~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2022年11月16日

Neurology誌:トラネキサム酸のウルトラ再解析

2022  10月  オランダ


くも膜下出血では再出血のほとんどが数時間以内に起こるため動脈瘤の閉塞治療が間に合わないことがおおい。

抗線溶(止血)薬であるトラネキサム酸の効果をしらべたULTRA試験では、6ヶ月後の臨床転帰の改善はみられなかった。

しかしULTRA試験には動脈瘤をもたない患者が15%ほど含まれていたため効果が過小評価されていた可能性があるので、解析しなおしてみたそうな。



2013-2020年に実施されたULTRA試験のうち、動脈瘤の存在が確認できた患者のみを対象として、6ヶ月後の転帰との関連を再解析した。

トラネキサム酸は、発症から数時間後または動脈瘤の確認からすぐに投与され、動脈瘤治療まで継続された。



次のようになった。

・動脈瘤性くも膜下出血患者813人のうち、409人がトラネキサム酸群、404人が対照群に割り当てられた。

・トラネキサム酸群の58%、対照群の60%がmRS0-3の良好転帰を示し、

・さらにmRS0-2の優れた臨床転帰および30日後と6ヶ月後の全死因死亡率に群間で有意な差はなかった。

・再出血率はトラネキサム酸群が低かった。


動脈瘤性くも膜下出血へのトラネキサム酸投与は、6ヶ月後の臨床転帰を改善しなかったので推奨するにあたいしない、


というおはなし。
脳動脈瘤の図


感想:

クリップやコイルで死亡率が下がるとする臨床試験結果すら存在していないのに、「トラネキサム酸は現状を改善しないから使えない」と言うのは筋違い。

クリップやコイルこそが状況を悪化させている可能性について考えないのだろうか?




再出血の比較の図


ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *