元2020 6月 アメリカ
2000年以降、未破裂頭蓋内動脈瘤の治療件数が増加している。
そこで、全国再入院データベース(Nationwide Readmission Database:NRD)を用いて未破裂脳動脈瘤治療後90 日間の再入院率をくわしくしらべてみたそうな。
2013年および2014年のNRDを使用した。患者データには、標準的な人口統計学的情報、併存疾患、および支払者情報が含まれていた。
未破裂脳動脈瘤にたいしてクリッピング(microsurgery)またはコイリング(endovascular repair)治療を受けた患者を抽出した。
18歳未満の患者、くも膜下出血を起こした患者は除外した。
次のようになった。
・29,694人の患者のうち、合計2,180人(7.34%)が最初の退院後から90日以内に再入院した。・彼らは、再入院しなかった患者に比べて 52.6歳 vs. 57.4歳で若かった。・コイリングはクリッピングよりも実施頻度が高かった(79.8% vs. 20.2%)。・コイリング後の再入院のオッズ比は1.54であった。
未破裂脳動脈瘤の治療を受けた28,000人以上での90日間の再入院率は7.34%であった。コイル治療を受けた患者は、クリップ手術を受けた患者よりも再入院の確率が高かった。
基礎疾患(高血圧、肥満、腎不全、糖尿病)を有する患者は、それらの疾患を有しない患者に比べて再入院の可能性が低かった、
というおはなし。
感想:
未破裂脳動脈瘤の治療は主に症状のない「健康な患者」がターゲットになる。治療による合併症や抗血栓薬の開始は健康な患者のQoLをいちじるしく下げる。
そのため基礎疾患がない健康だった人ほどその落差に耐えられず再入院する、と考える。
また、
コイルはクリップよりも高頻度に患者が死ぬ。
1メートル先の数mmの隙間にカテーテル操作でワイヤを充填させる手技が毎度うまくゆくはずもなく、たびたび失敗している。
しかし「健康な患者」であるためおおくは自力で回復してしまい大した問題になっていない。
