2017年8月17日

脳卒中後うつのfALFF解析


Fractional amplitude of low-frequency fluctuations (fALFF) in post-stroke depression.
2017  7月  オーストラリア

脳卒中後のうつは回復をさまたげ生活の質を低下させる。

これが由来する脳の部位や神経メカニズムについてはいまだよくわかっていない。

近年、安静時fMRIの解析により脳の中の自発的な結合性の変化を観測できるようになり、脳卒中後うつ患者でデフォルトモードネットワークの結合性低下が報告されている。

安静時fMRIの他の解析方法として低周波数成分の強度変動が全体に占める割合 fALFF(fractional amplitude of low frequency fluctuations)を評価する方法があるので、これで脳卒中後うつをしらべてみたそうな。


発症後3ヶ月の脳卒中患者64人について安静時fMRIを測定し、0.01-0.08HzについてfALFFを解析したところ、


次のことがわかった。

・20人がうつ症状を示していた。

・非うつ患者にくらべうつ患者では左の背外側前頭前皮質と右の中心前回でfALFFが有意に高く、

・左の島皮質でうつスコアとfALFFの明らかな相関が見られた。

・うつの有無が0.01-0.027 Hzに、うつの重症度が0.027-0.073 Hzに反映されていた。

安静時fMRIのfALFF解析により脳卒中後うつの自発的神経活動の異常な部位と周波数レンジを感度よく特定することができた、


というおはなし。
図:脳卒中後うつのfALFF

感想:

1周期が30秒前後ある脳の律動ってのはいったいなんなのかね?

2017年8月16日

がんの宣告を受けると脳梗塞になる


Risk of Arterial Thromboembolism in Patients With Cancer
2017  8月  アメリカ

アメリカ人の40%はその生涯にがんを経験する。がんになると深部静脈血栓や肺塞栓が起きやすくなることは知られている。

いっぽう心筋梗塞や脳梗塞など 動脈の血栓塞栓症との関連についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


2002-2011のがん患者(乳がん、肺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん)と がんでない比較グループ患者との279719組の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・がん診断後6ヶ月間の動脈血栓塞栓症の発生率は4.7%で、がんでない者では2.2%だった。

・とくに 心筋梗塞の発生率はがんだと2.0%、非がんで0.7%、

・脳梗塞発生率は がんで3.0%、非がんで1.6%だった。

・このリスク上昇はがんの種類やステージにも関連し、およそ1年で解消した。

がんと診断された患者はその直後から短期的に心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇する、


というおはなし。
図:ガン宣告のあとの脳卒中リスク

感想:

ってことは 脳梗塞やったひとには隠れがんの可能性があるのかな。
軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2017年8月15日

脳卒中発生率の男女別の傾向


Sex-specific stroke incidence over time in the Greater Cincinnati/Northern Kentucky Stroke Study.
2017  7月  アメリカ

脳卒中が男性の死亡原因の5位にまで低下したいっぽう、女性では4位にとどまっている。

これは男性の脳卒中発生率の低下が女性よりも速いからかもしれない。

たしかめてみたそうな。


ケンタッキー州の脳卒中患者記録1993-2010から TIAをのぞく20歳以上の事例7710人ぶんを抽出して発生率を男女別に解析したところ、


次のようになった。
・57.2%が女性で、平均年齢も 72.4 vs. 68 で女性が高かった。

・この間に、10万人あたりの脳卒中発生率は男性で 263→192人におおきく減少し、女性では 217→198 と ほとんど変わらなかった。

・脳梗塞に限定しても同様に、男性は 238→165、女性は 193→173 となった。

・脳内出血とくも膜下出血の発生率は男女ともにあきらかな変化はなかった。

この16年間で低下した脳卒中発生率の原因は男性の脳梗塞の減少によるものだった。2010には男女の発生率がほぼ等しくなった。なぜなのかはわからない、



というおはなし。
図:脳卒中発生率の傾向と男女差

感想:

肥満が自己管理能力のないクズとして労働市場で不利な扱いを受けるようになったから まず男性で改善したんじゃないのかな。

2017年8月14日

運動イメージ訓練の歩行リハビリ効果がわかった


Effects of motor imagery on walking function and balance in patients after stroke: A quantitative synthesis of randomized controlled trials.
2017  8月  中国

実際に身体をうごかすことなくイメージだけで練習を行うことを「運動イメージ訓練」や「メンタルプラクティス」とよび、視覚的にイメージする方法や運動そのものをイメージする方法などがある。

脳卒中片麻痺患者への運動イメージ訓練の有効性は数多く報告されているが、歩行能力に限定したシステマティックレビューはおおくない。

そこで最新の研究をふくめてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


研究データベースから関係するものを厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者735人を含む17のランダム化比較試験がみつかった。

・訓練期間は6週間、1回あたり15分間、ビデオやオーディオを用いる方法がおおかった。

・通常訓練にくらべ運動イメージ訓練は歩行能力や運動機能の改善に より効果的だった。

・ただしバランス能力に有意な改善はなかった。

・歩行能力の改善効果は短.長期的にも有効だった。

・6週間未満の短期に限定すればバランス能力の改善もみられた。

運動イメージ訓練は脳卒中患者の歩行リハビリに有効であると考えられた。ただし測定値や方法にばらつきが大きいので さらなる研究が期待される、


というおはなし。

図:運動イメージ訓練

感想:

ちなみに上肢に限定すると、数ある治療法のなかでいちばん効果がでているのが運動イメージ訓練。
上肢リハビリ 良い方法 と ダメな方法

2017年8月13日

歩行対称性が改善する靴の中敷きの工夫とは


A textured insole improves gait symmetry in individuals with stroke.
2017  8月  アメリカ

脳卒中患者の歩行では麻痺足をあまり使わず健常足にたよりがちになる。

これを矯正するために健常側の靴に厚い中敷きを入れて麻痺側への体重移動を促す方法があるがあまり効果がない。

こんかい、突起物がたくさんついた中敷きを使用して歩行パラメータの改善度をしらべてみたそうな。


歩行に非対称性のみられる脳卒中患者17人について、
健常側の靴に厚さ1mmのシートに高さ3mmの突起物がたくさんついた中敷きをいれて歩行の各パラメータ(速度、頻度、歩隔、歩幅、単脚時間 等)を測定したところ、


次のようになった。

・立脚および単脚時の対称性、圧力中心のズレがあきらかに改善した。

・単脚支持時間が健常足で減少し 麻痺足で増加した。

・歩行の速度やペースは変わらなかった。

脳卒中患者の健常側の靴にイボ付き中敷きを入れたところ歩行の対称性が改善した,


というおはなし。
図:脳卒中の靴の中敷き療法


感想:

自分の経験にてらすと
歩行に際してはいまも健常な右足にたよることが多く、人混みを長時間歩くと右足のふくらはぎがまっさきにつってしまう。

歩行が非対称になる理由は
麻痺足の裏の触覚がにぶく足首に力を入れるべきタイミングがわからないため 細かな姿勢制御を健常足に頼らざるを得ないからである。

ぎゃくに中敷き療法のような小手先の工夫で健常足の支持時間が低下してしまうと歩行の安全性が損なわれると考える。

中敷き療法は足裏の感覚麻痺の改善にはまったくの無力であり、本質的な治療ではない。障害物のない実験室環境で歩行対称性を矯正できたとしても実生活にはなんの役にもたたないばかりか危険である。

[中敷き]の関連記事

2017年8月12日

みそが高血圧を抑え脳卒中予防になるはほんとうか?


Protective Effects of Japanese Soybean Paste (Miso) on Stroke in Stroke-Prone Spontaneously Hypertensive Rats (SHRSP)
2017  8月  日本

この↑研究論文のプレスリリースをうけて、つぎのようなニュースが世に出回った。

味噌由来の塩分なら血圧上昇が抑えられる!脳卒中を予防 広島大が発見(エキサイトニュース)

みそが血圧上昇抑制 大豆醸造時の物質関与か 塩の代わりに活用を 広島大学調査(日本農業新聞)


あたかも、みそから摂取する塩分はいくら摂っても高血圧になる心配がないばかりか むしろ脳卒中を防ぐ効果が増すかのように報道されている。


ところが論文には以下↓の図があって、
図:味噌の塩分とミクロの出血

この実験ではみそグループ(12匹)にマクロな出血事例がなかっただけで、顕微鏡レベルでの出血割合は高塩分グループとなんら差がないくらいに高いことがわかる。


たしかにみそには何か良い働きがあるのだろうけれど、味噌ラーメンのスープを飲み干してよい理由になるほどの根拠はなさそうである、


とおもった。

2017年8月11日

TIME誌:世界初!脳卒中患者で脳深部刺激療法


Exclusive: Woman Can Move Again After a Breakthrough Stroke Treatment
2017  8月  アメリカ

脳の奥に電極を埋め込んでパルス電流を流す「脳深部刺激療法(DBS)」はすでにパーキンソン病での手の震えの治療などに用いられている。

これを脳卒中麻痺からの運動機能を取り戻す目的で 世界ではじめて患者に応用してみたそうな。

動画↓


・ジュディ59歳は2年前に脳卒中になり左半身が麻痺した。

・歩けるようにはなったものの、左肘は90度に曲がり手の指はまったく開くことができなかった。

・2016の12月、クリーブランドクリニックで小脳を刺激するDBS装置の埋め込み手術を受けた。

・装置に通電し 理学療法を4ヶ月間うけたところ、医師の想像をうわまわる回復を示した。

・手が開くようになり財布をあけたり着替えや料理ができるまでに回復した。

・実験プロトコールでは4ヶ月で装置をスイッチオフにして 持続効果を検証する予定であったが、喜んでいる彼女をみてスイッチを切るのは忍びないと考え通電を継続することにした。

・彼女はいまもDBSを受けながらリハビリを続け、クリニックでは次の患者の準備もできたところである、

というおはなし。


感想:

ビデオをみて、これは未必のヤラセであると確信した。
功名心あふれる医師とかまってちゃん患者が互いの気持ちをそんたく(忖度)しあった結果このようになった。

1件目から実験プロトコールを変更してしまっているのがなによりの証拠。装置をスイッチオフにせずに一体どうやって効果を検証できると言うのか?

患者があまりにも大げさに回復を演じてしまったものだから、スイッチオフにしたときにどのように振る舞う「べき」かが 医師にも患者にもわからなくなった。
ボロがでることを恐れて ほとぼりが冷めるまで通電期間を延長したと考える。

このとき(←リンク)とまったく同じものを感じる。

2017年8月10日

脳卒中経験とうつの組み合わせで 死亡率激増


Depression Is Associated with a Higher Risk of Death among Stroke Survivors.
2017  8月  アメリカ

脳卒中の3人に1人はうつを経験し、彼らは回復も良くないと考えられている。

死亡率が脳卒中経験とうつの組み合わせでどう変わるものか たしかめてみたそうな。


1982-1992に行われた健康調査から 25-74歳の9919人の記録を解析して総死亡率と脳卒中死亡率を求めたところ、


次のことがわかった。
・1.2%に脳卒中経験があり、そのうち37.1%にうつ症状があった。

・脳卒中経験のない者の17.3%にうつ症状があった。

・25-64歳では脳卒中経験とうつが組み合わさると個々のばあいよりも総死亡率が高くなった。

・脳卒中死亡率の上昇は65-74歳にのみ確認され、

・うつがない脳卒中経験者にくらべて うつがある場合の脳卒中死亡率は35倍に達した。

脳卒中経験にうつ症状がくわわると総死亡率が上がり、とくに高齢者の脳卒中死亡率が非常に高くなった、


というおはなし。
図:脳卒中とうつと死亡率

感想:

こんなにも激しい結果がでるのものなのか。

2017年8月9日

250年前のミイラが脳卒中経験者だったあかしとは


A Unique Case of Stroke and Upper Limb Paralysis in a Mid-18th Century Natural Mummy
2017  8月  スイス

脳卒中の歴史研究において 脳卒中を経験した大昔の人物の標本が手に入ることはまずない。

こんかい脳卒中を経験したことが明らかになった18世紀の遺体がみつかったそうな。


・イタリアのサン・ロレンツォ教会の修復中に1体のミイラ化した遺体がみつかった。

・観察すると左手だけが かぎ爪のように曲がっていた。

・右手や他の遺体との比較から 死後に曲がったものではなく生前に指が曲がったと考えられ、

・脳卒中の片麻痺による拘縮と推測された。

・教会の記録を探ったところ、1750年頃に葬られた遺体で晩年に「卒中」を患っていた記述が確認できた。

250年前の遺体の観察から脳卒中による拘縮が推測され、記録からその事実が証明された、


というおはなし。
図:脳卒中経験者のミイラ 手の拘縮

感想:

その当時とくらべて、脳卒中の後遺症治療は ほとんどまったくといっていいいほど進歩していない気がしてならないんだ。

2017年8月8日

脳卒中やったひとは両腕で血圧が違うかも


Interarm blood pressure difference in a post-stroke population.
2017  7月  アイルランド

両方の腕で測定した収縮期血圧の差は心血管疾患リスクと関連があると考えられていて、差が10mmHg未満なら正常で、 特に15mmHgを超えると脳血管障害での死亡率が高くなるという報告もある。

すでに心血管疾患リスクが高いはずの脳卒中経験者についての研究はおおくないので 確かめてみたそうな。


発症後6ヶ月時点の脳卒中患者238人についてしらべたところ、


次のようになった。
・40.3%で収縮期上腕血圧左右差が10mmHg以上、20.6%で15mmHg以上だった。

・高血圧、糖尿病、喫煙、肥満はいずれも 収縮期上腕血圧左右差の拡大とあきらかな関連はなかった。

・アルコールの過剰摂取と 15mmHg以上の差との有意な関連があった。

脳卒中経験者には収縮期上腕血圧左右差の拡大がめずらしくなかった。再発リスクの評価に使えるかもしれない、


というおはなし。
図:

感想:

さっそく測ったら、差が15あった。

2017年8月7日

認知症になりやすい脳の梗塞位置


Incidence of Brain Infarcts, Cognitive Change, and Risk of Dementia in the General Population
2017  8月  アイスランド

脳の梗塞箇所は高齢になるほど増え 70歳をこえるとMRIで20%以上に見られるようになる。

梗塞の発生位置と認知機能についての研究はおおくないので その関連をしらべてみたそうな。


平均年齢75、2612人について 5.2年間あけてMRIを2回撮り梗塞を評価して、認知機能テストをおこない認知症を判別した。


次のことがわかった。

・21%であらたに梗塞ができた。

・梗塞リスクは女性よりも男性で高かった。

・梗塞ができると急速に認知機能が衰えて 認知症リスクは2倍に達した。

・皮質下に梗塞があるとき認知症リスクがもっとも高かった。

5.2年間に20%以上の高齢者の脳にあらたに梗塞ができた。梗塞ができると認知機能が急速に低下した。皮質や小脳よりも皮質下の梗塞で認知症になりやすかったことから、太い血管の塞栓よりも小血管障害のほうが認知症はおきやすいと考えられた、


というおはなし。

図:皮質 皮質下 小脳の梗塞

感想:

皮質梗塞のほうが頭おかしくなるかとおもってたけど違うんだな。

2017年8月6日

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない


Efficacy and Safety of Very Early Mobilization in Patients with Acute Stroke: A Systematic Review and Meta-analysis.
2017  7月  中国

脳卒中の発症から1-2日以内に患者をベッドから引きずり出し、座位や立位 歩行などをおこなわせる「超早期リハビリ」の効果はいまだ明らかでない。

これまでの研究成果をまとめてみたそうな。


関係する信頼性の高い研究のみを厳選し、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2803人をふくむ9つのランダム化比較試験がみつかった。

・超早期リハビリは3ヶ月後の良好な回復とは関連がなく、

・動かないことが原因の合併症が減るわけでもなかった。

・また 死亡リスクの上昇や神経症状の悪化、転倒での傷害とは関連がなかった。

脳卒中の発症から24-48時間以内におこなう超早期リハビリにはなんのベネフィットもなかった、


というおはなし。

図:

感想:

あとは信仰のもんだいかな。

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2017年8月5日

脳卒中で突然死 若年者のばあい


Sudden unexpected death caused by stroke: A nationwide study among children and young adults in Denmark.
2017  7月  デンマーク

脳卒中は若年成人の死亡原因5位であり、非心臓の突然死ではもっともよくある原因でもある。

50歳未満の脳卒中による突然死の特徴をしらべてみたそうな。


デンマークの死亡者データベースから、検死解剖がおこなわれ死亡原因のあきらかな1-49歳の事例を抽出 解析したとこころ、


次のことがわかった。

・10年間で1698人の突然死があり、その3%(52人)が脳卒中によるもので、

・男性が多く(56%)年齢中央値は33だった。

・1-49歳の脳卒中突然死の発生率は10万人あたり年間0.19人だった。

・出血性の脳卒中が94%を占め、そのうち63%はくも膜下出血だった。

・33%(17人)には頭痛などの症状があり生前 病院を訪れたが、脳卒中が疑われたのは6%(1人)のみだった。

50歳未満の脳卒中突然死では脳出血がほとんどだった。1-35歳では脳内出血がおおく、36-49歳にはくも膜下出血によるものがおおかった。突然死のまえには頭痛や手足のしびれなどの症状が高頻度にあらわれていた、


というおはなし。
図:脳卒中で突然死

感想:

若々しくて元気だからこそ「突然」という言葉が意味をもつ。だからぎゃくに ポックリ逝きたければ若者のように振る舞えばよいのでは。

2017年8月4日

ローラーコースター乗ったこどもが翌日に脳卒中で入院


Middle Cerebral Artery Stroke as Amusement Park Injury: Case Report and Review of the Literature.
2017  7月  アメリカ

子供の脳卒中はまれで原因はさまざま。これまで 遊園地のあとに脳卒中になった子供のケースは20例が報告されているのみである。

あたらしい例がみつかったそうな。


・12歳の少年が救急搬送されてきた。

・突然の頭痛と顔のゆがみ、ことばのもつれ、右足の麻痺があった。

・検査の結果、左脳に梗塞がみつかった。

・抗凝固薬治療を受けた後リハビリ病院へ転院し、3週間後には後遺症もなく回復できた。

・発症の前日に遊園地でローラーコースターに乗ったことが原因と考えられた。

・これまでの報告にも遊園地での子供の脳動脈解離の事例があった。

ローラーコースターが原因と考えられる子供の脳卒中はこれまでにも報告されている。未成熟な子供の頚椎は急激な加速度に弱いことをもっと周知することが必要だろう、


というおはなし。
図:ジェットコースターで脳卒中

感想:

ジェットコースターは企業の商標で、一般名は ローラーコースターなんだな、、
子供をジェットコースターに乗せると脳卒中になっちゃうかもよ

2017年8月3日

マルチビタミンを飲む女性は脳卒中にならない?


Multivitamin use and risk of stroke incidence and mortality amongst women.
2017  7月  アメリカ

アメリカの成人 3人に1人は定期的にマルチビタミン・サプリメントを摂っていて とくに女性でおおい。

マルチビタミンの脳卒中予防効果についてはいまだ結論がでていない。

女性に限定してマルチビタミンの脳卒中の発生率 死亡率への影響を大規模にしらべてみたそうな。


看護師健康調査から34-59歳の86142人を選び、食事内容、マルチビタミンの使用、健康状態を2年毎に32年間フォローした。


次のことがわかった。
・この間に3615人の脳卒中があり、758人が死亡した。

・マルチビタミンの使用は、非使用者や長期使用者、非健康食の者にくらべ脳卒中リスクは低下しなかった。

・脳梗塞や脳出血の死亡率とも関連がなかった。

女性のばあいマルチビタミンをたとえ長期に使用していても脳卒中の発生 死亡リスクの低下にはつながらなかった、


というおはなし。
図:マルチビタミンと脳卒中

感想:

男性限定だとこういう↓報告があった。
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる

2017年8月2日

リハビリにクロスエデュケーションを使うべき理由


Clinician perspectives on cross-education in stroke rehabilitation.
2017  7月  カナダ

脳卒中患者のおおくが上肢に麻痺をのこして生活の質の低下に悩んでいる。

これにたいして CI療法や電気刺激、メンタルイメージ、バーチャルリアリティー、ミラーセラピー、ロボティクスなどの治療法が提唱されてはいるが、どれも制限がおおく適応になる者はわずかである。

たとえば CI療法では手首が20度 指が10度以上開くことのできる患者以外は相手にされない。

さいきん、片方の手で訓練した成果がもういっぽうの手に移る「クロスエデュケーション」が重度の上肢麻痺患者にも耐えうる治療法として注目されている。いくつかの研究では健常者よりも脳卒中患者でよりおおきなクロスエデュケーション効果を得られることもわかってきた。

そこでクロスエデュケーションをリハビリ現場にもちこむにあたって何が問題になりそうかをセラピストたちに議論させてみたそうな。


救急病院やリハビリ病院から経験年数0-30年の作業療法士23人、理学療法士2人をあつめて、

*従来の上肢麻痺患者のリハビリ訓練法
*クロスエデュケーションの理解
*クロスエデュケーションの可能性と問題点
について議論させ、その内容を定性的に分析した。


次のようになった。

・全体をとおして浮かび上がったテーマは「受け入れがたいけど有望」である。

・これには3つの段階があって、
(1)従来のリハビリは麻痺手を強制使用させる考え方にもとづいている。
(2)麻痺が重度で強制しようのない患者には従来法は無力である。
(3)クロスエデュケーションは従来法に簡単に追加できる。
・健常な手を訓練するクロスエデュケーションについて患者や家族、医療関係者に理解を得るための資料が必要と考えられた。

麻痺手のために健常手を訓練するクロスエデュケーションは重症麻痺の患者に適している。従来法を置き換えるものではなく補助的な治療法である。一見して従来法とは矛盾した考え方がもとになっているため関係者の理解を促す資料が必要だろう、


というおはなし。

図:クロスエデュケーションをリハビリで使うには

感想:

クロスエデュケーション研究には120年の歴史がある。その効果はたぶん本物なんだろう。

ならば、健常な手に袋をかぶせて2週間使えない状態にするCI療法はクロスエデュケーション的には最凶最悪の治療法といえるだろう。共存はむりだな。

[クロスエデュケーション OR 両側性転移]の関連記事

2017年8月1日

脳動脈瘤があるのに酒をやめなかった人の末路


Alcohol Consumption and Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
2017  7月  アメリカ

飲酒はくも膜下出血のリスク要因の1つと言われているが大規模な調査はまだない。

そこで飲酒量と脳動脈瘤の破裂リスク、禁酒の効果を大規模にしらべてみたそうな。


1990-2016の患者記録から脳動脈瘤を持つ患者4701人を抽出してアルコールの摂取頻度と脳動脈瘤の破裂との関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・酒を飲まない者に比べ現在飲酒者はあきらかに脳動脈瘤破裂リスクが高かった。

・かつては飲酒していたが現在やめている者には有意なリスク上昇はなかった。

・現在飲酒者は飲む量が増えるほど破裂リスクが高まり、禁酒した者は過去の飲酒量との関連はなかった。

現時点での飲酒習慣とその量が脳動脈瘤の破裂に強く関連していた。飲酒をやめた者についてはこの限りではなかった。脳動脈瘤のある患者は飲酒をすぐにやめるべきである、


というおはなし。
図:飲酒量と脳動脈瘤破裂

感想:

あれいらい 酒は料理にしかつかわない。舐めることすらしない。

2017年7月31日

失語症と構音障害 3ヶ月後に治ってる割合


Aphasia and Dysarthria in Acute Stroke: Recovery and Functional Outcome.
2017  7月  イギリス

脳卒中のあとの失語症や構音障害は患者の社会参加や生活の質、復職をむつかしくする原因でもある。

とくに構音障害についてはその回復過程の研究はおおくない。

失語症と構音障害の3ヶ月後の回復スピードと生活自立度への影響をしらべてみたそうな。


脳卒中患者データベースから8904人を抽出して NIHSSの失語症と構音障害スコアが1以上の者の3ヶ月後の回復状況をしらべたところ、


次のことがわかった。

・入院時、45.4%が失語症、69.5%が構音障害で、29.6%が両方だった。

・3ヶ月時点で脳卒中患者の17.9%で失語症が、40.1%で構音障害が治り、

・23.7%で失語症が、27%で構音障害がつづいていた。

・失語症が3ヶ月時点でも続いていると生活自立度も低かった。

失語症と構音障害は3ヶ月時点でも脳卒中患者の4分の1で続いていて、生活自立度の低下につながっていた、


というおはなし。
図:構音障害の回復

感想:

右脳の出血だけど ことばが出にくいことが いまだにある。だからゆっくりとはなすようにしている。

2017年7月30日

くも膜下出血の頭痛は最短何時間で消えるのか?


The initial time-course of headache in patients with spontaneous subarachnoid hemorrhage.
2017  7月  オランダ

激しい頭痛で入院してきた患者にはくも膜下出血の可能性が考えられる。しかしこの頭痛がすぐに消えてしまった場合、くも膜下出血ではなかった、、と言ってよいのだろうか?

くも膜下出血患者の頭痛が最短何時間で消えることがあるのか確かめてみたそうな。


激しい頭痛の発症から48時間以内に入院して、
CTや髄液検査でくも膜下出血とわかった患者のうち、
意識清明で神経症状のない患者106人について
頭痛の強さスケール"Numerical Rating Scale "が0または3を下回るに要した時間を確認したところ、


次のようになった。

・すべての患者に鎮痛剤が与えられていた。

・発症から48時間以内に頭痛スケールがゼロになった患者が9人、3を下回った患者は22人いた。

・頭痛スケールゼロまでの最短時間は10時間で、その患者は発症2時間半で鎮痛剤をとっていた。

鎮痛剤をとったくも膜下出血患者は、48時間以内におよそ10%で頭痛が消えた。すぐに頭痛が消えたからといってくも膜下出血の可能性が消えるわけでもないことがわかった、



というおはなし。
図:くも膜下出血の頭痛スケールと発症からの時間

感想:

そして、
頭痛も消えて何の神経症状もない患者に「このままにしておくと再出血で死にますよ」と脅して必要性の明らかでないクリッピング手術を受けさせるところまでがデフォ。

2017年7月29日

脳卒中が軽かったとしても安心できない理由


Long-term morbidity and mortality in patients without early complications after stroke or transient ischemic attack
2017  7月  カナダ

脳卒中の死亡や再発は90日内の短期に起こることがおおいため、長期の影響をじゅうぶんなサンプル数でしらべた研究がすくない。

そこで発症後 順調に回復して退院できた患者の長期的な経過を大規模にしらべてみたそうな。


脳梗塞またはTIAで入院して90日間 再発もなく退院できた26366人の患者記録を抽出し、年齢 性別 収入 居住地のいっちする一般人263660人と比較 解析したところ、


次のことがわかった。

・死亡率は 1年後2.4倍、3年後2.2倍、5年後2.1倍で、

・再発率は 順に 6.8倍→5.6倍→5.1倍 だった。

・5年間で35.7%の患者が死亡、再発、施設への再入院を経験した。

脳卒中のあと何事もなく順調に回復 退院できたとしても 再発や死亡の可能性が高い状態が長く続く、


というおはなし。
図:脳卒中の長期予後

感想:

だから生活習慣をかえて病院にあししげく通い薬をもらいましょう、ってことなんだけど 、、
それでいいのか?

自分は脳卒中で死にやすいという特性が明らかになっただけで、これは取り繕えるものなのかね。

2017年7月28日

亜急性期患者へのトレッドミル訓練の効果


Treadmill training to improve mobility for people with sub-acute stroke: a phase II feasibility randomized controlled trial.
2017  7月  イギリス

脳卒中患者へのトレッドミル訓練は自立歩行の可能な者については歩行速度と持久力の向上が確認されている。

歩行に補助が必要な患者でのトレッドミル訓練の効果についてしらべてみたそうな。


発症から3ヶ月以内で歩行補助の要る脳卒中患者77人を2グループにわけ、いっぽうにはトレッドミル訓練を週2x8週間ほどこした。

もういっぽうには通常の歩行訓練を施し、両グループで総訓練時間が等しくなるよう調整した。

歩行能力 生活自立度を6ヶ月後までフォローした。


次のようになった。
・有害事象は2例のみでほとんどが訓練を完遂した。

・両グループ間で歩行能力の成果に明らかな差は生じなかった。

・たとえば移動能力を評価する "Rivermead Mobility Index"スコアの中央値は、8週間後 5 vs. 6、6ヶ月後 8.5 vs. 8 だった。

・トレッドミル訓練の強度は弱かった。

脳卒中急性期で歩行に補助の要る患者へのトレッドミル訓練は、可能ではあったが通常訓練にくらべ優れた成果はなかった、


というおはなし。
図:トレッドミル訓練の効果

感想:

トレッドミルには 施設の専門性と設備投資を象徴する意義がある。高い料金を患者に納得させるためのツールであり効果は二の次と考える。

代替手段はいくらでもあるし、じっさい入院中に誰かが使っているシーンを一度もみなかった。

2017年7月27日

脳卒中がらみの認知症が減ってる理由


Decreasing prevalence of dementia in 85-year olds examined 22 years apart: the influence of education and stroke
2017  7月  スウェーデン

認知症のおおくは80歳以降におきる。認知症の発生率は過去40年間 低下傾向にあるというが有病率についてはさだかでない。

そこで20年前と現在とで認知症の有病率の変化、および認知症の原因となる脳血管障害 そして教育との関連を比べてみたそうな。


1986年と2008年の各時点で85歳だった計1065人について 同じ方法で認知症検査を行い 脳卒中や教育歴との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・認知症の有病率は 29.8%→21.7%になり、おもに血管性認知症が減少していた。

・基礎教育以上の割合は 25.2%→57.7% に増加。

・脳卒中経験は 20%→30%に増えたが、脳卒中による認知症の割合は低下した。

・教育歴や脳卒中、出生時期との交互作用が 認知症の有病率につよく関連していた。

認知症有病率の低下は教育の高度化による認知予備能の強化と 脳卒中治療レベルの向上で説明ができる、

というおはなし。
図:

感想:

脳も筋肉みたいなもので鍛えて備えることができるのかもな。

2017年7月26日

くも膜下出血で突然死する人の特徴


Risk Factors of Sudden Death From Subarachnoid Hemorrhage
2017  7月  フィンランド

くも膜下出血患者の4人に1人は入院することなく突然に死亡するといわれている。
ところがくも膜下出血についての研究のおおくは入院患者について行われているため患者選択のかたよりが避けられない。

フィンランドでは突然死にはすべて検死解剖が義務付けられている。そこで くも膜下出血が原因で突然死した者と入院した患者とのリスク要因の違いをしらべてみたそうな。


フィンランド人65521人を20年ほどフォローした研究記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・くも膜下出血で98人が突然死して445人が入院した。

・喫煙量が増えるにしたがい入院よりも突然死するリスクのほうが高くなった。

・同様に収縮期血圧が高くなるほど突然死リスクが上がった。

・一人暮らしは突然死リスクが高く、入院のリスクは上がらなかった。

・50歳未満で標準血圧 非喫煙者のくも膜下出血での突然死例はなかった。

くも膜下出血の突然死リスクは喫煙や高血圧、一人暮らしの者で高かった。50歳未満 標準血圧 非喫煙者での突然死は極めて稀といえる


というおはなし。
図:くも膜下出血で突然死 血圧と喫煙
右:突然死、実線:喫煙、黒:高血圧


感想:

病院へ間に合わなくて死亡するのではなくて、それまで動脈瘤はおろか何の心血管症状もなかった元気なひとがいきなりくも膜下出血で死ぬんだって。

ポックリ逝きたければ ひとり暮らしで高血圧は放置、たばこを吸いながらその時を待て ということ。

2017年7月25日

脳卒中で身の回りのことができないと不幸なの?


Activity limitations and subjective well-being after stroke
2017  7月  アメリカ

脳卒中患者の回復度の研究のおおくは機能障害に着目したもので 主観的な幸福にかんするものは少ない。

日常生活動作上の制限と主観的幸福、および影響する要因についてしらべてみたそうな。


65歳以上の脳卒中経験者738人について、

主観的幸福度を 感情(愉快、退屈、元気、心配)と自己実現(人生の目的、自己受容、環境コントロール)の7項目で評価した。

介助の必要な日常生活動作を11項目(食事、入浴、トイレ、着替え、外出、ベッドからの移動、洗濯、買い物、料理、支払い)から選び関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・日常生活動作上の制限や身体能力と主観的幸福度との相関は弱く、関連要因を考慮に入れるともはや有意な相関ではなくなった。

・疼痛、うつ、社会参加に問題があると主観的幸福度が低かった。

日常生活動作上の制限は脳卒中経験者の主観的幸福に影響しなかった、


というおはなし。
図:日常生活動作11項目

感想:

"幸せ" はまったくの個人的体験であって、他人にはうかがい知れないんだな。

全身がうごかなくてもQoLは高いってはなしを思い出した。↓
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、

2017年7月24日

脳卒中経験者が活動している時間と死亡率


Accelerometer-Determined Physical Activity and All-Cause Mortality in a National Prospective Cohort Study of Adults Post-Acute Stroke.
2017  7月  アメリカ

脳卒中は虚血性心疾患に次ぐ世界第2位の死亡原因である。また 50歳以前に脳卒中になった男女の半数以上がその後8年間に死亡している。

運動不足が脳卒中の主な要因でもあることから、脳卒中経験者の日々の身体を動かしている時間を加速度計で客観的に測定し、死亡率との関連をしらべてみたそうな。


脳卒中経験者184人について加速度計を4日間装着させて1日あたりの身体を動かしている時間(分)を推定した。

そして6年前後フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に53人が死亡した。

・身体を動かしている時間が1日あたり60分間増えると総死亡率が28%低下した。

脳卒中経験者は身体を動かしている時間が長いほど死亡する可能性が低下した、



というおはなし。
図:

感想:

「運動不足」ってあまりにもシンプルすぎて見過ごされてしまうけど、じつはいちばんの問題なんだな。

[運動不足]の関連記事

2017年7月23日

脳卒中の高齢女性に夜這いをかけて逮捕された男のはなし


Cleveland man accused of sexually assaulting stroke victim
2017  7月  アメリカ

脳卒中で介助がひつような69歳の女性が 58歳男性に性的暴行を加えられたというニュース。

・ダーウィン・マッキニー(58)は、性行為強要の罪でクリーブランド刑務所で裁判を待っている。

・事件は木曜日の午前0時頃。

・女性は13年前に脳卒中を患い自身の世話ができず、知能レベルもやや退行していた。

・家族の友人でもあるマッキニーは彼女の部屋に忍び込み、眠りから起こすと「静かにするように」といった。

・そして彼女のおむつを下ろし、性的暴行を加えた。

・これに気づいた家族が911に連絡して彼は逮捕された。

・家族が報復を恐れているため 検察は彼をしばらく釈放しないよう要求している。

・彼に犯罪歴はなかった。


というおはなし。
図:クリーブランド警察

感想:

前科はなく、深夜の犯行、周囲への気遣いもあることから彼は単なる基地外ではないだろう。フケ専の純愛だったのかもしれない。

一歩間違えばレイプ犯として人生を棒に振るリスクを負いながら 彼は夜這いにおよんだ。

人生をかける相手を選ぶに際して、この女性の「脳卒中経験」はネガティブ要素にならなかった。
この点にオレはおどろいた。

脳卒中やると人としてのパフォーマンスがいろいろと低下するものだから おのずと劣等感を抱くようになる。

ところが他人からみると たとえおむつをしていたとしてもどうでもいいことなのかも、、、
と気づかされた。

2017年7月22日

コクランレビュー:作業療法のエビデンス信用できない


Occupational therapy for adults with problems in activities of daily living after stroke.
2017  7月  イギリス

脳卒中患者への作業療法のおもな目的は、日常生活動作(食事、移動、手洗い、着替えなど)の改善にある。

作業療法がほんとうに生活に役立つものかどうか、これまでの研究をまとめてみたそうな。


関連する信頼性の高い研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者994人をふくむ9の研究がみつかった。

・作業療法は日常生活動作を改善し能力の低下を防いだ。

・作業療法が死亡率や要介護率を下げ 精神的苦悩を改善するという成果はなかった。

・しかし被験者の選び方や実験方法、測定手法にかたよりが強く、

・作業療法士と被験者いずれにも介入意図が隠せていない低質なエビデンスばかりだった。

作業療法が脳卒中患者の日常生活動作を改善できるとする主張には低レベルのエビデンスしかみつからなかった。これでは自信をもって患者に勧められない


というおはなし。
図:作業療法

感想:

患者はそれほどバカではないので療法士さんが意図し期待するところはバレバレである。

他にたよれる人もいないので療法士さんの気持ちをそんたく(忖度)して良くなった振りをする。

低質なエビデンスが量産される。

そういうことだとおもう。

2017年7月21日

脳梗塞にいいと評判の2つのツボの位置と効き目


Resting-state Functional Magnetic Resonance Imaging Analysis of Brain Functional Activity in Rats with Ischemic Stroke Treated by Electro-acupuncture.
2017  7月  中国

脳卒中の鍼治療には 2つのツボ "足三里" と"曲池" が良いとする研究がいくつかある。

この効果を脳機能MRIも使ってたしかめてみたそうな。


ネズミを人為的に脳虚血にした24時間後、足三里(ST36)と曲池(LI11)を電気鍼刺激した。

これを1日30分間x7日間施行したのち、

梗塞の体積を測り、安静時fMRIから脳の活動を解析した。


次のようになった。

・1週間後、鍼刺激グループの神経症状と梗塞の大きさはあきらかに改善していた。

・鍼刺激の前は広範囲に低下していた脳活動が、鍼刺激のあと 特に運動野、視床、線条体で再び活発になっていた。

脳虚血ネズミの足三里と曲池への鍼刺激で、運動関連の脳機能が再び活発になった、


というおはなし。
図:鍼刺激による脳梗塞治療効果

感想:

人間の場合のツボの位置は、それぞれ 
足三里(←動画リンク)、 曲池(←動画リンク)


脳卒中患者に鍼を打っている最中の脳活動を観察してみた

【ここを押せ】脳梗塞が治るツボを発見!

2017年7月20日

無症候性でも頸動脈の狭窄は認知機能障害のもと


Asymptomatic carotid stenosis is associated with cognitive impairment.
2017  7月  アメリカ

高血圧や冠動脈疾患、脳卒中は血管性認知障害の原因となりうる。

無症候性の頸動脈狭窄と認知障害との関連をしらべてみたそうな。


無症候性の頸動脈狭窄(≧50%)患者82人と狭窄のない62人について、複数の認知機能検査をおこない、超音波検査機で狭窄率や脳循環動態を測定したところ、


次のことがわかった。
・両グループで血管リスク因子、教育歴、うつ症状などに差はなかった。

・狭窄グループでは認知機能スコアが低く、特に学習、記憶、運動、処理速度、実行機能が劣っていた。

・狭窄グループの49.4%の患者は認知機能の少なくとも2項目で障害があった。

・脳循環予備能の低い患者は認知機能ぜんぱんでスコアが低かった。

・狭窄率との関連は見られなかった。

無症候性の頸動脈狭窄は認知機能障害と関連があった。狭窄患者の49.4%に複数項目の認知機能障害がみられた。脳の循環予備能や血流量の低下が背景にあると考えられた、



というおはなし。
図:頸動脈の狭窄検査

感想:

これ↓おもいだした。
頸動脈が狭窄すると脳卒中のきっかけになるというけれど、それ以前に頭がすこし弱くなるらしい

2017年7月19日

イチョウ葉エキスが脳梗塞に効く理由


Ginkgolide B Modulates BDNF Expression in Acute Ischemic Stroke.
2017  7月  中国

イチョウ葉のエキスは中国で5000年前から脳卒中の治療に用いられてきた。その主成分であるギンコライドBには血栓や炎症を防ぐ効果があることがわかっている。

ギンコライドBの脳梗塞治療効果をBDNF(脳由来神経栄養因子)をふくめしらべてみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミに60分後ギンコライドB(~4mg/kg)を与えた。

72時間後の梗塞の大きさ、BDNF、細胞死関連たんぱく質を測定したところ、


次のことがわかった。

・ギンコライドBグループでは神経症状、浮腫、梗塞体積があきらかに減少した。

・さらに細胞死を抑制するたんぱく質が増え、促進するたんぱく質は減少した。

・またBDNFも増加していた。

ギンコライドBが脳虚血からの障害の程度をやわらげていた。BDNFを増やし細胞死を抑えるメカニズムが考えられた、


というおはなし。

図:

感想:

"イチョウ葉エキスのサプリメント" いっぱいあるね。

2017年7月18日

心房細動で脳卒中 抗凝固薬の再発予防力


Secondary Versus Primary Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
2017  7月  イギリス

心房細動は脳梗塞の3分の1、心原性塞栓症の80%以上に関係している。

心房細動による脳卒中は抗凝固薬で予防できるとかんがえられていて、ガイドラインでは心房細動のほぼ全員にすすめることになっている。

心房細動と脳卒中経験の有無をふくめた抗凝固薬治療の効果を検証してみたそうな。


ダーリントンの住民105000人ぶんの2013の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・2.15%に心房細動があり、そのうち18.9%に脳卒中経験があった。

・脳卒中経験者のうちガイドラインに則った抗凝固薬治療は56.3%でおこなわれ、脳卒中経験のない者では49.5%だった。

・1年間の脳卒中発生率は、脳卒中経験ありで8.6%、脳卒中経験無しで1.6%だった。

・総死亡率はおなじく 順に 9.8%、9.4%だった。

・ガイドラインとおりの抗凝固薬治療をうけていないばあい、一次予防、二次予防、死亡のリスクがいずれも同程度に高くなった。

心房細動患者のうちガイドラインとおりに抗凝固薬治療をうけている者は50%程度だった。ガイドラインに則った抗凝固薬治療で脳卒中の一次予防、二次予防や死亡のリスクをあきらかに抑えることができた、


というおはなし。
図:心房細動で脳卒中経験と経口抗凝血薬

感想:

この研究以前にも抗凝固薬の脳卒中予防エビデンスは数多くある。
けど、現場では半数にしか処方していない。

「その理由はわからない」とあった。
半数ものケースで控えてるんだからはっきりとした心当たりはあるんだろな、、

2017年7月17日

脳梗塞の再発率と予防薬の効果


One-Year Incidence, Time Trends, and Predictors of Recurrent Ischemic Stroke in Sweden From 1998 to 2010
2017  7月  スウェーデン

スウェーデンでは脳卒中患者の4人に1人が再発である。

再発予防のための投薬治療が普及してきてはいるがその効果は必ずしもあきらかではない。

そこで脳梗塞の発生率の傾向と再発予防効果についてしらべてみたそうな。


1998-2009の脳梗塞患者の記録20万人分(平均年齢76)を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳梗塞患者全体の11.3%が発症から1年以内の再発だった。

・1998から2009に1年再発率は15.0%→12.0%に低下し、

・同性同年齢の一般人では脳梗塞発生率は0.7%→0.4%に低下していた。

・抗凝固薬、脂質降下薬、抗血小板薬の使用者は再発リスクが低かった。

脳梗塞再発率はこの10年で低下傾向にあった。再発予防薬が役に立っているようだ、


というおはなし。
図:1年間の脳梗塞再発率の傾向

感想:

βブロッカーと利尿薬は再発リスク↑ なんだって。

2017年7月16日

レズ、ゲイ、バイセクシャルは脳卒中になりやすいの?


Chronic Health Conditions and Key Health Indicators Among Lesbian, Gay, and Bisexual Older US Adults, 2013-2014.
2017  7月  アメリカ

レズ、ゲイ、バイセクシャル(LGB)の高齢者がなりやすい慢性病の種類についてしらべてみたそうな。


2013の国民健康調査のデータを使って50歳以上の性的指向と慢性病との関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・LGBの高齢者は異性愛者よりも免疫系が弱く、腰痛や頸痛になやんでいた。

・高齢女性の性的少数者は関節炎、喘息、心臓発作、脳卒中がおおく 健康状態がよくなかった。

・高齢男性の性的少数者は狭心症やガンがおおかった。

・身体的 精神的障害の頻度も高かった。

レズ、ゲイ、バイセクシャルの高齢者には脳卒中など心血管疾患のリスクも高いと考えられた、


というおはなし。
図:LGBTの旗

感想:

こどもの頃レインボーマンを夢中になってみてた。お願いだから虹のイメージをこわさないでほしい。

2017年7月15日

脳卒中を防ぐ抗酸化ビタミンの種類と日本人


Dietary intake of antioxidant vitamins and risk of stroke: the Japan Public Health Center-based Prospective Study.
2017  7月  日本

抗酸化作用をもつビタミン(α,βカロテン、ビタミンC,E)は脳卒中など心血管疾患の予防効果が期待されてはいるものの肯定する報告はおおくない。

日本人を対象に これを大規模にたしかめてみたそうな。


45-74歳の82044人について、1995に食事調査を行い2009までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に3541の脳卒中(うち2138は脳梗塞)があった。

・全体として 食事から摂るαカロテン、βカロテン、ビタミンC、ビタミンEと脳卒中発生率には相関はなかった。

・しかし現在喫煙者をわけて解析したところ、非喫煙者でビタミンCを多く摂る者の脳卒中発生率は0.81倍になり、

・さらに脳梗塞に限定すると0.76倍になった。

ビタミンCを食事から多く摂る非喫煙者は脳卒中になりにくかった、


というおはなし。
図:ビタミンのもと

感想:

喫煙するとビタミンCを大量に消費してしまって 脳卒中予防にまでまわらないんだって。

[ビタミンC]の関連記事

2017年7月14日

身体が弱った高齢者も血圧をさげるべきなのか?


Home blood pressure predicts stroke incidence among older adults with impaired physical function: the Ohasama study.
2017  7月  日本

年齢が高くなると血圧もあがる。高齢者の血圧を積極的にさげるべきかどうかについては いまだ結論がでていない。

たとえば身体機能の低下した高齢者は 脳や臓器へ血液を送り出す能力も低下していると考えられることから、血圧は高いほうが脳卒中など有害事象が少ないとする報告が少なからずある。

これを日本人について大規模に調べてみたそうな。


岩手県大迫(おおはさま)町の住人で平均年齢69、501人を11年半フォローしたところ、


次のことがわかった。
・身体機能が正常な者は349人で、機能低下した者は152人だった。

・この間に47人が脳卒中になった。

・自宅で測定した血圧(収縮期と拡張期)が高くなると脳卒中リスクも上昇した。

・職場で測定した血圧との関連はよわかった。

・これらの関連は身体機能の低下度によらなかった。

・血圧と総死亡率との関連も確認できなかった。

高齢者は 自宅測定の血圧が高くなると身体機能の低下があっても脳卒中リスクは上昇した、


というおはなし。
図:

感想:

高齢者の血圧をさげると脳卒中にはならなくても ガンや認知症が増えるってテレビによく出る有名な大学教授がいってた。

2017年7月13日

両眼視野闘争への脳卒中の影響


Binocular rivalry after right-hemisphere stroke: Effects of attention impairment on perceptual dominance patterns.
2017  6月  ノルウェー

両眼視野闘争(Binocular rivalry)は左右の目にそれぞれ異なる画像を提示したときに 認識される画像はどちらかいっぽうのみで、その選択が数秒で勝手に入れ替わる現象をさす。

これまでおおくの研究がなされてきたが そのメカニズムはよくわかっていない。

そこで 脳卒中で注意力に問題が生じているであろう患者について両眼視野闘争がどう影響されるかを確かめてみたそうな。


脳卒中で右脳損傷の患者26人と健常者26人について アナグリフを用いて両眼視野闘争実験をおこなったところ、


次のようになった。

・画像認識が切り替わる頻度は患者で明らかに低く、行動性無視検査の結果とよく相関していた。

・縞の細かい画像のときに認識頻度が優勢になったことから右脳損傷が低空間周波数の知覚を障害していると考えられた。

・両グループともに右目画像の認識頻度が高く、特に患者で顕著だった。

右脳損傷患者の注意力障害が両眼視野闘争に影響していると考えられた。左脳損傷患者でも実験してみたい、


というおはなし。
図:両眼視野闘争

感想:

両眼視野闘争しらなかったけど、この30秒ビデオで寄り目したら体験できた。

2017年7月12日

脳卒中予防に適したチョコレートの量は


Chocolate Consumption and Risk of Coronary Heart Disease, Stroke, and Diabetes: A Meta-Analysis of Prospective Studies.
2017  7月  中国

これまでの数々の研究からチョコレートが酸化ストレスや炎症を防ぎ、血圧や血管拡張機能、インスリン感受性を改善することがわかってきた。

脳卒中など心血管疾患との関連についてはどうか、まとめてみたそうな。


関連する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者50万人を5-16年間フォローした14の研究がみつかった。

・チョコレートを多く摂ると脳卒中リスクは0.84倍になり、冠動脈疾患、糖尿病のリスクも低下した。

・1回30グラムとして、週に3回以上摂ると脳卒中予防効果が得られた。

・糖尿病予防効果は週に2回摂取時がピークで 週6回を超えると逆効果だった。

チョコレートの摂取は脳卒中や冠動脈疾患、糖尿病のリスクを低下させた。週に6回以下の摂取が適当と考えられた、


というおはなし。
図:チョコレートと脳卒中リスク

感想:

数ヶ月まえのこれ↓ おもいだした。
チョコレートと日本人の脳卒中

2017年7月11日

脳内出血患者が3ヶ月以降も延々と回復し続けるしくみ


Functional Improvement Among Intracerebral Hemorrhage (ICH) Survivors up to 12 Months Post-injury.
2017  7月  アメリカ

脳卒中患者の生活自立度を評価する基準にはおもに、
"modified Rankin Scale"(mRS: 0[健常]-6[死亡]の7段階のみ) と
"Barthel Index"(BI: 10項目について0-100点)がある。

通常は mRSが用いられることがおおい。いっぽう
脳内出血患者の37.7%は100日時点で機能的に自立(BI≧95)するという報告もある。

脳内出血患者を長期にフォローするときにどちらの基準がより評価に適しているものかしらべてみたそうな。


脳内出血患者173人について退院時、3、6、12ヶ月後の生活自立度をmRSとBIで評価 比較したところ、


次のようになった。

・mRSは退院して間もない時期には大きく変化したが、3ヶ月を過ぎると変化がほとんどなくなった。

・BIは退院時から12ヶ月後までにわたり常にその変化がおおきく反映されていた。

3ヶ月以降のわずかな改善度の変化は BIのほうがmRSよりも感度良く捉えていて、12ヶ月後まで改善が続いているように見えた、


というおはなし。
図:脳内出血 mRS vs BI

感想:

ちいさな研究だと採点者は何度も同じ患者と顔を合わせる。

やがて『この患者さんはいつもがんばってるな、、ちょっと盛っとくか』という気持ちになる。
どっちが盛りやすいか といったら mRSよりも断然BI。

なぜなら1点あたりの重みが小さいほうが加点に際して気が楽だから。
そしてこの繰り返しでスコアは伸び続ける。

よく『○○療法は機能的には改善するが日常生活動作には反映しない、、』というのも おなじ背景だとおもう。↓↓↓
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

2017年7月10日

ふだん中性脂肪が高いひとの脳梗塞からの回復力


High nonfasting triglyceride concentrations predict good outcome following acute ischaemic stroke.
2017  7月  韓国

血液中の中性脂肪が高いと脳梗塞になりやすい。いっぽうで空腹時の中性脂肪が高い脳梗塞患者は回復が良いことがわかっている。

非空腹時の中性脂肪が高いときの脳梗塞回復度についてしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者の入院時の中性脂肪値を非空腹時とし、翌日の測定を空腹時中性脂肪値とした。

3ヶ月後の生活自立度スコアを比較したところ、


次のことがわかった。
・平均年齢67、556人の脳梗塞患者記録を解析した。

・空腹時 非空腹時ともに中性脂肪が高いほうが3ヶ月後の死亡率は低く、

・他の関連要因によらず 生活自立度スコアも良好だった。

空腹時および非空腹時の中性脂肪値が高い脳梗塞患者の回復度はとても良かった、


というおはなし。
図:非空腹時中性脂肪と脳卒中回復度

感想:

中性脂肪やコレステロールは目のかたきにされることがおおいけど ほんとはいいヤツなのかも。

2017年7月9日

退院したばかりの脳卒中患者の過ごし方の内訳


Sleep Duration, Sedentary Behavior, Physical Activity, and Quality of Life after Inpatient Stroke Rehabilitation.
2017  6月  カナダ

脳卒中のあと運動不足が続くと心血管疾患のリスクがあがる。

リハビリから退院した脳卒中患者の1日の身体活動状況をくわしくしらべてみたそうな。


平均年齢64、発症から3.6ヶ月前後の自立歩行のできる脳卒中患者30人について、activPAL3という加速度計を装着させ7日間の活動状況を測定 解析したところ、


次のことがわかった。
・半数の患者が1日9時間を超える睡眠をとっていた。

・目が覚めている時間の74.8%は座っていて、17.9%が立位、7.3%が歩行に費やされていた。

・全歩行時間のうち1.1分間のみが中レベル(100歩/分)以上の歩行ペースだった。

・座っている時間、歩行時間、歩数は麻痺の左右側でおおきく異なり、性別や脳卒中の種類にはよらなかった。

・これらの測定値と発症からの時間には有意な関連はなかった。

脳卒中リハビリから退院したばかりの患者は睡眠時間が長く、起きている時間の4分の3を座って過ごし、歩行時間も極めて短かった、


というおはなし。
図:脳卒中患者の過ごし方チャート

感想:

わけもなく疲れて ものごとへの関心もなくなって うごく気がしないんだよ、、

2017年7月8日

左右不全片麻痺とはなんなのか


Functional recovery differences after stroke rehabilitation in patients with uni- or bilateral hemiparesis.
2017  7月  サウジアラビア

いっぱんに 脳卒中で左脳が損傷すると右半身に麻痺がおこり 右脳が損傷すると左半身が麻痺する。また 脳幹に損傷がおきると両側に麻痺がおきる。

これら麻痺の種類ごとに機能回復度に違いがあるものかしらべてみたそうな。


2008-2014サウジアラビアの脳卒中患者から右側麻痺208人、左側麻痺157人、両側麻痺18人の記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・入退院時の機能的自立度FIMスコアの差は、片側不全麻痺よりも左右不全片麻痺患者であきらかに大きかった。

脳卒中患者の機能回復度は麻痺の側によって異なっていた、


というおはなし。
図:左右の片側不全麻痺とFIM

感想:

"bilateral hemiparesis" って用語がふつうに使われていて違和感をもった。検索すると「左右不全片麻痺」と訳がでる。

「左右の片目」みたいな表現。PubMedにいれると7件しか当たらないからあまり気にしなくてよいのかも。

2017年7月7日

落ちたら死ぬかも アクロバティック・トレーニングとは


Motor Skills Training Enhances α-Amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic Acid Receptor Subunit mRNA Expression in the Ipsilateral Sensorimotor Cortex and Striatum of Rats Following Intracerebral Hemorrhage.
2017  6月  日本

脳内出血は脳卒中のなかでも死亡や重い障害が残る率がたかい。

この障害から回復させる方法として、失敗したら命にかかわるかもしれない環境で高度なスキルの要求される訓練を行う「アクロバティック・トレーニング」の有効性が動物実験で示されている。

この効果を分子レベルでたしかめてみたそうな。


人為的に脳内出血にしたネズミにアクロバティック・トレーニング(AT)を1日5回x3週間施した。

ATでは、落ちたら死んでしまいかねない足場を複数用意して歩かせた。

ATの有無、脳内出血の有無で4つのグループ分けを行った。

シナプス可塑性に寄与するたんぱく質PSD95に必要なAMPA受容体の遺伝子発現レベルを測定した。


次のことがわかった。
・脳内出血ネズミの前脚の感覚運動機能スコアは、ATありのほうがATなしよりもあきらかにすぐれていた。

・AMPA受容体のmRNAがATグループの同側の感覚運動野で有意に増えていた。

・脳内出血グループではAMPA受容体の4つのサブユニットのうちの2つが 同側の線条体で脳内出血なしグループよりも減少していた。

アクロバティック・トレーニングによる脳内出血からの運動機能の回復は シナプス伝達とその可塑的変化によるものかも、、


というおはなし。
図:アクロバティックトレーニング

感想:

○○ヨットスクールのような ときどき死人がでるほどの特別なリハビリコースをつくったら患者の家族に喜ばれるかな。

2017年7月6日

水素ガス療法の脳梗塞への効果


Hydrogen Gas Inhalation Treatment in Acute Cerebral Infarction: A Randomized Controlled Clinical Study on Safety and Neuroprotection.
2017  6月  日本

水素ガスの吸引による脳梗塞の治療効果は動物実験や臨床実験でいくつも報告されている。

ランダム化比較試験はまだなのでやってみたそうな。


急性脳梗塞患者50人を2グループにわけて一方には水素ガス(3%)の吸引を1回1時間x日に2回x7日間行い比較したところ、


次のようになった。
・酸素飽和度以外の点でバイタルサインに差はなかった。

・神経症状の重症度を示すNIHSSスコアは水素ガスグループであきらかに改善した。

・生活自立度のスコアも水素ガスグループがすぐれていた。

・MRIの相対信号強度にも改善傾向がみられた。

急性脳梗塞患者への水素ガス療法は安全で効果的だった、


というおはなし。
図:脳卒中の水素ガス療法の効果

感想:

水素○○療法をバカにする風潮を感じているのは自分だけだろうか、、?

[水素]の関連記事

2017年7月5日

脳神経の病気への音楽療法のはたらき


Music-based interventions in neurological rehabilitation.
2017  6月  フィンランド

The Lancet neurologyの脳神経疾患への音楽療法のレビューから。
図:脳卒中患者への音楽療法の脳内機序
・音楽刺激で脳血流が増加し 活動レベルに応じた可塑的変化が生じる。

・これは動物実験の刺激豊富な環境での回復過程に似ている。

・音楽が中脳辺縁系を刺激してドーパミンを介して報酬、覚醒、感情反応をもたらす。

・なかでも 側坐核がその中心としてはたらき 認知機能の改善にいたる。

・また  副交感神経が活発になりカテコラミンやサイトカインを介し交感神経は抑制されリラックス効果がもたらされる。

・その結果 ストレスホルモンのコルチゾールは減少し、心血管系への負担が低下する。

・リズムへの同期反応(Rhythmic Entrainment)は聴覚系と運動系の結合の強さを示す生まれ持った仕組みである。

・好きな音楽への特別な反応には 音楽記憶に関係の深い前帯状皮質、前頭前皮質の関与がかんがえられる、


というおはなし。

感想:

上の図がとても綺麗に見えたので関心をもった。

2017年7月4日

ランセット誌:脳卒中リハビリは家族にまかせて問題ない


Family-led rehabilitation after stroke in India (ATTEND): a randomised controlled trial.
2017  6月  インド

インドではリハビリを専門とする施設が非常にすくないためほとんどの脳卒中患者は利用する機会がない。

専門性の高いリハビリ資格をもったスタッフから患者家族にその職能権限を移譲する「タスクシフティング(Task Shifting)」には関心が寄せられているがその安全性は定かでない。

そこで大規模に実験してみたそうな。


14の病院に入院した脳卒中患者1250人を2グループに分け、いっぽうのグループの家族にリハビリトレーナーとしての訓練をほどこし 早期に退院させて自宅で患者のリハビリを行わせた。

患者家族への訓練は病院にて1日1時間x3日間で 障害の評価、目標の建て方、トレーニング方法、励まし方などを学ばせた。

6ヶ月後の患者状況を病院での通常リハビリグループと比較したところ、


次のようになった。

・1日あたりのリハビリの時間、総リハビリ時間は両グループでほぼおなじに設定できた。

・6ヶ月後、死亡または要介護状態にある患者の割合は両グループともに47%だった。

・死亡者や再入院の率もグループ間でほとんど差がなかった。

・非致死性のイベント率もほとんど差がなかった。

脳卒中患者へのリハビリ業務を患者家族に移譲(タスクシフティング)したところ、通常のリハビリにくらべ有害な点はまったくなかった


というおはなし。
図:家族まかせの脳卒中リハビリの6ヶ月後のmRS

感想:

脳卒中リハビリの成果は訓練の量や質によらないことがわかってるから、有害でないならタスクシフティングしない理由がないね。
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

下肢運動機能の比例回復則からわかること

2017年7月3日

身体を動かすだけでほんとうに認知機能がよくなるのか?


Physical Exercise Improves Cognitive Outcomes in 2 Models of Transient Cerebral Ischemia.
2017  6月  アメリカ

脳卒中経験者は認知機能の衰えがはやいことがわかっている。

認知機能の改善には運動がよいとする研究がいくつかあるが、どれも長期にわたる運動による健康増進効果や運動直後の興奮効果との区別がついていない。

そこで、短期の運動から少し間を置いたときの認知能力を測定し、さらに適した運動強度もしらべてみたそうな。


脳の左右一方もしくは全体を虚血にしたネズミ2グループを使って、3-4日後からトレッドミルで歩行運動させた。

歩行速度は 0,6,10,18m/分の4グループ設け 30分間x5日間継続した。

その1週間後、事前に電気ショックで条件づけ学習させておいたケージにネズミを入れ、怯えて固まっている時間を記憶能力として測定した。


次のようになった。

・虚血範囲の異なる両グループのネズミいずれも、中強度運動(10m/分)のとき約1週間後の認知機能がもっとも向上していた。

脳卒中後の運動そのものによる認知機能の強化を確認することができた。人で実験してみたい、


というおはなし。
図:運動強度と脳卒中後の記憶能力

感想:

考えがまとまらなくてブログ更新ができないとき、部屋のなかをぐるぐる歩き回るだけで解決するんだ。

そういうことかな?

2017年7月2日

出産経験があると脳卒中になっても軽くて済む理由


Multiparity improves outcomes after cerebral ischemia in female mice despite features of increased metabovascular risk
2017  6月  アメリカ

妊娠や出産を繰り返すと脳卒中になりやすくなることがわかっている。

いっぽうで出産経験が神経保護効果をしめすという報告があるので実験してみたそうな。


出産経験のあるねずみと無いねずみについて、人為的に脳虚血状態にして梗塞の体積、行動、脳組織の状態をしらべたところ、


次のことがわかった。

・虚血のまえ出産経験の複数あるネズミは動きが活発でなく、体重や脂質 コレステロールが高く、免疫細胞の活動レベルも低かった。

・妊娠出産経験のないネズミにくらべ、複数の出産経験のあるネズミの梗塞体積はあきらかに小さく、運動機能の回復もめざましかった。

・多産ネズミの梗塞周辺で胎児の細胞が確認され(マイクロキメリズム)、血管増殖因子の上昇も確認できた。

出産経験のあるネズミでは脳卒中リスクが高かったが、脳虚血への神経保護作用が確認できた。女性の脳卒中回復過程への理解が深まった、


というおはなし。
図:多産経験者の梗塞体積はバージンよりも小さい

感想:

産んだこどものDNAをもつ細胞が母体に何十年も残ってるんだって。それが悪さをすることもあるし 助けになることも ある。

2017年7月1日

脳卒中患者の便秘率


Incidence of constipation in stroke patients: A systematic review and meta-analysis.
2017  6月  中国

腸と脳の活動が互いに関連しあっていることが最近の研究でわかってきた。

脳卒中患者には便秘がおおいことが報告されているがシステマティック・レビューはまだないので まとめてみたそうな。


関連するこれまでの研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者1385人を含む8つの研究がみつかった。

・便秘率は脳卒中患者の48%だった。

・66% vs. 51%で脳出血のほうが脳梗塞よりも便秘率が高かった。

・急性期よりもリハビリ始まってからのほうが便秘になりやすかった。

脳卒中のあとの便秘はとてもひんぱんにおきていた。対策が必要かも、、


というおはなし。
図:べんぴ

感想:

自由にトイレ行けなくて がまんしちゃうから当然だとおもってた。

2017年6月30日

離婚で脳卒中リスクアップ!


Divorce Linked to Increased Stroke Risk
2017  6月  デンマーク

結婚は独身でいるよりも脳卒中リスクをさげると考えられている。

そこで離婚や死別もふくめた結婚状況と脳卒中との関連をしらべてみたそうな。
先月の欧州脳卒中会議での発表。


デンマークの脳卒中患者データベースから58807人ぶんを抽出して、発症1年前の結婚状況との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・52%は結婚していて、9%が独身、13%が離婚、26%が配偶者と死別していた。

・結婚している場合にくらべ、独身、死別での脳卒中リスクにはほとんど差はなく、

・離婚した場合でのみあきらかなリスク上昇があった。

・このとき男性が脳卒中リスク1.23倍、女性は1.11倍だった。

結婚している者にくらべ離婚を経験すると独身や死別よりも脳卒中リスクが とくに男性で高くなった、


というおはなし。
図:妻に離婚された

感想:

離婚に至るまでにドロドロとしたストレスフルな生活が何年間か続いているに違いなく、さらに酒やたばこに逃げ続けてきた結果の脳卒中、ってことのようだ。

2017年6月29日

ビデオを観て昼寝するだけのリハビリとは


Action Observation of Motor Skills Followed by Immediate Sleep Enhances the Motor Rehabilitation of Older Adults With Stroke.
2017  6月  イスラエル

運動動作の観察が脳卒中のリハビリに効果があるといわれている。

いっぽうでリハビリ訓練のあとに睡眠をはさむと運動学習が強化されることがわかっている。

この2つを組み合わせて実験してみたそうな。


脳卒中で利き手が麻痺した患者20人を2グループに分け、

電話操作を映した5分間のビデオを見せた直後に いっぽうのグループには90-120分間の睡眠をとってもらった。
これを4週間くりかえしたあと 上肢機能を評価して比較したところ、


次のようになった。

・両グループともに上肢機能が改善したが

・睡眠をとらせたグループの上肢機能スコアは明らかにすぐれていた。

脳卒中患者へ 動作観察の直後に睡眠の時間を追加したところ上肢機能の改善度がよりおおきくなった、


というおはなし。
図:リハビリのあとの睡眠

感想:

「指が動かないのは努力不足のせい。もっと頑張れ!」という暗黙のプレッシャーのなか なんと魅力的なエビデンスか、、
眠っている間にリハビリがすすむオフライン運動学習とは

2017年6月28日

低コレステロールの東アジア人におきやすい脳出血の種類


Cholesterol Levels and Hemorrhagic Stroke Risk in East Asian Versus Non-East Asian Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis.
2017  6月  中国

コレステロール降下薬を使った大規模な研究から、総コレステロールが160mg/dlを下回ると脳出血で死亡するリスクが3倍になることがわかっている。

そこで低コレステロールでおきやすい脳出血の種類について 特に東アジア人での特徴をしらべてみたそうな。


コレステロールが低いときの脳出血(脳内出血、くも膜下出血)リスクに関する過去の研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・東アジア人についての研究が9件、非東アジア人についてが12件見つかった。

・脳出血全体では 東アジア人であるか否かでリスクにおおきな差はなかった。

・脳内出血に限定すると、東アジア人ではコレステロールの高低でリスクに差がなかったが 非東アジア人では明らかにリスクが高かった。

・くも膜下出血では、東アジア人で明らかなリスク上昇があり、非東アジア人では差がなかった。

コレステロールが低いと東アジア人は脳内出血よりも くも膜下出血になりやすいことがわかった、


というおはなし。
図:コレステロールのもと

感想:

薬で下げすぎは論外として、食事からのぶんはしっかり確保しとかないとな。

[コレステロール 脳出血]の関連記事

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇■

 脳卒中をやったなら
 おぼえておきたい回復のヒント100(無料
メールアドレス  例:stroke@example.co.jp


過去7日間で人気の記事ベスト10