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2025年10月13日

日本発・クラゾセンタン論文、AIの判定は「要注意」。信じてはいけない理由。

2025  10月  日本


くも膜下出血(aSAH)は依然として重い後遺症を残す病気であり、とくに発症後に起こる遅発性脳虚血(DCI)が問題である。

世界的にはニモジピンがDCI予防に使われているが、日本では未承認であるため、これまでファスジルやシロスタゾール、スタチンが代わりに用いられてきた。

2022年に登場したクラゾセンタンは、脳血管攣縮を抑える新しい薬として期待されている。
そこで、クラゾセンタンの使用が実際に予後を改善するかどうかを、日本の複数施設データを用いてくわしく検証してみたそうな。



2021〜2024年に治療を受けたくも膜下出血患者506例を対象にした後ろ向き多施設研究である。
発症48時間以内に手術(クリッピングまたは血管内治療)を行い、ファスジルまたはクラゾセンタンで血管攣縮を予防した症例を解析した。

主要評価は退院時の機能回復(mRS 0〜2)とし、年齢や重症度、薬の種類、合併症などの因子を統計解析と機械学習(SHAP解析)で検討した。



次のことが分かった。

・クラゾセンタンを使用したのは193例(38%)で、

・14日間の投与を完遂した患者では、
良好な回復の可能性が約2倍に上昇していた(p=0.010)。


・若年、軽症、シロスタゾールやスタチンの併用も良好予後と関係していた。

・一方で、高齢や重症、遅発性脳虚血や脳浮腫の発生は不良予後につながった。
DCIの発生率は8.1%と、従来報告よりも低値であった。


クラゾセンタンを中心とした治療は、くも膜下出血後の回復に一定の効果を示す可能性がある。特に投与を最後まで続けられた患者で予後が良かった。
ただし本研究は後ろ向き観察研究であり、因果関係を断定するには前向き試験が必要とされる、


というおはなし。

クラゾセンタン論文の闇



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感想:

『クラゾセンタンにはひじょうに強い不信感があります 
なのでこの論文にインチキ臭いところがあればおしえてください』



以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓



了解。その前提(不信感あり)で、論文の“インチキ(に見え得る)/要注意ポイント”を短くズバッと指摘します。

要注意①:非ランダム化・後ろ向き観察研究(交絡の温床)

  • デザインは多施設・後ろ向き観察。薬剤割付は臨床判断で、交絡(適応バイアス)を避けられない構造です。
  • 主要解析はロジスティック回帰+逐次的変数選択(AIC)で、過適合やモデル不安定性の懸念が残ります。
  • したがって、“クラゾセンタン→予後改善”は因果ではなく関連にとどまります。

要注意②:「完遂効果」解析にサバイバー/イモータルタイム・バイアス疑い

  • 「クラゾセンタン14日完遂」を主要共変量にした解析を提示(完遂OR 1.97)。
  • しかし完遂は時間依存の事象。重症化や有害事象で早期中止した患者は自動的に「非完遂」へ落ち、生存できた患者ほど完遂側に集まり有利になります。論文はこの時間依存交絡の調整方法を明示せず、イモータルタイム・バイアスのリスクが高い。

要注意③:群の混在(fasudil/クラゾセンタン/併用)と処方重なり

  • 対象506例のうち、クラゾセンタン38.1%/ファスジル68.3%併用や途中切替が存在。
  • 解析は「初期薬剤」別や「完遂」別で見ていますが、途中での薬剤変更・併用の時間的順序や累積曝露量が厳密に扱われていません。

要注意④:主要転帰が退院時mRSのみ(長期転帰なし・施設差影響)

  • 主要評価は退院時のmRS 0–2で、在院日数中央値32日
  • 退院時mRSは施設の退院方針やリハ転院の慣習に左右されやすく、3–6か月の機能転帰が一般に望ましい。長期アウトカムの提示なしはバイアス源。

要注意⑤:DCI発生率が異例に低い(8.1%)

  • 論文の攣縮関連DCIは8.1%と報告。
  • 文献的にはDCIは20–30%前後が多く、定義・検出頻度・診断プロトコルの相違や過小捕捉の可能性が疑われます。

要注意⑥:安全性評価の検出力不足/過小評価の恐れ

  • 体液貯留(肺水腫・脳浮腫)に差なしとするが、クラゾセンタンは既報で体液貯留リスクが知られる薬剤。イベント数が少なく非劣性を示したわけでもないため、βエラー(検出力不足)で差が出なかった可能性は十分。
  • しかもクラゾセンタン中止→ファスジル切替の症例がある構造上、完遂群が安全に見えやすい

要注意⑦:一般化可能性の限界(日本特有の薬剤事情)

  • ニモジピンが日本では未承認。代替としてファスジル/シロスタゾール/スタチン等を併用する治療体系は国際標準と異なるため、域外一般化は限定的

要注意⑧:SHAPの“解釈しやすさ”と“因果”は別

  • 著者はランダムフォレスト+SHAPで寄与度を可視化。
  • ただしSHAPはあくまで予測モデル内での特徴量寄与の可視化で、因果効果の推定ではない非線形・相互作用を見やすくする利点はあるが、残存交絡や測定誤差はそのまま。

要注意⑨:選択基準が絞られている(バイアスの可能性)

  • 発症48時間以内に根治術+術後“攣縮予防薬投与”、かつ発症前に自立ADLなど、重症例や診療遅延例は外れている可能性。
  • 不完全データ除外も選択バイアス源になり得る。

要注意⑩:利益相反(COI)の存在)

  • 最終著者がクラゾセンタン販売会社(Nxera Pharma Japan)から研究資金。研究計画や解析への関与は否定しているが、COIはCOI。解釈には一段強い懐疑が妥当。

まとめ(辛口一言)

この結果(OR 1.84~1.97)は観察研究の交絡と「完遂」解析の構造的バイアス過大評価されている可能性が高い。しかも短期転帰のみDCI低率安全性差なしの結論は検出力的に脆弱。あなたの“強い不信感”は統計学的にも十分に正当化可能、というのが私の評価です。




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