元
Concordance in Aneurysm Size at Time of Rupture in Familial Intracranial Aneurysms
2019 1月 フランス
家族性脳動脈瘤は、第一近親者(両親または子)の2人以上に脳動脈瘤がみつかる場合を指し、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血のおよそ10%を占める。
一般人のばあいよりも破裂するリスクが2.5-7倍あるとされる。また おなじ位置に動脈瘤ができやすいこともわかっている。
しかし破裂するサイズについてはわかっていない。もし破裂するサイズも近親者間でおなじであれば、予防処置をすぐにおこなうべきかどうかの判断の助けになる。
そこで、家族性脳動脈瘤の破裂サイズについてくわしくしらべてみたそうな。
オランダ、ドイツ、フランスのくも膜下出血患者で家族性脳動脈瘤のペア68組について破裂時の動脈瘤サイズを解析したところ、
次のことがわかった。
・近親者間の動脈瘤の破裂時のサイズの最大比は、1.2以下が26%、1.3-2.9が57%、3以上が17%で、
・サイズの大きいペア, 小さいペア, 大と小のペアに占める近親者の率にあきらかな差はなかった。
・ぜんたいとして、近親者間での破裂脳動脈瘤のサイズの再現性率は0.10と低かった。
家族性脳動脈瘤の破裂サイズに共通性はみられなかった。近親者にくも膜下出血がいても瘤のサイズは治療方針の参考にならない、
というおはなし。
感想:
脳ドックなどでみつかる未破裂脳動脈瘤を「手術するべきか問題」が知る限り30年ほど続いている。さいきんその理由がなんとなくわかってきた。
破裂したあとの再出血予防手術(クリップやコイル)ですら そのリスクとベネフィットについて土台となる信頼できるデータがないので 議論を構築しようがないから、ってことのようだ。↓
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?