元2021 10月 中国
動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、最初の出血から24時間以内に再出血する率が5.8%で、その間隔の中央値は180分間と言われている。
そのため再出血を予防するクリップやコイル手術は早くに行われたほうが臨床転帰が良い可能性がある。
そこで、発症から入院、動脈瘤治療までの時間を評価し、遅れの原因になる因子をくわしくしらべてみたそうな。
2017-2019年にコイルやステントによる血管内治療をおこなったくも膜下出血患者の記録を解析した。
次のことがわかった。
・422例が対象となった。・発症当日に入院したのは122人(28.9%)で、386人(91.5%)の患者は入院したその日に治療手術を受けた。・若年、軽度Fisherスコア(0-2)、が入院遅延の因子だった。
・これら因子と 入院から治療までの遅れとの関連は認められなかった。・高齢、重度Fisherスコア(3-4)、発症から入院までの時間が短いこと、が転帰不良の独立因子だった。
若くて症状の軽い患者ほど入院が遅れた。入院が遅かった患者ほど臨床転帰は良かった、
というおはなし。
感想:
入院が遅れる患者は若くて軽症なのだから転帰良いのはとうぜん。
しかもはやく治療すればいいってものでもない↓。
いっぱんに 脳梗塞や脳内出血ではほとんどの患者は軽症である。
彼らに手術は必要なく安静に寝かせておけば自然に良くなる。
ところがくも膜下出血の場合は、どんなに軽症であってもなぜか手術をしてしまう。
挙句の果てには健康なひとをつかまえて、「破裂していない動脈瘤でも予防的に手術するべき」とまで言い出す始末。
じっさい日本では、軽症のくも膜下出血であっても半ば強制的に鎮静剤を打って意識を失わせ、家族の同意のみで手術をしてしまう↓。
破裂未破裂にかかわらず、クリップやコイルによる動脈瘤手術により死亡率が下がることを示すランダム化比較試験はこの世に存在していない。
できるだけ入院を遅らせ手術をしなかったほうが死亡率は圧倒的に低い↓。
