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2023年11月10日

血管内手術の衝撃:成功しても半数以上が無駄?

2023  9月  オーストラリア


急性脳梗塞における血管内血栓除去術(EVT)で血栓が除去されたにもかかわらず、機能的転帰がまったく改善しないいわゆる「無効再開通 」Futile recanalization(FR)は依然として懸念されている。

そこで、FRの有病率と関連因子をあきらかにするべく、メタアナリシスをこころみたそうな。



次のことがわかった。

・EVTを受けた11700人の患者を含む包括的なメタアナリシスにより、プールされたFR有病率は51%と有意であり、その範囲は48%~54%であった。

・多くの臨床因子がFRと強固な相関を示した。
それらは、心房細動、高血圧、糖尿病、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往、抗凝固薬の使用歴、心塞栓性脳卒中、および全身麻酔であった。

・逆に、FRは次の場合に生じにくかった。
喫煙、良好な側副血行路、男性、および 静脈内血栓溶解療法(IVT)、であった。

・また、FRは年齢、 ベースラインの収縮期血圧、ベースラインのNIHSSスコア、発症から治療までの時間、発症から回復までの時間、ベースライン血糖値、 とは正の関連を示し、

・一方、ベースラインのAlberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)が低い、つまり梗塞範囲が広い場合にはFRになりやすかった。

・臨床転帰に関しては、FRは頭蓋内出血、出血性転化、90日死亡のオッズ増加と有意に関連していた。


急性脳梗塞の血栓除去に成功した患者のうち、無効再開通は51%の患者で起きていた。さらなる研究が必要である、


というおはなし。
脳外科医竹田くん

血管内治療

血管内治療

脳外科医竹田くん


感想:

効果ないだけならよいけれど、とうぜんこういう場合も含む↓。

何度も血管を引っ掻いて血栓飛び散らせて梗塞を拡大させるとか、血管突き破って出血させるとかしながらも、
なんとか血栓を掻き出すことに成功したけれど期待した効果が得られなかったばかりかひどい障害が残ったケース。

これを体裁良く命名したものが「無効再開通FR」。


血栓除去術」の関連記事




『これまで、血栓除去術についての論文をいくつかブログ記事にしてきました。いずれも死亡率や合併症を負う率がとても高く、しかも長期に患者をフォローする記録が存在しないなどおかしな点もあります。

医師が自分の熟練手技を自慢したいがために好んで行っている様子もみうけられます。

今回のメタアナリシスで無効再開通率51%という数字は私にはとても異常に思えます。

血栓除去術の本質的な問題をさらに追求するとしたらどのような視点がかんがえられますか?』


AI『血栓除去術に関するメタアナリシスでの無効再開通率(FR率)が51%というデータは、この治療法に対する重要な問題点を浮き彫りにしています。その本質的な問題を追求するための視点としては、以下のような点が考えられます。

適応基準の見直し:
どの患者が血栓除去術の恩恵を受けられるのか、またどの患者が受けられないのかについての基準を厳密にする必要があります。FR率が高いことは、選択基準が不適切である可能性を示唆しているかもしれません。

予後予測の改善:
術前の患者評価において、予後を予測するためのバイオマーカーの同定、詳細な画像診断技術の導入、または新しい臨床スコアリングシステムの開発が求められます。

技術革新と手技の標準化:
血栓除去術の成功率を高めるためには、手技や使用するデバイスの改良、標準化が不可欠です。手技の自慢ではなく、再現可能で安全な手術方法の確立が求められます。

熟練度と訓練:
手技依存度が高い術式では、医師の熟練度と訓練が患者のアウトカムに直接影響します。医師の技術レベルや経験が均一でない現状を改善し、より良い結果をもたらすためにどう訓練を統一し、熟練度を担保するかを考える必要があります。

長期フォローアップの不足:
長期的なアウトカムデータの欠如は、治療の有効性や安全性を適切に評価する上で大きな障害となります。長期的な効果や生活の質への影響についての研究を増やすことが重要です。

医療経済学的アプローチ:
コスト効果分析を通じて、血栓除去術が持続可能な医療サービスであるかどうかを検討する必要があります。治療による経済的負担と患者のアウトカムを総合的に評価することが求められます。

患者の自律と情報提供:
患者やその家族に対して、血栓除去術のリスクとベネフィットを透明にし、十分な情報に基づいた意思決定を促す体制を整えることが不可欠です。

倫理的・法的側面:
治療が推奨される条件、医師の技術アピールの倫理性、患者への過度な期待の抑制など、倫理的および法的な側面からのアプローチも必要です。

これらの視点を追求することで、血栓除去術の問題点をより深く理解し、患者にとって本当に有益な治療法を提供するための改善策を模索することができるでしょう。』




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