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2019年4月19日

Stroke誌:脳のここをやられるとラテロパルジョン


Lesion Localization of Poststroke Lateropulsion
2019  4月  アメリカ

脳半球が損傷を受けると身体がその反対側に傾きやすくなる。この傾向を lateropulsion(ラテロパルジョン)と言い、特に脳卒中での場合をPusher Syndrome(プッシャー症候群)と呼び、10-60%の脳卒中患者で起きるという。

ラテロパルジョンがあると機能回復がおくれるとされる。経頭蓋磁気刺激などで回復を促すにしても脳のどの位置がラテロパルジョンともっとも関連が強いのか、いまだあきらかでない。

そこで、これまでの研究にない規模で脳の損傷位置とラテロパルジョンとの関連をくわしくしらべてみたそうな。



脳卒中でラテロパルジョンを示す患者50人と、
年齢、性別、発症からの期間、身体能力のいっちするラテロパルジョンのない別の50人の脳卒中患者について、

脳の損傷位置をすべて右の脳半球にマッピングしてラテロパルジョンともっとも関連の強い部位を解析した。

ラテロパルジョンの評価は "Burke Lateropulsion Scale"を使用した。



次のことがわかった。

・ラテロパルジョンともっとも関連のつよい部位は下頭頂小葉で、中心後回のブロードマン領野2から40にかけての範囲だった。

・ラテロパルジョンの患者は脳の損傷ボリュームが大きかった。

ラテロパルジョンと関連のつよい脳卒中の損傷部位は、体性感覚-視覚-前庭感覚の統合を司るとされる「下頭頂小葉」だった。ラテロパルジョンの患者は損傷体積もおおきかった、


というおはなし。
図:ラテロパルジョンが起きる脳の位置


感想:

プッシャーだとふなっしーみたい。ラテロパルジョンのほうが響きがいい。

療法士さんのまえで知ったかするときに使おう。

2019年4月18日

HALリハビリ 期待外れだった


A Randomized and Controlled Crossover Study Investigating the Improvement of Walking and Posture Functions in Chronic Stroke Patients Using HAL Exoskeleton - The HALESTRO Study (HAL-Exoskeleton STROke Study)
2019  3月  ドイツ

脳卒中慢性期の下肢リハビリとして外骨格ロボットを着けた歩行訓練が期待されている。

とくにHAL( hybrid assistive limb)では患者の筋電シグナルをトリガーとして動作することから神経の可塑性をうながす効果が考えられる。

そこで、前時代的な考えかた(ボバースコンセプトや促通)にもとずく通常の理学療法とHALをつかったリハビリの効果を比較してみたそうな。



慢性期脳卒中で中レベル以上に歩行困難な片麻痺患者18人について、

通常の理学療法もしくは体重支持付きHALトレッドミルを各6週間、30分間x30セッションおこなった。

じっさいには患者を2グループにわけて理学療法とHALリハビリの両方をグループごとに1週間の間をあけて理学療法とHALリハの順番を換えて(Crossover Study)おこなった。

10m歩行タイム、タイムアップアンドゴー、6分間歩行距離、歩行自立度FAC、バランス能力を評価 比較したところ、



次のようになった。

・両リハビリ方法ともにいくつかの指標で有意な改善はみられたものの、

・いずれもあきらかな差は確認できなかった。

HALリハビリが理学療法よりも効果的であるとは言えなかった、


というおはなし。
図:体重支持つきHAL


感想:

実はこの種のロボット下肢リハビリを肯定する質の高いエビデンスはほとんど存在していない。↓
下肢ウェアラブルロボットのリハビリ効果

脳卒中患者が歩行困難な理由は 脚にちからがはいらないからではなく、感覚麻痺によりちからをいれるタイミングがわからないがゆえにバランスをとれないからである。↓
慢性期の下肢感覚麻痺の割合と転倒

だからパワーだけをアシストされたところで患者は立っていることすらままならない。これでいったいなにをリハビリするというのか?

どうかHALを着けた患者を天井から吊るす「滑稽さ」に思い至ってほしい。

2019年4月17日

脳卒中をまねく昼寝の特徴


Association of daytime napping with incident cardiovascular disease in a community-based population
2019  3月  中国

これまで昼寝と糖尿病やメタボリックシンドロームとの関連はあきらかにされてきた。しかし脳卒中をふくむ心血管疾患との関連についてはいまだ一致した見解が得られていない。

この理由として昼寝の定義のあいまいさが考えられる。そこで、昼寝を頻度と長さで分けて心血管疾患との関連をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢63の男女4170人について、
昼寝習慣についてアンケートをとり、

心血管疾患(心臓死、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、狭心症など)を11年間フォローして関連を解析したところ、



次のようになった。

・この間に914人(21.9%)が心血管疾患になった。

・心血管疾患の有病率は、昼寝が定期的(週に5回以上)かつ長い(30分以上)ばあいには34.5%、定期的かつ短い(30分未満)は28.4%、不定期が22.4%、昼寝なしは16.6% だった。

・定期的かつ長い昼寝の心血管疾患リスクは昼寝なしの1.403倍だった。

毎日の長い昼寝は脳卒中など心血管疾患のあきらかなリスク要因だった、


というおはなし。
図:昼寝時間と脳卒中リスク


感想:

ごはんがおいしくていっぱい食べるとどうしても眠くなっちゃうんだよ。

かならずしも昼寝がいけないわけではない↓。
脳卒中をふせぐ昼寝時間がわかった

2019年4月16日

ゴールデンウィークの脳卒中死亡率


Holiday Season and Weekend Effects on Stroke Mortality- A Nationwide Cohort Study Controlling for Stroke Severity
2019  4月  台湾
脳卒中で週末に入院した患者は平日入院よりも死亡率が高いとする「週末効果」をしめす報告がいくつもある。病院スタッフの不足が理由と考えられるいっぽう、週末は重症患者が増えるからとする説もある。

公的な休暇が4日以上つづく「ホリデーシーズン」に入院した脳卒中患者の死亡率についての調査はほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。



台湾の健康保険研究データベースから、
2011-2015の脳卒中患者を抽出して、入院日でつぎの3グループに分類した。

1)ホリデーシーズン :3908人
2)週末 :13774人
3)平日 :49045人

院内死亡率、7日後 30日後の死亡率との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・平日入院とくらべてホリデーシーズン入院での死亡率の上昇ぶんは、院内20%、7日後33%、30日後21%だった。

・週末入院とくらべたときのホリデーシーズン入院の死亡率上昇ぶんは、院内24%、7日後30%、30日後22%だった。

・平日入院と週末入院での死亡率に有意な差はなかった。

・重症度で調整しても同様の傾向で、年齢、性別、脳卒中の種類別にみてもかわらなかった。

ホリデーシーズンに入院した脳卒中患者の死亡率は、平日や週末に入院した患者よりもあきらかに高かった。この傾向は重症度や他の要因によらなかった、


というおはなし。
図:ゴールデンウィーク


感想:

もうすぐ 平成-令和スーパーゴールデンウィーク。ここで再発したら詰む。

2019年4月15日

脳動脈瘤は歯周病のせい


Periodontitis and gingival bleeding associate with intracranial aneurysms and risk of aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2019  4月  フィンランド

頭蓋内の動脈瘤は成人の2-3%にみられる。脳動脈瘤が破裂する率は年間10万人あたり10人ほどで非常にまれである。また 未破裂の脳動脈瘤が存命中に破裂する率は29%という。

いっぽうくも膜下出血の死亡率は40%と高く、
さらに 治療法とされるクリップやコイル塞栓術によって死亡または重度の障害を負う率は5-7%にもおよぶ。

要らぬ治療を避けるためにくも膜下出血のリスクを正しく評価する方法が求められている。

これまで動物実験では炎症によって脳動脈瘤が誘導されることがわかっている。また人の脳動脈瘤の壁から口腔内バクテリアのDNAが検出されている。
そして歯周病と腹部大動脈瘤との関連もあきらかになっている。

そこで、歯周病が脳動脈瘤の形成と破裂にも関連するものか、くわしくしらべてみたそうな。



未破裂脳動脈瘤の42人と破裂脳動脈瘤の34人、および年齢 性別のマッチするコントロール70人について歯周病の有病率をしらべた。

つぎに高血圧や喫煙 飲酒などのリスク要因を抱えた別の5170人についてくも膜下出血を13年間フォローして、口腔内検査をくわえて関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・脳動脈瘤患者の歯周病の有病率は92%で、歯肉ポケット6mm以上の重度の歯周病は49%にみられた。

・とくに歯肉出血が歯列の7割以上の範囲で見られる場合、脳動脈瘤があるオッズ比は34.4倍だった。

・くも膜下出血のリスクは、歯3本以上におよぶ重度の歯周病の場合22.5倍、7割以上の範囲で歯肉出血がある場合は8.3倍に及んだ。

歯周病と歯肉出血は脳動脈瘤の形成および くも膜下出血とあきらかな関連があった、


というおはなし。
図:歯周炎とくも膜下出血率


感想:

よく読むと、未破裂脳動脈瘤へのクリップやコイルでくも膜下出血を防げるとするまともなエビデンスはないんだってね。
わかってたけど。


炎症には腸内細菌も関わっていて、、
Hypertension誌:脳動脈瘤は腸内細菌のせい
歯周病を治療すればくも膜下出血を防げるのだろうか?
歯周病と脳内出血の因果関係は

2019年4月14日

難聴と脳卒中との関係


Hearing loss is associated with increased stroke risk in the Dongfeng-Tongji Cohort
2019  3月  中国

難聴は60歳以上の3分の2にみられるという。しかし難聴と脳卒中との関連についての調査はわずかである。

これまでの調査では サンプル数がすくなく、自己申告によっていたり、難聴の程度を評価していなかった。

そこで難聴と脳卒中との関連をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢65の19238人について、

難聴の程度を、正常、軽度、中度、重度、に分類した。

難聴検査は会話周波数(0.5,1,2kHz)および高周波数(4,8kHz)のビュアトーンを用いて、ギリギリ聴こえる音量(dB)で判定した。

その後の脳卒中との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・難聴レベルがひどくなるにしたがい、脳卒中の有病率も高まった。

・正常者にくらべ重症難聴者の脳卒中リスクは会話周波数のばあいで1.76倍、高周波数のばあい1.39倍で、

・脳梗塞に限定すると、それぞれ1.69倍、1.52倍、

・脳出血では それぞれ2.23倍、1.04倍だった。

難聴と脳卒中リスクは用量関係にあった、


というおはなし。
図:難聴度と脳卒中リスク


感想:

これまでの難聴関連記事を見返すとなぜか ぜんぶアジア由来で突発性だった。

突発性難聴と脳梗塞

突発性難聴と脳卒中との関連があきらかに

めまいや突発性難聴は脳卒中のサインなのか?

脳卒中のあと突発性難聴になりやすいは本当?

突発性難聴は脳卒中の前兆なのか?

2019年4月13日

コレステロールと中性脂肪を下げてはいけない理由


Lipid levels and the risk of hemorrhagic stroke among women
2019  4月  アメリカ

高コレステロール血症は脳梗塞のリスク要因の1つである。いっぽう総コレステロールやLDLコレステロールが低いと脳出血リスクが高まるとするメタアナリシスがある。

さらにスタチン研究のメタアナリシスではLDLコレステロールを1mmol/L 下げると脳出血リスクが15%上昇することが示されている。

しかしこれら研究のおおくでは女性や脂質レベルのことなるサンプルの数がすくないので、大規模にくわしくしらべてみたそうな。



Women’s Health Study から女性27937人について
血中脂質(総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の量を測定し、

脳出血(脳内出血とくも膜下出血)の発生を20年間ほどフォローして関連を解析したところ、



次のようになった。

・この間に137人が脳出血を起こした。

・LDLコレステロールは、100-129.9 mg/dLにくらべ 70未満だと脳出血リスクが2.17倍だった。

・LDLコレステロールが130-159.9 mg/dL や70-99.9 mg/dL のグループでは脳出血のあきらかなリスク上昇はみられなかった。

・中性脂肪がもっとも低いグループはもっとも高いグループにくらべ脳出血リスクが2.00倍だった。

・総コレステロールやHDLコレステロールと脳出血との有意な関連はみられなかった。

LDLコレステロールが70mg/dL未満もしくは中性脂肪が低い者の脳出血リスクはあきらかに高かった、


というおはなし。
図:LDLコレステロールと中性脂肪と女性の脳出血


感想:

ちなみにLDLが160を超えるとくも膜下出血リスク0.66倍に下がるんだって。

じぶんの脳内出血も脂質の下げすぎが原因の1つと確信し 反省している。

2019年4月12日

nature.com:日本人の食物繊維と脳卒中


Relationship between carbohydrate and dietary fibre intake and the risk of cardiovascular disease mortality in Japanese- 24-year follow-up of NIPPON DATA80
2019  4月  日本

炭水化物はひとのおもなエネルギー源である。炭水化物のとりすぎは脂質や血糖の上昇をまねき脳卒中の原因となる。いっぽう炭水化物が少なすぎても総死亡率が高くなるという。

炭水化物をすすんで摂るべきか、制限するべきかについては その質もまた問題にするべきである。

炭水化物は食物繊維と糖質(デンプンや砂糖)から成る。食物繊維には動脈硬化や血糖 コレステロール 血圧を改善する効果が知られている。

そこで、炭水化物の成分ごとに心血管疾患(脳卒中、冠動脈疾患)死亡リスクとの関連を日本人についてくわしくしらべてみたそうな。



30-79歳の男女8925人を24年間フォローした国民栄養調査のデータを使用して解析したところ、



次のことがわかった。

・食物繊維をほとんど摂らないグループに比べもっとも多く摂るグループの心血管疾患死亡リスクは男性で0.64倍だった。女性で有意な関連は確認できなかった。

・脳卒中による死亡リスクに限定すると、食物繊維をほとんど摂らないグループに比べもっとも多く摂るグループの脳卒中死亡リスクは女性で0.61倍だった。男性で有意な関連は確認できなかった。

・炭水化物、糖質、でんぷんと心血管疾患死亡リスクとの関連は確認できなかった。

炭水化物の構成成分の1つである食物繊維を多く摂ると、脳卒中など心血管疾患で死亡するリスクがあきらかに低下する、


というおはなし。
図:食物繊維と炭水化物


感想:

この調査結果から推奨される食物繊維量は1日に18-20g。

ちなみに日本人の平均摂取量は1952年が20.5gで、2015年は14.5g だったようだ。

2019年4月11日

頸動脈プラークとsdLDLコレステロール


Correlation between of small dense low-density lipoprotein cholesterol with acute cerebral infarction and carotid atherosclerotic plaque stability
2019  4月  中国

アテローム性の頸動脈硬化症は急性脳梗塞のおもな原因と考えられ、とくにプラークの安定性が鍵であるとされている。

これまで動脈硬化の数ある要因のうち、LDLコレステロールの影響がもっともおおきいと考えられてきたが、さいきんの研究ではかならずしもそうではないことがわかってきた。

LDLコレステロールは粒子の大きさや含有コレステロール量により さらに数種類に分けることができて、それらのうちとくに小粒子・高密度低比重リポ蛋白(small dense low‐density lipoprotein:sdLDL)コレステロールが いままでのLDLコレステロールよりも動脈硬化をおこす力が強いとする報告がつぎつぎとあがっている。

そこでsdLDLコレステロールと急性脳梗塞およびプラーク安定性との関連を大規模にしらべてみたそうな。



急性脳梗塞患者519人について頸動脈の造影超音波画像と狭窄度から次の3グループに分けた。

1)プラークなし:95人
2)狭窄50%未満+安定プラーク:108人
3)狭窄50%以上+不安定プラーク:316人

血液検査の結果(TC, TG, HDL-C, LDL-C, sdLDL-C)を健常者300人とくらべたところ、



次のことがわかった。

・急性脳梗塞のsdLDLコレステロールは、その量およびLDLコレステロールとの比においてあきらかに健常者よりも高く、独立したリスク要因と考えられた。

・sdLDLコレステロールの量は、不安定プラーク>安定プラーク>プラークなし、の順におおかった。

・sdLDLコレステロールを変数として不安定プラークを予測するROCカーブでは曲線下面積は0.695で、36.80 mg/dLを超えると不安定プラークと考えられた。

sdLDLコレステロールは急性脳梗塞の独立したリスク要因であり、頸動脈プラークの不安定性と正の相関があった、


というおはなし。
図:sdLDLコレステロールと急性脳梗塞


感想:

「sdLDLコレステロール」をはじめて知った。

2019年4月10日

ランセット誌:適量などない!酒は脳卒中のもと


Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology : a prospective study of 500 000 men and women in China
2019  4月  中国

アルコールの危険性を示す多くの研究があるいっぽう、ほどほどに飲酒したほうが脳卒中予防に良いとする観察結果も数多く存在する。

これがなにかのバイアスや別の要因によるものではなく本当に因果関係によるものなのかを確かめる方法として、関係する遺伝子の変異(一塩基多型)を変数とするメンデルランダム化解析(mendelian randomization analysis)がある。

アルコールはその代謝過程でアセトアルデヒドに変換され、さらに分解される。
この過程に関与する遺伝子に変異があるとアルコールの代謝が進まず多くの酒を呑むことができない。

この遺伝子変異にはいくつかの種類があって、とくにアジア人におおい。そしてこれら遺伝子変異と実際の飲酒量との関連もあきらかになっている。

そこで アルコール摂取量と脳卒中リスクとの関連を、従来型の自己申告による飲酒量に基づく場合と、遺伝子変異から推定される飲酒量を使った場合とでくらべてみたそうな。



中国人男女50万人あまりが登録する カドーリバイオバンク(Kadoorie Biobank) のデータを用いた。
アルコール代謝に関連する遺伝子変異を2種類えらび、被験者を抽出した。

脳卒中の発生を10年間フォローした結果と、

アンケートによる飲酒量との関連を従来型解析し、
さらに遺伝子変異から推定した飲酒量との関連をメンデルランダム化解析したところ、



次のことがわかった。
・男性の33%、女性の2%が頻繁に飲酒していた。

・自己申告による飲酒量の場合、脳卒中発生率との関連はU字型をしめし、週に100g程度のアルコールを摂ったときにもっとも脳卒中リスクが低かった。

・遺伝子変異から推定した飲酒量のばあい、脳卒中発生率とは正の直線的関連になり U字型にはならず、

・とくに脳内出血との関連が強かった。

・心筋梗塞および女性ではサンプルが少なく、これらの関連は確認できなかった。

・いずれのモデル(自己申告と遺伝推定)でも飲酒量と血圧のつよい正の相関がみられた。

ほどほどの飲酒が脳卒中を防ぐかのように見える現象について、大規模な遺伝疫学的解析によると そこに因果関係はなかった。アルコール摂取による血圧上昇だけが認められた、


というおはなし。
図:飲酒量と脳卒中リスク


感想:

飲んだら飲んだぶんだけダメージになるってこと。

まったく酒をのまないグループには身体が弱く病気がちなひとが多かっただけだから(reverse causality)U字型にみえるのかもしれんね。

2019年4月9日

磁気刺激上肢リハビリに運動イメージ訓練を足してみた


The Effects of Combined Low Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation and Motor Imagery on Upper Extremity Motor Recovery Following Stroke
2019  2月  中国

脳卒中の上肢麻痺を改善する方法として、経頭蓋磁気刺激rTMSと運動イメージ訓練MIがある。

いずれも非侵襲的でかつ楽な姿勢でできるので重度の麻痺や慢性期であっても可能である。

これら手法を組み合わせたときの効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺の患者42人をつぎの2グループに分けた。

実験グループ)rTMS+MI
コントロール)rTMS+環境音でリラックス

rTMSは病変と対側の運動野に1Hzの刺激。
MIは録音された指示にしたがって想像上で上肢を動かし日常生活動作の具体的動作を思い描くこと30分間。

これを2週間に合計10セッションおこなった。

上肢機能を4種類の指標(WMFT,UE FMA,BBT,MBI)で評価し、4週間後までフォロー比較したところ、



次のようになった。

・両グループともにすべての評価項目で改善した。

・改善効果は4週間後まで持続していた。

・とくに、運動イメージ訓練を加えた実験グループで改善著しかった。

低周波数の磁気刺激に運動イメージ訓練を加えたところ、磁気刺激のみよりもおおきく改善した、


というおはなし。

図:脳卒中の運動イメージ上肢訓練


感想:

高価な磁気刺激装置を買ったはいいが、ぜんぜん効果がないとわかり しかたなくMIと混ぜて結果をひねりだしたという感じ。

磁気刺激の上肢リハビリは根拠なしってことですでに↓結論でてる。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について

数ある上肢リハビリのなかで↓ 運動イメージ訓練(メンタルプラクティス)だけが最後の希望。
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法
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