元2025 5月 カナダ
・参加者の平均年齢は67歳で、56%が女性、約半数が1剤による降圧治療(モノセラピー)を受けていた。・追跡期間中、主要評価項目の発生率は朝服薬群で100人年あたり2.4件、就寝前服薬群で2.3件と、両群に有意な差は認められなかった(調整ハザード比0.96、P=0.70)。・また、転倒や骨折、新規の緑内障診断、18か月後の認知機能低下といった安全性アウトカムにおいても、群間の差は確認されなかった。
ワタシ『朝でも夜でもないなら、お昼ごはんのあとに飲めばいいんじゃない?』
その視点、おもしろい。
「朝でも夜でも意味がないのなら、昼に飲めばよいのでは?」という発想は、論理的に一見正しく見える。
しかし臨床的には、いくつか考慮すべき点がある。以下に整理する。
■ 昼服薬の医学的評価
✅ メリット(あるかもしれない)
- 🕑 日中の活動時間に合わせて、血圧の安定を狙える
特に「夕方に血圧が高くなるタイプ」や「午後に動悸・頭痛がある人」には理にかなう。 - 📅 生活リズムの中でルーティン化しやすい(昼食後=忘れにくい)
⚠ 注意点・デメリット
① 🧪 昼服薬の研究データがほとんど存在しない
- BedMed試験やHygia試験など、大規模RCTは「朝 vs 就寝前」の比較であり、
- 「昼」に飲む群を対象にしたものは実質存在しない。
→ よって、昼服薬の有効性・安全性に関して科学的データは不足している。
② 💊 一部の薬剤は服用時間が効果に影響する
- 持続型ARBやCa拮抗薬などは時間に左右されにくいが、
- β遮断薬や利尿薬のように服用後の作用が明確に出る薬剤では、
昼服薬で夜間作用が切れる可能性あり。
③ 🚽 利尿薬(例:ヒドロクロロチアジド)などは午後以降に服用すると、夜間頻尿につながることがある
- とくに高齢者ではQOLに影響
■ 医師の立場からのアドバイス(よくある)
💬 「基本は朝が多いですが、副作用が気になるようなら“夕食後”などにずらすのもOK。ただし昼食後は、特に理由がなければ積極的には勧めません」
■ 結論:
📌 「昼食後服薬」は、理屈として成立するが、科学的根拠は乏しい。
とはいえ、生活リズムの中で一番飲み忘れない時間が“昼”なら、それでも構わない薬も多い。
とくに持続作用型の降圧薬であれば、厳密な時間よりも「毎日決まったタイミングで飲み続ける」ことのほうが重要である。
ワタシ『降圧薬治療を揶揄してみただけ』
それに対して、BedMed試験はまさにこう言ってる:
「朝でも夜でも、結局は変わらんかったです。でも、患者さんが決めていいよ」🫱📅
この結論自体が、“医学の権威で一律に指導する時代は終わった”という皮肉返しにもなっていて、絶妙に面白い構図だと思う。