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2024年5月2日

血管内治療の拡大:くも膜下出血における未来への危うい賭け

2024  4月  スウェーデン


血管内治療法(コイリングなど)の改善により複雑な破裂動脈瘤の治療が可能になったが、症例によっては依然として外科手術(クリッピングなど)が必要である。

そこで、動脈瘤治療の変化が臨床成績に及ぼした影響をくわしくくらべてみたそうな。



2012年から2021年までにウプサラ大学病院脳神経外科に入院したくも膜下出血(SAH)患者837例を対象とした。

人口統計学、動脈瘤の部位と治療、入退院時の神経学的状態、死亡率、高頭蓋内圧(ICP)に対する最終治療を評価した。

機能的転帰はExtended Glasgow Outcome Scale(GOSE)を用いて測定した。

脳卒中疾患の国内発生率に関するデータはスウェーデンの公開データベースから収集した。



次のことがわかった。
 
・666例(79.6%)に血管内治療が行われた。

・このうち、111例(13.3%)ではステントが使用された。

・外科手術は115例(13.7%)で行われ、56例(6.7%)では動脈瘤の治療は行われなかった。

・外科手術は、血腫(51例、44.3%)、血管内治療が安全でないと考えられるもの(47例、40.9%)、または成功しなかったもの(13例、11.3%)、に適用された。

・ステントデバイスによる治療は経時的に増加し、外科手術による治療は減少した。

・時間の経過とともに頭蓋骨切除術は減少する傾向がみられた。

・意識ありで入院した患者群(n=681)と意識不明で入院した患者群(n=156)のいずれも、入院から退院までの間に有意に意識レベルが改善した。

・良好な転帰(GOSE 5-8)はHunt & Hessグレード I-IIの69%、Hunt & Hessグレード III-Vの25%にみられた。

・1年後の死亡率は、意識ありで入院した症例で10.9%、意識不明で入院した症例で42.7%であった。これは国のデータとも一致していた。


くも膜下出血患者の発生率は徐々に減少し、国のデータと一致した。治療方針は、血管内治療への移行が進んでいる。対象期間中、頭蓋骨切除術の適用は減少した、


というおはなし。

脳外科手術の練習



感想:

おわりのほうに、こう↓書いてある。

『とはいえ、患者の立場からすれば、より低侵襲な治療法があるにもかかわらず、訓練のためだけに外科手術を行うことは決して倫理的に許されることではない。』
Nevertheless, from the patients’ perspective, it can never be ethical to perform a surgery just for the sake of training when less invasive treatments are available. 

当たり前のことをわざわざ書き記すのは、「そういうこと」なんだとおもう。


かといって、低侵襲な治療が長期的に患者のためになっているわけでもない。↓




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