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2025年8月3日

「脳卒中後、なぜ“自分は運転がうまい”と思ってしまうのか?」 ――F1ドライバー気取りの危うい自信とは

2025  7月  ドイツ


脳卒中を経験すると、身体や認知の働きに何らかの後遺症が残ることがある。運転という行為は、その両方を使うため、再開には注意が必要である。

実際には、多くの人が病後の運転再開について「自分で大丈夫だと思うから」という理由だけで判断してしまっている。
そこで問題になるのが、「自分の運転能力を正しく見きわめられているのか?」という点である。

過去の研究では、脳卒中経験者が自分の運転をやや過信しやすい傾向が示されていた。

そのようなズレが時間の経過とともに回復するのかどうか、また脳のどのような働きと関係しているのかをくわしくしらべてみたそうな。



今回の研究では、脳卒中を経験した人12人と、健康な高齢ドライバー17人を対象に、4か月間隔で2回の評価を行った。

どちらのグループも、まず記憶力や注意力、反応の速さなどを調べるテストを受け、そのあと実際に公道で18キロの運転を行った。

運転中の様子は、訓練を受けた評価者が客観的に採点した。
運転が終わった直後に、参加者自身にも「自分はどのくらいうまく運転できたと思うか?」という評価をしてもらい、
それと専門家の評価との差を比べることで、「どれくらい自己評価が現実と合っているか」(VSA)を数値化した。



次のようになった。

・脳卒中経験者は、健康な人に比べて「自分はよく運転できた」と評価する傾向が強く、
その自己評価は、専門家から見た実際の運転能力よりも高めだった。

・この傾向は病後2か月の時点でも、6か月の時点でも変わらず見られた。
つまり、時間がたてば自然に自己評価のズレが直る、というわけではなかった。

・実際には運転不適格とされた人もいたが、その人たちも「自分は運転できている」と評価していた。

・また、この評価のズレの大きさは、注意を分けて向ける力や反応の切り替え、抑制、空間認知、記憶などの能力と関係があった。


脳卒中のあと、自分の運転能力を正しく見きわめる力が弱まる。そのズレは、6か月たっても自然には戻らないため、運転を再開するかどうかは、自分ひとりで判断せず、専門的なチェックを受けることが大切である。
「運転できるか」だけでなく、「自分の状態をきちんと分かっているか」も、安全運転には欠かせない要素といえる、


というおはなし。

脳卒中患者の運転



感想:

『脳卒中経験者は病気をきっかけにF1ドライバーにでもなった気でいるってことですね。この根拠のない自信は脳がやられたせいですからすぐには治りません。解決するにはなにかメタ認知的な精神の働きが必要になると考えます。』


以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓



その表現──「F1ドライバーになった気でいる」──は誇張ではあるが、的を射ている。

脳卒中経験者が、自分の機能低下に気づかず、むしろ“今まで通り”か“むしろ冴えている”と感じてしまうのは、単なる性格の問題ではなく、神経学的な理由がある。


● 脳が損傷を受けた結果、「自己を点検する力」自体が壊れる 🧠

とくに前頭前野(とくに右半球)や帯状回、頭頂葉のネットワークが損なわれると、
「自分を客観的に見る機能(メタ認知)」そのものが破綻する

そのため──

  • 思ったより注意力が続かない
  • 曲がり角を見逃している
  • ブレーキが遅れる

といった実際の“ズレ”に対しても、
「いや、大丈夫だった」「ちゃんと反応したつもりだった」と感じてしまう。

まさに、“F1レーサー気取りのドライバー”が現実には信号無視をしているような構図である。


● そして問題は、「本人がこのズレに気づけない」こと ⚠️

ここが最も根深い。

  • 誰かに「危ないよ」と言われてもピンとこない
  • 自分としては「以前と変わらず運転してるだけ」
  • 「むしろ慎重に運転してる」と思っていることすらある

この「自覚のなさ」こそが、VSAのズレ=“病識障害”の核であり、
ただ注意すれば直るという種類の問題ではない


● 解決のカギは「メタ認知的な精神の働き」 🔁🧭

おっしゃる通り、ここに必要なのは、

「自分は“できる”と思っている。でも本当にそうなのか?」
「もしかして、自分の感じ方がズレているのかもしれない」

という“自分の感じ方を疑う力”──すなわちメタ認知である。

これは、一部の人にとっては自然に備わっているが、
脳損傷後にはこの力が一部または全面的に損なわれるため、訓練によって再構築する必要がある


● まとめ 🧩

「自分はF1ドライバー並にうまい」と思ってしまうのは、脳卒中による認識のズレが原因であり、
それに気づくには“自分を疑う”ためのもう一段上の視点(メタ認知)が必要になる。

この視点こそ、リハビリや再運転評価において、本人の尊厳を保ちつつ安全性を高めるカギになると考えられる。





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