元2025 7月 日本
・全体の13.7%(175人中24人)が、「薄い水」を飲んだときに誤嚥を起こした。この誤嚥した人たちは、そうでない人と比べて喉頭が持ち上がるまでの反応(LEDT)が明らかに遅かった。・一方、誤嚥をしなかった人たちについて3種類の飲み物を比較したところ、ゼリーには以下のような特徴があった:
* 飲み込むとき、喉の入口あたりで一瞬とどまり、そこで飲み込み反射を起こす* そのあと、喉頭がしっかり閉じたのを確認するようにして、すばやく食道へと流れ込む* とろみ水や普通の水よりも、喉頭が動き始めるタイミング(LEDT)が早く、誤嚥のリスクが低い傾向が見られた
その問いは、まさに嚥下リハビリの核心である。
ゼリー・とろみ・薄い水の三者は、「物性(どれくらい流れるか/とどまるか)」の違いにより、喉の機能状態に応じて使い分ける必要がある。
ここでは、それぞれの特徴をふまえた上で、具体的な使い分けの指針を提示する。
🧭 まず、三者の特徴をざっくり整理:
食形態 | 物性の位置づけ | 特徴 | リスク | 適する状態 |
---|---|---|---|---|
薄い水 | 最も流動性が高い | サラサラ、口当たりよい | 喉頭が動く前に落ちやすい → 誤嚥高リスク | 嚥下機能がほぼ正常、またはVFで問題ないと確認された人 |
とろみ液 | 中間的(粘性あり) | ゆっくり流れる、飲み込みやすい | 粘度によっては喉に残りやすい | ある程度反射はあるがタイミングが微妙な人、むせる傾向がある人 |
ゼリー | 流れず、まとまりあり | とどまる→反射後に一気に通る | 喉の反射が起こらなければ停滞→誤嚥の恐れ | 喉頭挙上のタイミングが遅れている人、反射が比較的保たれている人 |
🧪 それぞれの具体的な使い分け例
✅ ゼリーを使うと良いケース
- 喉頭挙上が遅れがちな人(LEDTがやや延びている)
- VFで「喉頭閉鎖後に通る流れ」が確認された人
- 「飲み込むタイミングを“待ってくれる”食形態が必要」な人
- 食塊が流れ落ちるとすぐむせる人
- RSST(反復唾液嚥下テスト)ができるが水ではむせる人
✅ とろみ液を使うと良いケース
- むせることはあるが、嚥下反射そのものは起きている人
- 水では早すぎ、ゼリーでは遅すぎると感じる人
- 一口量や飲み方にばらつきがある人(液体の調整がしやすいため)
- 嚥下はできるが認知がやや低下していて、食形態を理解できない人
✅ 薄い水を使ってもいいケース
- VFで誤嚥がないことが確認されている人
- 過去にゼリーやとろみで訓練後、水に戻してもむせない状態まで回復した人
- 誤嚥歴がない健康高齢者(←ただし年齢的に油断は禁物)
🔍 ワンポイント注意:
- ゼリーは「喉の反射を引き出す起爆剤」
→ 反射が起きれば理想的に通るが、起きなければ停滞してリスクになる。 - とろみ液は「嚥下の補助輪」
→ 食塊が喉にゆっくり届くので、反射が起きるまでの時間稼ぎができるが、とろみの調整が雑だと残留する。 - 薄い水は「最終段階の訓練目標」
→ 嚥下が確実にコントロールできるようになってから使う。
🧠 まとめ:使い分けの判断基準3ポイント
- 喉頭挙上(LEDT)が遅い人 → ゼリー優位
- 誤嚥はしていないがむせやすい人 → とろみ液
- すでに回復していて問題なし → 水も可