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2015年9月7日

損傷脳半球と同側の感覚障害について


Sensory deficits in ipsilesional upper-extremity in chronic stroke patients.
2015  9月  ブラジル
通常、脳卒中で損傷した脳半球と反対側に麻痺や感覚障害が現れる。

損傷脳の同側について感覚障害を調べてみたそうな。


慢性期脳卒中患者28人と健常者22人について、両方の手首や手の触覚、温度感覚、運動機能を測定した。


次のことがわかった。

・患者の25人は損傷脳の反対側に感覚障害があった。

・また、患者の18人(64%)には同側に感覚障害があった。

・同側の感覚障害は左利きの患者がもっとも酷かった。

・右脳損傷患者の同側の触覚は左脳損傷患者よりも悪くなかった。


脳卒中患者の損傷脳半球と同側に 深部感覚、触覚、温度感覚の低下が見られた。右脳損傷、右利き患者は同側の感覚障害になりにくかった、


というおはなし。



感想:

この種のはなしはときどき出てくる。

多かれ少なかれ両方の手に影響があるようなので、「非麻痺手」とか「健常側」とかいう表現を使うのは適切でないって言ってる。

2015年9月6日

Wiiリハビリの効果をCI療法と比較してみた


The efficacy of Wii-based Movement Therapy for upper limb rehabilitation in the chronic poststroke period: a randomized controlled trial.
2015  9月  オーストラリア

WiiリハビリとCI療法の効果を比較してみたそうな。


発症から2-46ヶ月の脳卒中患者41人を次の2グループに分けた。

*Wiiリハビリ
*CI療法

14日間の治療の効果を比較したところ、


次のことがわかった。

・両グループともにいずれの時点でも有意な差はなく、上肢機能は改善し、その効果は6ヶ月後も持続した。

・Wolf Motor Function Testの課題遂行時間は、Wiiリハで2.1→1.7秒、CI療法で2.6→2.3秒に短縮した。

・上肢使用頻度の動作の質は、Wiiリハで67.7→102.4、CI療法で64.1→93.0に改善した。

・患者の好み、支持、持続性は、CI療法よりもWiiリハビリが高かった。


Wiiを使った上肢リハビリの効果はCI療法に匹敵し、患者の受け入れ度はCI療法よりも高かった、


というおはなし。
図:WiiとCI療法の比較


感想:

コストも考えたらWiiの圧勝だな。

2015年9月5日

脳の損傷位置と睡眠の質の違い


Research of Sleep Disorders in Patients with Acute Cerebral Infarction.
2015  8月  中国

脳梗塞と睡眠障害の関連を梗塞部位ごとに調べてみたそうな。


急性期脳梗塞患者101人と健常者86人について、睡眠ポリグラフ検査を行い比較したところ、


次のことがわかった。

・睡眠障害の発症率は脳梗塞グループで高く、特に女性患者で多かった。

・脳梗塞と特定の種類の睡眠障害の関連はなかった。

・梗塞の位置によって睡眠の質が異なっていた。

・右脳損傷よりも左脳損傷で、後頭部よりも前頭部梗塞で 睡眠の質が悪かった。

・視床に梗塞の患者は他の患者に比べ睡眠時間が長く、すぐに眠りに落ちた。


急性期脳梗塞患者には睡眠障害が多く、梗塞の位置によってその特徴も異なっていた、


というおはなし。


感想:

夢日記をつけるようになって2年近く経つ。枕元にノートを置いて、夢から覚めたら真っ暗な中すぐに内容を記録する。

翌朝読み返すと、1日の出来事が倍に増えたように感じられて やめられない。

2015年9月4日

やや重度の脳卒中患者でもグループセラピーでじゅうぶん間に合った


Group therapy task training versus individual task training during inpatient stroke rehabilitation: A randomised controlled trial.
2015  8月  ドイツ

グループ訓練と個人訓練の効果の違いを調べてみたそうな。


脳卒中でリハビリ病院に入院中の中等度-重度の脳卒中患者73人を、グループ訓練と個人訓練に分けた。

歩行能力を改善するための訓練を1回90分間、計30セッションを6週間にわたり行った。


次のようになった。

・いずれのグループも有害事象はなかった。

・脳卒中影響尺度の移動能力面でグループ間の有意な差はなかった。

・歩行スピード、他の歩行パラメータ、ウツや疲労の面でもグループ間の差は見られなかった。


中等度-重度の脳卒中患者へのグループ訓練で、個人訓練と同等の成果が得られた


というおはなし。



感想:

この種の研究は近い将来の遠隔リハビリを見据えたものであり、顧客の大量獲得、人件費の大幅削減を可能とする病院経営改革プランのエビデンスとして利用される、と考える。
Wiiが脳卒中リハビリに有効であることを文句なしに証明することにした

2015年9月3日

片麻痺の立ち上がり訓練 効果的なやり方


Effects of modified sit-to-stand training on balance control in hemiplegic stroke patients: A randomized controlled trial.
2015  8月  中国
椅子からの立ち上がり訓練に効果的な方法を実験してみたそうな。


脳卒中片麻痺患者50人を2グループに分けた。

*比較グループ:両足を左右対称に置く
*実験グループ:麻痺足をうしろに置く

1回30分間の訓練を週5回、4週間継続した。

訓練前後でのバランス能力を比較したところ、


次のことがわかった。

・両グループ共に立位バランスが明らかに改善した。

・立ち上がりに要する時間は実験グループが0.9秒短かった。

・体重負荷の非対称性の改善度は 0.06 vs. 0.17で実験グループが大きかった。

・重心動揺長は実験グループが小さかったが、重心動揺面積は大きかった。

・バランス機能評価スコアは 5.8 vs. 8.4 で実験グループが優れていた。


麻痺足を後ろに置いて立ち上がり訓練をすると脳卒中片麻痺患者のバランス能力がより改善する、


というおはなし。

図:立ち上がり訓練

感想:

やってみたけど麻痺足をうしろはけっこうキツイな。

2015年9月2日

脳卒中患者の腿にキネシオテープ貼ってみた その効果は


Effects of Kinesio Tape application to quadriceps muscles on isokinetic muscle strength, gait, and functional parameters in patients with stroke.
2015  7月  トルコ

脳卒中患者の腿に貼ったキネシオテープの効果を調べてみたそうな。


24人の脳卒中患者をキネシオテープの有無で2グループに分けた。

キネシオテープは両側の大腿四頭筋に4週間貼り続けた。

並行して通常のリハビリを週5ペースで行い改善度を比較した。


次のようになった。

・膝の等速曲げ伸ばし運動時のピークトルクは両グループで明らかに増大したが、

・麻痺側の脚のトルク変化分は、キネシオテープグループで有意に大きかった。

・さらに上回るトルク増大を、キネシオテープグループの非麻痺脚で確認した。

・歩行、バランス、移動能力、QoLの向上度はグループ間で有意な差はなかった。


脳卒中患者の大腿四頭筋へ貼ったキネシオテープは等速性運動に効果的だったが、機能的改善効果は見られなかった、


というおはなし。

キネシオテープ

感想:

足首には貼ってみたい気もする。ただ、目立つところに貼らないと気分が高揚しないんだろうな、、

2015年9月1日

不整脈が脳梗塞になる季節がわかった


Cold weather linked to increased stroke risk in atrial fibrillation patients
2015  8月  台湾

気温と脳梗塞との関連を、心房細動患者について調べてみたそうな。

先週の欧州心臓病学会での発表内容。


289559人の心房細動患者を約3年間フォローして、気温と脳梗塞との関連を月ごと、季節ごとに解析したところ、


次のようになった。

・この間に34991件の脳梗塞が起きた。

・平均気温の低い月で脳梗塞リスクが高かった。

・脳梗塞は冬に多く、夏に最も少なかった。

・秋も少なかった。

・2週間内の5℃を超える気温低下で脳梗塞が起きやすかった。

・平均気温30℃の月に比べ20℃を下回ると脳梗塞が明らかに増えた。


心房細動患者は涼しい季節になると脳梗塞を起こしやすくなる、


というおはなし。
図:心房細動
感想:

いっぱんに脳梗塞は夏に多いというから変だな、、と思ったら過去記事にもあった。
脳梗塞の季節がやってまいりました。 水分、すいぶん
心原性の脳梗塞は夏よりも冬におおい。

水分が不足して血液ドロドロになるから脳梗塞、っていう説はアテにならないってことだよな。

2015年8月31日

昼寝で血圧が改善することが明らかに


Midday naps associated with reduced blood pressure and fewer medications
2015  8月  ギリシャ

昼寝と高血圧との関連を調べてみたそうな。

おとといの欧州心臓病学会での発表内容。


平均年齢61、高血圧症の患者386人の昼寝時間を調査し、24時間血圧の測定結果との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・昼寝をする者は昼寝しない者に比べ収縮期血圧が4-5%低く、

・夜間就寝中は血圧がさらに低下した。

・この血圧低下分は数mmHgと小さかったが、心血管疾患リスク10%減に相当した。

・昼寝グループは、動脈硬化の目安になる脈波伝搬速度が11%低く、

・左心房の径も5%小さかった。

・60分間昼寝する者は平均4mmHg収縮期血圧が低下し、就寝中血圧の低下度も大きかった。


昼寝習慣は24時間の平均血圧および就寝中の血圧の低下と関連があり、心臓や動脈へのダメージが少ないと考えられた。たっぷり昼寝をとることで降圧薬を減らせるかもしれない、


というおはなし。

昼寝と血圧


感想:

会社経営者は社員に昼寝を義務付けるべき、、と思ったけど、そのまえに在宅勤務と人工知能ロボットが普及して義務化は必要なくなるだろな。

2015年8月30日

手の痙縮を解く低周波治療器の効果的使用法が判明!


Effects of a 12-hour neuromuscular electrical stimulation treatment program on the recovery of upper extremity function in sub-acute stroke patients: a randomized controlled pilot trial.
2015  8月  中国
脳卒中患者の上肢への神経筋電気刺激療法(NMES)は刺激時間が長いほど効果的であるという報告がある。

そこで、12時間コースを作って効果を調べてみたそうな。


脳卒中亜急性期で片麻痺の患者45人を3グループに分けた。

*12時間NMES+通常リハビリ
*30分間NMES+通常リハビリ
*通常リハビリのみ

12時間NMESグループは関節が動かない程度の弱い電気刺激を肩へ、夜の就寝中に継続する。30分間NMESグループは日中に刺激する。

これを週6日x4週間続けたのち運動機能、痙縮度を比較したところ、


次のようになった。

・12時間NMESグループで手や手首の運動機能、痙縮度がもっとも改善された。

・肩や肘の改善度にグループ間の差は見られなかった。


12時間NMESグループで上肢の 特に手や手首の運動機能がより改善した。この治療法は就寝中にできるので超おすすめ、


というおはなし。



感想:

ふつう治療時間の上限は医療機関の都合で決まるから12時間はありえない。

そこで低周波治療器の電極を肩に貼って、いちばん弱い設定にして寝る。朝起きたら手が動く。

こういうアイデアは好きだな。

2015年8月29日

小児の脳卒中 最悪の発症時期は、、


Age at stroke onset influences the clinical outcome and health-related quality of life in pediatric ischemic stroke survivors.
2015  8月  カナダ

ちいさな子供は脳の急速な発達段階にある。子供の脳卒中の発症時期と長期的な影響の違いを調べてみたそうな。


脳梗塞を経験した子供90人を、その発症時期別に3グループに分けた。

*出産前後期(31人)
*新生児期(36人)
*幼年期(23人)

数年後の神経症状と健康関連QoLを調べ関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・年齢中央値は、新生児期0.5日、幼年期3.7歳だった。

・出産前後期に脳卒中を経験したグループがもっとも回復が悪く、運動機能、日常生活動作も最低レベルだった。

・一方、新生児期に脳卒中を経験したグループがもっとも回復が良く、健康関連QoLも高かった。


小児の脳卒中は発症時期により回復度が大きく異なった。出産前後期の脳卒中は最も回復がよくなかった、


というおはなし。

写真:周産期


感想:

生まれる直前と直後とでは見た目以上に違うんだな、、

2015年8月28日

安静時の心拍数でわかる脳卒中のなりやすさ


Heart rate and ischemic stroke: the REasons for Geographic And Racial Differences in Stroke (REGARDS) study.
2015  8月  アメリカ

心拍数と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


平均年齢64、脳卒中でない男女24730人を7.6年間追跡調査したところ、


次のことがわかった。

・この間に646人が脳梗塞になった。

・安静時心拍数(拍/分)が10高くなるごとに脳梗塞リスクも10%高くなった。

・心拍数61未満に比べ、"61-70"、"70より高い" 人では 脳梗塞リスクがそれぞれ29%、37%高かった。

・この関連は年齢、性別、人種、運動習慣、血圧を考慮に入れてもなお変わらなかった。


安静時心拍数が高いと脳梗塞リスクも高かった。心拍数を減らせば脳卒中予防になるのかは不明、


というおはなし。

写真:心拍

感想:

自慢じゃないけど心拍数はたかい。