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2014年6月8日

脳卒中になって間もない患者にtDCSをやってみた


The Ineffective Role of Cathodal tDCS in Enhancing the Functional Motor Outcomes in Early Phase of Stroke Rehabilitation: An Experimental Trial.
2014  5月  イタリア

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が亜急性期の脳卒中患者に効くかどうか実験してみたそうな。


発症19日前後の脳梗塞患者14人について、

*陰極tDCSグループ
*偽電気刺激グループ

に分けた。通常のリハビリ訓練の直前に電気刺激を10分間行った。

これを週5日☓2週間継続した。

その後の歩行能力、上肢機能を30日後まで追跡調査した結果、


次のようになった。

・両グループともに大きく改善した。

・改善程度にグループ間の差はなかった。


亜急性期脳卒中患者への陰極tDCSは機能回復を促すものではなかった、


というおはなし。



感想:

陰極tDCSの動物実験の記事はちょっとまえにあった。
脳を護る!乾電池のマイナス極で

さらにtDCSを埋め込んだヘッドギアを製作した有名音楽家を発見!

左右の頭頂と眉のあたりに電極がある。
tDCSの実験をやり過ぎたせいでこんなになっちゃったんだと思う。

2014年6月7日

日本人の脳卒中致命率 さいきんのトレンド


Acute case-fatality rates of stroke and acute myocardial infarction in a Japanese population: Takashima stroke and AMI registry, 1989-2005.
2014  3月  日本

日本人の脳卒中致命率について最近17年間の傾向を調べてみたそうな。


滋賀高島郡の住人55000人を対象とした1989-2005の調査データを解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に2239件の脳卒中が発生し、341人が死亡した。

・年齢調整した脳卒中致命率は男性14.9%、女性15.7%だった。

・致命率の調査期間中の変化はあまりなかった。


1989-2005の日本人の脳卒中致命率はほぼ変わっていない、


というおはなし。



感想:

ちょっと前にも似たような話があった。
脳内出血 さいきんのトレンド


"近年の"医療の進歩のおかげで脳卒中から生還した人はほとんどいない、ということなのか?

2014年6月6日

アメリカの有名大学が開発したミュージックグローブ療法とは


Retraining and assessing hand movement after stroke using the MusicGlove: comparison with conventional hand therapy and isometric grip training.
2014  4月  アメリカ

カルフォルニア大学の研究者が 手のリハビリに使う ミュージックグローブ:MusicGloveを開発したそうな。


この手袋はビデオゲームと連動する仕組みで、握り動作を高頻度で訓練することができる。


中程度麻痺の慢性期脳卒中患者12人についてその効果を従来型リハビリと比較したところ、

・小さな物をつまむ能力が改善したものの、

・他の手の機能回復については従来法と大きな差はなかった。

・ゲームスコアと機能回復度との間に関連があった。

・ただし訓練の楽しさの点ではダントツだった。
ミュージックグローブが好き


ミュージックグローブを使用すると、つまみ動作を高頻度で繰り返すことができる。この訓練は求心性をうながし手の機能改善に良いと考えられる、


というおはなし。



これがミュージックグローブ療法。




感想:

太鼓の達人療法も研究してほしい。

2014年6月5日

5年以内に再発したり死んじゃう人はどれくらいいるの?


Long-Term Risk and Predictors of Recurrent Stroke Beyond the Acute Phase.
2014  5月  スウェーデン

脳卒中再発の傾向と特徴について調べてみたそうな。


1995-2008の脳内出血と脳梗塞の患者6700人について各人4年前後追跡調査したところ、


次のことがわかった。

・13.9%が脳卒中を再発した。

・この10年あまりで再発リスクは減少傾向にあった。

・年齢と糖尿病の有無が再発リスクにおおきく関連していた。

・脳内出血患者の再発は虚血性発作が半分以上で、脳梗塞グループに比べ再発リスクは減少傾向にあった。


比較的若年の脳卒中患者について近年 再発率は減少傾向にあるものの、依然その3分の1は5年以内に死亡または再発していた、


というおはなし。
図:脳卒中の再発または死亡傾向


感想:

ひどく汗をかいたあとなど長時間水分補給しなかった時に 左手足にとても強い痺れを感じることがある。

脳卒中経験がなかったらまちがいなく救急車を呼びたくなるようなレベルの痺れではある。

たぶん脳の血の巡りが悪くなっているんだろうな…って いつも想像している。

2014年6月4日

脳卒中の肥満パラドックスは本当か


Body Mass Index and Death by Stroke: No Obesity Paradox.
2014  6月  デンマーク

太っている脳卒中患者ほど予後が良いという「肥満パラドックス」は本当なのか調べてみたそうな。


2003-2012の71617人ぶんの脳卒中患者データを対象とした。

選択バイアスがかからないように、初回脳卒中後1ヶ月以内に死亡した事例のみ抽出し ボディマス指数(BMI)との関連を解析した。


次のようになった。

・11%が最初の1ヶ月以内に死亡し、そのうち70%が脳卒中が死因だった。

・内訳は9.7%が低体重、39.0%は標準体重、34.5%が過体重、16.8%が肥満だった。

・BMIが高いほど脳卒中発症年齢が低くなった。

・1ヶ月内死亡リスクは標準体重、過体重、肥満で差はなかった。

・1週間内死亡に限定しても同様の結果だった。


脳卒中患者の肥満パラドックスは確認できなかった。BMIの高い患者はとても若くして脳卒中になることがわかった。肥満の脳卒中患者は標準体重を目指すべきだろう、


というおはなし。

図:肥満パラドックス


感想:

肥満だと若くして脳卒中になるから 他の患者より元気そうに見えるのは当然、ってことらしい。

2014年6月3日

リハビリはたくさんやるほど効果的なのか?


Is More Better? Using Metadata to Explore Dose-Response Relationships in Stroke Rehabilitation.
2014  5月  アメリカ

脳卒中リハビリとして計画された時間と運動機能の回復程度との関連を調べてみたそうな。


リハビリスケジュール時間の異なる複数の信頼性の高い研究を、データベースより抽出して統合、再解析した結果、


次のことがわかった。

・全体的に リハビリが少ない者よりもたくさん受けた者の方が回復した。

・リハビリスケジュールの時間それ自体が回復程度をよく反映していた。


脳卒中患者へのリハビリスケジュール時間が増えるほど運動機能の回復は良かった。リハビリはたくさんやるほど効果的であることがわかった。リハビリスケジュール時間よりも実動時間や訓練の繰り返し回数の方が目安として適切かも知れない、


というおはなし。



感想:

2014年6月2日

バーチャル・リアリティで麻痺した手が自由に動く装置


New Device “Tricks” Stroke Victims Out of Paralysis
2014  5月  スイス

大学発ベンチャー企業が上肢リハビリの画期的な装置を開発したそうな。


チューリッヒ工科大学の研究者たちが立ち上げたMindMaze社が開発したMindPlayPROは、被験者の動作を3次元的に読み取り、そのアバターをリアルタイムにスクリーンに表示する。

ただしその左右は反転されているので、片麻痺患者は健常側でのトレーニング映像があたかも麻痺側の上肢が動いているかのように錯覚する。

この効果により脳の可塑性が促されることが期待できる、


というおはなし。

写真:マインドプレイプロ
(ビデオページにリンク)



感想:

社長の志が立派すぎて、鏡を1枚置けば済む話じゃん と言えない空気。

2014年6月1日

患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様


Structural changes induced by daily music listening in the recovering brain after middle cerebral artery stroke: a voxel-based morphometry study.
2014  4月  フィンランド

音楽は脳内の様々な箇所に影響を与えることができる。

音楽刺激による脳卒中患者の認知機能や気分の改善効果は報告されている。
そこで脳の構造にも変化が起きるものかどうか調べてみたそうな。


急性期の脳卒中患者49人について(左脳損傷24人、右脳損傷25人)、

*好きな音楽(ポップ、ジャズ、クラシックなど)
*自分で選んだオーディオブック
*なにも薦めない

の3グループに分けた。

各々 毎日1時間以上聴くように薦め、日記をつけさせて聴いた頻度を確認した。

すべてのグループに通常のリハビリを併行した。


6ヶ月後、介入前後に撮影したMRIデータをボクセル単位形態計測(Voxel-based morphometry)という客観性の高い方法で解析した。


次のことがわかった。
・6ヶ月間ですべてのグループで灰白質体積の著しい増加箇所が認められた。

・体積増加箇所は側頭葉、前頭葉、辺縁系、小脳に局在していた。

・特に、音楽グループの健常側で体積増加が著しかった。

・他の2グループに比べ灰白質の体積が著しく増加した箇所を抽出したところ、左脳損傷患者の音楽刺激グループでのみ前頭葉に3箇所、辺縁系で2箇所見つかった。

・右脳損傷患者では音楽グループの左の島皮質にのみ灰白質増加箇所が見られた。

・体積増加箇所と行動検査結果との関連を解析したところ、左脳損傷患者の前頭葉の体積増加箇所は記憶、言語、スキル、注意力の改善に関連し、辺縁系のそれはウツ、緊張、疲労、イライラ感の減少と関連があった。

・一方右脳損傷患者の島皮質の体積増加箇所は言語スキルの改善と関連があった。

・白質体積の明らかな変化はなかった。


脳卒中患者に音楽を聴かせることは 行動面での改善のみならず、回復途上にある脳に神経解剖学的な変化をもたらす ことが確認できた、


というおはなし。
図:音楽療法で脳が増える

感想:

この報告では右脳損傷患者への影響が小さい。

自分の右脳出血経験では、発症後すぐに聴いた音楽のいくつかは、空き缶をデタラメにたたいているように聞こえた。

右脳がダメージを受けていてもOKな音刺激があるはずで、 音楽の種類がとても大切な気がした。
→ 脳の中に音刺激を創り出す

2014年5月31日

Wii Fitトレーニングが従来型リハビリを超えた


The efficacy of balance training with video game-based therapy in subacute stroke patients: a randomized controlled trial.
2014  5月  イタリア

亜急性期の脳卒中患者のバランス機能の回復にビデオゲームが役に立つか調べてみたそうな。


50人の脳卒中患者を、

*Wii Fitトレーニンググループ
*通常のバランスリハビリグループ

に分けた。

両グループには1日40分間☓2回の理学療法も併行した。


次のようになった。

・Wii Fit vs 通常リハは、バランス機能評価スコアで53 vs 48、

・バーセルインデックスで98 vs 93だった。


亜急性期脳卒中患者のバランス機能と日常生活動作の改善の点で、Wii Fitトレーニングが従来型リハビリよりも優れていた、


というおはなし。



感想:

療法士さんが仕事をしているように見えない点を除けば、もはやビデオゲームを使わない理由が思い浮かばない。

2014年5月30日

脳を護る!乾電池のマイナス極で


Neuroprotective effect of cathodal transcranial direct current stimulation in a rat stroke model.
2014  5月  スイス

脳を虚血状態にすると周辺組織に脱分極が梗塞を拡大しながら周期的に拡がる。直流電気刺激(tDCS)はこの皮質興奮性に影響を与えると考えられる。

そこで乾電池のマイナス極を貼り付ける陰極tDCSで梗塞を抑えられるものかどうか実験してみたそうな。


人為的に脳梗塞にしたネズミについて

*虚血手術の45分後から陰極tDCSを4時間行うグループ
*虚血手術直後から陰極tDCSを6時間行うグループ

に分けた。各グループは12匹ずつ。

比較のため通電しない12匹のグループも各々設けた。



次のようになった。

・45分後tDCSグループは梗塞体積が20%、直後tDCS開始グループでは30%小さかった。

・梗塞の及ぶ範囲も両tDCSグループで小さかった。

・陰極tDCSで脱分極の回数が減少した。

・梗塞体積と脱分極の回数に関連があった。



急性期脳卒中への陰極tDCSが、脱分極頻度を抑えることにより神経保護効果をもたらすことが確認できた。人にも応用できるかも知れない、


というおはなし。

写真:tDCSネズミ



感想:

tDCSって簡単そうだから、すべての家庭や職場施設に1つは備えるようにして、脳卒中の症状を確認したらとりあえず頭に電極を貼って それから病院を探すようにしたらどうだろう。


でも、あわてて電池を逆向きに入れたりすると大変なことになる。
tDCSは電極を間違えると脳梗塞が拡大することが判明


2014年5月29日

高血圧+キャノーラ油で脳出血が確定?


Comparative effects of plant oils on the cerebral hemorrhage in stroke-prone spontaneously hypertensive rats.
2014  5月  中国

植物油の種類と脳出血との関係を動物で調べてみたそうな。


脳卒中になりやすい高血圧ネズミを、

*しそ(エゴマ)油
*なたね(キャノーラ)油
*ショートニング
*油なし

のグループに分け、それぞれを10%含ませた餌と食塩水を与えた。

脳卒中の後、出血、梗塞の範囲を計測した。


次のようになった。

・生存期間は 油なしネズミで58日間、しそ油ネズミは68.5日間、なたね油ネズミは45.7日間だった。

・しそ油ネズミの脳出血体積は油なしネズミよりもずっと小さかったが、ショートニングネズミでは病変が非常に拡大した。

・元々高かった血中コレステロールは しそ油ネズミで低下したが、なたね油ネズミではさらに高くなり、血小板も少なくなった。


しそ油は血中コレステロールを改善し、脳出血の発症を遅らせその範囲も小さくする効果があった。一方、なたね油やショートニングでは真逆の結果になった。
高血圧の人は積極的に しそ油を使用するべきだろう、


というおはなし。



感想:

ショートニングは別としても キャノーラ(なたね)油はフツーに使っているし、しそ油なんて価格が20倍もする。

健康食品業者と癒着した捏造論文じゃないかと思ったが、ちょっとまえの記事
トランス脂肪酸は脳卒中のもとなのか?
で見つけた 金城学院大学薬学部の人の植物油のはなしを思い出した。

血小板も気になるし…


この機会にその人の本を注文した。
本当は危ない植物油 その毒性と環境ホルモン作用

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