~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

ラベル 認知障害 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 認知障害 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019年2月10日

80代の認知を正す「遠隔虚血コンディショニング」


Efficacy of remote ischemic conditioning on improving WMHs and cognition in very elderly patients with intracranial atherosclerotic stenosis
2019  1月  中国

MRIで観察できる脳の白質病変は のちの認知障害や脳卒中のリスクとされている。

白質病変の原因はよくわかっていない。近年、とくにアジアで脳動脈の狭窄による慢性的な脳の虚血状態が認知障害や脳卒中を起こすとされ、白質病変との関連を示す報告が増えている。

白質病変の有効な治療法はいまだない。

いっぽう腕や脚を一時的に虚血 再還流することにより全身の虚血耐性を高めるとする「遠隔虚血コンディショニング」が注目をあつめ多くの報告があがってきている。

そこで、脳動脈に狭窄のある80代を対象として長期の遠隔虚血コンディショニング(RIC : remote ischemic conditioning)による白質病変および認知機能への影響をくわしくしらべてみたそうな。


頭蓋内の動脈に狭窄のある平均年齢84の患者58人を2グループにわけ、いっぽうにはRICを施した。

RICは、両腕に巻いたカフに200mmHgの圧力をかけ血流を5分間とめ 5分間再還流の5セットを 1日に2回行い、
300日間継続した。

コントロールの偽のRICグループではカフ圧を30mmHgとした。

180日後、300日後の白質病変および認知機能の程度をそれぞれ複数の指標で評価したところ、


次のことがわかった。

・RICグループでは、180日、300日後の白質病変スコアがあきらかに低下した。コントロールグループではこのような低下はみられなかった。

・認知機能スコアは180日、300日後いずれもRICグループで統計学的有意にすぐれていた。

遠隔虚血コンディショニングは超高齢者の白質病変の進行を抑え 認知障害を改善できる有望な治療法かも


というおはなし。

図:遠隔虚血コンディショニングのやり方

感想:

これ、なにげにすごいことだと思うんだけど。

[遠隔虚血コンディショニング]の関連記事

2018年12月13日

施設送りにされないために必要な能力は


Executive function subdomains are associated with poststroke functional outcome and permanent institutionalization
2018  11月  フィンランド

脳卒中患者の認知機能の低下はじつにありふれていて、とくに実行機能(遂行機能)の障害は問題で、身体が順調に回復できた患者であっても34%が実行機能に障害を持つという報告がある。

実行機能はいくつもの認知機能が関わる前頭葉の高度なはたらきを指すと考えられていて、単一のテストでは評価することはできない。

たとえば、Trail making test は処理速度、Wisconsin card sorting test は注意切り替えと戦略立案、Stroop testは行動抑制、Verbal fluency test は想起検索、に関係するとされ実行機能の評価に用いられる。

そこで実行機能を構成するサブドメインのうち脳卒中患者の機能回復度と関係のふかい要素をみつけるべく くわしくしらべてみたそうな。


脳卒中患者62人について、
発症後3ヶ月と15ヶ月時点での実行機能に関連する7種類のテストをおこない、
生活自立度 mRS, IADLおよび その後の施設送りの有無との関連を解析して
健常者39人の結果と比較したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者は複数の認知機能テストで健常者よりもスコアが低かった。

・行動抑制、注意切り替え、想起検索、戦略立案、処理速度の各項目は患者の生活自立度スコアと相関があった。

・行動抑制、注意切り替え、処理速度は機能回復度と関連が強く、

・とくに 行動抑制力の低さは施設送りとの関連が強かった。

実行機能は脳卒中患者の機能障害と強く関連していた。とくに行動抑制力が低いばあい早くに施設送りになりやすかった、


というおはなし。

図:実行機能のサブドメインとテスト

感想:

行動抑制はストループテストで、たとえば ←の色を問われて「あお」と言いたいところをぐっとこらえて「あか」と答える能力。

これができないと 家族にうとまれ施設に入れられてしまうということか。

2018年9月5日

脳卒中と認知症リスクのメタアナリシス


Stroke and dementia risk- A systematic review and meta-analysis
2018  8月  イギリス

脳卒中は認知障害や認知症のリスク要因である。

2009年のメタアナリシスでは脳卒中の前後で認知症の罹患率が2倍になり、再発後では3人に1人以上が認知症という結果がでた。

また2013年のメタアナリシスでは脳卒中はアルツハイマー病の中強度のリスク要因であることが示されている。

血管リスクとしてではなく脳卒中それ自体とすべての種類の認知症との関連をしらべたメタアナリシスはこれまでにないので やってみたそうな。


関連する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・脳卒中歴のある190万人を含む36の研究と、あらたに脳卒中を起こした130万人を含む12の研究がみつかった。

・脳卒中経験があると なんらかの認知症になるリスクは70%アップし、

・あらたに脳卒中になったばあいには、認知症のなりやすさはおよそ2倍になった。

脳卒中はそれ自体がなんらかの種類の認知症に関連する強いリスク要因だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の認知症なりやすさ

感想:

いきなり認知症になるよりは脳卒中やってからのほうが本人も周囲もなっとくしやすいのでは?

2018年9月2日

脳梗塞のあと認知障害をふせぐ血圧がわかった


Effects of Blood Pressure in the Early Phase of Ischemic Stroke and Stroke Subtype on Poststroke Cognitive Impairment
2018  7月  中国

脳卒中患者の24-58%は3ヶ月時点で認知障害を示すという。そのリスク要因として高血圧がいちばんにあげられるいっぽう、低血圧も認知機能の低下に影響するとかんがえられている。

そこで、急性期の脳梗塞で認知障害予防にてきした血圧と脳梗塞の種類との関連をくわしくしらべてみたそうな。


発症から24時間以内の脳梗塞患者796人について血圧と認知機能を3ヶ月後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・収縮期血圧が143-158mmHgのグループにくらべて、低い102-127mmHg のグループと、高い171-215mmHgのグループで3ヶ月後の認知障害リスクはいずれも約2倍だった。

・同様の関連が拡張期血圧でもみられた。

・このリスクはアテローム血栓性梗塞と完全前循環梗塞でとくに高かった。

急性期脳梗塞の血圧は低くても高くても認知障害リスクが高かった。認知障害を防ぐには143-158/93-102mmHgが適していると考えられた。


図:脳梗塞早期の血圧と認知障害リスク


感想:

お医者さんにほめられるからもっとがんばって血圧を下げよう!と考えてしまうけれど、
120を下回ってはいかんと思うよ。
脳内出血で血圧を下げ過ぎてはいけない理由

2018年8月4日

認知訓練と運動を組み合わせる効果


Effects of combined intervention of physical exercise and cognitive training on cognitive function in stroke survivors with vascular cognitive impairment: a randomized controlled trial
2018  8月  中国

脳卒中のあとは認知障害になりやすい。

認知訓練は認知機能の低下をおさえる効果が期待できる。さらに身体運動が認知機能を改善するという報告もおおい。

しかし認知訓練と身体運動を組み合わせたときの効果についてはじゅうぶんな研究がないのでくわしくしらべてみたそうな。


発症から6ヶ月未満の脳卒中患者で血管性認知障害の225人について次の4グループに分けた。

*認知訓練のあと身体運動
*身体運動のみ
*認知訓練のみ
*ビデオ鑑賞

認知訓練はコンピュータベースの視覚運動、学習、記憶、注意、実行機能などを網羅した60分間のトレーニング。
身体運動は心拍数をモニターしながらの50分間の有酸素運動。

これらを週3回x12週間続けたのち、6ヶ月後まで複数の認知機能評価(Trail Making Part B、Stroop、forward digit span、mental rotation test)をフォローしたところ、


次のようになった。

・79.56%がこの過程を完遂した。

・すべての認知機能評価で、認知訓練と運動を組み合わせたグループがあきらかな改善を示していた。

・特に認知機能改善度は認知訓練や身体運動を単体で行うばあいよりも有意にすぐれていた。

血管性認知障害をしめす脳卒中患者への認知訓練と身体運動の組み合わせは、それぞれを単独で行うよりもおおきな認知機能の改善を長期にわたりもたらした、


というおはなし。
図:運動プラス認知訓練の効果 脳卒中で

感想:

腕立て伏せをすると論文よみがはかどるのと似たような理由かな。


メモ:
きのう駅の階段を降りる際に左足首のうごきがなめらかで足裏の感覚が戻っている感激をもった。
今年の夏はおなじことがこれで2度め。「暑い」ことと関係があるとおもう。

いつも夏になると脛やふくらはぎがかゆくなる。このかゆさが今年は左足でも右足と同程度にかゆい。暑さのおかげで敏感になってるのか。

2018年7月28日

起立性低血圧の認知症と脳梗塞


Association of orthostatic hypotension with incident dementia, stroke, and cognitive decline
2018  7月  アメリカ

アメリカでは高齢者の14%が認知症で 22%が認知障害という。
認知機能の低下は高血圧などの心血管疾患要因が関連することがわかっている。

いっぽう起立性の低血圧はめまいや疲労感のもとであり 心血管疾患との関連も報告されている。しかし起立性低血圧と認知機能の低下についての研究はほとんどないので大規模にしらべてみたそうな。


1987年の健常者11709人を24年間フォローしたARIC研究のデータを使用した。

起立性低血圧は、仰向け時と立位での血圧の差が、収縮期で20mmHgまたは拡張期で10mmHgを超える場合と定義した。

認知症検査、脳梗塞の有無、認知機能の経時変化との関連を解析したところ、


次のようになった。

・4.7%が起立性低血圧だった。

・起立性低血圧には 65% vs 37%で高血圧がおおかった。

・1068人が認知症になり842人が脳梗塞になった。

・起立性低血圧の認知症のなりやすさは1.54倍で、脳梗塞は2.08倍だった。

・また認知機能低下スピードもおおきかった。

起立性低血圧はのちの認知症や脳梗塞とあきらかな関連があった、


というおはなし。
図:起立性低血圧と脳卒中


感想:

高血圧なのに立ち上がるだけで血圧が下がるひとはボケる。ということは高血圧で降圧薬を飲む人もまた あたまに血が巡らずにボケる。

そんな予感がして降圧薬は3年前にきっぱりとやめた。

2018年6月27日

認知症への準備は5年前からはじまっていた


Increased risk for dementia both before and after stroke: A population-based study in women followed over 44 years
2018  6月  スウェーデン

脳卒中のあとに認知症リスクが高まることが数多く報告されている。いっぽうで発症から5年以降の長期にわたる認知症リスクについての研究はすくない。

さらに、脳卒中以前の認知症リスクを長くにしらべた報告はほとんどない。

そこで 住民を長期にフォローして大規模にしらべてみたそうな。


スウェーデンのヨーテボリの女性1460人を1968年から44年間フォローした研究データを解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に362人が脳卒中に、325人が認知症になった。

・脳卒中と認知症の年齢ごとの発症パターンはほぼ同じだった。

・認知症の発症割合は 脳卒中を起こした者に 33.7% vs. 18.5% でおおかった。

・認知症リスクの上昇は脳卒中の5年前に始まっていて、

・脳卒中の1年後がもっともリスクが高く、

・11年以降もリスクが高い状態がつづいた。

認知症リスクは脳卒中の5年前から高まり 11年以降も続いた、


というおはなし。
図:脳卒中前後での認知症リスク

感想:

脳卒中のせいで認知症になるというよりは、認知症になるような人がついでに脳卒中になるんだな。

2018年6月6日

微小脳出血と軽度認知障害


Cerebral Microbleeds Are Associated With Mild Cognitive Impairment in Patients With Hypertension
2018  6月  中国

微小脳出血は脳小血管病を反映していると考えられMRIで確認できる。いっぽう脳小血管病はアルツハイマー病など認知症の要因の1つでもある。

そこで、微小脳出血と 軽度認知障害との関連をくわしくしらべてみたそうな。


50歳以上、高血圧症で脳卒中歴のない983人について、

微小脳出血の数と位置 および認知機能検査の結果との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・164人が軽度認知障害と診断された。

・軽度認知障害の者ほど微小脳出血がおおかった。

・微小脳出血の位置(皮質や深部)によらずその存在自体が軽度認知障害と関連し、

・年齢、性別、教育歴、他の心血管要因 等を考慮にいれてもこの関連は変わらなかった。

・特に微小脳出血が5個以上あると認知機能スコアがあきらかに低く、情報処理スピードなどのパフォーマンスが悪かった。

微小脳出血の存在およびその個数が高血圧患者の軽度認知障害とあきらかに関連していた、


というおはなし。
図:微小脳出血 皮質と深部

感想:

こういうものが見つかるのが怖くて ずっとMRI撮ってないんよ。

[微小脳出血]の関連記事

2018年3月29日

脳卒中患者のアルツハイマー病率 さいきんの傾向


Time Trends and Characteristics of Prevalent Dementia among Patients Hospitalized for Stroke in the United States.
2018  3月  アメリカ

脳卒中患者が認知障害を示すことはよく知られている。

また 血管性認知症とアルツハイマー型認知症には共通したリスク要因がおおい。

そこで、脳卒中で入院時に認知症とされた患者の割合と その種類について最近のトレンドを大規模に調べてみたそうな。


1999-2012のアメリカ人脳卒中患者117万人あまりの記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中で入院時、5.7%が認知症と診断された。

・女性はアルツハイマー病と関連がつよく、血管性認知症やその他認知症とは関連しなかった。

・アルツハイマー病および血管性認知症は白人よりも黒人でおおかった。

・同様に、ヒスパニックはアルツハイマー病がおおかった。

最近の10年あまりで脳卒中患者の認知症率はあがった。その有病率は性別や人種 民族で異なった、


というおはなし。
図:アルツハイマー病の脳卒中患者10年間

感想:

脳卒中やるような人はてっきり血管性認知症だとおもってたけど上のグラフみるとアルツハイマー病が倍。

アメリカはBSE検査がずさんだから、、かもしれんね。

[アルツハイマー]の関連記事

2018年3月21日

Stroke誌 : 脳卒中後の認知機能低下の特徴


Risk Factors for Poststroke Cognitive Decline
2018  3月  アメリカ

脳卒中をきっかけに認知機能の低下スピードが速くなることがわかっている。どういった特徴をもった脳卒中患者がそうなりやすいのかしらべてみたそうな。


45歳以上の22875人を8年間ほどフォローした結果、


次のことがわかった。
・この間に694人が脳卒中になった。

・認知機能全般、新規学習、言語記憶、遂行機能は脳卒中直後に急激に低下した。

・認知機能全般の急激な低下は黒人、男性、心原性またはアテローム血栓性脳梗塞でおおきかった。

・遂行機能の急激な低下は教育歴の短い者でおおきかった。

・脳卒中あと認知機能の長期の低下スピードは、認知機能全般と遂行機能で速く、新規学習、言語記憶では脳卒中前と変わらなかった。

・高齢、脳卒中ベルト(多発地帯)以外の住人、心原性脳梗塞 で認知機能全般の長期の低下スピードがおおきかった。

・遂行機能の長期の低下スピードは高齢、高血圧でない患者でおおきかった。

脳卒中は認知機能の経年劣化過程におおきなインパクトがあった。とくに高齢、心原性脳梗塞で顕著に低下した、


というおはなし。
図:脳卒中による認知機能低下モデル

感想:

上の認知機能モデルで 脳卒中をきっかけに崖のように落ち込んでいるところが「急激な低下」で、その後のスロープの傾きを「長期の低下スピード」と解釈した。

高血圧のほうが遂行機能の低下スピードがゆるいってとこがおもしろい。脳卒中やった人が血圧をがんばって下げるとボケが加速するんじゃないかな。
血圧が低いと死にたくなることが明らかに

2018年1月29日

無職で軽い脳卒中 2年後の認知障害


Working before and after stroke is good for brain health
2018  1月  イスラエル

軽症の脳卒中であってもその前後での就労状況が2年後の認知機能の低下に関連するという、
先週の国際脳卒中学会 in ロスアンゼルスでの報告。


労働可能年齢の軽い脳卒中またはTIAの患者252人について発症から2年後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・発症前に無職だった患者は2年後の認知障害の可能性が 職に就いていた者の3倍以上で、

・さらに彼らは神経障害やうつ症状が重く、炎症反応も高かった。

・画像解析によると無職だった患者は脳皮質厚と白質体積が減少していた。

・また糖尿病や高血圧にもなりやすかった。

・ちなみに2年間に4.4%が死亡し、8.9%で認知障害が見られた。

・復職できた患者の認知障害リスクは低かった。

軽症脳卒中であっても無職であること自体が認知障害や死亡のリスクになる。とにかく働け、


というおはなし。
図:脳卒中後の復職

感想:

無職くらいで脳の体積が減るとか ホントかよ?と思う。
働いていた軽症脳卒中患者は回復に不満が少ない

2018年1月7日

2年間の認知機能変化を追跡


A 2-year prospective follow-up study of temporal changes associated with post-stroke cognitive impairment.
2018  1月  韓国

脳卒中経験者のおよそ50%は認知障害を経験し、主に処理スピードが低下する。次いで計算力、注意力、視空間認識、言語、遂行機能、記憶力に影響する、という報告もある。

しかしこれら認知機能への影響が時間とともにどのように変わるのか よくわかっていないので調べてみたそうな。


52人の脳卒中患者について、入院直後、3、6、12、24ヶ月後の認知機能をフォローしたところ、


次のことがわかった。
・認知機能のもっとも大きな変化は3-6ヶ月の間におきた。

・認知障害者の割合は23.1%から42.3%の幅があり、3ヶ月後がもっとも多く、6ヶ月後がもっとも少なかった。

・性別(女性)、教育レベル、病変サイズなどが関連要因だった。

脳卒中後の認知機能は3-6ヶ月間にダイナミックな変化を示した。そういうものと理解したうえでのサポートが必要だろう、


というおはなし。

図:脳卒中後2年間の認知障害

感想:

3ヶ月後にボケててもすぐに治るから悲観しなくてもいいよ ってことなのかな。

上図右下は遂行機能。1年以降の低下っぷりに共感できる。

2018年1月5日

血糖値たかめの脳卒中患者は認知障害に


Prediabetes is associated with post-stroke cognitive impairment in ischaemic stroke patients.
2017  12月  中国

糖尿病は脳卒中のリスク要因の1つで、脳卒中後の認知障害との関連もあきらかになっている。

そこで糖尿病前症(正常と糖尿病の中間)と脳卒中後の認知障害との関連についてしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者201人について食後2時間後の血糖値とヘモグロビンA1cの値をもとに糖尿病、糖尿病前症、非糖尿病の3グループにわけた。

1ヶ月後の認知機能検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・糖尿病前症グループは 35.7 vs. 18.1% で非糖尿病グループよりも認知障害が多く、

・そのオッズ比は関連要因を考慮にいれてなお3.062倍だった。

脳卒中患者で糖尿病の前段階にある者は血糖値が正常な者にくらべあきらかに認知障害になりやすかった、


というおはなし。

図:糖尿病前症と脳卒中後の認知障害

感想:

やはり糖分は控えないといかんな。
脳卒中やるひとがアルツハイマー病にもなりやすい理由

糖尿病だと脳卒中の回復が遅い理由

やがて認知症になる脳卒中患者の特徴

2017年11月21日

脳卒中から4年後の認知障害の割合


Determinants, Prevalence, and Trajectory of Long-Term Post-Stroke Cognitive Impairment: Results from a 4-Year Follow-Up of the Auckland Stroke Regional Outcomes Study-IV Study.
2017  11月  ニュージーランド

脳卒中は認知機能におおきく影響し、その急性期ではおよそ70%が認知障害をしめす。数週間から数ヶ月で症状が回復する者がいるいっぽう半数以上で長期にわたり影響がのこる。

また 初回脳卒中のあとの10% および1/3以上が再発後に認知症になるという報告もある。

脳卒中患者の認知障害は集計方法や評価方法のもんだいから過小評価されている可能性があるので、
脳卒中後の認知障害の割合と関連要因をきっちりと調べてみたそうな。


2096人の初回脳卒中患者について
認知障害検査" Montreal Cognitive Assessment "(MoCA)を2週間、1,6,12,48ヶ月後におこなった。

MoCAスコアは30点満点中、26点未満を認知障害とした。


次のことがわかった。
・途中脱落者や死亡者を除き、257人(平均年齢68)でフォローアップが完遂した。

・ぜんたいとしてMoCAスコアは12ヶ月後に0.98ポイント低下し、48ヶ月後では2.8ポイント低下した。

・4年後、84%の脳卒中患者が認知症レベル(MoCAスコア平均20点)の認知障害を示していた。

・認知機能が低下する関連要因として、男性、冠動脈疾患、不整脈、社会からの孤立、非就労、があげられた。

脳卒中後の認知機能の低下は長期的にみて解消や安定したりするものではなかった。社会要因、心血管要因が関連しているので早い対策が望まれる、


というおはなし。
図:脳卒中後の認知障害要因

感想:

認知障害問題は脳卒中経験者の最大のテーマだな。

[認知障害]の関連記事

2017年11月11日

脳内出血のあとわずか数ヶ月で認知障害になる頻度


Early Cognitive Impairment after Intracerebral Hemorrhage in the INTERACT1 Study.
2017  10月  中国

脳卒中のあとの認知障害はめずらしくない。とくに脳内出血から数年後の認知障害は高率におよぶことがおおく報告されている。しかし数ヶ月後の短期での認知障害についての報告はすくない。

そこで脳内出血から90日後の認知障害の割合と予測要因をしらべてみたそうな。


脳内出血患者231人について、90日後にミニメンタルステート検査をおこない24点以下を認知障害とした。


次のことがわかった。

・32.5%が認知障害だった。

・彼らは、高齢で、女性、脳内出血歴、重度の神経症状と

・最初の24時間の収縮期血圧が高い、という特徴があった。

脳内出血の数ヶ月後、3分の1の患者があきらかな認知障害となった。高齢 女性 脳内出血歴 重度の神経症状 発症直後の高血圧が特徴的だった、


というおはなし。
図:脳内出血で認知障害

感想:

ずいぶんおおい。もっと時間かかると思ってた。
脳内出血で早くに認知症になる人の特徴

脳内出血経験者が認知症になる率がわかった

長期的に認知症になりやすい脳卒中の種類は

2017年10月15日

高血圧の認知能力の低下は肥満で防げる?


Higher Adiposity Is Associated With Slower Cognitive Decline in Hypertensive Patients: Secondary Analysis of the China Stroke Primary Prevention Trial.
2017  10月  中国

肥満は脳卒中など心血管疾患のリスク要因の1つである。

いっぽう肥満の心血管疾患患者は生存率が高く回復も良いとする いわゆる「肥満パラドックス」は数多く報告されているものの、認知能力との関連はよくわかっていない。

そこで高血圧患者について肥満と認知能力との関連を大規模にしらべてみたそうな。


45-75歳、およそ4年半の間に認知機能検査を2回以上うけた高血圧の男女16791人について、そのスコア変化と肥満度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に男性の15.3%と女性の33.1%に認知障害が確認された。

・標準体重にくらべ肥満の男性は 11.3% vs. 18.0%で、女性では 30.1% vs. 36.5%で認知障害が少なかった。

高血圧を対象とした調査では 肥満度が高いほど認知能力の低下がゆっくりだった、


というおはなし。
図:肥満とミニメンタル検査スコア

感想:

肥満を見る目がかわったよ。

[肥満パラドックス]の関連記事

2017年8月7日

認知症になりやすい脳の梗塞位置


Incidence of Brain Infarcts, Cognitive Change, and Risk of Dementia in the General Population
2017  8月  アイスランド

脳の梗塞箇所は高齢になるほど増え 70歳をこえるとMRIで20%以上に見られるようになる。

梗塞の発生位置と認知機能についての研究はおおくないので その関連をしらべてみたそうな。


平均年齢75、2612人について 5.2年間あけてMRIを2回撮り梗塞を評価して、認知機能テストをおこない認知症を判別した。


次のことがわかった。

・21%であらたに梗塞ができた。

・梗塞リスクは女性よりも男性で高かった。

・梗塞ができると急速に認知機能が衰えて 認知症リスクは2倍に達した。

・皮質下に梗塞があるとき認知症リスクがもっとも高かった。

5.2年間に20%以上の高齢者の脳にあらたに梗塞ができた。梗塞ができると認知機能が急速に低下した。皮質や小脳よりも皮質下の梗塞で認知症になりやすかったことから、太い血管の塞栓よりも小血管障害のほうが認知症はおきやすいと考えられた、


というおはなし。

図:皮質 皮質下 小脳の梗塞

感想:

皮質梗塞のほうが頭おかしくなるかとおもってたけど違うんだな。

2017年7月27日

脳卒中がらみの認知症が減ってる理由


Decreasing prevalence of dementia in 85-year olds examined 22 years apart: the influence of education and stroke
2017  7月  スウェーデン

認知症のおおくは80歳以降におきる。認知症の発生率は過去40年間 低下傾向にあるというが有病率についてはさだかでない。

そこで20年前と現在とで認知症の有病率の変化、および認知症の原因となる脳血管障害 そして教育との関連を比べてみたそうな。


1986年と2008年の各時点で85歳だった計1065人について 同じ方法で認知症検査を行い 脳卒中や教育歴との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・認知症の有病率は 29.8%→21.7%になり、おもに血管性認知症が減少していた。

・基礎教育以上の割合は 25.2%→57.7% に増加。

・脳卒中経験は 20%→30%に増えたが、脳卒中による認知症の割合は低下した。

・教育歴や脳卒中、出生時期との交互作用が 認知症の有病率につよく関連していた。

認知症有病率の低下は教育の高度化による認知予備能の強化と 脳卒中治療レベルの向上で説明ができる、

というおはなし。
図:

感想:

脳も筋肉みたいなもので鍛えて備えることができるのかもな。

2017年7月20日

無症候性でも頸動脈の狭窄は認知機能障害のもと


Asymptomatic carotid stenosis is associated with cognitive impairment.
2017  7月  アメリカ

高血圧や冠動脈疾患、脳卒中は血管性認知障害の原因となりうる。

無症候性の頸動脈狭窄と認知障害との関連をしらべてみたそうな。


無症候性の頸動脈狭窄(≧50%)患者82人と狭窄のない62人について、複数の認知機能検査をおこない、超音波検査機で狭窄率や脳循環動態を測定したところ、


次のことがわかった。
・両グループで血管リスク因子、教育歴、うつ症状などに差はなかった。

・狭窄グループでは認知機能スコアが低く、特に学習、記憶、運動、処理速度、実行機能が劣っていた。

・狭窄グループの49.4%の患者は認知機能の少なくとも2項目で障害があった。

・脳循環予備能の低い患者は認知機能ぜんぱんでスコアが低かった。

・狭窄率との関連は見られなかった。

無症候性の頸動脈狭窄は認知機能障害と関連があった。狭窄患者の49.4%に複数項目の認知機能障害がみられた。脳の循環予備能や血流量の低下が背景にあると考えられた、



というおはなし。
図:頸動脈の狭窄検査

感想:

これ↓おもいだした。
頸動脈が狭窄すると脳卒中のきっかけになるというけれど、それ以前に頭がすこし弱くなるらしい

2017年7月3日

身体を動かすだけでほんとうに認知機能がよくなるのか?


Physical Exercise Improves Cognitive Outcomes in 2 Models of Transient Cerebral Ischemia.
2017  6月  アメリカ

脳卒中経験者は認知機能の衰えがはやいことがわかっている。

認知機能の改善には運動がよいとする研究がいくつかあるが、どれも長期にわたる運動による健康増進効果や運動直後の興奮効果との区別がついていない。

そこで、短期の運動から少し間を置いたときの認知能力を測定し、さらに適した運動強度もしらべてみたそうな。


脳の左右一方もしくは全体を虚血にしたネズミ2グループを使って、3-4日後からトレッドミルで歩行運動させた。

歩行速度は 0,6,10,18m/分の4グループ設け 30分間x5日間継続した。

その1週間後、事前に電気ショックで条件づけ学習させておいたケージにネズミを入れ、怯えて固まっている時間を記憶能力として測定した。


次のようになった。

・虚血範囲の異なる両グループのネズミいずれも、中強度運動(10m/分)のとき約1週間後の認知機能がもっとも向上していた。

脳卒中後の運動そのものによる認知機能の強化を確認することができた。人で実験してみたい、


というおはなし。
図:運動強度と脳卒中後の記憶能力

感想:

考えがまとまらなくてブログ更新ができないとき、部屋のなかをぐるぐる歩き回るだけで解決するんだ。

そういうことかな?
ブログランキング・にほんブログ村へ pv

過去7日間の人気記事10

回復と予防のヒント100記事(2017年1月までのぶん)

脳卒中を見逃さない BE-FAST とは
玉子のコレステロールで血管詰まる説はなんだったのか?
緑茶を飲めば慢性期でも脳が再生するという根拠について
2度めの脳卒中で可塑性が再び高まる可能性について
高齢の脳卒中患者へのリハビリは無駄なの?
人生に目的を持つ高齢者の脳には梗塞が寄りつかないことが明らかに
目的をイメージしながら動作訓練すると脳がより広く鍛えられることが明らかに
脳卒中予防には歩く時間が大切 距離やスピードじゃなくてジ・カ・ン
日本人が脳卒中で死なないための生活習慣が判明
水をたくさん飲むと脳卒中にならない、はホントだった

口の中が汚いと脳内出血になるという根拠について
脳梗塞と脳出血を同時に防ぐ肥満度BMIがわかった
脳卒中を防ぐミルクとチーズの量が明らかに
片麻痺の立ち上がり訓練 効果的なやり方
脳卒中は脳機能8年間分の老化に相当することが明らかに!
高血圧の脳卒中予防には葉酸サプリメントが効くことが判明
[ ナッツ vs. 豆 ] 脳卒中予防に適しているのはどちら
触覚刺激で脳がすぐに回復し その効果が10年以上続く可能性について
脳が再生する運動強度がわかった
緑茶とコーヒーを飲むと相互作用で脳出血リスクが3割減ることが判明

脳卒中で復職可能な年数がわかった
ランセット誌:塩分減らすとかえって脳卒中になる
オナニーがきっかけで脳出血になる割合
手の痙縮を解く低周波治療器の効果的使用法が判明!
睡眠8時間を超える人は問答無用で脳卒中リスク46%増し
カップラーメンを週2回以上食べる女性が脳卒中になりやすい理由について
怒りと脳卒中との関連が明らかに
難しい理屈はいいからスクワットをやれ
1日に6000歩以上で脳卒中の再発予防になることを日本の研究者が解明
脳出血で損傷した脳が勝手に再生する可能性について

脳卒中患者がネットを使いこなす理由
若年脳卒中患者は脳の老化が10-20年進んでいた
マルチビタミンの脳卒中予防効果は〇〇年後に現れる
最新の音楽療法 バイノウラルビート (Binaural Beat)
脳卒中になりやすい労働時間がわかった ランセット誌
脳卒中が軽症だからって運転させていいの?
健康のために毎日いっしょけんめい運動するとかえって脳卒中になりやすいことが100万人の調査で明らかに
足をクロスしていたら半側空間無視 確定か?
療法士さんよりもビデオゲームの方が優れていると判明!
両手準備運動をすると脳が刺激されて上肢リハビリが加速することが判明!

心を改め運動を始めるだけで脳の可塑性は復活する
知らない音楽を聴くと脳が広く活動して新しい回路が、
なんとか復職しても仕事は続けられるのだろうか?
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね
脳卒中の言語障害はウェルニッケやブローカのせいではなかった!
手の指を繰り返し動かしてあげても脳への影響はゼロ
片足立ち20秒未満 →小さな脳梗塞や脳出血の可能性高!
[住みやすい国] 日本の脳卒中と自殺との関連について
再発予防のために血圧を120以下にすると長生きできない
【いますぐ実践】片鼻呼吸法で失語症が改善することが明らかに

悪玉善玉比L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに
鼻炎のメリット→脳梗塞予防効果
脳卒中 幹細胞治療のダークサイドについて
ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』