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2011年4月10日

病院を主席で退院しても、社会に出たらタダの人以下

昨日の記事についてOTセラピストの方から次のようなメールをもらいました。


『担当している方が、
ブルンストロームステージ6、全運動可にも関わらず
介護レベル2のままで病人状態です。
これは一体どういうことでしょうか?』



といった内容でした。




常々考えていることを記す良い機会と思ったので

ここで勝手にとりあげさせてもらいます。





こういうこと、と思います。


脳卒中リハビリのシーンで用いられる機能評価スケールの多くは

その最良スコアの状態が

"生活動作の自立ができる"、

に相当していると考えます。



つまり病院では自立ができるほどに身体が機能すれば満点評価されます。



ところが、自立に要する身体機能レベルというのは、

健常人が持つ限界能力の20%程度で済むと考えます。



なぜ20%かというと、

健常人は瞬間的に時速20キロ程度で走ることができます。

しかし、自分のような脳卒中経験者で驚異的なまでに回復した者でも

走ることは極めて難しく、せいぜい健常人の通常歩行速度の

時速4キロメートルが精一杯です。



交差点で信号が点滅していても小走りにできません。


この速度の比をもって 例として 20%と考えます。





病院でどんなに優秀な回復成績を収めたところで

発症前の身体機能レベルには程遠いのです。



じゃあ、もっとがんばって発症前のレベルに到達するよう

さらにリハビリすればいいじゃないか、とも思いますが、


すでに生活動作の自立ができているため差し迫ったその必要性は感じません。




ところがその一方で、

この社会では異常なまでの体力重視の勤勉さが求められます。


例えば、

サラリーマンは地震や台風が来ようが、電車が動いてなかろうが

必ず出勤しなければなりません。



健常時の20%の身体能力でこんな修行僧のような通勤生活を送る

ことはほとんど不可能に感じられます。



こういった社会状況から受ける不全感の壁が非常に高く感じられ、

心理的に病人ゾーンを抜け出せなくなっている人が多い、




そう考えるのです。

2011年4月9日

夢の上肢麻痺治療法、rTMSで信じられない奇跡の成果が 再び


Anti-spastic effect of low-frequency rTMS applied with occupational therapy in post-stroke patients with upper limb hemiparesis.
2011  4月  日本





反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)と通常の作業療法を

脳卒中片麻痺患者に施したところ、

上肢機能が著しく改善した、という いつもの内容。





ここで 被験者として選別する際の上肢麻痺程度の条件として


"手指のBrunnstrom stageから"


とあったので検索してみた。





Brunnstrom stage
brunnstrom.png
(Brunnstrom S: Movement therapy in hemiplegia; A neurophysiological approach. Harper & Row, New York, 1970.)





自分の麻痺経験から、

ステージⅢの "握れるが開けない" と

Ⅳの "横つまみ・僅かな伸展"

との間には非常に高い壁があって、



これを超えるための効果的な治療法は

現在この世には存在していない、と理解している。





もし、このrTMS治療法で ステージⅢをⅣ以上に押し上げる効果があるのだとしたら、

是非、ノーベル医学賞をもらって欲しいと思う。





一方で、ステージⅣ、Ⅴの状態をさらに改善することは極めて易しいことと考える。

(すでに指を開くことが出来るのだから、たくさん練習させればイイだけ。)





だから、Ⅲと Ⅳ,Ⅴの患者を一緒くたにして

上肢麻痺に著しい改善効果があった、


とするのはあまりフェアではないと思うんだよね。


関連記事:rTMS治療中に居眠りしていた脳卒中患者の末路

2011年4月8日

脳卒中になったら、サプリはDHA入りがオススメ


Docosahexaenoic Acid Therapy of Experimental Ischemic Stroke.
2011 3月 アメリカ




ドコサヘキサエン酸(DHA)の神経保護作用について調べてみたそうな。



ネズミの脳を人為的に血の巡りの悪い状態にした後、

2-6時間おいてからDHAを注射した。




脳の変化をMRIで7日間にわたり観察したところ、

DHAを与えたグループのネズミの脳では

壊死してしまう組織の大きさが非常に小さかった。

また機能の回復も早かった。




脳を虚血にしたあと5時間を超えるとこの改善効果は見られなかった。



DHAにはすっごい神経保護作用があることがわかった、

というおはなし。





写真:DHAは脳梗塞を防ぐ。
ネズミの脳:梗塞になった領域
左:DHAなし、    右:DHAあり

2011年4月7日

イメージトレーニングは、"奇跡"のリハビリ法ではないことが判明


A Multicenter Randomized Controlled Trial to Compare Subacute 'Treatment as Usual' With and Without Mental Practice Among Persons With Stroke in Dutch Nursing Homes.
2010 10月 オランダ




脳卒中リハビリへのイメージトレーニングはイイと評判なので、

あらためてその効果の有無を調べたそうな。



養護施設の平均年令78の脳卒中患者36人を2グループに分けて、

一方には6週間にわたりイメージトレーニングを施した。


その間、両グループとも通常のリハビリは継続した。




結果、

両グループで改善の程度に違いは まったく見られなかった。



もっと回復の見込みのありそうな患者を選んでおけばよかった…

というおはなし。








イメトレのお供に


2011年4月6日

10年も経つと、およそ4割がまた脳卒中を経験している


Risk and Cumulative Risk of Stroke Recurrence: A Systematic Review and Meta-Analysis.
2011 3月 イギリス


脳卒中の再発の危険性が、

年を経るごとにどのように蓄積されてゆくかを調べるべく

過去の研究成果を再検証したそうな。




延べ9000人以上の患者データの再分析の結果、

発症からの期間と脳卒中再発率との関係は次のようになった。


・30日後:3%

・1年後:11%

・5年後:26%

・10年後:39%



というおはなし。

図:脳卒中の10年再発率

2011年4月5日

鍼の効果で脳梗塞患者の血中タンパク質も変化


Proteomic analysis of serum proteins in acute ischemic stroke patients treated with acupuncture.
2011 3月 中国


脳梗塞リハビリへの鍼灸の効果が、

血中タンパク質と上下肢の筋力にどう反映されるかを調べたそうな。




35名の急性期脳梗塞患者について、

10日間の鍼灸治療を施すグループとそうでないグループに分けて、

血中に発現しているタンパク質の種類と量、

上下肢の筋力を測定した。




その結果、

鍼灸治療を施したグループでは筋力が増加し、

血中タンパク質の内容にも おおいに変化が起きたことがわかった。




鍼灸は 主観的な改善効果だけでなく

観察可能な変化をも もたらすことができる、 という内容。


2011年4月4日

脳卒中後アパシー(無気力)って なんだ?


Post-stroke depression and apathy: Interactions between functional recovery, lesion location, and emotional response.
2011 3月 日本



脳卒中後のうつはよくある話だけれども、

この症状は抑うつ気分無気力(アパシー)の2つに分けることができる。


これらの感情反応の背景を分析すると

"回復に対する強い固執"

という要因が見えてくる。


この感情はこれまで、回復の妨げになるネガティブな要因の1つとして考えられていた。


しかし適度なレベルの"回復に対する強い固執"

抑うつや無気力の低下と関連があり、結果としてリハビリも捗る。



抑うつや無気力は多くの要因が絡んだ複雑な反応であり、

多面的なアプローチが必要である、


というお話。


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どこかで聴いた内容…と思ったら

この記事と同じ著者だった。
脳卒中後のうつと意欲低下




わざわざアパシーを持ち込んでくる理由はよくわからないが、

脳卒中リハビリが抑うつ対策ではかどるというというのはそのとおりだと思う。





最近は頭や筋肉に電流を流したりするのが流行っているけれど、

患者を壊れたロボットのように考えているようで 実はあまり好きになれない。




だからこういう記事を読むとホッとする。

2011年4月3日

どういうわけか 失語症があると死亡率が高い


Mortality and nursing care dependency one year after first ischemic stroke: an analysis of german statutory health insurance data.
2011 4月 ドイツ



脳梗塞後の失語症、認知症、うつ

が死亡率に与える影響について調べたそうな。




50歳以上の脳梗塞患者977人のうち

発症後1年以内に

失語症になったのは15%

認知症は13%

うつ症状は22%

であった。



そのなかで特に、

失語症のある患者の死亡率は非常に高くなることがわかった、


という内容。




失語症は重症のあかし、ということなのだろうか...






脳梗塞で失語症のサラちゃん(19歳)へのインタビュー


2011年4月2日

脳卒中後のセックスリハビリで回数と満足度が向上


Effects of a sexual rehabilitation intervention program on stroke patients and their spouses.
2011 1月 韓国


韓国のある大学病院で考案された脳卒中患者への

セックスリハビリによる効果を検証したそうな。



46名、23カップル(配偶者とペア)を2つのグループに分けて、

一方にはセックスリハビリを受けさせた。




そのひと月後、

セックスリハビリを受けたグループでは

・セックスへの満足度

・セックスの頻度

が著しく増加した。


一方、セックスに関する知識は増えていなかった。




このセックスリハビリプログラムは使えるかも知れない…

という内容。




知識の習得よりも実践を重視した訓練内容を想像させる。

一体どのようなプログラムなのか気になる。

2011年4月1日

上肢麻痺に効く2つのツボ 【オススメ】


Post-stroke hand dysfunction treated with acupuncture at Zhongzhu (TE 3) and Waiguan (TE 5)
2011 2月 中国


脳卒中後の上肢麻痺に効くとされるツボ治療の効果を検証したそうな。



脳卒中患者60人を2つのグループに分けて

一方にはツボ治療、

もう一方はツボ治療なし とした。


対象ツボ:
Zhongzhu (TE 3) と  Waiguan (TE 5)


ただし
両グループには通常の投薬治療、理学療法、作業療法も施した。



その結果、

両グループともに上肢機能や自立度などの改善があった。


特に、

ツボ治療を行ったグループでの手の機能障害の改善程度は顕著であった。



この2つのツボの上肢麻痺治療効果は確かにある、


というおはなし。




問題の2つのツボの位置:Zhongzhu と  Waiguan

2011年3月31日

どっちの脳がやられたにせよ、料理は火を使うから慎重にね


Meal preparation abilities after left or right hemisphere stroke.
2011 4月 メキシコ



脳卒中による脳損傷部位の左右の違いが

食事準備能力に影響を与えるかどうかを調べたそうな。




右利きの被験者を109人集めた。

内訳:
左脳損傷30人
右脳損傷16人
健常63人


トーストと熱い飲み物を作って、食べて、片付ける作業を観察、評価した。




結果は、

・脳卒中グループは健常者に比べ、とにかく時間がかかった。


・個々の作業ミスの内容に大きな違いはなかったが、

左脳損傷者は右脳損傷者に比べミスの数が多かった。



これらの違いは認知機能の障害程度に由来するのではないか、

という内容。





退院の2日前、OTの時間の焼きソバ実習を思い出す。



病院食に飽きてきていたので

そのウマさは衝撃的だった。


療法士の分まで食べた。







いまは毎日、バリバリ料理してます。

2011年3月30日

カッピングって鍼灸の一種らしい. 脳卒中リハにも良いと言われているけど…


Is cupping an effective treatment? An overview of systematic reviews.
2011 3月 イギリス



カッピングの効果を検証するべく

過去の研究の総括記事をいくつか調査したところ、



脳卒中リハビリ、高血圧、痛み緩和、帯状疱疹などへの研究事例がみつかった。



そのなかでも効果ありとされたものは 痛み緩和についてのみであり、

その効果も疑わしいものであった、


という内容。





カッピングによる痛み治療の例


カッピングによる痛みが本来の痛みを忘れさせてくれるに違いない。

2011年3月29日

脂肪の多い食事って美味しいから ついつい毎日食べちゃう


Long-term exposure to high fat diet is bad for your brain: Exacerbation of focal ischemic brain injury.
2011 3月 カナダ



脂肪の多い食事が脳梗塞の予後に与える影響を調べたそうな。


48匹のネズミについて

高脂肪食を与えるグループと普通食のグループにわけ、

薬で脳虚血の状態にして、その後の回復具合を調べた。




その結果、

高脂肪食が3ヶ月を超え長く続くと、

脳卒中による体の機能低下が著しく、

脳梗塞の領域も大きくなることがわかった。




脳卒中前にどんな食生活をしていたかを知ることは重要かも、

というおはなし。




2011年3月28日

脳卒中経験を隠しておきたいなら 円は大きく描け!


Circle drawing as evaluative movement task in stroke rehabilitation: an explorative study.
2011 3月 オランダ



脳卒中経験者に円を描かせることで

上肢障害の程度を推定することができるかどうかを調べたそうな。



16名の脳卒中経験者と20名の健常者について、

テーブルの上にできるだけ大きくて丸い円を描くよう指示した。

その円の大きさ、滑らかさ、描画時の関節の動き等を評価した。



その結果、

脳卒中経験者は健常者にくらべ、

描く円の大きさが著しく小さく、かついびつで、

描画時の関節の動きも限定的であった。



円を描かせることで機能障害の程度を判定することができる可能性が示唆された、 

という内容。


写真:テーブルの上に円を描く




意識して 大胆に 大きく振舞わないと

他人からみると きっと わかっちゃうんだろうな… と思う。

2011年3月27日

脳卒中になりたくなければ喫煙所には近づくな


Meta-analysis of the association between secondhand smoke exposure and stroke.
2011 3月 イギリス


受動喫煙と脳卒中との関連について、

過去の研究を調べ直してみたそうな。


全部で88万人分のデータと

5800人分の脳卒中事例が見つかった。



それらを解析した結果、

受動喫煙と脳卒中との間には強い関連性がみつかり、


たとえ少ししか煙に曝されなかったとしても大変危険であることがわかった、

というおはなし。

2011年3月26日

タマゴは好きなだけ食べてよろし


Egg consumption and risk of cardiovascular disease in the SUN Project.
2011 3月 スペイン




玉子の摂取量と

脳卒中を含めた心血管系の病気との関連について調べたそうな。



14000人あまりにアンケートをして、

玉子の消費量を週に1個未満から4個以上まで分類し、

6年以上にわたり調査を継続した。



その結果、

玉子の摂取量と脳卒中などの心血管系の病気との間には関連性が見られなかった、


というお話。




写真:タマゴ食べ放題
タマゴ大好き

2011年3月25日

イメージトレーニングは時間をかけてじっくりと取り組もう


Longer versus shorter mental practice sessions for affected upper extremity movement after stroke: a randomized controlled trial.
2011 3月 アメリカ




慢性期脳卒中患者の上肢リハビリに
どのくらいの長さのイメージトレーニングが有効
なのか、を調べたそうな。



約30名の患者について
通常のリハビリに加え 長さの異なるイメージトレーニング
(オーディオテープ)を用意し、

それぞれ、

20分、40分、60分、イメトレなし

のグループに分けて評価した。




その結果、
イメージトレーニングを加えることで

回復は著しく促され、

イメージトレーニングにかける時間を延長するほど上肢麻痺の改善効果は増した、

というおはなし。




写真:イメージトレーニング
メンタルプラクティスとも言う

2011年3月24日

脳梗塞患者の4人に1人は経験者


Recurrent ischemic stroke. Study of 605 patients.
2011 3月 スペイン


脳梗塞の再発率とその特徴について調査したそうな。



605名の再発脳梗塞患者と

2099名の初回脳梗塞患者について調べた。



脳梗塞の再発率は22.4%であった。



再発患者と初回患者とでの入院中の死亡率にはあまり差はなく、

16%
ほどであった。


また、再発患者の予後は良くなかった、


という内容。





脳卒中再発防止キャンペーンビデオ


アイムストロークサバイバ…

2011年3月23日

TIAが脳を護る. はたして病気と呼べるのだろうか…

Influence of prior transient ischaemic attack on stroke prognosis.
2011 3月 フランス


脳卒中まえに一過性脳虚血発作TIA)を経験していると
予後が良い、 とする噂の検証を行ったそうな。


3000人以上の脳卒中患者について、

脳卒中以前にTIAを経験していたかどうか、
どれくらい前に経験したのか、
TIAの症状が続いた時間、

その後の回復程度、
1年後までの生存率

などを調査した。



その結果、
TIAを経験したことのある患者は経験なしの患者にくらべ、

歩行機能の回復は早く、
1年後までの生存率も高かった。


特に、TIAが脳卒中直前の4週間以内、症状継続時間が30分以下
の場合にはさらに著しい回復をみせることがわかった。


TIAには神経保護作用があることが推察できる、

というおはなし。





勝手に治ってしまう上に脳を護ってくれるのならむしろ歓迎すべきでは…?


2011年3月22日

ロボット支援歩行訓練で 患者の頭に電流を流してみた


Combined transcranial direct current stimulation and robot-assisted gait training in patients with chronic stroke: a preliminary comparison.
2011 3月 イタリア



ロボット支援歩行訓練

経頭蓋直流電気刺激tDCS)を

組み合わせることの効果を検証したそうな。




次の3グループについて調べた。

・ロボット支援+tDCS

・ロボット支援+偽のtDCS

・通常の地上歩行訓練




結果は、

tDCSを組み合わせることの効果はまったく見られなかった

という内容。






どこかの病院での
ロボット支援歩行訓練の様子(4分半のビデオ)

セッティングが大変そう。


入院中 こんなもの見なかった。

お金持ち専用リハビリの感。

2011年3月21日

抜けた歯を数えてみて.  4本以上なら脳卒中予備軍決定


Less than 24 teeth may cause stroke
2011 3月 イギリスのブログ



歯の本数が24本以下の人は約60% 脳卒中になりやすいことがわかったそうな。




日本の広島大学の研究者が
50、60代の脳卒中患者には同年代の者よりも歯の本数が少ないことに気がついた。


調査により歯の本数が24本以下では、
25本以上の場合に比べて

57%も脳卒中の危険性が高くなることがわかった。


脳梗塞、脳出血ともに同様の傾向であった。



歯周病が原因ではないか…


というおはなし。






成人の歯の本数は親知らずを除いて28本だから、
上下2本ずつ無いだけで危険領域に突入する。



歯周病で脳卒中が起きる仕組みの説明





でもおれは信じない。

2011年3月20日

鏡を見ながら物をつまむのってかなり難しいよね


Mirror therapy in children with hemiplegia: a pilot study.
2011 3月 スイス


脳卒中で片麻痺になった子供患者への
ミラーセラピーの効果について調べたそうな。



6-14歳の男女5人ずつの患者について
ミラーあり、なしのグループに分けて
それぞれ1日15分のリハビリトレーニングを施した。




その結果、

・握力はミラーセラピーグループで顕著に向上した。

一方、
・つまむ力はミラーが無いグループの方が向上著しかった。



ミラーセラピーは子供の片麻痺トレーニングに役に立つかも
しれない、  という内容。




片麻痺上肢のミラーボックス療法

2011年3月19日

抗うつ薬を飲んだ2週間後あたりは脳卒中に注意

Association of Cerebrovascular Events With Antidepressant Use: A Case-Crossover Study. 2011 3月 台湾


抗うつ薬と脳血管障害との関連を調べたそうな。
24000人余りの脳卒中患者のデータを解析した。


その結果、
脳卒中発症の2週間ほど前に抗うつ薬を摂っていた患者は、 脳卒中になる危険性が48%高くなることがわかった。

特に、セロトニン阻害タイプの抗うつ薬が脳卒中リスク上昇に 関連することがわかった、

というおはなし。

2011年3月18日

自宅でできる片麻痺歩行リハビリ: セラバンドセラピーとは


Physical Therapist-led Home Exercise Programs with Thera-BandR Bands Benefits Stroke Survivors
2011 3月 アメリカのブログ



デューク大学と南カルフォルニア大学が共同で、


脳卒中片麻痺患者の歩行リハビリについて、
ハイテクトレッドミル自宅でのセラバンドセラピー
との効果の比較を行ったそうな。



400名以上について調べた結果、


両者の効果はほぼ同等であり、


セラバンドセラピーは高額な機器を必要としないため、
自宅でリハビリを継続することができ、


通常6ヶ月間で回復が止まると言われているところが
その歩行改善効果は1年以上も継続したという。




セラバンドをつかった片麻痺歩行リハビリ方法







日本では、

むかし ゆーとぴあ という芸人さんが使っていたのが

おそらく 最初のセラバンド活用事例

2011年3月17日

中国4000年のちから:鍼灸が抗うつ薬を凌ぐ


Acupuncture for post-stroke depression: a randomized controlled trial.
2011 1月 中国



脳卒中後うつ への鍼灸の効果と安全性を検証したそうな。


43名の脳卒中後うつと診断された患者を次の2つのグループに分けた。

Baihui (GV 20)を始めとするツボを刺激して抗うつ薬の偽薬を飲ませたグループ

・近くのツボのない場所を刺激してフルオキセチン(プロザック)を飲ませたグループ





4週間ほどの治療のあと、

両グループとも その治療成果は ほとんど同じであった。



鍼灸による脳卒中後うつの治療効果はプロザックに匹敵し、
副作用が少なくて超オススメ、

というお話。



2011年3月16日

脳卒中後うつだと自立が遅れる。 じゃどうすりゃいいんだい?


Depression, age, other factors linked to dependence after stroke
2011 3月 アメリカ


脳卒中患者のおよそ3分の1が 脳卒中後うつ になるという。

脳卒中後うつが患者の自立にどう影響するのかを調べたそうな。


367人の脳梗塞患者のうち、発症1ヶ月後に174名が脳卒中後うつ
と診断された。


患者の他者依存度を0-5段階で評価した。
(高いほど自立度低)


3ヶ月後、全体の20%の患者は依存度3より大であった。



脳卒中後うつの患者は高齢や他の病気が重なると、
さらに自立が著しく遅れることがわかった。



脳卒中後うつの治療が早期の回復につながるかは不明だけれども、
なんらかの対処は必要であろう、

というお話。



でも薬は使いたくない。

2011年3月15日

日本人もやっぱり、タバコを吸うひとは脳梗塞になり易いんだって


Combined Effects of Smoking and Hypercholesterolemia on the Risk of Stroke and Coronary Heart Disease in Japanese: The Hisayama Study.
2011 3月 日本



欧米人の喫煙習慣と脳卒中との関連を示す研究はあるが
日本人についてはよくわかっていない。


日本人についてその調査をきっちりとやってみたそうな。




40-79歳の日本人、2400人あまりについて14年間追跡調査した。

そのうち194人が脳卒中になった。



喫煙習慣の無い人と比べて脳卒中になる危険性は、

・過去に喫煙していた人は1.5倍

・現在もちょっと吸う人では1.9倍

・現役のヘビースモーカーは2倍以上高かった。


喫煙習慣によって、日本人は、
脳梗塞やクモ膜下出血になる危険性が著しく高くなることが今更ながらにわかった、

というお話。


写真:久山町
久山町:ここの住人についての研究






そういえば自分も昔、

"タバコを吸って仕事のストレスと闘っているオレってカッけえ"

と思っていた時期があった。

2011年3月14日

歩くスピードが遅い人を見たら高血圧症と思え!


High Blood Pressure Accelerates Gait Slowing in Well-Functioning Older Adults over 18-Years of Follow-Up.
2011 3月 アメリカ
高血圧と歩行スピードの低下との関連が
どういった要因に基づくものなのか調べたそうな。

2700人あまりについて18年ほど追跡調査した。


収縮期血圧の高さと歩行スピードの低下には関連があって、

高血圧歴の無い人と比較するとその違いが明らかであった。


また、
高血圧症で降圧薬治療の有無とその歩行スピード低下の割合には
違いがみられなかった。


このような傾向は、他の要因(活動レベル、認知機能、筋力、肥満、骨密度…)
の影響を考慮しても変わらなかった。

結局、どのようなメカニズムでこういった傾向が生まれるのかは不明。


写真:早く歩くこと


妙に納得した。

自分も 自分で心配になるくらいに 歩くスピードが遅い。

後ろの人に蹴られたり、舌打ちされたりするほど遅い。

もちろん片麻痺になる以前のこと。


でも最近はなぜか 速い。

2011年3月13日

肉の脂と塩のコンビネーションがクモ膜下出血を呼ぶ


Dietary Intake of Key Nutrients and Subarachnoid Hemorrhage: A Population-Based Case-Control Study in Australasia.
2011 3月 オーストラリア



食事栄養成分とクモ膜下出血との関連を調べたそうな。


400人近くの くも膜下出血患者にアンケートした結果、

週に4回以上、動物性の脂肪をたっぷり摂る人は
そうでない場合に比べくも膜下出血になるリスクが7割増しになる。



また、高血圧症で食事の際に塩をよく使う人は、
降圧剤使用の有無に関わらず、
クモ膜下出血になるリスクが3倍くらい高くなることがわかった。


写真:皮付き肉の脂
こういう脂がよくないらしい

2011年3月12日

片麻痺は善悪の観念に大きく影響する


When Left Is "Right": Motor Fluency Shapes Abstract Concepts.
2011 3月 オランダ



人は自分の利き手側 つまり、
自由に動く腕の側の空間と

"善性"、 "実直さ" 

といった概念と結びつけて
考える傾向がある。


そして利き手と逆の側は "悪" になる。




脳卒中で左の片麻痺になった患者は
自身の右側を"善"とする。


右片麻痺になった場合には左利きの場合と同様、
左側を"善"と考える。



これらの仮定を実験によって確認することができた。



運動機能を通した経験が人の抽象概念に
影響を与える場合があることがわかった、

というおはなし。


写真:利き手と善悪観念




なんとなくわかる気がする。

昨日M8.8の地震
今日原子炉爆発

2011年3月11日

1日一杯のコーヒーが脳梗塞を防ぐ. 但し、女性限定.


Coffee drinking linked to reduced stroke risk in women
2011 3月 スウェーデン




コーヒー消費量と脳卒中との関連を調べたそうな。


3万人以上の女性を10年あまり追跡した結果、

1日に1杯以上のコーヒーを飲む人は
全く飲まない人に比べ脳卒中になるリスクが25%ほど低下することがわかった。


1杯飲む人と5杯以上飲む人とでは違いはなかった。


この結果は
喫煙習慣や肥満、糖尿などの要因には影響されなかった。


調査対象のほとんどはカフェイン入のコーヒーを飲んでいた。


また、脳出血のデータは少なく、主に脳梗塞についての結果である。



コーヒーの消費と脳卒中リスクの低下に関する同様の
研究成果は近年増えつつある。



Coffee Consumption and Risk of Stroke in Women

2011年3月10日

脳卒中患者へのミュージックセラピー


Music Therapy and Stroke Rehabilitation
2011 3月 アメリカ  ブログ記事



脳卒中患者へ音楽療法を施すことで、
抑うつや不安を軽減することができる。

またやる気も出てリハビリテーションの成功につながる。



ヘルシンキ大学の研究では、
1日数時間の音楽を聴かせるだけで、
脳卒中からの回復が著しく早まることを確認できた。


脳卒中後に音楽を聴かせることによって、

言語記憶、注意力、認知機能などが
単にオーディオブックを聴くグループよりもはるかに改善され、

またその効果が長く持続することがわかった。





2011年3月9日

脳卒中後の運転適性検査の様子ビデオ in USA


Driving after a suffering a stroke
2011 3月 アメリカ



歩行能力の弱った脳卒中患者にとって
再び自動車運転ができるようになることは重要なテーマである。


自動車運転適性の有無を調べるために

・視野探索テスト
・道路標識と状況判断テスト
最新コンピュータ技術を用いたドライブシミュレーションテスト必見

を実施する。


そんな様子を映したビデオニュース(2分間)



2011年3月8日

上肢痙縮 : 薬を使うならボトックスが無難


Contemporary pharmacologic treatments for spasticity of the upper limb after stroke: a systematic review.
2010 12月 アメリカ




脳卒中後の上肢の痙縮を緩和するために有効な
薬剤治療を調べるため、過去の研究を総ざらいして
検証しなおしたそうな。



信用に足る54件の研究成果のうち、
51件がボツリヌストキシン(ボトックス)を用いたものであった。


他にはバクロフェン、チザニジンといった薬もあった。


ボツリヌス療法はとくに大きな副作用も無く、
上肢の痙縮を緩和することのできる薬剤として
現時点での無難な選択肢と言える、

というお話






なんとボトックスは多汗症治療にも用いられていた。

これだけ可愛ければ汗なんて気にならない。

2011年3月7日

『片麻痺治りますよ、抗うつ薬飲みましょうね』って言われたらどうする?


Effect of Antidepressants on the Course of Disability Following Stroke.
2011 2月 日本



脳卒中後に
フルオキセチン(プロザック)などの抗うつ薬を3ヶ月間与えたグループと
偽薬を与えたグループとで1年後の回復具合を比較したそうな。



期待通り 抗うつ薬を投与されたグループでは、
機能回復の程度が著しく優れていた。



この効果はうつ症状の有無に依らないようである。

抗うつ薬は脳卒中後の脳機能回復を促すなにかの
働きを担っているのかも知れない、

というおはなし。

図:抗うつ薬と脳卒中回復度

2011年3月6日

無呼吸症改善装置シーパップは脳卒中リハビリに有効


Influence of Continuous Positive Airway Pressure on Outcomes of Rehabilitation in Stroke Patients With Obstructive Sleep Apnea.
2011 3月 アメリカ




閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)を持つ脳卒中患者は
機能回復の程度が低いことが知られている。


そこで、
持続陽圧呼吸療法continuous positive airway pressureCPAP
により回復を促すことができるかどうか、を調べたそうな。


その結果、
CPAP(シーパップ)を併用することで、運動機能が改善することがわかった。
しかし認知機能については変化はなかった。


というおはなし。




CPAP(シーパップ)の仕組み

2011年3月5日

ガン抑制遺伝子が がんばりすぎると脳卒中予後が悪くなる

The human Tp53 Arg72Pro polymorphism explains different functional prognosis in stroke. 2011 2月 スペイン
Good gene type for cancer bad for stroke



脳梗塞や脳出血の血腫周辺の組織は血の巡りが 悪くなって壊死しかかっている。

この組織が生き残れる可能性は、 どうやら遺伝子レベルでの違いにも影響されていそうである。


p53という遺伝子は細胞がガン化しそうになると、 その細胞を自殺するように仕向ける働きがあり、 ガン抑制遺伝子として有名である。

このp53遺伝子が脳虚血で死にかけた細胞を 気を利かせて自殺させてしまうのではないかと考えられる。

そしてp53遺伝子のアミノ酸配列が通常のものとほんの少しだけ異なる場合、 脳卒中の予後が大きく変わることがわかってきた。

脳卒中の治療に際し、このDNA配列の僅かな違いを知ることができれば、 将来 より効果的な治療ができるようになるのではないか…

というおはなし。



アポトーシスとp53の働きビデオ

2011年3月4日

脳卒中後のセックスはいつからOK?   とりあえずこのビデオを観てくれ.


How Soon to Have Sex after a Stroke?(リンク切れ)
2011 3月 アメリカ
脳卒中後のパートナーとの性生活をどのように回復するべきかを
心理療法家のラピーニ先生が説明している。




代わりに↓
[セクシュアリティ]の関連記事リンク

2011年3月3日

慢性期脳卒中リハビリはボウエンセラピーにおまかせ


Improved motor function with Bowen therapy for rehabilitation in chronic stroke: a pilot study.
2011 3月 ニュージーランド



Bowen Therapy(ボウエンセラピー、ボーエンテクニック)
は大変効果があるらしいのだけれど、これまでちゃんとした調査結果がない。



慢性期脳卒中患者へのボウエンセラピーの効果について調べてみたそうな。



14人の患者に3ヶ月間、ボウエンセラピーを施した。


その結果、13人について運動機能の著しい改善がみられた。



ボウエンセラピーは慢性期脳卒中患者のリハビリに有効そうである。
さらなる調査研究が期待される、  というおはなし。









ボウエンセラピーを検索してみた。

身体全体をやさしーく指先でマッサージする治療法。

オーストラリアのボウエンさんが創始者。






ボウエンセラピーの風景


あまりに優しいタッチでかえって不安になる。

2011年3月2日

神経筋電気刺激NMESに期待


Electrical stimulation in the treatment of the spastic hemiplegic hand after stroke: a ramdomized study.
2011 2月 スペイン




脳卒中で片麻痺の高齢者への神経筋電気刺激NMES
の効果を調べたそうな。


60歳以上の片麻痺患者20人をNMESあり、なしのグループに
わけてリハビリを8週間にわたり行った。


その結果、NMESを併用したグループでは
手首、指の可動範囲、力の強さが著しく改善した。



どうやらNMESは上肢リハビリに有効かも知れない、

という内容。




NMES(神経筋電気刺激)は

FES(機能的電気刺激)
 や

HANDS療法の総称らしい。



下のビデオの装置もその一種。


このように、やたらと凄い効果を示す映像をよく目にする割には
あまり世間に認知されていない感がある。

2011年3月1日

第三の腕療法で片麻痺リハビリの可能性


Illusion of three hands can help stroke patients recover
2011 2月 スウェーデン



3本目の腕を認識させることに成功したという話。



写真のように被験者の右手脇に本物そっくりの義手を置く。

次に右手と義手を同時にハケで同じようにくすぐる。


third-arm.png



一見どっちの腕が自分のものかわからないため
そのくすぐられた感覚の由来を脳が判断できなくなり

結局、義手と右手の両方が身体の一部であると認識するように
なってしまうことがわかった。



その証拠にナイフで義手を傷つけようとすると
本物の右手を傷つけようとしたときと同様の
ストレスによる発汗現象が観察できた。




将来的に、脳卒中で片麻痺になった患者のリハビリに
活用することができるのではないか…とのこと。









ミラーセラピーと同じ考え方と思う。

きっと効果は一時的  かな。



三本目の足療法には関心がある。

2011年2月28日

嚥下リハビリにバイタルスティムセラピーはいかが


Treatment of post-stroke dysphagia by vitalstim therapy coupled with conventional swallowing training.
2011 2月 中国



脳卒中後の嚥下障害には、

従来の飲み込みリハビリに加えて

vitalstim therapyバイタルスティムセラピー
を組み合わせることでその効果がより大きく
なることがわかった、 という内容。

図:バイタルスティムセラピー

vitalstim therapy
喉に電極を貼って電流刺激を与える治療法。




低周波治療器となにが違うのか…?

2011年2月27日

手首を固定しても なにもイイことないよ


Neurorehabilitation splinting: Theory and principles of clinical use.
2011 1月 オーストラリア




脳卒中後の上肢装具(固定具)使用の現状と
その根拠の妥当性について再検証してみたそうな。



一般に、上肢装具は痙縮を軽減し拘縮を防ぐとされている。


ところが、
過去の研究を再調査すると、


手首の固定位置に関わらず上肢装具を一晩中着けている
ことによる痙縮軽減効果は無く、

そして
当然のことながら運動機能の改善効果もまったく見られないことがわかった。





将来の痙縮拘縮の可能性にビビって腕を固定してしまうのではなく、

筋肉の動きを いま、どう改善するかに注意を向けた方がいいんじゃない?

という内容。


写真:上肢装具
たぶんこういうものを指していると思う

花粉ハジマタ

2011年2月26日

リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.


The effects of voluntary, involuntary, and forced exercises on brain-derived neurotrophic factor and motor function recovery: a rat brain ischemia model.
2011 2月 中国



自発的な運動、強制された運動、筋肉への電気刺激、
この3つの どのリハビリ方法がもっとも効果的なのか、
を調べたそうな。


117匹のネズミを次の4グループに分けて
人為的に脳梗塞にした。


1.籠にほったらかし

2.回し車で好きなだけ運動

3.トレッドミルで強制ランニング

4.歩行周期で筋肉を電気刺激


これを各グループで7日間続けた後に
運動機能回復の程度を評価し、

最後に解剖して
ストレスホルモンと
脳に含まれる神経栄養因子BDNF)の量を測定した。



その結果、
回し車で運動していたグループがもっとも運動機能が回復し、
ストレス量を示すホルモンは少なく、

神経の成長を促すとされるBDNFの量も
他のグループと比較して一番多かった。



また、強制ランニングさせられていたグループでは
運動機能の回復程度が低く、
ストレスホルモンの量がハンパなく多かった。
また、BDNFは最低だった。



リハビリの強制はよくない。
本人のやる気がいちばん大切、ってはなし。




bdnf.png
各グループでの海馬のBDNFの量


ちなみに、筋電気刺激がなかなかイイらしい。(図の2番目の棒)

2011年2月25日

上肢装具着用成果の現状 と未来


The effect of upper limb orthotics after stroke: A systematic review.
2011 1月 イギリス


脳卒中後に上肢装具や固定具を着けることの良い点はなにか、
を過去の研究成果から再検証したそうな。


信頼の置ける4つの研究、計126人の被験者のデータを総合すると、


どうやら上肢装具の着用は、手首や指の動作を含めた
上肢機能の向上に なんの効果もないことがわかった、

というはなし。



2011年2月24日

最新 運転適性判定検査、その3つの課題とは


Screening for fitness to drive after stroke: A systematic review and meta-analysis.
2011 2月 ベルギー



脳卒中後の自動車運転適性検査に最適な方法を、
世界中の論文データベースを検索して再調査したそうな。


30件ほどの優良な研究について解析した。



1700人あまりの被験者を評価し、
54%が運転適性ありと認められた。

その評価方法は3つあって、

1.道路標識認識検査(Road Sign Recognition)
roadsign.png


2.車の進行方法を認識する検査(Compass)
compas.png


3.視野探索課題(Trail Making Test B)
tmtb.png

いずれも机とペンがあればできる検査であり、
これらの課題ですべて普通人並のスコアを出すことができれば
運転適性あり、と判断して良い

というはなし。




手足の動き、麻痺の程度などが評価方法に
入っていない点がおもしろい。


本人が自覚しにくい認知機能上の問題点を
あぶりだすことに重点を置いている、と理解した。



ちなみに 3.の視野探索課題のリンクページを試した。

すべての円を 1-A-2-B-3-C-4-D-....
と数字とアルファベットを順に交互に線で結んで行く作業を行い
要した時間を計測する。


(入院中にやらされて、ひどく疲れて熱がでた思い出あり。)



90秒以内が適性範囲なのだそうだが、



今日は93秒かかった。

orz

2011年2月23日

この装具を着ければ軽自動車くらいなら持ち上げられそうな…


New design of dynamic orthoses for neurological conditions.
2011 1月 アメリカ




上肢リハビリの多くは

例えばCI療法に代表されるように

手首や指をある程度伸ばすことができるほどに麻痺が軽症でなければ

トレーニングを受けることさえできない。



そこでSaeboFlex(セイボフラックス)の出番である。



これを用いると、手指が勝手に伸びてくれるので

重い麻痺患者でもリハビリに参加することができる

画期的な上肢装具である。





SaeboFlexを装着しパワーアップした子供

2011年2月22日

カルシウムとマグネシウムは多めに、もちろんナトリウムは少しで


Ethnicity and Functional Outcome After Stroke.
2011 3月 中国



食事から摂るミネラルの量と脳梗塞との関連を
調べたそうな。

370人あまりの脳梗塞患者に聞き取り調査をした結果、


脳梗塞にならない最強のミネラル条件は、

・ナトリウム(塩)は少なく
・カルシウム、マグネシウムは多く

摂ること、

ということがわかった。




写真:食事から摂るミネラル
食事から摂るミネラル表
青は微量で良い

2011年2月21日

出血を恐れずにどんどんtPAを使いなさい、儲かるから


Researchers Note Possible Benefits of Using tPA in Mild Stroke Patients
2011 2月 アメリカ



超急性期脳梗塞患者の血栓を溶かす薬tPAは、
軽症の脳梗塞患者にはほとんど使われていない。


出血の危険性が大きすぎることが理由で、
皆ビビって使うことができない。


その結果、現在のtPA利用率は1%程度である。


その恩恵を受けることのできるひとはもっとたくさんいるはずである。


もし、思い切って軽症の患者にもtPAをどんどんつかったなら、
後遺症治療に要する莫大な医療費をセーブすることが出来るはず。


だからtPAをバンバン使いましょう、


という アメリカ脳卒中協会の国際会議での先週のおはなし。







こういうことを言うのは、きっと製薬企業の御用学者さんだと思う。

軽症の患者に使えば当然予後も良いわけで、
それもすべてtPAの手柄にできるのでなお良しである。







いかにもなtPA布教ビデオの例

言ってることはよくわからないけど

2011年2月20日

ミラー療法はうわさに聞くほどすごくないかも


The clinical aspects of mirror therapy in rehabilitation: a systematic review of the literature.
2011 2月 イギリス



ミラーセラピーの効果について再検証するべく
世界中の論文データベースをあさって
その有効性を証明する研究の有無を調べたそうな。



その結果、ミラーセラピーは、
脳卒中後の上肢リハビリで若干の成果があるものの、

下肢のリハビリや、
幻肢痛、 複合性局所疼痛症候群についての効果は
ほとんど認められなかった。




いったいどういう患者であれば効果がでるのか、
どのように実行すればよいのか、


そのあたりの基本的なことから研究しなおさないとね、

という内容。





失った右足の幻肢痛をミラーで癒すアフガン戦の元兵士





ミラー療法を考案したラマチャンドラン先生が有名すぎて
評判だけが先走りして成果が伴っていない感。

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