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2025年11月24日

こんなに多いとは──“手術しないくも膜下出血”の衝撃

2025  11月  スウェーデン


くも膜下出血は、長いあいだ「ほとんどが脳動脈瘤の破裂で起きる」と理解されてきた。

しかし実際には、検査をしても動脈瘤が見つからない症例が一定数存在し、
これは非動脈瘤性くも膜下出血(NASAH)と呼ばれる。

そこで、NASAHがどれほどの割合で起きているのか、
さらに動脈瘤破裂によるくも膜下出血(aSAH)とどのように異なるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月7日

“動脈瘤を見つけ出せ”はもう古い──良性くも膜下出血の衝撃

2025  10月  ドイツ


くも膜下出血(SAH)の約8〜9割は動脈瘤の破裂によって起こるとされているが、残りの約1〜2割は、原因となる血管の異常が見つからない「非動脈瘤性くも膜下出血」である。

この中でも、脳幹のまわりに出血が限局するタイプ(PMSAH)は、症状が比較的軽く、経過が良いことが多い。

ただし、診断の際に「どこまで検査をすべきか」は、医師のあいだでも意見が分かれている。
CTで出血を確認した後にCTAやDSAという検査を行うのが一般的だが、最初のDSAで異常がない場合に、もう一度DSAをやる必要があるのかという点が議論になっている。
そこで、再びDSAを行うことにどれだけ意味があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月6日

くも膜下出血研究は虚構の上に立つ──“破裂動脈瘤神話”が生んだ科学の崩壊

2025  10月  オランダ


くも膜下出血は、いまでも命にかかわる危険な病気であり、助かっても後遺症が残ることが多い。

これまで多くの動物実験で治療法が探されてきたが、人で効果があると証明された治療はほとんどない。
それなのに、動物実験の論文では「この薬が効いた」「この方法で脳の障害が減った」という報告がやたらと多い。

この「臨床では治らないのに、論文の中ではうまくいっている」という不自然さを調べるために、研究者たちは、論文に使われている画像データがほんとうに信頼できるものかどうかをくわしく検証してみたそうな。

2025年10月25日

なぜ“やばい薬”をほめるのか──クラゾセンタンに見る医療界のポジション心理

2025  10月  日本


くも膜下出血のあとに起こる「脳血管れん縮(SVS)」は、再出血や脳梗塞を引き起こして回復を悪くする原因になる。

クラゾセンタンという薬は、血管を強く縮める物質エンドセリン-1の働きを抑えるもので、海外の試験ではれん縮を防ぐ効果が確認されている。ただし、副作用としてむくみや低酸素などがあり、体の調子が変わりやすいことが知られている。

そこで、クラゾセンタンを使うと脳血管れん縮が減るだけでなく、歩き始めまでの回復も早まる可能性をくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月24日

女性に多いのに、回復は男女で同じ?――くも膜下出血の治療パラドックス

2025  9月  ドイツ


くも膜下出血(SAH)は、脳の中の血管(動脈瘤)が破れて起こる病気で、女性のほうが男性より2倍以上多いことが知られている。

これまでの研究では「女性の方が重症になりやすい」「脳の血流が悪くなるDCIを起こしやすい」と言われてきたが、結果はまちまちだった。

そこで、「本当に男女で違いがあるのか?」「もしあるとしたら、どの段階(発症・治療・回復)で差が出るのか?」を、650人の患者データをもとにくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月22日

治療は早いほど良い──その常識、くも膜下出血には通用しない

2025  9月  オーストラリア


くも膜下出血(aSAH)の原因となる脳動脈瘤は、再破裂すると致命的になりやすいため、できるだけ早く治療して瘤を閉じることが大切とされてきた。
しかし、「どのくらい早く行うのが最も良いのか」については、これまで十分な根拠がなかった。

アメリカ心臓協会(AHA)やヨーロッパ脳卒中学会(ESO)のガイドラインでは「24〜72時間以内の治療」が推奨されているが、これは専門家の合意によるものであり、科学的に裏づけられたものではない。

そこで、発症から6時間以内(超早期)、12時間以内(早期)、24時間以内(標準)の3つのタイミングで動脈瘤を治療した場合の結果を比較し、再出血、機能回復、死亡率にどのような違いがあるかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月21日

「効くけど助けない薬」――クラゾセンタンが日本だけ高額で使われ続ける理由

2025  10月  パキスタン


脳動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH)は、今でも命に関わる危険な病気である。
手術で出血源を止めても、その後に起こる「脳血管れん縮」が原因で脳梗塞や神経障害が起きることが多い。

このれん縮を防ぐ目的で、現在はカルシウム拮抗薬ニモジピンが広く使われているが、実際には「血管れん縮そのもの」を完全に抑えられているわけではない。

そこで登場したのが、クラゾセンタン(clazosentan)という薬である。
この薬は「エンドセリン-1」という強力な血管収縮物質の働きを抑える新しいタイプの薬で、れん縮を防ぐ可能性があると期待されてきた。

しかし、これまでの大規模試験(CONSCIOUS-2, -3)では結果が一致せず、本当に使う意味があるのかがはっきりしていなかった。
さらに、日本での実際の使用データを含めた大規模な検証はこれまでなかった。

そこで、過去の臨床試験と実臨床のデータをすべて集め、クラゾセンタンの効果と安全性を改めて検証してみたそうな。

2025年10月18日

軽症くも膜下出血の7.8%が悪化 その原因は“病気”ではなく“治療”か?

2025  10月  中国


くも膜下出血(aSAH)は「重い病気」という印象が強いが、実際には発症時に意識がはっきりしていて、頭痛だけで見つかるような軽症タイプ(good-grade:WFNS I〜III)が全体の約8割を占める。

このタイプの多くは回復が良いとされるものの、中には治療後に後遺症を残したり、思わぬ経過をたどる人もいる。

なぜ軽症のはずなのに悪くなるのか、その理由はこれまでよくわかっていなかった。
そこで、「軽症くも膜下の中で悪くなる人」にはどんな特徴があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月17日

小さい動脈瘤ほど破裂する?──定説をくつがえす最新研究

2025  10月  ドイツ


脳の動脈瘤は、血管の一部がふくらんでできる小さなこぶのような病変である。近年、MRIなどの画像診断の普及により、破裂していない小さな動脈瘤が見つかる機会が増えている。

これまで医療現場では「大きな瘤ほど危険で、小さい瘤は破裂しにくい」と考えられてきた。しかし、複数の動脈瘤をもつ患者では、実際には小さな瘤が破裂することがあるとの報告が相次いでいる。

過去の研究では、くも膜下出血を起こした患者の20~30パーセントで、最大の瘤ではなく小さいほうが破裂していたとされる。それにもかかわらず、小さな瘤がどのような条件で破裂するのかを系統的に調べた研究はこれまで存在しなかったので、
小さい瘤が破裂する要因を明らかにするべくくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月16日

くも膜下出血の真相:歯周病が原因なら、瘤を塞ぐ意味はある?

2025  10月  中国


くも膜下出血は、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が破れて起こる、命にかかわる病気である。
これまで、動脈瘤が破裂する理由としては「血圧が高い」「血管がもろい」などの物理的な原因が考えられてきた。
ところが近年、「慢性的な炎症」も血管を弱くするのではないか、と注目されている。

その中でも歯ぐきの病気――歯周病(ししゅうびょう)は、心筋梗塞や脳梗塞との関係が知られているが、脳動脈瘤の破裂にも関係しているのではないか?

それを確かめるべくくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月13日

日本発・クラゾセンタン論文、AIの判定は「要注意」。信じてはいけない理由。

2025  10月  日本


くも膜下出血(aSAH)は依然として重い後遺症を残す病気であり、とくに発症後に起こる遅発性脳虚血(DCI)が問題である。

世界的にはニモジピンがDCI予防に使われているが、日本では未承認であるため、これまでファスジルやシロスタゾール、スタチンが代わりに用いられてきた。

2022年に登場したクラゾセンタンは、脳血管攣縮を抑える新しい薬として期待されている。
そこで、クラゾセンタンの使用が実際に予後を改善するかどうかを、日本の複数施設データを用いてくわしく検証してみたそうな。

2025年10月9日

コイルかクリップか──その論争こそが最大の病巣だ

2025  9月  ノルウェー


くも膜下出血の原因の多くは、脳の血管にできた動脈瘤が破れることによって起こる。
その治療には、大きく分けて二つの方法がある。ひとつは頭を開いて動脈瘤の根元をクリップで挟む「クリッピング手術」、もうひとつは血管の中からコイルを詰めて血流を止める「コイル治療(血管内治療)」である。

2000年代に行われたISATという大規模試験では、コイルのほうが短期的な回復が良いとされ、世界的にコイル治療が主流になった。
しかしこの試験は軽症の患者が中心で、重症例や長期的な生存率については十分に検証されていなかった。

そこで、ノルウェー・オスロ大学病院の研究チームは、自院で12年間にわたって治療した患者の記録をもとに、現代の医療現場で本当にどちらの治療が長生きにつながるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月5日

くも膜下出血は“免疫と炎症”が原因だった──いま見えてきた本当の根本治療とは?

2025  10月  中国


くも膜下出血(aSAH)は、脳動脈瘤が破裂して起こる命にかかわる脳卒中である。
これまで「血圧が高い」「喫煙している」といった危険因子は知られていたが、
免疫や炎症の働きが“破裂そのもの”にどう関係しているのかはよくわかっていなかった。

そこで、「免疫細胞」と「炎症タンパク」がどのように影響しあい、さらに“因果関係”があるのかを明らかにするべくくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月2日

ニモジピン排除の日本、クラゾセンタン依存は愚策か──国際レビューが突きつける現実

 元  

Evaluating clazosentan sodium for the treatment of aneurysmal subarachnoid hemorrhage

2025  9月  アメリカ


くも膜下出血は依然として高い死亡率と後遺症率を伴う疾患であり、その主要な原因の一つが遅発性脳虚血(DCI)である。

国際的にはニモジピンが唯一のFDA承認薬として標準治療に位置づけられているが、効果は限定的であり、新たな治療選択肢の開発が求められてきた。

エンドセリン受容体拮抗薬クラゾセンタンは、日本と韓国で承認されている薬剤であり、その有効性と安全性をくわしく整理してみたそうな。

2025年9月30日

治せば安心は幻想? 未破裂脳動脈瘤の予防手術が残す後遺症の重み

2025  9月  ドイツ


脳動脈瘤は破裂すると命に関わるくも膜下出血を起こすため、早い段階でどう対応するかが大きな課題になっている。

最近はMRIなどの画像検査の進歩で、症状がない段階で未破裂の動脈瘤が偶然見つかることが増えてきた。なかでも複数の瘤を持つ「多発例」はリスクや経過が複雑で、どのように治療するのがよいのかまだはっきりしていない。

そこで、多発の未破裂瘤を持つ患者について、その特徴や治療の結果を整理し、よりよい管理方法をくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月26日

脳外科医が語らない“感染性くも膜下出血”──動脈瘤治療の意味が揺らぐとき

2025  9月  ドイツ


くも膜下出血(脳の血管が破れて起きる出血)の多くは、いわゆる「動脈瘤」が原因である。その中で、ごくまれに「感染」が関わって血管の壁が弱り、動脈瘤(感染性脳動脈瘤:MIA)ができることがある。

頻度は全体の1%ほどと非常に少ないが、治療方法や診断の基準がまだはっきりしていない。そこで、この感染性動脈瘤によるくも膜下出血について、患者の特徴や治療、経過をくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月11日

日本人医師が明かす──くも膜下出血死亡の本当の原因は“血”ではなく“手術”?

2025  9月  日本


脳血管攣縮は、ふつうは「くも膜下出血」がきっかけで起こる合併症として知られている。これが起こると脳の血流が悪くなり、後遺症につながりやすい。

破れていない動脈瘤(未破裂動脈瘤)を手術でクリップしたあとに血管攣縮が起こることは、ほとんどないと考えられてきた。だが実際には報告例が少なく、詳しい経過や治療の効果はあまり分かっていない。

今回、未破裂動脈瘤のクリップ治療後に血管攣縮が起きたそうな。

2025年9月3日

高齢者未破裂瘤に手術を勧める日本は正気か

2025  9月  日本


高齢化で脳動脈瘤の破裂(SAH)が増える一方、高齢では破裂後治療の成績が悪いと言われている。

そこで「破裂する前(未破裂)の段階でコイル塞栓術をして安全・有効か」を確かめるべく、ある日本の病院での記録をくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月22日

くも膜下出血治療に異変?クラゾセンタンが効く“隠れた患者層”とは

2025  8月  日本


くも膜下出血(aSAH)では、脳血管れん縮(スパズム)が遅れて起きて脳梗塞や機能障害につながることが大きな問題である。

クラゾセンタン(エンドセリン受容体拮抗薬)は、過去の臨床試験で「血管れん縮を減らす」効果は見せてきた。
しかし「最終的な生活の自立度(mRSなどの機能予後)」の改善は一貫して示されず、国際的には効果が疑問視されてきた。

一方で日本の実臨床では「効いているのでは?」と感じられる症例もあり、なぜRCTと現場の感覚が食い違うのかが課題であった。
そこで、従来の平均値比較ではなく「一人ひとりの予後予測と実際の転帰を比べる」という新しい枠組み(PAOE)を用い、クラゾセンタンが本当に役立つ患者層を明らかにしようとしてみたそうな。

2025年8月18日

くも膜下出血=動脈瘤の常識が崩れる日

2025  8月  オランダ


くも膜下出血(SAH)の大部分は動脈瘤破裂によるものとされているが、その約15%は非動脈瘤性(nSAH)である。

nSAHはさらに、perimesencephalic SAH(PMSAH)と non-perimesencephalic SAH(NPSAH)に分類される。PMSAHは脳幹周囲に限局した出血であり、静脈起源と考えられていて予後は良好とされている。一方でNPSAHは出血の広がりが大きく、動脈性出血を反映していると考えられ、予後は不良である。

そこで、この二つの病型を比較し、その臨床経過や転帰にどのような差があるかをくわしくしらべてみたそうな。

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