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2011年12月23日

rTMS、やっぱ高頻度の方がイイかも


Comparison of the Effects of High- and Low-frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation on Upper Limb Hemiparesis in the Early Phase ofStroke.
2011  12月  日本


早期脳卒中患者の上肢麻痺に効く

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の条件を調べてみたそうな。


発症早期の脳卒中患者29人を

次の3つのグループに分けた。


高頻度(10ヘルツ)rTMSを損傷側の脳に施す。

低頻度(1ヘルツ)rTMSを健常側の脳に施す。

・偽(ニセ)のrTMSを施す。



5日間の刺激治療を施した後、

握力と指を動かす速さを計測比較した。


その結果、

高頻度グループの改善程度がもっとも優れていた、


というおはなし。








感想:

TMSには大きな可能性を感じてはいるけれど、


・10ヘルツで刺激すると脳の活動が亢進し、

・1ヘルツで刺激すると抑制される。

といった話はどうにも理解ができない。


人の身体を単純化しすぎていると思う。




2011年12月21日

経頭蓋磁気刺激治療、10年間のまとめ


French guidelines on the use of repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS): Safety and therapeutic indications.
2011  12月  フランス



過去10年間に経頭蓋磁気刺激(TMS)

についてのたくさんの研究が行われてきた。


これらをザッと総括してみたそうな。



TMSはすでに何千人もの健常人、病人での実施事例がある。


副作用の報告例は極めて少なく、

失神の事例がいくつかあった。


これらの失神事例は推奨閾値を超えて強い刺激を

与えた場合に起きている。


rTMSはもっと弱い刺激を用いている。


ちなみに、2009年には新たな安全基準が設けられた。



rTMSの治療効果の研究は最近のものである。


慢性疼痛、運動障害、脳卒中、てんかん、耳鳴りや精神疾患

への適用が検討されてきた。



すでにrTMSの慢性神経痛、うつ、幻聴などへの多くの臨床報告がある。


今後、刺激パラメータの最適化が進み、

さらなる臨床事例が増えることが予想される。



というおはなし。





感想:

さいきん、磁気刺激治療のはなしばかりひっかかる。

20年後が楽しみ ではある。

2011年12月19日

磁気刺激治療は重症片麻痺にも効く


Transcranial magnetic stimulation in mild to severe hemiparesis early after stroke: a proof of principle and novel approach to improve motor function.
2011  12月  ブラジル



脳梗塞で重症の上肢麻痺になった患者への

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の効果を調べたそうな。



脳梗塞発症後5-45日以内の患者30人について、

ダメージを負った脳と反対側の脳に

低頻度のrTMS治療を2週間にわたり10セッション施した。


比較のために偽の刺激を与えるグループも作った。



その結果、

・ほとんど全ての患者で全セッションをクリアすることができた。

・副作用はまったく見られなかった。

・上肢機能に著しい改善が見られた。

・ただし偽刺激グループでは何の改善もなかった。






rTMS治療法は重症片麻痺患者にも効果が

ありそうなことがわかった、

というおはなし。

2011年10月14日

磁気刺激治療は歩行リハビリにも効果があるよ


rTMS Combined With Task-Oriented Training to Improve Symmetry of Interhemispheric Corticomotor Excitability and Gait Performance After Stroke: A Randomized Trial.
2011  10月  台湾




反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の

脳卒中上肢麻痺への応用はよくあるはなし。


rTMSを下肢の麻痺治療に応用したそうな。




症状のよく似た脳卒中患者24人について、


・rTMS+歩行トレーニング

・偽のrTMS+歩行トレーニング




の2グループに分けて、10セット、2週間

治療を行った。



rTMSは脳の健常側、運動野の足関連部位に

1ヘルツの抑制刺激を10分間与えた。



その結果、

rTMSを受けたグループで

運動誘発電位と歩行の対称性が著しく改善された。




rTMSは左右脳の活動バランスをとり、

さらには歩行リハビリにも効果があるかもしれない、


というおはなし。


2011年8月14日

奇跡の治療法:rTMSの上肢機能改善効果がついに明らかに…


Baseline severity of upper limb hemiparesis influences the outcome of low-frequencyrTMScombined with intensive occupational therapy in patients who have had astroke.
2011   6月  日本




脳卒中上肢麻痺患者の経頭蓋磁気刺激治療法rTMS)で

日本で一番名の通っている施設での

これまでの治療成績をまとめてみたそうな。



・患者は52名、平均年令57、脳卒中後4~5年経過

・ブルンストロームステージは3-5

・治療のための入院期間は15日

・脳の健常側へ向けての低周波数rTMS刺激を

・1回20分間、加えて120分間の集中的作業療法を、

・合計22セッション施行した。





その結果、

・フーゲルマイヤーアセスメント(Fugl-Meyer Assessment)
のスコアが平均で40.2→43.4著しく向上した。


・ウルフ運動機能検査(Wolf Motor Function Test)の遂行時間が
平均で3.27→2.96(単位不明) 著しく短縮された。


・特にブルンストロームステージ4の患者で改善の伸びが顕著であった。





この15日間の治療コースに参加すれば上肢麻痺を改善できるかもしれない、

というおはなし。





感想:

この効果の素晴らしさについては次のように例えてみるとよく分かると思う。


・100点満点のテストで普段は平均40点しかとれなかった学生が、

ちょっと高額だけど15日間の予備校合宿に参加したところ、

平均43点をとることができるようになった。



・実力の伸び悩む陸上短距離選手が、

ちょっと高額だけど15日間の特別訓練合宿に参加したところ、

自身の持つタイムを0.1秒更新することができた。






これらの成果に価値を見出すことができるかどうかは  

ホント 人それぞれ…  と思う。





なんとなくわかるウルフ運動機能検査 (Wolf Motor Function Test)

直リンク

2011年4月30日

rTMS? 試してみたけど大したことなかったよ


Functional neuromuscular stimulation to improve severe hand dysfunction after stroke: Does inhibitory rTMS enhance therapeutic efficiency?
2011 4月 ドイツ



筋電トリガー付き機能的神経・筋刺激法(EMG-FNMS) と、

反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS) を組み合わせたら

脳卒中上肢麻痺の治療がもっとはかどるのではないか…

と考えて実験してみたそうな。




24名の脳卒中片麻痺患者について、

・EMG-FNMS プラス rTMS

・EMG-FNMS プラスrTMS

の2グループに分けて10日間治療を施した。


rTMSは抑制効果のある1Hz刺激を健常脳に対して適用した。





その結果、

どちらのグループも上肢機能の改善は見られたが、

両グループではっきりとした違いはなかった。


機能的神経・筋刺激法にrTMSはまったく役に立たないことがわかった、

というおはなし。





感想:

機能的神経・筋刺激法ってハンディタイプの刺激装置がいろんな

ところから販売されていて、

日本にも似たような装置を開発している有名大学や企業がある。




今回の研究は機能的神経・筋刺激法を信奉する人たちによる

最近目につくようになってきたrTMS派の人たちへの

ちょっとした嫌がらせなんじゃないか…

と感じた。


神経筋電気刺激

2011年4月9日

夢の上肢麻痺治療法、rTMSで信じられない奇跡の成果が 再び


Anti-spastic effect of low-frequency rTMS applied with occupational therapy in post-stroke patients with upper limb hemiparesis.
2011  4月  日本





反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)と通常の作業療法を

脳卒中片麻痺患者に施したところ、

上肢機能が著しく改善した、という いつもの内容。





ここで 被験者として選別する際の上肢麻痺程度の条件として


"手指のBrunnstrom stageから"


とあったので検索してみた。





Brunnstrom stage
brunnstrom.png
(Brunnstrom S: Movement therapy in hemiplegia; A neurophysiological approach. Harper & Row, New York, 1970.)





自分の麻痺経験から、

ステージⅢの "握れるが開けない" と

Ⅳの "横つまみ・僅かな伸展"

との間には非常に高い壁があって、



これを超えるための効果的な治療法は

現在この世には存在していない、と理解している。





もし、このrTMS治療法で ステージⅢをⅣ以上に押し上げる効果があるのだとしたら、

是非、ノーベル医学賞をもらって欲しいと思う。





一方で、ステージⅣ、Ⅴの状態をさらに改善することは極めて易しいことと考える。

(すでに指を開くことが出来るのだから、たくさん練習させればイイだけ。)





だから、Ⅲと Ⅳ,Ⅴの患者を一緒くたにして

上肢麻痺に著しい改善効果があった、


とするのはあまりフェアではないと思うんだよね。


関連記事:rTMS治療中に居眠りしていた脳卒中患者の末路

2010年12月10日

非流暢性失語なら経頭蓋磁気刺激(rTMS)にまかせてください


Improved language performance subsequent to low-frequency rTMS in patients with chronic non-fluent aphasia post-stroke.
2010 12月 オーストラリア



非流暢性の失語症患者6人に、
1Hzの磁気刺激を1日あたり20分、10日間与えたそうな。


2ヶ月後の検査で、ネーミング、発語、ヒアリング能力が
偽(にせ)の刺激を与えたグループに比べ、
かなり改善していたとのこと。


これって使えるかもね、 という内容。



磁気刺激治療で失語症改善

2010年9月16日

rTMSは慢性期患者にも大変有効な夢の治療法


Brain Stimulation Can Help Partially Paralysed Stroke Patients Regain Use of Their Muscles, Research Finds
2010 9月 エジプト



"rTMS 5Hzと1Hzのつかいわけ"
のつづき


磁気刺激治療法(rTMS)の麻痺改善効果を調べるべく
脳卒中患者を20名ずつ次の3グループに分けたそうな。

通常のリハビリに加え、
・脳の病側に5ヘルツのrTMS
・脳の健常側に1ヘルツのrTMS
・刺激を与えたフリ


その結果、
偽の刺激以外の2グループで著しい成果があった、とのこと。


なんでも 脳卒中後は
脳の健常側が活動過剰になっているので
1ヘルツで活動を抑制してバランスをとり、
病気側は5ヘルツで働きを増強するのだそうな。


さらにこの被験者グループは発症時期が急性期~慢性期と
幅が広かったけれど、みな同程度に効果が見られたという。

磁気刺激治療法は慢性期患者にも有効である、という結論。





実験結果、背景理論ともに
話がうますぎる気がする。




CIなんとかと同じ匂いがする。

2010年8月15日

TMS療法にCI療法を加えてみた


Low-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation and intensive occupational therapy for poststroke patients with upper limb hemiparesis: preliminary study of a 15-day protocol.
2010 7月 日本



磁気刺激療法で有名な慈恵医科大学の研究。

脳卒中後慢性期患者15人の上肢リハビリとして、
15日間にわたり磁気刺激療法と集中的な作業療法を
あわせて22回施行したところ、

運動機能と麻痺の改善に大きく貢献した、という内容。








TMS単体でのほんとうの治療効果について知りたい、と思った。

2010年5月20日

磁気刺激は気分改善程度


Effect of repetitive transcranial magnetic stimulation on cognition and mood in stroke patients: a double-blind, sham-controlled trial.
5月発表 韓国



rTMSで脳刺激をしたら脳卒中後の認知機能低下やうつ気分の
改善に役立つかどうかを調べた研究。


認知機能の改善はないけれど、多少気分がよくなるかもしれない、という結論。

2010年5月19日

2010年4月15日

経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)とOTで上肢訓練


Six-day course of repetitive transcranial magnetic stimulation plus occupational therapy for post-stroke patients with upper limb hemiparesis: A case series study.




麻痺治療の革命的方法としてテレビ放映された
慈恵医大の最新研究成果。


5人の脳卒中患者について
磁気刺激治療法(rTMS)+OTトレーニングを6日間実施したところ、
どうやら危険はなさそうで かつ
効果もありそうなことがわかった、 という かなり謙虚な内容。
("革命的"、"世界初" とかは言っていない模様)


ただ、
・患者数がたったの5人であること、
・もともと手がうごく患者しか治療対象としていないこと
・同時に作業療法(CI療法)も施していること

から、本当に磁気刺激で改善が得られたのかは
この文中からはわからなかった。

2010年4月14日

4年待ち!?革命的磁気刺激治療法

慈恵医大リハビリテーション科のホームページより

わずか2週間で改善!世界初、脳卒中の後遺症治療に革命!
tms.png

3ヶ月ぶりに
病院のホームページを見たら、治療入院3年待ち、とある。
電話をして問い合わせた人のブログには4年待ちの返答だったとか。



はたして順番が来るのを待つ価値があるのかどうか、
下記りンクのwikiの記事は参考になると思った。


経頭蓋磁気刺激法


・TMSを発明したのは本当に安保教授なのか?
・脳正常側の抑制というアイデアを発案したのも安保教授なのか?
・2週間で手が動くようになるというのは信用できるのか?

これら疑問へのヒントをつかめると思う。





関連記事:
驚き!:磁気刺激治療(TMS)の適応基準

2010年3月16日

驚き!:磁気刺激治療(TMS)の適応基準

下記テレビ放映の影響で、この数日間 脳卒中リハビリのネット検索が活発になっている。
 (間違ってここへ来る人が多い)

「脳機能障害の改善策に革命をもたらしたい」
TBS 【夢の扉~NEXT DOOR~】
にリハビリテーション医学講座 安保雅博教授が出演

・ 放送日時:平成22年3月14日(日) 18:30~

・放送局 : TBS 【夢の扉~NEXT DOOR~】





このなかで紹介された磁気刺激治療法(TMS)の適応基準が慈恵医大のホームページに載っている。


それを読んでかなり驚いた。

以下、その適応基準を引用
(1)認知機能に問題がない(認知症ではない)。
(2)うつ病でない。
(3)透析をしていない。
(4)頭蓋内に金属(クリップなど)が入っていない、心臓ペースメーカーが入っていない。
(5)少なくとも一年間は痙攣の既往がない(脳波検査で異常がない)。
(6)全身状態が良好である(発熱、栄養障害、重度心疾患、体力低下などがない)。
(7)日常生活が自立している(自ら移動できるなど生活上では介助が要らない)。
(8)脳卒中(脳梗塞、脳内出血、クモ膜下出血)を原因として 上肢麻痺もしくは失語症を呈している。
(9)年齢が 16 歳以上である。

上肢麻痺
→手首を曲げないで、指でグーパーができること。少なくとも母指・示指・中指の3指が曲げ
たり伸ばしたりできること

失語症
→発語がスムーズではない、言葉がとっさには出てこず言いたいことが言えない、単語を思
い出せない、単純な内容であれば理解できるが複雑な話は聞いても分からないなどの症状
がある。


もう少し簡単に言うと、その条件とは、

頭がはっきりしていること、病気ではないこと、身体に異常がないこと、自立していること、
指が曲げ伸ばしできるほどの非常に軽い麻痺であること、
ゆっくりであれば言いたいことが言えること、


ということである。



・・・

CI療法よりもはるかに厳しい条件に見える。


かつて上肢麻痺で指が1mmたりとも動かなかった私の経験から言わせてもらうと
この条件は、 
"治す必要のない人にあえて治療を施すための条件" 
と言っているように感じられてならない。


この条件に当てはまるほどに手指が動く人というのは
もはや麻痺で困っている人とは言えまい。

これを麻痺と呼んだら、本当の麻痺患者に申し訳が立たない。


もともと手が動くひとしか治療対象にしないのだから、
ほんの少し訓練するだけで動きが良くなるのは当然である。

しかも入院費用として数十万円も支払うのだから、そのやる気たるやすでに半端ではない。
間違いなく自ら進んで 確実に良い成果を出すであろう。









最も直視しなければならない本当の麻痺患者を "適応基準" というフィルタで巧みに除外し、
安易に得られる成果を誘導して それを革命的なエビデンスと称する。





ちなみに最新の脳卒中治療ガイドライン2009によるとこの磁気刺激治療法は、
未だ治療法としてほとんど評価されていない。
近年、経頭蓋反復磁気刺激(rTMS)による上肢機能の改善27-29)の報告(Ⅰb)や、経頭蓋直流電流刺激による上肢運動機能の改善30)(Ⅱb)が報告されているが、例数は少なく、刺激条件、刺激部位などもまだ確立されていない





脳卒中リハビリの分野が抱える問題の本質が
如何に困難なものであるかを伺い知ることができる好例と思った。




参考:この件↓と同レベルと思う。
脳の可塑性に期待、HANDS療法 衝撃のビデオ

2010年3月7日

rTMSで脳組織を護る


Protective effects of repetitive transcranial magnetic stimulation in a rat model of transient cerebral ischaemia: a microPET study.



ねずみでの実験。

脳への血のながれを一時的にとめて
rTMSをやってみると、
脳の代謝活動があがって、壊死してしまう組織が減ったんだと。




最近、rTMS療法をやってみたという複数の脳卒中経験者に出会った。


いずれも、ほとんど効果はなかった、と言っている。



いつも思うのだけど、

このrTMS療法って

故障したパソコンをぶん殴ったら治るんじゃないか、
って発想と同レベルの印象がある。

2010年1月17日

経頭蓋磁気刺激法と脳卒中リハビリ

これをみて

Transcranial magnetic stimulation in the therapy of selected post-stroke cognitive deficits: aphasia and visuospatial hemineglect



失語症や半側空間無視のリハビリに有効なのか…

rTMSといって r をつけることが重要。

詳しくはwiki


でもずいぶんと大雑把な方法だと思う。

要するに 頭にIHホットプレートを乗せる電気ショックなんだから。

調べてみると、
tDCSってのもあって、 これはもっとヒドイ方法。

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