元
LGBTQI+当事者が脳卒中を経験した際、リハビリ現場では彼らの性的ニーズやセクシュアリティが十分に理解・支援されていないという指摘がある。
そこで、LGBTQI+の脳卒中経験者とそのパートナーに焦点を当て、脳卒中後の性やセクシュアリティの変化を質的に探究し、その課題と支援の方向性をくわしくしらべてみたそうな。
オーストラリア、カナダを含む英語圏において、LGBTQI+の脳卒中経験者18名とそのパートナー5名、計23名を対象にインタビューを実施し、得られたデータを解釈的現象学的分析(IPA)の手法で整理した。
インタビューでは、脳卒中前後の性行動や性自認の変化、パートナーシップ・コミュニティの支援など、幅広い話題を扱っている。研究者らは参加者の語りを丁寧に検討し、性機能の変化や人間関係上の困難、またLGBTQI+ならではの悩みを抽出した 。
次のようになった。
・脳卒中による後遺症が、当事者の性やセクシュアリティに多様な影響を及ぼすことが示された。以下に、参加者のうち7つの体験談を引用する。
“Because my bowel movements… I don’t like doing it and neither does my partner because I can’t clean my bowels properly. So, it’s frustrating.”
脳卒中後の排泄管理の問題が絡んで性行為に支障を来し、特にアナルセックスを回避せざるを得なくなったと語っている。
“I felt like I had to tell them about… the fucking terrible shit about me. So, you can just leave now kind of thing.”
脳卒中経験者としての身体的・心理的な負担を恐れて、自分を先に否定するようになり、新しい関係を築きにくくなったという。
3. 参加者5(バイセクシュアル/ノンバイナリー)
“I can’t hang out with people for very, very long… I get tired… I don’t get invited to parties…”
バイセクシュアルかつノンバイナリーというアイデンティティを持ち、自分に合ったコミュニティを求めていたが、脳卒中後の体力低下で積極的な行動が難しくなっている。
“I’m virtually a top but it’s hard for me to kneel… He has to position himself in a different way so I can achieve… orgasm.”
自分が主導的に行う体位(top)を維持したいが、膝をつく姿勢が困難になり、パートナーがサポートしてくれることでオーガズムが成立していると述べている。
5. 参加者13(トランスジェンダー女性/クィア)
“Part of this is just fatigue. … that not tonight honey effect.”
トランスジェンダー女性として生活しているが、疲労のために「今夜はちょっと無理」という状況になりやすく、身体面・精神面の調整が難しいと語っている。
“I guess the gay community attitude to disability and difference is really quite distressing… It’s body image and body beautiful… simply doesn’t include me.”
脳卒中後の麻痺や体力低下により、自分がゲイコミュニティの美意識から排除されているように感じ、つらいと述べている。
“It was my right side that was affected. And that affected even my… solo sex life… everything.”
右半身まひの影響で日常生活全般が変わり、セルフプレジャー(マスターベーション)を含めた性的活動も難しくなった。
・脳卒中は身体機能をはじめ、人間関係や自己認識を総合的に揺るがすが、その変化を“新たな性的活動や関係性”へと再構築していく実例も見られる。
本研究は、LGBTQI+の脳卒中経験者が医療・福祉領域で十分にサポートされていない現状を浮き彫りにし、性やセクシュアリティに対するリハビリやカウンセリングの重要性を強調している。同時に、「他の脳卒中経験者と同様の課題」に加えて「LGBTQI+特有の悩み」や「コミュニティ内での孤立感」が絡み合う複雑さも示唆される、
というおはなし。
感想:
LGBTQI+って書くと、男と女のほかにレズ、ゲイ、バイ、トランス、、、があたかも同じ割合で存在しているかのように錯覚する。
実際はとんでもなく少数派だから個別に対応すればいい話なのに、差別をおそれてなにも言えなくなってしまう。
LGBTQI+をふくめた多様性への配慮をDEI(Diversity, Equity, Inclusion)とよぶ。
DEIを基盤とするポリコレとキャンセルカルチャーは、言論を封殺し、民主主義を破壊するためのマインドトリックとして意図的に利用されてきた。