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2025年12月2日

再発は減る、でもボケる?──降圧薬が脳に与えるもう一つの代償

2025  11月  中国


急性期脳梗塞に対して降圧治療をいつ開始するべきかについては、いまだ明確な基準が定まっていない。

特に、治療の開始時期が発症後の認知機能に与える影響は十分に検証されていない。

そこで、降圧治療の早期開始と遅延開始による認知機能の違いをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月28日

脳卒中リハビリの成果が変わる―回復を加速させる腸内細菌の育て方

2025  11月  ナイジェリア


脳卒中の後遺症には、手足の麻痺や歩行障害といった身体機能の問題だけでなく、抑うつや不安などの気分の問題、さらには記憶力や判断力の低下といった認知面の障害も多くみられる。
運動リハビリは回復に役立つことが示されているが、それだけでは十分ではない場合がある。

近年、腸内細菌と脳の働きが互いに影響し合う「腸‐脳相関」が注目されている。脳卒中により腸内細菌のバランスが崩れ、炎症や回復の遅れにつながる可能性が指摘されており、腸内環境を整えるプロバイオティクスにより回復が促される可能性がある。

しかし、運動とプロバイオティクスを組み合わせた場合の効果はこれまで十分に調べられていなかった。そこで、両者を併用することでより大きな改善効果が得られるかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月26日

ロングコビッドの正体は「溶けない血栓」か――スパイクタンパクと脳卒中リスク

2025  10月  フランス


COVID-19が治ったあとも、だるさ、息切れ、頭がぼんやりするなどの症状が長く続く人が多く報告されている。これがいわゆるLong COVIDである。

しかし症状がなぜ長期化するのかは明確になっていない。

そこで、Long COVID患者の血液に、ごく小さな血栓(microclots)が大量に存在する可能性に注目し、それが症状の原因になっているかどうかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月25日

脳卒中後のうつは再発のガチリスク―甘えではなかった

2025  11月  トルコ


脳卒中のあとに起こるうつ症状(いわゆる脳卒中後うつ:PSD)は多くの患者にみられるものである。

うつが回復や日常生活の質を下げることは以前から知られていたが、うつそのものが脳卒中の再発を引き起こす要因になるのか、また認知機能の低下と直接的な関係を持つのかについては、十分に明らかではなかった。

さらに、脳のどの部位の損傷がうつの発生と関係するのかも不明な点が多かった。
そこで、脳卒中後のうつが再発リスクや認知機能障害にどの程度関わるのか、そして病変部位との関係についてくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月21日

高齢者のスタチンは害しかない?最新研究が突きつけた不都合な真実

2025  11月  ドイツ


スタチンは、心臓病や脳卒中の予防に役立つ薬として長年使われてきた。しかし、認知症をもつ高齢者でも同じように効果があるのかどうかについては、十分なデータがなかった。

実際の現場では「これまで飲んでいたから」「一般的に良い薬だから」という理由で続けられている場合が多く、本当に役立っているのかは分からないままであった。

そこで、スタチンが認知症の高齢者にとって心臓や脳の病気による入院を減らす効果があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月27日

コクランが暴いた真実──血圧140未満のワナ

2025  9月  カナダ


血圧が少しだけ高い「軽症高血圧」(上が140〜159、下が90〜99)は、将来の脳卒中や心臓病につながると心配されている。

しかし、この段階から薬を飲み始めるのが本当に良いのかどうかは、はっきりしていなかった。とくに脳卒中を防げるのか、副作用の方が大きいのか、結論が出ていない。そこでCochraneレビューが最新の研究をまとめて検証してみたそうな。

2025年9月9日

AIリハビリが療法士を超えた日──脳卒中リハの主役交代

2025  8月  韓国


脳卒中のあとには、もの忘れや注意力の低下、段取りがうまくいかないといった「認知の障害」がよく起こる。これは生活の自立や家族の負担に直結するため、大きな問題である。

これまでは病院でセラピストがついて行う認知リハビリが主流だったが、通院の負担や人手不足といった課題があった。コロナ禍をきっかけに遠隔(テレリハビリ)への期待が高まったが、従来のシステムは「一人ひとりに合わせた難易度調整ができない」「きちんと取り組めているか分かりにくい」といった弱点を抱えていた。

そこで、AIが患者の成績を見ながら自動で課題を調整する新しいテレリハビリが、従来のセラピストによるリハビリに劣らないかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月7日

「130が限界」ランセットが示した厳格降圧の落とし穴

2025  8月  中国


高血圧は脳卒中の大きな原因のひとつである。近年は「できるだけ血圧を下げたほうがよい」と言われることが増えてきたが、その一方で腎臓の障害や失神といった副作用が心配されている。

そこで、「血圧を厳しく下げることは本当に利益になるのか、それとも害の方が大きいのか」をくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月26日

脳卒中経験者は“薬漬け”!?──減薬で命と生活を守る新常識【ポリファーマシー研究からの警告】

2025  8月  アメリカ


脳卒中を経験した高齢の人は、多くの薬を同時に飲む「ポリファーマシー」になりやすい。薬が増えると、副作用や飲み合わせによるトラブルが起こりやすくなり、転倒や認知機能の低下、入院のリスクも高まることが知られている。

こうした問題を避けるために「減薬(デプリスクリプション)」という考え方が広がってきたが、実際に脳卒中を経験した人が減薬についてどう感じているのかは、まだはっきりしていなかった。その実態をくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月25日

ラクナ梗塞は軽くなかった──10年後には10人に1人が認知症

2025  8月  イギリス


ラクナ梗塞は小さな脳梗塞として知られ、比較的軽症で予後も良いと考えられてきた。
一方、皮質梗塞は脳の表面で起きるタイプで、大血管や心臓からの血栓が原因になることが多い。

しかし、本当にラクナ梗塞は安心できるのか、長期的に比較した研究はこれまでほとんど存在しなかった。
特に認知症の発症や再発、死亡、生活の質がどう変わるのかを10年近い長いスパンで追跡したデータは乏しかった。

そこで、小血管病と大血管病の違いを明らかにし、患者の予後や治療方針を考える手がかりを得るべくくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月14日

「75歳からの血圧革命」──130mmHg未満で本当に寿命は延びるのか?

2025  8月  日本


高齢になると血圧は上がりやすくなり、それが心筋梗塞や脳卒中などの心血管病、さらには死亡のリスクを高めることが知られている。一方で、血圧を下げすぎると腎臓の働きが悪くなったり、立ちくらみや転倒、認知機能の低下といった副作用が出ることも心配されている。

2019年の日本高血圧学会ガイドラインでは、75歳以上の人の目標は「収縮期血圧(SBP)140mmHg未満」だった。しかし、その後の研究で「130mmHg未満」を目指す厳しめの血圧管理でも、心血管病や死亡を減らせる可能性があることが分かってきた。
特に日本は超高齢社会であり、この年齢層でどのくらいの血圧を目標にするのがよいかを明らかにすることはとても重要である。

そこで、75歳以上の高血圧の人で、SBP<130mmHgを目指すことが本当に効果的で安全かどうかを、過去の臨床試験をまとめてくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月12日

笑いも泣きも止まらない──橋脳卒中が壊す“右脳ネットワーク”と、その立て直し方

2025  7月  韓国


病的笑い・泣き(Pathological Laughing and Crying:PLC)は、脳卒中のあとに突然こらえきれない笑いや泣きが出てしまう症状である。感情そのものがおかしくなるわけではなく、その出し方を調節する仕組みが壊れることで起きる。

なかでも橋(pons)という脳幹の一部を傷めた脳卒中では、PLCが比較的よく見られることが知られている。しかし、橋の損傷がなぜPLCにつながるのか、特に脳のどこに代謝の異常が出ているのかははっきりしていなかった。

そこで、橋脳卒中患者を対象に、脳の糖代謝を調べるPET検査を使ってPLCの背景をくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月6日

手は動くのに、使えない――脳卒中リハビリの盲点とは?

2025  8月  スイス


脳卒中後の上肢機能障害は極めて高頻度に見られるため、リハビリテーション領域では上肢の運動機能を評価する指標としてFugl-Meyer Assessment(FMA-UE)が広く用いられてきた。

しかし近年、FMAにおいて高得点を示すにもかかわらず、実生活上では上肢をほとんど使用していない患者が一定数存在することが報告されている。

このような「運動機能は温存されているのに、パフォーマンスが伴わない」という乖離現象が、急性期から存在するのか、そしてその背景に何があるのかは十分に解明されていない。

そこで、この現象の原因として認知機能障害(特に空間無視、遂行機能障、失行)が関与している可能性に着目し、急性期脳卒中患者を対象にくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月3日

「脳卒中後、なぜ“自分は運転がうまい”と思ってしまうのか?」 ――F1ドライバー気取りの危うい自信とは

2025  7月  ドイツ


脳卒中を経験すると、身体や認知の働きに何らかの後遺症が残ることがある。運転という行為は、その両方を使うため、再開には注意が必要である。

実際には、多くの人が病後の運転再開について「自分で大丈夫だと思うから」という理由だけで判断してしまっている。
そこで問題になるのが、「自分の運転能力を正しく見きわめられているのか?」という点である。

過去の研究では、脳卒中経験者が自分の運転をやや過信しやすい傾向が示されていた。

そのようなズレが時間の経過とともに回復するのかどうか、また脳のどのような働きと関係しているのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月27日

まだ若いのに… くも膜下出血を早める“体質”が見つかった

2025  7月  アメリカ


くも膜下出血(SAH)は、突然発症する重篤な脳卒中のひとつであり、高血圧との関係が知られている。

一方で、高血圧は生活習慣だけでなく遺伝的な要因にも強く影響されることがわかっている。

そこで、「高血圧になりやすい遺伝的な体質」が、SAHの発症する年齢にどのような影響を与えるかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月22日

「とろみじゃダメなのか?」脳卒中後の嚥下にゼリーが選ばれる本当の理由

2025  7月  日本


脳卒中になると、飲み込む力が弱くなってしまうことがある。その結果、食べ物や飲み物が気管に入ってしまい、「誤嚥性肺炎」を起こすリスクが高まる。これを防ぐために、「とろみ」をつけた水やゼリー状の食べ物がよく使われている。

ただし、実際の現場では「ゼリーは気道に入るから危ない」という理由で避けられることも多い。しかし、それが本当に正しい判断なのかどうかを調べた研究はあまりない。とくに日本のJDD2021(摂食嚥下のガイドライン)ではゼリー(コード0j)ととろみ水(コード0t)が嚥下訓練に使われているが、その違いがどのように嚥下に影響するのかははっきりしていない。

そこで、「ゼリー」と「とろみ水」が飲み込みの動きにどう影響するのかを、VF検査(飲み込む様子をレントゲンで見る方法)でくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月21日

他人の気持ちがわからない…それ、脳卒中の“後遺症”かもしれない

2025  7月  オランダ


脳卒中後の「感情認識」の障害は、これまであまり注目されてこなかった。しかし、表情や感情を正しく読み取る力は、人間関係の維持や社会復帰において非常に重要である。

軽度の脳梗塞であっても、感情認識がどの程度影響を受け、時間とともに回復するのかは明らかではなかった。さらに、その障害が行動面や気分に与える影響についても、十分な検討がなされていなかった。

そこで、軽度脳梗塞患者の感情認識の回復過程と、それが行動・気分にどう関係しているかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月16日

ラクナ梗塞は増えなかった──チベット高地で明かされた意外な真実

2025  7月  中国


脳小血管病(CSVD)は、脳卒中や認知機能障害の主要な原因とされており、高齢化社会における重要な神経疾患である。

一方で、標高が高い地域に暮らす人々の脳血管疾患リスクについては、研究によって結果が分かれている。ある研究では高地での脳卒中リスク上昇が報告され、別の研究では逆に低下が示唆されている。

このような矛盾を解消するため、チベット高原という極端な高地環境に長期間居住している人々を対象とし、標高がCSVDの発症や重症度に影響を与えるのかどうかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月10日

脳卒中後の“脳の三重苦”──疲労・うつ・認知障害はどこまで重なるのか?

2025  7月  スウェーデン


脳卒中は、長期間にわたって心身の状態に影響を及ぼすことが知られている。
特に、脳卒中後の疲労、うつ、認知障害は、患者の生活に大きな負担を与える合併症である。

しかし、これらの症状が、脳卒中発症から数年経過した段階でどの程度発生し、どのように重なり合うのかについては、十分な調査が行われてこなかった。

そこで、スウェーデンの脳卒中後3〜4年の患者に焦点を当て、これらの神経精神学的合併症の有病率と相互関係をくわしくしらべてみたそうな。

2025年6月22日

“受け身”でも効く!?──両腕リハビリBATが切り開く脳卒中回復の新常識

2025  6月  中国


脳卒中によって多くの人が片麻痺を含む上肢機能障害を抱えるが、その回復には脳と筋肉の連携、すなわち中枢と末梢の相互作用が重要であるとされている。

特に、両腕を同時に使う"バイラテラルアームトレーニング(BAT)"は、有望なリハビリ手法として注目されてきた。

しかし、BAT中に脳と筋肉がどのように連動しているのか、すなわち神経活動と筋電活動の相関についてはこれまで十分に明らかにされてこなかった。加えて、損傷側(左麻痺か右麻痺か)によって、その神経筋協調が異なる可能性があることも見落とされていたのでくわしくしらべてみたそうな。

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