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2023年9月5日

速攻治療の落とし穴:破裂後6時間以内の手術が逆効果?

2023  9月  オランダ


動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の再出血リスクは、破裂後の数時間が最も高い。

緊急に動脈瘤を治療すればこのリスクを減少できる可能性があるが、ロジスティックス(時間、人、設備、手続き)上の課題と経済的負担が大きい。

そこで、破裂後6時間未満の動脈瘤治療が、破裂後6~24時間の動脈瘤治療と比較して機能的転帰不良のリスク低下と関連するかどうかをくわしくしらべてみたそうな。



2013年7月から2019年7月にかけてオランダの多施設でおこなわれたULTRA試験の患者データを用いた。

ULTRA試験の全患者は動脈瘤破裂後24時間以内に入院した。

さらに破裂後24時間以内に動脈瘤の治療が行われなかった患者を除外した。

破裂後、動脈瘤治療が6時間未満の群と、破裂後6~24時間後に治療した群とで、3-6ヶ月後の機能的転帰不良(死亡または障害)との関連を解析した。



次のようになった。

・497例の患者が対象となった。

・機能的転帰不良は、破裂後6~24時間に治療を受けた387例の 37% に対し、6時間以内に治療を受けた110例では 57% に発生した。

・緊急治療における手技の困難さの影響を調整するべく、再出血78例を除外して解析したところ、6時間未満群の48%、6~24時間群の33%に機能的転帰不良がみられた。


6時間未満での動脈瘤治療は、破裂後6~24時間の動脈瘤治療よりもあきらかに機能的転帰が悪かった。破裂後6時間未満の動脈瘤治療は支持できない、


というおおはなし。
手術中にスマホチェック

図をみながらやるぞ

帽子忘れちゃった

手術やっちゃってもいいですか


感想:

再出血の可能性は破裂直後がもっとも高いから、できるだけはやく瘤を塞いだほうが良いはず。

にもかかわらず、いそいで手術するとことごとく転帰が悪い↓。







再出血例を除いても転帰不良率がかわらないことから、

全身麻酔を含む手術行為自体が遅発性脳虚血をまねいている可能性が指摘されている。


ちなみに、このULTRA試験では動脈瘤治療の8割が血管内治療で、低侵襲なはずなのにこのありさま。


これと同じ↓で、手術をするから死亡率が高い。




ちなみに、手術をされたくない場合、発症後すぐに入院すると1年死亡率は86%だけど、1ヶ月くらいしてから入院すると13%にまで下がる↓。 なぜなのか?





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