題)を行う群と、ヘッドホン装着のみで無音の対照群を比較しました。その結果、高齢者ではαビート群のみ課題エラー数が有意に減少(精度向上)し、若年者ではαビート群のみ反応時間が有意に短縮(速度向上)しました。同時に行った脳波解析では、若年群ではα波パワーの顕著な増大が、高齢群ではβ~γ波パワーの増大が認められました。著者らは、αビートが若年者にはリラックスによる効率化を、高齢者には覚醒度引き上げによる代償をもたらし、それぞれ異なる経路で運動パフォーマンスを向上させたと考察しています。この知見は、脳卒中患者のリハビリでも年齢や症状に応じて最適な周波数の選択が重要であることを示唆します。例えば、注意が散漫で意欲低下が見られる患者にはβ帯域で覚醒度・動機づけを上げる、緊張が強く協調運動が硬い患者にはα帯域で過剰な力みを抑えるなど、周波数調整によってリハビリ効果を高める戦略が考えられます。

さらに心理面から運動への波及として、前述のKotelnikovaらの研究ではバイノウラルビート併用により「動作への恐怖心(転倒や再発への不安)」が軽減しました。これは患者がリハビリ動作に前向きに取り組む助けとなる重要な効果です。恐怖心や不安が強いと運動学習の妨げになりますが、音楽とバイノウラルビートでリラックスできれば自発的な練習量や挑戦意欲が増し、結果的に機能回復が促進されるでしょう。以上より、直接・間接の両面からバイノウルアルビートは運動リハビリテーションの潤滑油として機能し得ると考えられます。

瞑想・マインドフルネスなど関連療法との接点

バイノウラルビートの活用を考える上で、瞑想やマインドフルネスとの親和性にも触れておきます。瞑想状態に入ると脳波にはα波やθ波の増強が生じることが知られており、熟練した瞑想者は安静閉眼時に高振幅のα波を示す傾向があります。これはリラックスしつつ集中した意識状態を反映しています。脳卒中後の不安や注意障害の緩和策として、マインドフルネス瞑想法が導入されるケースもありますが、その効果は認知機能のわずかな改善や抑うつ・ストレスの軽減程度と報告されています。しかし副作用なく反復可能なセルフケアとして有用です。

バイノウラルビートは、この瞑想の過程を音響的にサポートするツールになり得ます。実際、市販の瞑想音源やリラクゼーション音楽にはα帯やθ帯のバイノウラル音を混ぜ込んだものが多数存在し、初心者でも脳波を整えて瞑想状態に入りやすくすることを謳っています。科学的検証は十分ではないものの、一定の周波数刺激が迷走神経系を調整し自律神経バランスを整える可能性も指摘されています。ストレスで高ぶった交感神経活動を抑え、副交感神経優位に誘導することは脳卒中後の血圧管理や精神安定にも有益でしょう。

また、「オーディオニューロモジュレーション」全般の視点では、聴覚を介した脳刺激としてバイノウラルビート以外にも経皮的迷走神経刺激音(ある周波数の音で迷走神経を刺激)やASMRのような聴覚刺激によるリラクゼーション現象などが研究され始めています。これらも広義には音で脳の特定システムを調整する試みであり、非侵襲で実生活に取り入れやすい点が共通します。例えばある臨床試験では、脳波フィードバックを用いて個人に合わせたリアルタイムのバイノウラルビートを提供し、脳状態の改善を図る研究が計画されています(NCT07165899)。瞑想的アプローチと先端技術を組み合わせたこうした試みは、今後のリハビリ領域にも新風をもたらす可能性があります。音による神経調整は、脳卒中リハビリに取り入れられる補完療法の一つとして今後もエビデンスの蓄積が望まれます。

おわりに

バイノウラルビートを用いた音楽療法は、脳卒中リハビリの分野ではまだ新しい試みですが、関連領域の知見はその有用性を示唆しています。音楽療法自体が脳卒中後の運動・認知・情動機能を幅広く支援する中で、バイノウラルビートは脳波帯域への働きかけというユニークな作用で効果を増幅しうると考えられます。既存のパイロット研究からは、お気に入りの音楽にバイノウラルビートを加えることで意識障害患者の覚醒度が上がった例、リハビリ中のバランス訓練に取り入れてADLと気分の改善が得られた例、リラクゼーション場面での使用により不安や動作恐怖が和らいだ例などが報告されています。バイノウラルビートの周波数を工夫すれば、リラックスさせたい時にはα/θ帯、注意を喚起したい時にはβ帯というように患者のニーズに合わせたセッションが可能です。

もっとも、エビデンスはまだ初期段階であり、プラセボ対照を含む大規模試験や、最適な周波数・音楽との組み合わせ、介入期間など不明な点は多く残されています。安全性については報告された副作用はほとんどなく、少なくとも補助療法として試すことのリスクは低いと考えられます。ただし過度の期待は禁物であり、標準的なリハビリ訓練を補完するリラクゼーション・モチベーション向上策として位置付けるのが適切でしょう。

総合すると、バイノウラルビート活用は認知面では注意・記憶の改善や脳の覚醒状態調整に、情動面では不安軽減や睡眠改善に、運動面ではリズム同期と集中力向上による訓練効果アップに寄与しうると考えられます。これは瞑想やマインドフルネスとも通じるアプローチであり、今後さらに脳卒中リハビリへの応用研究が進めば、音楽療法のレパートリーに新たな選択肢を提供するでしょう。その日常生活への適用のしやすさも踏まえ、患者のQOL向上と神経回復力促進を目的とした音楽的介入として、バイノウラルビート療法は大きな可能性を秘めています。

参考文献

Xu C, et al. Potential Benefits of Music Therapy on Stroke Rehabilitation. Oxid Med Cell Longev. 2022;2022:9386095. ※2023年に撤回. 音楽療法が嚥下障害・失語の軽減、認知・運動機能の改善、気分の改善、神経学的回復の促進に寄与することを総説。

Chen R, et al. Effects of Auditory Frequency Stimulation on Balance and Rehabilitation Outcomes in Patients With Stroke: A Randomized Case-Control Study. Brain Behav. 2025;15(7):e70671. バイノウラルビート刺激併用群でバランス機能・ADL・うつ指標の改善が対照より大きかったことを報告。

Liu Z, et al. Short-term efficacy of music therapy combined with α binaural beat therapy in disorders of consciousness. Front Psychol. 2022;13:947861. 意識障害患者に音楽+α帯域バイノウラル刺激を適用し、意識レベルや脳波・誘発電位の指標が改善。低周波BBによる不安抑制・睡眠促進、高周波BBによる記憶・注意向上についても言及。

Mirmohamadi SM, et al. A Review of Binaural Beats and the Brain. Basic Clin Neurosci. 2024;15(2):133-146. バイノウラルビートの認知機能(記憶・注意)や心理機能(ストレス・不安など)への効果、および脳波への作用メカニズムについての最新レビュー。

Kotelnikova AV, et al. Binaural Acoustic Beats in the Psychological Rehabilitation of Patients with Impaired Motor Functions. Bull Rehabil Med. 2021;20(1):60-69. 脳卒中等の運動障害患者にリラクゼーション目的のバイノウラル音響刺激を用い、情動面の改善と運動への恐怖心軽減を示す一方、疼痛や認知には有意な効果なしと報告。

Lane JD, et al. Binaural auditory beats affect vigilance performance and mood. Physiol Behav. 1998;63(2):249-252. β帯バイノウルアルビートが注意課題成績を向上させ主観的な気分もより良好だったこと、θ/δ帯では効果が劣ったことを示した古典的研究。

García-Argibay M, et al. Efficacy of binaural auditory beats in cognition, anxiety, and pain perception: a meta-analysis. Psychol Res. 2019;83(2):357-372. (本文中で直接言及していないが関連するメタ解析。バイノウラルビートの不安軽減効果に中程度のエビデンスを報告。)

その他、本文中で引用した各種文献の詳細は省略しましたが等に示された内容に基づいて構成しています。



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2018年8月29日

軽度なのに認知障害→睡眠が短かった


Cognitive impairment and sleep disturbances after minor ischemic stroke
2018  8月  中国

脳卒中患者の25-81%は たとえ軽症であったとしても認知障害を示すという。

また睡眠時無呼吸症は脳卒中の発生要因の1つと考えられているが、脳卒中後の認知障害との関連についてはほとんど知られていない。

そこで、軽症脳卒中患者の認知障害および睡眠パラメータとの関連をくわしくしらべてみたそうな。


軽症(NIHSS 5以下)の脳梗塞から14日後の患者84人と健常者36人について、

複数の認知機能検査と睡眠ポリグラフ検査を行い関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者の81.4%に認知障害、74.4%に睡眠時無呼吸症がみられた。

・脳卒中患者はとくに注意力、作業記憶、実行機能が劣っていた。

・睡眠時無呼吸症は 50.0 vs. 80.0% で認知障害のある患者におおかった。

・またトータルの睡眠時間は 435 vs. 347分 で認知障害患者が短かった。

・教育期間、睡眠時間、血中酸素飽和度の最低値 が認知障害のリスク要因だった。
軽症脳卒中患者の認知障害は珍しくなかった。おもに注意力、作業記憶、実行機能が低下した。そのリスク要因として短い睡眠時間と低酸素症の可能性が示された、


というおはなし。
図:軽症脳卒中の認知障害

感想:

今朝「理研が遺伝子操作でレム睡眠のないネズミを作ったら記憶力が悪かった」というニュースがあったので関心をもった。

2018年12月24日

くも膜下出血で認知障害がおきる条件


Predictors of cognitive function in the acute phase after aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2018  12月  ノルウェー

くも膜下出血経験者の65%は認知機能の低下をしめすという。たとえ身体機能になんの障害も残らなかった者であっても慢性期には認知障害になることがある。

急性期での認知障害の予測因子についての研究はおおくないのでくわしくしらべてみたそうな。


脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で手術をした急性期患者51人について、

認知障害テスト(global cognitive impairment index)をおこない、認知機能が良好(スコア0.75未満)と不良の患者を分類した。

関係するパラメータおよび退院時の生活自立度mRSスコアとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・57%の患者が認知機能が不良だったが、そのおよそ半数はmRSまでが不良というわけではなかった。

・ほとんどの患者で遅延記憶(すこしまえの記憶)に影響があった。

・水頭症とあらたな脳梗塞が認知障害との関連がつよく、

・脳脊髄液の排出量が2000mlを超える場合はリスク6倍で、あらたな脳梗塞がおきた場合はリスク11倍だった。

急性期くも膜下出血患者の半数以上が認知障害を示した。これはかならずしも身体機能には反映しなかった。水頭症とあらたな脳梗塞が認知障害の予測因子と考えられた、


というおはなし。

図:認知障害テストとmRSスコア

感想:

くも膜下出血は脳梗塞とはちがって、頭痛や吐き気をがまんできるものならがまんして できるだけ病院にいかないほうがいいと考えている。

なぜなら治療と称しておこなわれる再出血予防のためのクリッピングやコイリング手術にはそのリスクに見合う効果があるとはとても思えないから。
※根拠↓

1) 再出血予防のクリッピング手術のRCTは存在しない。(by 治療ガイドライン(pdf))→60年代のCTもMRIもないころに得られた知見を検証しようともせずに盲信し続けているということ。

2) がまんして入院が遅れるほど死亡率は劇的に下がる。→手術を逃れて入院を2週間がまんした場合死亡率は 86→49%に、1ヶ月がまんで13%にまで下がる。

3) もっとも再出血しやすい24時間以内の手術にまったく効果がない。→「再出血が起きるから命が危険」理論はぜんぜんアテにならないってこと。


うかつに脳をいじらせないようにすれば水頭症やあらたな脳梗塞もおきず認知障害も減るんじゃないのかな。

2020年3月10日

むちゃ飲み脳梗塞の実行機能


Executive Dysfunction Related to Binge Drinking in Ischemic Stroke
2020  3月  フィンランド

Binge drinking(酒のむちゃ飲み)は通常飲酒量(エタノール13.5グラム相当)の5倍以上を1度の機会(2時間以内)に飲む場合をさす。

アルコール使用障害(alcohol use disorder)に至らないレベルのむちゃ飲みでも認知機能のとくに実行機能や言語記憶に障害があらわれやすいとする報告がいくつかある。

脳卒中経験者の35-90%は認知機能に障害をもつという。

そこで脳卒中患者でのむちゃ飲み歴の認知機能への影響についてくわしくしらべてみたそうな。

2021年6月8日

高齢脳卒中の栄養状態と認知障害

2021  5月  韓国


栄養状態が脳卒中後の認知障害と関連するかどうかはよくわかっていない。

そこで、高齢者向けの栄養評価指標(GNRI)をもちいて脳卒中後3ヶ月の認知障害をくわしくしらべてみたそうな。

2018年9月6日

緑茶と紅茶の神経保護効果


Green Tea and Red Tea from Camellia sinensis Partially Prevented the Motor Deficits and Striatal Oxidative Damage Induced by Hemorrhagic Stroke in Rats
2018  8月  ブラジル

緑茶が脳内出血後の酸化ストレスから神経を保護するとする報告がある。

おなじチャノキ(Camellia sinensis)から作られる紅茶もまた同様の効果が期待されるが確かめられていないので動物実験してみたそうな。


ネズミを人為的に脳内出血にする10日まえから緑茶または紅茶をあたえた。

脳内出血の1、3、7日後、茶は継続しながら 歩行、バランス、神経症状の測定を行い、最後に脳線条体の酸化物質の分析をした。


次のようになった。

・脳内出血により生じた障害のうち、紅茶グループでのみ歩行障害が小さかった。

・バランス障害は緑茶と紅茶グループでともに小さかった。

・線条体由来の運動障害は紅茶よりも緑茶グループでよく抑えられていた。

・脳内出血により活性酸素と脂質過酸化レベルが上昇していたが緑茶と紅茶グループで脂質過酸化レベルが低下していた。

緑茶または紅茶が脳内出血後の線条体での酸化ダメージによる運動障害を抑えるはたらきをみせた、


というおはなし。
図:緑茶と紅茶の脳卒中後の転倒防止効果

感想:

緑茶は脳卒中予防にいいけどそのあとにも良い。
緑茶を飲めば慢性期でも脳が再生するという根拠について

緑茶が脳卒中の記憶障害を防ぐ

2020年8月4日

マグネシウムと認知障害

2020  7月  アメリカ


マグネシウムは中枢神経系におおくみられるミネラルで、記憶の保持に関わっている。

マグネシウムが欠乏すると学習や記憶、認知機能に障害がみられるという報告がある。

そこで、脳卒中のおおい地域の住民を10年以上フォローしたREGARDS研究をつかってマグネシウムと認知障害との関連をしらべてみたそうな。

2023年3月6日

10年後の作業記憶と脳内ネットワーク

2023  2月  スウェーデン


脳卒中後の作業記憶の障害は、実行機能やエピソード記憶にも影響して認知症リスクを高めるという。

作業記憶が改善するメカニズムはほとんどわかっていないので、脳内ネットワークの結合性に注目してくわしくしらべてみたそうな。

2025年6月16日

脳トレの真実:ただの作業療法では脳は目覚めない

2025  6月  中国


脳卒中のあとに起こりやすい認知障害(poststroke cognitive impairment, PSCI)は、注意力や記憶、考える力などを弱らせ、日常生活やリハビリの妨げになる。

昔ながらの認知トレーニングはある程度の効果があるが、時間がかかるうえに、続けるのが大変という声も多かった。

そこで注目されたのが、パソコンやタブレットを使った「コンピュータ化認知トレーニング(CCT)」であり、このCCTがどれほど効果的なのかを、これまでの研究をまとめてしらべてみたそうな。

2012年10月15日

頭を鍛えておくと脳卒中になったあとも安心


Educational History Is an Independent Predictor of Cognitive Deficits and Long-Term Survival in Postacute Patients With Mild to Moderate Ischemic Stroke.
2012  8月  フィンランド




脳卒中患者の学歴と 認知機能の低下、再発率、死亡率との関連を調べたそうな。



486人の軽中程度の脳梗塞患者を

神経心理テストの対象とし、12年間追跡調査した。




解析の結果、次のようになった。

・学歴の長い患者は年齢、性別等に係わらず、遂行機能障害が少なかった。

・学歴があると記憶障害、失語症、視空間障害、痴呆になりにくかった。

・学歴と脳卒中再発率とは関連はなかった。

・学歴があると生存率がよかった。







脳卒中患者の学歴が長いほど認知障害や痴呆が少なく、予後も良い。


学歴が長いってことは脳が良く鍛えられているわけで、

脳卒中による障害への耐性が強いのかも知れない



というおはなし。

2018年7月31日

主観的認知機能障害と社会参加とうつ


The role of subjective cognitive complaints and depressive symptoms in social re-integration following stroke: a mediation explanation in a cross-sectional sample
2018  7月  オーストラリア
軽症脳卒中経験者の70%は仕事や社会生活になんらかの不満を抱えているという。

そこで認知障害の前段階でもある主観的認知機能障害と社会参加との関連およびそれを媒介する要因についてしらべてみたそうな。

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