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2026年8月16日

左側が見えないのではない?――半側空間無視は『脳の処理落ち』かもしれない

2026  8月  イタリア


半側空間無視(unilateral spatial neglect:USN)は、脳卒中後に起こる神経心理学的な障害である。典型的には、脳の損傷した側とは反対側の空間にあるものに気づきにくくなったり、注意を向けにくくなったりする。

特に右半球の脳卒中後に多く、右半球損傷者の約38%、左半球損傷者の約18%に認められるとされる。右脳卒中では発症1週間以内の約45%にみられ、1年以上経過しても約20%に残存するという報告もある。

半側空間無視がある患者では、脳卒中そのものが重症であることが多いだけでなく、入院期間が長く、退院時の障害や依存度が高く、死亡率や施設入所率も高い。ところが、その臨床的重要性に比べて、発症早期には見逃されることも多い。

そこで、脳卒中後の半側空間無視について、どのように評価すればよいのか、そして現在どのようなリハビリ方法があり、どこまで効果が期待できるのかを整理してみたそうな。

2026年8月13日

昏睡状態でも『耳』は生きている?――音楽で意識障害の覚醒率が42%から73%に

2026  7月  中国


重い脳損傷のあとには、昏睡、無反応覚醒症候群、最小意識状態などの意識障害が生じることがある。

原因には外傷性脳損傷だけでなく、脳出血や脳梗塞などの脳卒中も含まれる。

音楽刺激には覚醒や意識回復を促す可能性が報告されてきたが、研究方法や評価指標がばらばらで、十分な根拠は得られていなかった。そこで、ランダム化比較試験(RCT)に限定して音楽介入の効果を検証してみたそうな。

2026年7月23日

アルツハイマー脳は40Hzで変わる?――3週間のバイノウラルビートで記憶力が改善

2026  2月  イラン


アルツハイマー病では、記憶や注意、実行機能に関係する約40Hzのガンマ波活動が乱れることが知られている。

そこで、40Hzのバイノウラルビート刺激によって脳のガンマ活動を整えれば、認知機能を改善できるのではないかと考え実験してみたそうな。

2026年7月18日

眼底に出た異変は、脳の警報だった――網膜症で脳卒中リスク1.9倍

2026  6月  中国


網膜の血管は、脳の細い血管と構造や性質がよく似ている。糖尿病や高血圧によって網膜の毛細血管が傷む「網膜症」は、脳内でも同様の微小血管障害が進んでいるサインかもしれない。

しかし、網膜症と脳卒中リスクの関係については研究ごとに結果が一致していなかった。そこで、これまでの研究を統合し、網膜症が脳卒中リスクとどの程度関連するのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年7月13日

若くして脳卒中――5年後も消えない“見えない障害”と失われた自分

2026  7月  イギリス


脳卒中は高齢者の病気と思われがちだが、若い世代でも発症し、その後の人生に長く影響を残す。とくに若年脳卒中では、仕事、子育て、人間関係、経済的責任など、現役世代特有の問題が重なる。

しかし、従来の研究や医療では、歩行や麻痺など目に見える障害が重視され、疲労、認知機能低下、不安、感覚過敏といった「見えない障害」や、自己喪失感については十分に調べられてこなかった。

そこで、若年脳卒中から5〜8年後の人々が、実際にどのような生活を送っているのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年7月10日

脳卒中の常識が崩れる? 病巣と同じ側に麻痺が出る“同側性片麻痺”の謎

2026  7月  スイス


脳卒中による片麻痺は、通常、脳病変の反対側に出る。これは皮質脊髄路が延髄錐体で交叉するためである。

しかし、ごくまれに、脳病変と同じ側に片麻痺が出ることがある。これを同側性片麻痺という。

そこで、このまれな現象がどのくらい起こるのか、どのような患者に多いのか、背景にどのような神経解剖学的メカニズムがあるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年6月26日

4Hz・5Hzのバイノウラルビートは、脳卒中後の脳を再調律するのか

2026  6月  イラン


多発性硬化症では、ストレスへの反応や、自律神経の回復が乱れやすいと考えられている。ストレスがかかると、体内ではコルチゾールというホルモンが変化し、心拍や自律神経にも影響が出る。

バイノウラルビートは、左右の耳に少し違う周波数の音を聴かせることで、脳や体の反応を変える可能性がある音刺激である。安全で、体に傷をつけない方法なので、ストレスをやわらげる手段として注目されている。

そこで、多発性硬化症の人で効果があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年6月18日

片手リハビリはもう古い? 脳卒中後の両手練習が示した意外な限界

2026  5月  アメリカ


日常生活の多くは、片手だけでなく両手を協調させて行う。

食事、調理、着替え、物の持ち運びなどでは、左右の手が別々の役割を持ちながら同時に働く。しかし脳卒中後は、麻痺側の運動障害だけでなく、両手を時間的・空間的に合わせる能力も低下する。

両手練習は脳卒中リハビリで重要と考えられているが、実際に1回の両手課題練習で、動作や脳の興奮性がどう変わるのかは十分にわかっていなかったのでくわしくしらべてみたそうな。

2026年6月10日

5Hzは左脳、15Hzは右脳? 音で言語ネットワークを揺さぶる研究

2026  6月  イラン


脳のリハビリでは、損傷部位だけでなく、脳内ネットワークのつながり方が重要である。発達性ディスレクシア(失読症)でも、音を言葉として扱う音韻意識の低下と、皮質ネットワークの結合異常が関係すると考えられている。

この研究では、左右の耳にわずかに異なる音を聞かせて脳内に特定のリズムを生じさせるバイノウラルビートが、音韻意識とEEGコヒーレンスに影響するかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年6月6日

くも膜下出血の薬クラゾセンタン、「効かない理由」は髄液に届かないから?

2026  6月  日本


くも膜下出血のあとには、いったん治療が終わったように見えても、数日後に脳の血流が悪くなることがある。これを遅発性脳虚血 DCI という。DCIは、その後の回復や生活の質に大きく関わる重要な合併症である。

クラゾセンタンは、血管を縮ませる働きに関わるエンドセリンA受容体をブロックする薬である。日本では、くも膜下出血後の脳血管攣縮やDCIを防ぐ目的で使われている。

しかし、この薬が血液の中にあるだけでよいのか、それとも脳の周囲を満たす髄液の中まで届くことが重要なのかは、よくわかっていなかった。

そこで、クラゾセンタンを使った患者で、血液中と髄液中の薬の濃度を測り、DCIを起こした患者と起こさなかった患者で違いがあるかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年6月3日

運動イメージ訓練でも「両手>片手」だった!脳卒中リハビリにヒント

2026  5月  日本


運動を頭の中でくり返しイメージするメンタルプラクティスは、実際の運動能力を高める方法として知られている。脳卒中後の上肢リハビリでも、比較的簡便で低コストな方法として注目されている。

一方で、片手だけをイメージする練習と、両手を同時にイメージする練習のどちらがよいのか、またそれらをどの順番で行うべきかは十分にわかっていない。そこで、両手イメージと片手イメージの組み合わせが、実際の運動成績と脳波指標であるERDにどのような影響を与えるかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年5月10日

脳卒中で入院すると便秘になりやすい理由 食べられない・動けない・トイレに行けない急性期の現実

2026  4月  中国


脳卒中のあとには便秘になる人が多い。しかし、どのくらいの人が便秘になるのか、どんな人で起こりやすいのか、さらにリハビリや退院時の体の状態に関係するのかは、まだ十分にわかっていなかった。

そこで、急性期の脳卒中患者を対象に、脳卒中後の便秘、とくに「脳卒中の前には便秘ではなかったのに、入院後に新しく便秘になった人」に注目してくわしくしらべてみたそうな。

2026年5月9日

脳を救って腎臓を失う?――血栓回収療法後に急性腎不全がほぼ倍増していた

2026  5月  アメリカ


急性期の脳梗塞では、詰まった血管から血栓を取り除く「血栓回収療法」が広く行われるようになってきた。この治療によって、助かる人や回復する人は増えている。

しかし、血栓を取ることに成功しても、その後に別の体のトラブルが起きることがある。たとえば、肺炎、尿路感染、敗血症、急性腎不全、心筋梗塞、肺塞栓などである。

そこで、血栓回収療法を受けた脳梗塞患者で、こうした合併症がどれくらい起きているのか、そして年々増えているのか減っているのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年4月28日

脳卒中リハビリは「歩かせる」ことを急ぎすぎていないか:四つ這いが体幹とバランスを再起動する

2026  4月  アメリカ


脳卒中後には、標準的な課題指向型リハビリを受けても、体幹制御、バランス、移動能力の障害が長く残ることがある。そこで注目されるのが、四つ這い、膝立ち、対角線的な手足の運動、這う動作などを含む「四足位由来トレーニング」である。

この方法は、両上肢と両下肢を同時に使い、体幹を支えながら動くため、脊髄レベルの四肢連動、固有感覚入力、左右の近位筋活動を刺激する可能性がある。しかし、脳卒中リハビリにおける有効性や使い方は、これまで十分に整理されていなかった。

そこで、四足位由来トレーニングの証拠、メカニズム、臨床応用をくわしくしらべてみたそうな。

2026年4月21日

豚肉が脳内出血を減らす? 遺伝学研究が示した意外な食事因子

2026  4月  中国


食事と脳卒中の関係については、これまで多くの研究で関連が指摘されてきた。しかし、それが本当に原因と結果の関係なのかは、まだはっきりしていなかった。

とくに、脳卒中全体だけでなく、虚血性脳卒中、ラクナ梗塞、脳内出血などのタイプごとに、どの食品がどう関わるのかは十分に調べられていなかった。

そこで、通常の観察研究よりも交絡や逆因果の影響を受けにくい方法を使い、食事と脳卒中の因果関係をくわしくしらべてみたそうな。 

2026年4月5日

脳卒中後の認知コントロールの低下は前頭シータが弱いせい?

2026  3月  ドイツ


脳卒中では、まひだけでなく、注意や我慢、切り替えといった実行機能の低下が慢性期まで残ることがある。こうした認知コントロールの障害を客観的にとらえることは、リハビリを考えるうえで重要である。 

前頭正中シータ波 FMΘ は、反応抑制などの認知コントロールに関わる脳活動の指標とされる。一方、脳卒中後にこのFMΘが課題中にどう変化するかは、十分にわかっていなかった。そこで、慢性期脳梗塞患者でFMΘの変化をくわしくしらべてみたそうな。

2026年3月27日

日本の小学校に脳卒中教育を持ち込むことの危うさ

2026  2月  日本


脳卒中では早く異変に気づいて、すぐに救急につなげることがとても大事なのに、実際には症状に気づいても「少し様子を見よう」となってしまう人が少なくない、という問題がある。

地域の脳卒中知識を広げる方法として、小学生に教えて、その内容を家庭に持ち帰ってもらうやり方に注目した。海外では、学校での脳卒中教育によって子どもの知識が増えるだけでなく、その知識が親や祖父母にも伝わることが報告されていた。

一方、日本ではこうした研究はまだ多くなく、子どもから保護者へ知識がどの程度伝わるかを客観的に調べた研究も限られていた。そこで、小学生への授業で知識が増えるか、さらにその知識が保護者にも伝わるかをくわしくしらべてみたそうな。 

2026年3月19日

筋肉は平気なのに動けない― 脳卒中後「疲労」の本当の犯人とは

2026  3月  エチオピア


脳卒中後の疲労は、よくある合併症であるにもかかわらず、意外なほど軽視されやすい症状である。単なる「だるさ」ではなく、感情面、認知面、身体面にまたがる消耗感であり、休んでも十分に改善しないことがある。

そこで、脳卒中後疲労がどのくらい多いのか、どんな人に起こりやすいのか、そして自己効力感や日常生活機能にどれほど影響するのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年3月18日

脳梗塞のあとに始まる「6つの痛み」 その正体を知っているか

2026  3月  チェコ


脳梗塞のあとに問題になるのは、まひや言葉の障害だけではない。実は「痛み」に悩まされる人も少なくない。脳卒中後の痛みは、日常生活のしづらさ、仕事や社会復帰の妨げ、睡眠や気分の悪化などにつながることが知られている。

しかし、これまでの研究では年齢も重症度もさまざまな患者がまとめて扱われることが多く、とくに働き盛りの世代で痛みがどのくらい問題になるのかは、あまりはっきりしていなかった。

そこで、18~65歳の脳梗塞患者を対象に、発症3か月の時点で残っている痛みが、その後の生活の質や「どのくらい回復したと感じているか」にどう関わるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2026年3月13日

脳卒中後に音楽を聴く意味 気休めでは済まない研究結果

2026  2月  スペイン


脳卒中をはじめとする後天性脳損傷では、運動まひだけでなく、注意、記憶、感情、意欲、コミュニケーションなど、日常生活に直結する多くの機能が長く障害されうる。

既存の神経リハビリテーションは重要であるが、なお回復が不十分にとどまる例は少なくない。

音楽は単なる娯楽ではなく、聴覚、運動、注意、記憶、情動、報酬系にまたがる広範な脳ネットワークを同時に動員しうる刺激である。こうした性質は、脳損傷後の可塑性や代償を引き出すうえで理にかなっている。しかし、これまでの研究は、対象疾患、介入法、評価項目がばらばらで、全体像が見えにくかった。

そこで、薬物に依存しない補助的介入として、音楽をあらためて体系的に評価してみたそうな。

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