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2019年4月9日

磁気刺激上肢リハビリに運動イメージ訓練を足してみた


The Effects of Combined Low Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation and Motor Imagery on Upper Extremity Motor Recovery Following Stroke
2019  2月  中国

脳卒中の上肢麻痺を改善する方法として、経頭蓋磁気刺激rTMSと運動イメージ訓練MIがある。

いずれも非侵襲的でかつ楽な姿勢でできるので重度の麻痺や慢性期であっても可能である。

これら手法を組み合わせたときの効果を検証してみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺の患者42人をつぎの2グループに分けた。

実験グループ)rTMS+MI
コントロール)rTMS+環境音でリラックス

rTMSは病変と対側の運動野に1Hzの刺激。
MIは録音された指示にしたがって想像上で上肢を動かし日常生活動作の具体的動作を思い描くこと30分間。

これを2週間に合計10セッションおこなった。

上肢機能を4種類の指標(WMFT,UE FMA,BBT,MBI)で評価し、4週間後までフォロー比較したところ、



次のようになった。

・両グループともにすべての評価項目で改善した。

・改善効果は4週間後まで持続していた。

・とくに、運動イメージ訓練を加えた実験グループで改善著しかった。

低周波数の磁気刺激に運動イメージ訓練を加えたところ、磁気刺激のみよりもおおきく改善した、


というおはなし。

図:脳卒中の運動イメージ上肢訓練


感想:

高価な磁気刺激装置を買ったはいいが、ぜんぜん効果がないとわかり しかたなくMIと混ぜて結果をひねりだしたという感じ。

磁気刺激の上肢リハビリは根拠なしってことですでに↓結論でてる。
[結論] rTMSの上肢リハビリ効果について

数ある上肢リハビリのなかで↓ 運動イメージ訓練(メンタルプラクティス)だけが最後の希望。
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2018年12月12日

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは


A systematic review of physical rehabilitation interventions for stroke in low and lower-middle income countries
2018  12月  アイルランド

脳卒中による障害や早死による世界全体の人的損失年数の78%は中低所得国で発生しているという。

これらの国々では脳卒中リハビリにあてられるあらゆるリソースが限定的であり高所得国の真似をすることができない。

そこで中低所得国で効果的とされる脳卒中の身体リハビリテーションの種類についてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


中低所得国の成人脳卒中患者を対象とした身体リハビリテーションに関係する質の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2115人を含む62の研究がみつかった。大半はインドのものだった。

・内訳は、上肢関連が26件、下肢22件、その他14件だった。

・研究の質的には、強7件、中16件、弱39件と分類でき、

・全体として身体リハビリテーションにより患者の回復が促された。

・特にエビデンスレベルが高かったものは、CI療法とミラーセラピーによる上肢リハビリおよび、

・運動イメージ訓練による歩行リハビリだった。

・次いで、立ち上がり訓練(sit-to-stand training)でのバランス改善効果だった。

中低所得国の脳卒中リハビリ研究の結果、ミラーや運動イメージによる脳内トレーニングおよび上下肢の繰り返し運動が効果的でかつ低コスト シンプルな方法として評価されていた、


というおはなし。

図:中低所得国の脳卒中リハビリ


感想:

むしろこういう環境でこそ真の実力が試される。

CI療法(=課題指向型訓練)はナンセンスであることが最近あきらかになったので除外するとして、

ミラーセラピーの発案者はインド人だから一番人気は納得。

そして安定のメンタルプラクティス(運動イメージ訓練)か。

2018年12月11日

メンタルプラクティスの上肢リハビリ効果


Mental practice for upper limb motor restoration after stroke- an updated meta-analysis of randomized controlled trials
2018  12月  中国

脳卒中上肢麻痺のリハビリにはいくつもの方法がある。
しかしこれまでもっとも頼りにされてきた特定動作の繰り返し(課題指向型訓練)には効果がないことが最近わかってきた。

メンタルプラクティスは実際の動作を行う必要がないことから重症患者にも適用でき、安全かつ簡単で退院後も続けることのできるリハビリ方法として期待されている。

過去のメタアナリシスでは評価方法のばらつきがおおきくその効果をあきらかにできていなかった。

そこで最新の研究をふくめてメンタルプラクティスのメタアナリシスを再度こころみたそうな。


メンタルプラクティスによる脳卒中上肢リハビリの論文を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者268人を含む12の研究がみつかった。

・Egger's testでは出版バイアスは見られなかった。

・メンタルプラクティスにより上肢運動機能FMAスコアがあきらかに向上していた。

・同様に上肢機能ARATスコアもおおきな改善をしめした。

・これらの関連は任意の研究データを除外しても影響を受けず保たれていた。

メンタルプラクティスは脳卒中上肢麻痺のリハビリに有効である。ぜひ推奨したい、


というおはなし。

図:

感想:

メンタルプラクティスと運動イメージ訓練(motor imagery)は同じ。これに場の雰囲気やじぶんの気持ちを加えた脳内リハーサルを総称して「イメージトレーニング」とよぶ。


これまでも上肢リハビリがいろいろあるなかで唯一まともそうなのがメンタルプラクティスだった。↓
Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2018年11月27日

運動イメージ訓練に適した時間の長さ


Does the duration of motor imagery affect the excitability of spinal anterior horn cells?
2018  11月  日本

実際の運動をしなくても頭のなかで動作を思い描くだけで脳の関連領域が活性化し、神経伝達路の興奮性がたかまることが報告されている。これは運動イメージ訓練とも呼ばれ脳卒中患者のリハビリにも用いられている。

運動イメージ訓練のもっとも効果てきな時間については報告によりことなる。20年前のメタアナリシスによると、長ければ良いというわけでもなく20分程度が適当と結論している。

そこで、末梢神経を電気刺激したときに脊髄前角で返ってくるF波の観点から運動イメージ訓練に適した時間をしらべてみたそうな。


健常者11人について、左腕の正中神経を刺激して運動イメージ中のF波を測定した。

この間、母指球筋に力を込めるイメージを5分間継続した。


次のことがわかった。

・運動イメージ開始1分から3分後のF波はあきらかに増強していた。

・5分後にはそのレベルは低下し、主観的なイメージの質も大きく低下した。

運動イメージ訓練の継続時間は1-3分が適当であろう、


というおはなし。

図:

感想:

これは同感。具体的にイメージするほど頭がハンパなく疲れる。

2018年8月30日

上肢の運動イメージ訓練とネットワーク変化


Motor imagery training induces changes in brain neural networks in stroke patients
2018  8月  中国
運動イメージ訓練では実際の運動はせずに心の中だけで動作訓練をする。

脳卒中で上肢麻痺患者での運動イメージ訓練の効果と神経ネットワークのはたらきはよくわかっていないので実験してみたそうな。


脳卒中で上肢が中等度以上に麻痺した男女20人を2グループに分けた。

両グループとも通常のリハビリを行い、
そのあといっぽうのグループには運動イメージ訓練をほどこした。

運動イメージ訓練は、椅子にすわりテーブル上に両手を置いて目を閉じ、指示にしたがって指や手首を動かす様子を一人称視点でくりかえし心に思い描く。

1回45分間x4週間の訓練を続けたのち、
上肢機能(ARAT,FMA)と運動誘発電位、拡散テンソル画像(DTI)から背側腹側経路の異方性変化をくらべた。


次のようになった。

・運動イメージグループで上肢機能の回復があきらかにすぐれていて、

・短母指外転筋への運動誘発電位の強度はおおきくなり、

・背側経路の異方性がおおきくなっていた。

通常のリハビリに運動イメージ訓練を加えることで上肢機能が改善し、背側経路が強化された、


というおはなし。
図:運動イメージ訓練と背側経路

感想:

DTIは機能や働きを見ているわけではないのと、処理の仕方でどうとでも表現できることから刺身のツマのようなものとしての認識がじぶんの中にはある。

2018年4月14日

心身運動の脳卒中リハビリ効果


Effects of Mind-Body Exercises for Mood and Functional Capabilities in Patients with Stroke: An Analytical Review of Randomized Controlled Trials.
2018  4月  中国

脳卒中患者のおよそ3分の1は日常生活動作に困難を生じる。

理学療法などいくつものリハビリ方法が提案されてはいるがコストや時間を浪費するばかりで成果があがらない。

さらに脳卒中患者はうつ 不安 睡眠障害といったメンタルヘルスの問題も抱えがちである。

きんねん太極拳や気功 ヨガといった "心身運動"(Mental Body exercise)が ゆっくりとした動作と筋肉ストレッチ リラクゼーション 呼吸法 集中力 の訓練を低コストかつ楽に実践することができるものとして とても人気がでてきている。

そこで脳卒中リハビリでの心身運動の効果を検証するべくメタアナリシスをおこなったそうな。


データベースからこれまでの関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・16のランダム化比較試験がみつかった。

・心身運動で日常生活動作と移動能力があきらかに改善し、うつレベルも低下した。

心身運動をリハビリメニューに加えることで脳卒中患者のうつ 日常生活動作 移動能力を改善できそうである、、


というおはなし。
図:心身運動の脳卒中ADL改善効果

感想:

太極拳とかヨガにはながい伝統があるぶん情報が豊富で、あるべき状況をイメージしやすい。

いっぽう、、
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2017年8月14日

運動イメージ訓練の歩行リハビリ効果がわかった


Effects of motor imagery on walking function and balance in patients after stroke: A quantitative synthesis of randomized controlled trials.
2017  8月  中国

実際に身体をうごかすことなくイメージだけで練習を行うことを「運動イメージ訓練」や「メンタルプラクティス」とよび、視覚的にイメージする方法や運動そのものをイメージする方法などがある。

脳卒中片麻痺患者への運動イメージ訓練の有効性は数多く報告されているが、歩行能力に限定したシステマティックレビューはおおくない。

そこで最新の研究をふくめてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


研究データベースから関係するものを厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者735人を含む17のランダム化比較試験がみつかった。

・訓練期間は6週間、1回あたり15分間、ビデオやオーディオを用いる方法がおおかった。

・通常訓練にくらべ運動イメージ訓練は歩行能力や運動機能の改善に より効果的だった。

・ただしバランス能力に有意な改善はなかった。

・歩行能力の改善効果は短.長期的にも有効だった。

・6週間未満の短期に限定すればバランス能力の改善もみられた。

運動イメージ訓練は脳卒中患者の歩行リハビリに有効であると考えられた。ただし測定値や方法にばらつきが大きいので さらなる研究が期待される、


というおはなし。

図:運動イメージ訓練

感想:

ちなみに上肢に限定すると、数ある治療法のなかでいちばん効果がでているのが運動イメージ訓練。
上肢リハビリ 良い方法 と ダメな方法

2017年2月1日

脳卒中患者がTimed Up and Goをイメージする能力


Evaluating the Effect of Cognitive Dysfunction on Mental Imagery in Patients with Stroke Using Temporal Congruence and the Imagined 'Timed Up and Go' Test (iTUG).
2017  1月  フランス

運動イメージは脳卒中のリハビリに深く関わっていて、その能力は実際の運動に要した時間とイメージの時間とのズレで評価できる(Temporal Congruence:TG)。

歩行動作について運動イメージ能力をしらべてみたそうな。


脳卒中患者20人と健常者20人について、
タイムアップアンドゴーテスト:TUG(椅子から立ち上がってひとまわりしてまた座るまでの時間計測)
の実動作とイメージに要する時間(iTUG)をそれぞれ測定した。

運動イメージは、動作を感覚的にとらえる方法と1人称または3人称視点で視覚的に描く方法のいずれでもよしとした。

TG(%)=(TUG-iTUG)/((TUG+iTUG)/2)x100 と定義した。

認知機能テストもおこない関連を解析したところ、


次のようになった。

・運動イメージ能力のズレの大きさTGは脳卒中患者で45%、健常者で24%だった。

・イメージに要した時間iTUGは注意力を測るBells Test スコアと正の相関があった。

脳卒中リハビリに運動イメージ訓練を応用するばあい、患者の注意障害の可能性を考慮するひつようがあるだろう、


というおはなし。

図: temporal congruence

感想:

この↓はなしに似ているとおもった。
重度感覚麻痺がイメージ能力に及ぼす影響とは

2016年8月12日

損傷脳の左右の違いで運動イメージ能力に差はでるか?


Do Motor Imagery Performances Depend on the Side of the Lesion at the Acute Stage of Stroke?
2016  6月  フランス

運動イメージ訓練は脳卒中患者の上肢リハビリにもっとも効果的な方法の1つである。

しかし急性期患者の運動イメージ能力についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


発症後3週間未満の脳卒中患者24人と健常者24人について、運動イメージテストを行い 反応速度、エラー率、時間あたりのイメージ回数 等を測定し損傷脳の左右、麻痺手、非麻痺手の区別との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・写真の手の左右を判断する能力は、脳卒中患者は麻痺手側で反応速度が遅くエラー率が高かった。

・非麻痺手側では右脳損傷患者のエラー率が健常者よりも高かった。

・時間あたりのイメージ回数は両側の手で脳卒中患者が劣っていた。

・手を実際に動かせる回数とイメージで動かせる回数は対応関係にあったが、右脳損傷患者だけは両手ともに関連を確認できなかった。

運動イメージ訓練を脳卒中の上肢リハビリに応用する際には、損傷脳の左右の違いに注意が必要かも、


というおはなし。
図:運動イメージと実行能 左右脳の違い

感想:

これ思い出した。↓
手の写真をみて 右手か左手かすぐにわかる?

2016年6月12日

片麻痺イメージ訓練の分散効果とは?


Retention of the spacing effect with mental practice in hemiparetic stroke.
2016  6月  アメリカ

メンタルプラクティスは頭のなかで運動をリハーサルする方法で、脳卒中リハビリで最も成果を挙げている治療法のひとつである。

メンタルプラクティスは集中的に行うべきか それとも何回かに分けた方が効果的なのか実験してみたそうな。


慢性期の脳卒中経験者27人について、麻痺上肢の理学療法リハビリとメンタルプラクティスの組み合わせを週3回x10週間おこなった。

1日あたりのメンタルプラクティスについては、

*60分間 集中するグループと 
*20分間x3回に分散するグループ

に分けた。

上肢機能を複数の指標で計り 比較したところ、


次のようになった。

・10週間後、分散グループでいずれの評価スコアも明らかに優れていた。

・さらに3ヶ月後にも この関連は有意な傾向にあった。

脳卒中の麻痺上肢へのメンタルプラクティスは、集中訓練よりも分散訓練のほうがより効果的である、


というおはなし。

図:メンタルプラクティス分散と集中

感想:

イメージ訓練の類は見た目と違ってあたまが非常に疲れる。よほどの強い意志や動機がないと5分間だって続けることは難しい。
しかも サボっても他人にはわからない。

だから分散効果(spacing effect)にはなっとく。

2016年5月27日

運動イメージ中の脳ネットワーク結合を調べた結果、、


Conditional Granger Causality Analysis of Effective Connectivity during Motor Imagery and Motor Execution in Stroke Patients.
2016  5月  中国

運動イメージ訓練は脳卒中リハビリ法のなかでも最も効果的な方法の1つとされている。しかしそのメカニズムはいまだよくわかっていない。

そこで運動イメージ中の脳卒中患者の皮質ネットワークの結合がどの方向に変化しているのか調べてみたそうな。


左脳損傷で右手麻痺の患者10人と健常者10人について、
右手の指を実際に動かしている時とイメージのみの場合での60秒間のfMRIデータを撮り、

一次運動野(M1)、前運動皮質(PMC)、補足運動野(SMA)間の結合性変化を解析したところ、


次のことがわかった。

・実際に指を動かしている時、患者は健常者にくらべ損傷脳のM1,PMC,SMAの相互の結合が明らかに低下していたものの、

・非損傷側のPMCとM1の相互の結合は強まっていた。

・運動イメージ中は患者の方が各皮質間のネットワークの結合が強く、

・特に非損傷側の皮質間相互の結合が顕著だった。

実運動では損傷脳での結合性は患者で低下していたが、それを補うように非損傷脳でのネットワークが強化されていた。運動イメージは損傷脳の影響を受けにくく各皮質間ネットワークを強化しているように見えた


というおはなし。

図:運動イメージ時の皮質結合性変化


感想:

イメージトレーニングは気のせいじゃないんだな。

2016年5月5日

運動イメージ訓練の下肢リハビリ効果


Motor Imagery Training on Muscle Strength and Gait Performance in Ambulant Stroke Subjects-A Randomized Clinical Trial.
2016  3月  インド

運動イメージ訓練は実際に運動をすることなく頭の中だけで特定の運動動作を行う。この訓練効果を脳卒中患者の下肢の運動機能について調べてみたそうな。


発症後3ヶ月以上経つ脳卒中で片麻痺の患者40人について、運動イメージ訓練あり、なしのグループに分けた。

運動イメージ訓練では 動作課題の音声指示を録音したものを リラックスした環境で聴きイメージする。1回30分x週4回x3週間行う。

並行して通常の理学療法も行う。

この前後で下肢筋力、歩行スピードを測定した。


次のようになった。

・3週間後、両グループ共に下肢の運動機能が大きく改善した。

・特に運動イメージグループで大腿の屈筋 伸筋、膝の伸筋、足首の背屈筋および歩行スピードの改善度が比較グループに比べ明らかに優れていた。

通常訓練に運動イメージ訓練を加えることで下肢筋力、歩行パフォーマンスが大きく改善できた、

というおはなし。

図:運動イメージ訓練

感想:

初めてのエスカレータの前日には頭が疲れて気を失うくらいイメージ訓練やったよ、 自己流だけど。

[運動イメージ リハビリ]の関連記事

2015年10月26日

脳のここをやられていると運動イメージ訓練が効かない


Motor imagery-based skill acquisition disrupted following rTMS of the inferior parietal lobule.
2015  10月  カナダ

運動イメージ訓練 いわゆるメンタルリハーサルは脳卒中リハビリで効果のある治療法の1つである。

これには脳の様々な部位が関わっているが、なかでも視空間プロセスを司る左側の下頭頂小葉に大きく依存していると考えられれている。

そこでこの部位を磁気刺激(TMS)で抑制した場合に 運動イメージ訓練の効果がどうなるか調べてみたそうな。


27人の脳卒中患者について、運動イメージ訓練ベースの潜在系列学習を行わせ、その前後での反応時間を測定した。

患者は2グループに分け、
一方には左側の下頭頂小葉へ抑制効果を持つシータバーストTMSを与え、
もう一方はTMSコイルを外に向けて偽刺激グループとした。


次のことがわかった。

・反応時間の改善度は、偽刺激グループで36.1ms、本刺激グループでは7.7msだった。


左側の下頭頂小葉の働きを抑制したところ、運動イメージ訓練の効果が弱まった。この部位が運動イメージ訓練に重要な役割を担っているであろうことが確認できた、


というおはなし。


写真:下頭頂小葉下頭頂小葉


感想:

下頭頂小葉には角回という脳のひだが含まれていて、そこは 刺激すると体外離脱を体験できることで有名な部位でもある。

刺激されてみたい、、

2015年10月18日

結局、CI療法ってどうなの?


Constraint-induced movement therapy for upper extremities in people with stroke.
2015  10月  イタリア

脳卒中後の上肢リハビリとしてのCI療法の効果をこれまでの研究から総括してみたそうな。(コクランレビュー)


関連する過去の研究を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被検者1453人を含む42件の研究が見つかった。

・各研究の被験者数は29人前後と少なく、どれもデータの偏りを除けなかった。

・11の研究では痙縮や疼痛などの障害がやや改善したが従来型リハビリに比べ有意な差ではなかった。

・28の研究でCI療法直後に 上肢の運動機能が有意にやや改善した。

・3つの研究では数カ月後までフォローしていたが、優れた効果はまったく観察されなかった。


CI療法直後に上肢に認められたわずかな運動機能の改善は、患者が実感できるようなものではなかった。長期的な効果を示す情報もほとんどなかった、


というおはなし。

写真:CI療法

感想:

CI療法は 指の曲げ伸ばしができる麻痺が極めて軽い患者「のみ」を対象にすることで 論文を量産して有名になった。

だから 重い麻痺の手が動くようになるとは まったく期待し難い。

唯一優れているのは、従来型リハビリがいったいなにを指すのか部外者には判りにくいなかで CI療法はその訓練内容が容易にイメージできる点にある。そこで ビデオゲームなど他のリハビリ法との比較対照にCI療法が採用されることがしばしばあり、とても理解がしやすくなる。
Wiiリハビリの効果をCI療法と比較してみた

課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

2015年10月4日

運動イメージ中の脳半球間バランスについて


The functional anatomy of motor imagery after sub-acute stroke.
2015  7月  ドイツ

運動イメージ訓練は脳の運動皮質の活動と密接な関連がある。

脳卒中患者での運動イメージ中の脳半球間バランスを調べてみたそうな。


亜急性期脳梗塞患者17人と健常者12人について、握り動作とその運動イメージ時の脳活動をfMRIで観察した。脳活動の優位半球度(Laterality index)を前運動野について評価した。


次のことがわかった。

・握り動作時の優位半球度は、健常者0.48、患者0.12で両者の差は大きかったが、

・運動イメージ時は健常者-0.03、患者-0.12で、両グループともに半球間バランスが保たれていた。

・患者では運動イメージ時に損傷脳と反対側に活動がシフトする傾向があった。


脳卒中患者の運動イメージ時に、脳の運動皮質の活動バランスが半球間で保たれていた。運動イメージ訓練をリハビリに追加する根拠になるかもしれない、


というおはなし。

図:半球間バランス


感想:

最初の数週間 左腕の感覚が完全にゼロだった頃、動作をイメージすると身体から見えない腕が分離して出てきたものだった。こういうときの脳活動をみてもらいたいものだねぇ、、

2015年8月11日

脳のここをやられると運動イメージ力が低下する


Specific brain lesions impair explicit motor imagery ability: a systematic review of the evidence.
2015  8月  カナダ

身体の動作を心に思い描く「運動イメージ」リハビリはすべての患者で効果があるわけではない。

そこで、脳のどの位置に損傷があると運動イメージ能力に障害が起きやすいのか過去の研究から調べてみたそうな。


運動イメージと損傷部位に関する論文を厳選した結果、


次のことがわかった。

・3861の論文が検索ヒットし、さらに被検者196人を含む23件の研究に絞り込んだ。

・運動イメージ力の評価方法がまちまちだったのでスコアを標準化した。

・脳の損傷位置は、小脳を含め皮質、皮質下の多くの箇所におよんでいた。

・脳損傷の原因は主に脳卒中とパーキンソン病だった。

・頭頂葉に損傷を受けた患者で もっとも運動イメージ力が障害されていた。

・次いで前頭葉や大脳基底核の損傷患者も運動イメージ力が低かった。


頭頂葉や前頭葉にダメージを受けた患者の運動イメージ能力は大きく損なわれていた。運動イメージリハビリの適否はこのあたりの事情を考慮するべきかも、


というおはなし。

頭頂葉
感想:

いちばん影響あるのは前頭葉だと思ってた、、

2015年7月30日

運動をイメージする力で手が動くようになるのだろうか


Effect of Motor Imagery on the F-Wave Parameters in Hemiparetic Stroke Survivors.
2015  6月  イラン

神経活動電位のF波は運動皮質の興奮性を反映すると考えられている。

そこで 運動イメージ法を使った脳卒中リハビリの効果を F波について検証してみたそうな。


発症後72時間以内の脳卒中片麻痺の患者21人について、

麻痺した手の指を動かすイメージをしている間のF波を、腕をとおる正中神経、尺骨神経で測定した。

麻痺していない側でも同様の測定を行い 比較した。


次のことがわかった。

・麻痺手と非麻痺手でF波は大きく異なっていた。

・運動イメージ中の麻痺手のF波持続性が両神経で改善し、

・F波反応強度も正中神経で改善した。


運動イメージ中のF波強度と持続性が改善された。運動イメージリハビリは脳卒中で弱った運動神経の働きを回復するのかもしれない、


というおはなし。



感想:

「凄絶」なはずの脳卒中リハビリが「想う」だけで済むわけがないとフツーは考える。一方で運動イメージ法やメンタルプラクティスを超える効果的な治療法が存在していないのも事実。
上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法

2015年3月2日

Stroke誌:上肢リハビリ 良い方法 & ダメな方法


Cochrane Overview
Interventions for Improving Upper Limb Function After Stroke

2015  3月  イギリス

脳卒中の上肢リハビリ方法各種の実力を調べてみたそうな。


質の高い研究を集めたレビュー論文を 複数の審査者でさらに厳選して、各種上肢リハビリ法の効果を吟味した結果、


次のことがわかった。

・503件の研究、18078人の被験者を含む40本のレビュー論文が見つかった。

・tDCSの日常生活動作への効果はまったくなかった。

・やや効果がありそうなリハビリ法として、運動イメージ訓練、CI療法、ミラーセラピー、ビデオゲームが挙げられる。


多くの論文が存在するものの 信頼できる研究成果はなく、いずれの方法も実用に耐え得る効果があるとは未だ言い切れない、


というおはなし。
上肢リハの実力

感想:

わたしの中ではtDCSとCI療法は完全に同一レベルに位置しているのだが、、

2014年12月3日

手のリハビリにイメージ訓練を組み合わせた結果‥


Mental practice combined with physical practice to enhance hand recovery in stroke patients.
2014  11月  中国

脳卒中患者の手のリハビリに イメージ訓練と身体訓練を組み合わせたときの効果を調べてみたそうな。


20人の脳卒中患者の上肢について、

*イメージ訓練+実際に手を動かす身体訓練
*身体訓練のみ

の2グループに分けて4週間の訓練を行い、手の運動機能および脳機能画像上での改善度を比較した。


次のようになった。

・アクション・リサーチアームテストのスコアがイメージ訓練を組み合わせたグループで12.65ポイント、身体訓練のみのグループで5.20ポイント改善し、有意な差だった。

・fMRIによる健常側脳の運動野の活性化ボクセル数がイメージ訓練グループで勝り、手の運動機能の改善度とよく相関した。


脳卒中患者の手の訓練には、単に動かすだけではなく、イメージ訓練も組み合わせるとより効果的である、


というおはなし。

イメージ訓練の結果

感想:

この記事おもいだした。
目的をイメージしながら動作訓練すると脳がより広く鍛えられることが明らかに

2014年11月28日

動作観察とイメージ訓練を連続するとより効果的なのか


Combined action observation and imagery facilitates corticospinal excitability
2014  11月  イギリス

脳卒中のリハビリに用いられる動作観察療法とイメージ訓練法は脳の似たような場所を活性化する。
通常これらの方法は別々のものとして扱われる。
そこで、一緒にやってみたときの効果を調べてみたそうな。


19人の健常者を対象に、人差し指を開く動作を訓練させた。

以下の各々の状況下で訓練を行った。

*動作ビデオを観たあとに指示に従ってイメージ訓練をする
*動作ビデオを観るのみ
*イメージ訓練のみ
*比較のための状況

訓練ののち、TMSを使って脳皮質から人差し指および小指筋肉への運動誘発電位を測定した。


次のことがわかった。

・動作観察とイメージ訓練を組み合わせた状況下で運動誘発電位が最も大きかった。

・この効果は人差し指の筋肉についてのみ現れた。


動作観察やイメージ訓練は、個々に行うよりも組み合わせたほうがより効果的であろう、


というおはなし。

人差し指のうごき


感想:

ロッキーを観たあとにシュッシュッシュッってやるのは意味があるんだな。
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緑茶とコーヒーを飲むと相互作用で脳出血リスクが3割減ることが判明

脳卒中で復職可能な年数がわかった
ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる
オナニーがきっかけで脳出血になる割合
手の痙縮を解く低周波治療器の効果的使用法が判明!
睡眠8時間を超える人は問答無用で脳卒中リスク46%増し
カップラーメンを週2回以上食べる女性が脳卒中になりやすい理由について
怒りと脳卒中との関連が明らかに
難しい理屈はいいからスクワットをやれ
1日に6000歩以上で脳卒中の再発予防になることを日本の研究者が解明
脳出血で損傷した脳が勝手に再生する可能性について

脳卒中患者がネットを使いこなす理由
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる
最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌
脳卒中が軽症だからって運転させていいの?
健康のために毎日いっしょけんめい運動するとかえって脳卒中になりやすいことが100万人の調査で明らかに
足をクロスしていたら半側空間無視 確定か?
療法士さんよりもビデオゲームの方が優れていると判明!
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!

心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する
知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、
なんとか復職しても仕事は続けられるのだろうか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね
脳卒中の言語障害はウェルニッケやブローカのせいではなかった!
手の指を繰り返し動かしてあげても脳への影響はゼロ
片足立ち20秒未満 →小さな脳梗塞や脳出血の可能性高!
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について
再発予防のために血圧を120以下にすると長生きできない
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに
鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果
脳卒中 幹細胞治療のダークサイドについて
ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』