元2021 7月 台湾
脳梗塞の再発予防に抗血小板薬のアスピリンがよく用いられる。
アスピリンにより脳梗塞の再発を46-53%減少できるという報告がある。
いっぽうで、再発しやすい患者というのはそれ以前に、たとえば脳出血などの脳血管疾患で死亡しやすいとも考えられる。
その場合、脳梗塞の再発率の低さは、別の脳血管疾患での死亡率の高さを物語っている可能性がある。
これを確かめるべく、初回脳梗塞から脳血管死に至るまでの、脳梗塞の再発の有無および抗血小板薬の有無との関連を長期にくわしくしらべてみたそうな。
非心原性の初回脳梗塞患者を、アスピリンまたはニカメタート(降圧薬)の治療群に分ける二重盲検のランダム化比較試験について、
1992年から2019年までの再発および脳血管死をフォローした。
次のようになった。
・脳梗塞患者466人をアスピリン群222人とニカメタート群244人に割り付けた。・この間に脳梗塞の再発が49人、再発を含む脳血管疾患による死亡が89人確認された。・アスピリン群と比較して、ニカメタート群の脳梗塞再発リスクは高かったが、有意なほどではなかった。・ニカメタート群はアスピリン群よりも脳血管死リスクが37%低かった。
脳梗塞後の抗血小板薬治療では、脳梗塞が再発する可能性は低かったが、それ以外の脳血管疾患(脳出血)で死亡する可能性が高かった、
というおはなし。
感想:
もっとわかりやすくいうと、
抗血小板薬の副作用の脳出血で死亡したとしても、脳梗塞が起きたわけではないので「患者は生涯再発しなかった」と 記録されるってこと。
じっさい、脳出血患者のおよそ半数はつねにサラサラ薬使用者が占めていて、彼らの出血原因は薬の副作用とは言われない。病人ゆえの自然(spontaneous)出血とされている。
ところが、未病な人への一次予防目的のサラサラ薬使用でこのトリックは使えない。なぜなら健常な彼らに脳出血が起きれば否応なく薬の副作用が疑われるから。
そのため、抗血小板薬による脳梗塞の一次予防効果はすでに「完全否定」されている↓。